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文化審議会

2004年8月2日 議事録
文化審議会著作権分科会(第13回)議事録


  日時   平成16年8月2日(月曜日)午前10時33分〜午前11時54分

  場所   グランドアーク半蔵門4階「富士(西)」

  出席者
  (委員)
石井,石田,入江,大林,岡田,角川,金井,金原,神山,後藤,齊藤,
迫本,佐野,里中,瀬尾,大楽,常世田,永井,中山,野村,松田,三田,村上,森の各委員
  (文化庁)
加茂川次長、森口長官官房審議官、吉川著作権課長、池原国際課長
ほか関係者

  議事次第
開会
委員紹介
文化審議会著作権分科会長の選出について
文化審議会著作権分科会運営規則等の制定について
文化庁次長あいさつ
小委員会の設置について
その他

  配付資料
資料1 文化審議会著作権分科会委員・専門委員
資料2−1 文化審議会著作権分科会運営規則(案)
資料2−2 文化審議会著作権分科会の議事の公開について(案)
資料3 小委員会の設置について(案)
資料4−1 著作権法の一部を改正する法律の概要
資料4−2 著作権法の一部を改正する法律案資料
資料5 知的財産推進計画2004(著作権関係部分抜粋)
資料6 各小委員会における検討事項例
参考資料1 文化審議会関係法令等
参考資料2 文化審議会著作権分科会報告書(平成16年1月)

  議事内容

【吉川著作権課長】
 お暑い中,お集まりいただきましてありがとうございます。私は,著作権課長の吉川でございます。
 ただいまから文化審議会著作権分科会の第13回を開催いたします。本日は,御多忙な中を皆様方御出席いただきまして,誠にありがとうございます。
 本日は,第4期目の文化審議会著作権分科会の最初の会議でございますので,後ほど分科会長を選出していただくこととなりますけれども,それまでの間,私が進行させていただきます。御了承をお願い申し上げます。
 それでは,初めに委員の皆様の御紹介をさせていただきたいと存じます。配付資料1の文化審議会著作権分科会委員名簿の順に紹介させていただきます。
 それでは,上から石井委員でいらっしゃいます。
 石田委員でいらっしゃいます。
 入江委員でいらっしゃいます。
 大林委員でいらっしゃいます。
 岡田委員でいらっしゃいます。
 次の加藤委員は,本日御欠席でいらっしゃいます。
 角川委員でいらっしゃいます。
 金井委員でいらっしゃいます。
 金原委員でいらっしゃいます。
 神山委員でいらっしゃいます。
 後藤委員でいらっしゃいます。
 齊藤委員でいらっしゃいます。
 迫本委員でいらっしゃいます。
 佐野委員でいらっしゃいます。
 里中委員でいらっしゃいます。
 瀬尾委員でいらっしゃいます。
 次の関根委員は,本日御欠席でいらっしゃいます。
 大楽委員でいらっしゃいます。
 次の辻本委員は御欠席でいらっしゃいます。
 常世田委員でいらっしゃいます。
 次の土肥先生は御欠席でいらっしゃいます。
 永井委員でいらっしゃいます。
 中山委員でいらっしゃいます。
 野村委員でいらっしゃいます。
 松田委員でいらっしゃいます。
 三田委員でいらっしゃいます。
 村上委員でいらっしゃいます。
 次の紋谷委員は,本日御欠席でいらっしゃいます。
 森委員でいらっしゃいます。
 依田委員は,後ほど,間に合うようであればこちらに向かうということでございます。
 以上,本日御出席いただいております30名の委員の先生方を御紹介申し上げました。
 引き続きまして,本日の会議に出席しております文化庁関係者を紹介させていただきます。
 まず,文化庁の加茂川次長でございます。
 それから,森口文化庁審議官でございます。
 国際課長はちょっと遅れております。
 私は吉川でございます。よろしくお願いします。
 それから,私の右でございますが,著作権調査官の山口でございます。
 それから,著作物流通推進室長の川瀬でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは,次に今期の本分科会会長の選出をお願いいたしたいと思います。選出方法につきましては,文化審議会令第5条第3項の規定によりまして,分科会に属する委員の先生方の互選により選任するとなっております。事務局といたしまして,前期も分科会長をお務めいただきました齊藤委員に,今期も分科会長をお願いしてはどうかと考えておりますけれども,いかがでございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【吉川著作権課長】
 どうもありがとうございます。御異議がないようでございますので,齊藤委員を分科会長として選出するということで御承認いただいたことにさせていたただきます。
 それでは,齊藤委員には大変恐縮でございますけれども,分科会長の席がこちらにございますので,そちらにお移りをいただけないでしょうか。お願いいたします。そして,これからの議事進行は齊藤分科会長にお願いをいたしたいと思います。

【齊藤分科会長】
 齊藤でございます。なかなか単位が取得できなくて,また留年ということになってしまいました。至らぬ者でございますが,委員の先生方の御協力,それに事務局の方々の御協力の下に微力を尽くしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,まず,文化審議会令第5条第5項の規定に基づきまして,分科会長の代理として,副分科会長を指名させていただきたいと思います。私といたしましては,前期に引き続きまして,野村委員にお願いしたいと思います。御異存がなければ,野村委員には,恐れ入りますけれども,副分科会長席にお着きくださいますれば幸いでございます。
 一言御挨拶をお願いいたします。

【野村副分科会長】
 御指名でございますので,お引き受けさせていただきますが,著作権審議会以来,古いということでこういう役を仰せつかっておりますけれども,齊藤分科会長を補佐できればと思っておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。

【齊藤分科会長】
 まず初めに,事務局より配付資料の御確認をお願いいたします。

【山口著作権調査官】
 それでは,資料確認をさせていただきたいと思います。
 お手元に議事次第と一緒にホッチキスどめしてございます配付資料一覧というペーパーがございますでしょうか。資料は全部で10点ございますが,各資料にはすべて右肩に番号が打ってありますので,お手数ですが,お照らし合わせの上御確認いただければ幸いです。万一乱丁,落丁等がございましたらお知らせください。
 念のため読み上げますと,資料1が委員名簿,資料2−1が運営規則案,2−2が議事の公開案,資料3が小委員会の設置案,資料4−1が著作権法改正概要,4−2が改正法案資料の冊子となっております。資料5が知財推進計画2004抜粋版,資料6が各小委員会における検討事項例,その他参考資料として2点,審議会の関係法令と前期の分科会報告書を用意しております。よろしいでございましょうか。

【齊藤分科会長】
 それぞれお手元にございますでしょうか。
 続きまして,著作権分科会の運営に必要な事項としまして,文化審議会著作権分科会運営規則,それに,議事の公開の方針を決定したいと思います。資料2−1及び2−2につきまして,事務局より御説明をお願いいたします。

【吉川著作権課長】
 それでは,私のほうから御説明申し上げます。資料2−1と2−2を参照いただきたいと存じます。
 まず2−1でございますが,運営規則の案でございます。これは,最初の3行に書いてありますように,審議会令及び審議会運営規則に基づきまして運営規則を定めるものであります。基本的には,これは前期の分科会でも同じように決めていただいた,そういう内容でございまして,実質的に特に新鮮な要素というものはございません。基本的には,まず分科会に使用料部会を置いて,一定の事項を分掌させるという第2条の規定,そして,第3条につきましては,特定の事項を審議する必要があるときには小委員会を置くというものです。後ほどの議題にも具体的に小委員会の設置がかかりますけれども,その根拠となる条文であります。
 それから,会議の公開について第4条がございまして,これは公開原則を定めております。また,会議の公開等に関しての必要な事項は,分科会長が分科会に諮って定めるということになりますので,今度は2−2のほうに中身が移ります。
 それでは,肝心の資料2−2を御説明申し上げます。これは,これまでの分科会の議事の公開についてよりも一歩踏み込んだ公開を,今回御審議いただいた上で,実施したいというものでございます。
 まず,2−2の会議の公開の部分でございますが,公開とするという第1項は,これは特に前回と変わりはありませんけれども,第2番目のほう,会議の日時等について,まず文化庁のホームページに掲載し,そして広報室にも掲示することにいたします。これらは,会議開催の1週間前の日までに行います。ホームページに掲載するというあたりは,会議の傍聴を拡大するという3番にかかわってまいります。会議の傍聴でございますけれども,これまでは基本的に報道関係の傍聴ということでありました。ただ,昨今,一般の傍聴も可能な限り認めてはどうかと。もちろん物理的な制約というのはございますけれども,本日,ややこのような広いところを用意しているのも,その一般傍聴というものに配慮した結果でございます。委員の随行の関係者,各省の関係者については,知財関連の省から傍聴したいという希望はもちろんございますし,これまでも傍聴が認められておりましたので,この辺を明確にしております。
 そして,新規としては3でございまして,3の(3)一般傍聴者というところでございます。これは,開催日の前日の17時までに事務局に申し込みを行う。ただ,申し込みが多くて入れないというような場合には制限を行う。原則として傍聴は申し込み順で受け付けると,こういう規定を設けております。
 その他,こういった傍聴を広げる関係で,4番あるいは5番,分科会長が許可した場合を除き,一定の行為を禁止するとか,あるいは会議の進行が妨げられていると分科会長が判断をなさったときには,必要な措置をとることができるということで,公開を進めている審議会,分科会の例にならいまして,このような規定を入れております。
 次の会議録の公開についても一歩前進をさせております。まず,議事録は,原則として発言者名を付して公開するとしております。これまでは,議事録に近い議事要旨というものが公開になっておりましたけれども,発言者名というのは,自由に発言していただくことの制約になってはいけないという配慮もありまして,付しておりませんでした。しかし,会議も一般傍聴者に対して公開するということもあるし,議事録についても,どなたがどのような発言をされているかということも重要な情報であると思われますので,できるだけ公開を進めてはどうかという提案でございます。
 それから,念のためということでありますけれども,7番に,議事録の全部又は一部を非公開にする。そういう場合には議事要旨を公開するということで,6番にただし書きがございますように,一定の場合に議事要旨に代える場合があるということにしております。
 それから,会議資料については,これまでも公開してまいりましたけれども,これも継続するということです。以上のように会議の一般傍聴者への公開及び議事録に発言者名を付しての公開というようなところが今回の新しい提案であり,公開を一層進めるという提案をさせていただいております。
 以上でございます。

【齊藤分科会長】
 ただいま御説明がございましたように,議事の公開の方針につきましては,これまでの分科会及び小委員会での御意見もあったところでございますが,議事内容の公開を一層進めるという趣旨から,前期のものから変更する案をお示ししてございます。
 このことにつきまして御意見がございますれば,どうぞお出しいただきたいと存じます。いかがでございましょうか。

【石井委員】
 2−2でございますが,議事録の公開で,最後の行に,理由があると認められるときは,議事録の全部又は一部を非公開とすることができるということで,私はこの趣旨に反対ではございませんが,この一部という場合に,発言者名を削除するということも論理的には考えられるのかなと思うんですが,そういう場合には,7はどういうふうな記述になると想定していらっしゃるのでしょうか。

【吉川著作権課長】
 発言者名だけを議事録から取り除いて,まさに議事録のようなものを出すということになりますね。そうすると,確かに7番は,それは議事録なのか議事要旨なのかと,ちょっと曖昧になるかもしれません。どういうふうに解釈していいか,ちょっと私もにわかには正しいお答えができるかどうかわかりませんけれども,その場合には,そうするとやっぱり議事要旨ということになるんでしょうか。解釈の範囲だと思いますけれども,論理的に解釈すれば,7番でいうところの議事要旨ということになるのではないかと思います。

【齊藤分科会長】
 よろしゅうございますか。個々の発言はそのまま公開して,名前だけを外すという趣旨ですね。

【石井委員】
 そういう場合です。

【齊藤分科会長】
 そういう場合,どうしましょうかね。

【吉川著作権課長】
 そういう場合,まあ,議事録に近いとは思うんですけれども。

【齊藤分科会長】
 議事要旨とみなすということでございますか。それでよろしゅうございますか。

【吉川著作権課長】
 まあ,定義の問題ですけれどもね,議事録に近いけれども,その議事録から何か除いているというものは,議事要旨ということになるのかもしれませんね。まあ,そういうふうに解釈してよろしいんじゃないかと思いますが。

【齊藤分科会長】
 よろしいですか,御質問。中山委員,何か御質問がございますか。
 どうぞ。

【中山委員】
 大したことではないんですけれども,この条文どおり見れば,議事録の中の名前だけを削除するというのは,議事録というのは正確にその人の発言を書いてあるわけですけれども,名前だけを削除するのは一部だと思います。要旨というのは,発言の内容を簡略に取りまとめて書くことであると思います。発言をかなり短くして,こんなことを言ったと言う内容だけを書くこと,それが要旨ではないかと思いますので,まあ,これでも何とか,原文のままでも意味は通じるのではないかと思います。

【齊藤分科会長】
 そうすると,要旨でなくて,名前だけを一部非公開ということですね,議事録の一部非公開と。吉川課長,よろしゅうございますか。

【吉川著作権課長】
 それはそうしたら議事録の一部という整理もできるということだと思いますが,どちらにしても出るものは同じでございまして,条文の根拠がどこになるかというところでありますので。

【野村副分科会長】
 ただ,原案ですと,名前だけ削除しているときは議事要旨は公開しないでいいということを書かないと,ちょっとうまくないのかなという気がしましたけど。7項のほうにですね。

【石井委員】
 そうですね。

【野村副分科会長】
 そう書いておけば,多分すっきりするだろうと思います。

【吉川著作権課長】
 実はこの決定については,本分科会が最初に行うということではなくて,よそにも例があったので,借りてきたというものなのであります。ただ,さすが法学者の先生方の目から見ると,ちょっとこれ,言葉足らずじゃないかという御指摘ですので,今回決定いただくのはこの原案のままとして,あとは解釈で適切に運用していくということにさせていただいた上で,言葉足らずのところは,いわば例文をきちんと整理するという課題として持ち帰らせていただきたいと思います。

【齊藤分科会長】
 文化審議会の中でも他の分科会がございますので,そこと合わせながら,ただいまのような形で手直しをすると,こういう前提で議案を御承認いただけますか。御異議ございませんか。

(「異議なし」の声あり)

【齊藤分科会長】
 それでは,そのようにさせていただきます。

※事務局注: 発言者名を非公開とする場合における発言内容の簡略度(議事録とするか議事要旨とするか)の取扱いについては,分科会長・各委員に御相談の上,同様の記載ぶりである文化審議会文化政策部会の「文化政策部会の議事の公開について」(平成16年6月8日文化政策部会決定)7.を参考に,「文化審議会著作権分科会の議事の公開について」の記載ぶりは原案のままとしつつ,事案に応じて,分科会長(小委員会の場合においては主査)の御判断を仰ぐという整理とさせていただきました。

 それでは,議事の公開の方針に基づきまして,これ以後,本日の議事は公開といたします。

【吉川著作権課長】
 今御決定いただいたので,一般傍聴の希望がありますので,ちょっと今から何人かお入りになると思いますが,早速この規定を適用させていただきたいと思います。

(傍聴者入室)

【齊藤分科会長】
 傍聴の方もそれぞれお入りくださいました。
 まず,加茂川文化庁次長から御挨拶をいただきたいと思います。

【加茂川文化庁次長】
 失礼をいたします。ただいま規則の御審議をいただきまして,会議の公開についても一番進んだ形で本分科会が始まったわけでございますが,先ほど著作権課長の話にございましたように,第4期の文化審議会著作権分科会としましては,第1回目でございますで,事務局を代表して一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 委員の皆様御存じのように,知的財産権を取り巻く活発な動きがいろいろございます。具体には知的財産基本法の成立でございますとか,同法に基づく知的財産推進計画の策定・見直しなどが進んできておりまして,政府を挙げて知的財産立国の実現に向けて様々な取組が進んでいるところでございます。
 こんな中で,私ども文化庁といたしましても,特に著作権の分野につきまして,このような全体の動きに対応した施策を着実に進めてまいりました。これも,本分科会の委員の皆様方におかれまして,精力的に御審議をいただき,迅速に基本的な方向性を示していただいた結果であると,その御貢献のおかげであると思っておりまして,改めて深く御礼を申し上げたいと思います。
 既に1月にいただきました分科会報告書の内容につきましても,御存じのように著作権法の改正を含めまして,これに関係する施策を現在鋭意進めているところでございます。ただ,著作権をめぐる現状は,文字どおり日々刻々変化をしておりまして,昨年,各小委員会で継続審議とされた事項を含めまして,引き続き御検討いただくべき事項が山積しているわけでございます。
 委員の皆様方には大変お忙しい中とは思いますけれども,この著作権をめぐる様々な課題を解決していくことは,とりもなおさず,我が国の文化の発展の基盤ともなる,経済の発展とも関係をしてくるということにおいて,ますます重要性を増すものだと思っているわけでございます。今後引き続き著作権分野の課題につきまして,今後の方向性を適切に定めていただきますよう審議に御協力いただきますことお願い申し上げまして,簡単でございますが,御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

【齊藤分科会長】
 ありがとうございました。次に文化審議会著作権分科会運営規則第3条第1項の規定に基づきまして,小委員会の設置について決定したいと思います。
 今期の小委員会の構成につきましては,資料3に案を示してございますが,このことにつきまして事務局より御説明をいただきましょう。

【吉川著作権課長】
 資料3に基づきまして御説明いたします。資料3は,小委員会の設置について(案)であります。
 まず,1でありますが,設置の趣旨としては,運営規則第3条第1項の規定に基づいて,次の3つの小委員会を設置していただきたいということであります。
 これらは,法制問題小委員会,契約・流通小委員会,国際小委員会という3つでございます。前期につきましては,2枚目に参考の資料がつけられておりますけれども,実はこのほかに著作権教育小委員会,司法救済制度小委員会という小委員会がございました。今期,この2つを設置しないという部分を御説明いたします。
 まず,著作権の教育小委員会につきましては,既に報告を2度いただきまして,基本的な方針については十分な指針をいただいたと考えます。そこで,著作権課を中心にして展開しています「著作権学ぼうプロジェクト」というような事業群を推進するに当たってのアドバイスをいただいたり,指導をいただく,そういう協力者のような形で今後は進めたほうが効率的であろうと。大所高所からの指針を得るというよりは,むしろ事業群について具体的にどう進めたらいいかというアドバイスをいただきたいということで,そういう形態に転換していきたいと考えた次第です。
 また,司法救済制度の問題につきましては,引き続き重要な課題と考えておりますけれども,法制問題の中でこの課題も今後の検討課題の一部として取り扱っていただいて,そして必要とあれば,法制問題小委員会の,同じ今見ていただいている構成(案)の法制問題小委員会のところに,まるまるまるまるWGと書いてありますけれども,ワーキンググループをつくりながら御検討いただくその1つの課題という扱いではどうだろうかという意味で,あえて今回,この小委員会の設置は見送っていると,そういうことでございます。
 また,資料3のもとの資料に戻っていただきまして,各小委員会の審議事項でありますけれども,例えば法制問題小委員会は,これは当然ですが,法制のあり方,そして今御説明しましたように司法救済制度についてもここで議論していただくということで,2にそのように明記しております。
 それから,契約・流通小委員会につきましては,流通の促進の方策,及び契約に関する法制という2本柱であります。
 国際小委員会は,国際的ルールづくりへの参画,具体的にどういうポジションをとるべきか。それから,アジア地域との連携強化及び海賊版対策のあり方,こういう重要な課題について議論いただくということを考えております。
 なお,小委員会の構成でありますけれども,これは分科会長の御指名によって構成をいたしますということであります。これは,先ほどお決めいただいた運営規則の第3条第2項で規定されております。また,小委員会における審議の結果は,分科会の議を経て公表すると,4のその他のところに書いております。それから,議事の手続等に関しては,当該小委員会が定めることとなっております。
 このような案について御決定をいただきたいということで提案させていただきます。

【齊藤分科会長】
 ありがとうございました。ただいま御説明がありましたように,小委員会の設置につきましては,前期の小委員会の構成からの変更点が2つございます。1点は,司法救済制度に関する事項につきましては,3倍賠償制度について結論を出していただくなど,おおむね方向性を示していただいたことなどから,今期は必要に応じまして法制問題小委員会の下で検討を行うことにいたします。
 もう1点としまして,著作権教育につきましては,小委員会ではなく,懇談会等の新たな検討の場を設けるということにいたします。これら2点が変更した点でございます。これにつきまして御意見がございますれば,どうぞお出しいただきたいと思います。

【松田委員】
 昨年度,司法救済制度小委員会を担当した者でありますので,ちょっと発言させていただきます。
 今年度の変更につきましては,むしろ司法救済制度を担当した私の立場からも,このような変更は適当であるというふうな意見を事前に申し述べておりまして,事務局にもお願いしている次第であります。といいますのは,司法制度全般を考えますと,実は裁判制度だけではなくて,それを取り巻く民事法制全般に関する総合的なバランスのとれた感覚というものが必要になるわけで,それにつきましては,法制問題を担当する各専門の学者の先生方の議論を踏まえた上で審議が進むことが適当だと考えているからであります。私は,この制度の今年度の設置についての案につきまして,賛成の立場で意見を述べさせていただきたいと思います。

【齊藤分科会長】
 ありがとうございました。そのほか,いかがでございましょうか。どうぞ御遠慮なく。格別ございませんようでしたら,小委員会の設置につきましては,今お示しいたしました資料3のとおり,本分科会の決定とさせていただきます。
 使用料部会及び小委員会に分属をお願いする委員につきましては,文化審議会令第6条第2項及び文化審議会著作権分科会運営規則第3条第2項の規定によりまして分科会長が指名することとなっております。後日私から御連絡申し上げたいと存じます。
 続きまして,事務局から,先般の国会において成立した著作権法改正につきまして御報告をいただき,さらに最近の著作権に関する動向につきましても御報告をいただきたいと,このように思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【山口著作権調査官】
 それでは,事務局の方から,最近の著作権の動向ということで簡単に御報告,御紹介をさせていただきたいと思います。資料としては4−1及び4−2並びに5の,3点を御参照ください。
 まずは資料4−1と4−2の著作権法改正についてですが,これは,さきの第159回通常国会で政府から提出されまして,6月に成立したものです。概要としましては,資料にございますとおり主に3点ありまして,第一に音楽レコードのいわば還流を防止する措置。2点目として書籍・雑誌の貸与権,貸与権とは無断で貸与されない権利のことですが,これの付与。そして罰則の強化でございます。
 それぞれ簡単に趣旨,留意点を申し述べますと,まず第1の音楽レコードの還流防止措置についてですが,この改正の趣旨,狙いといたしましては,近年,アジア地域において日本音楽のニーズが高まっておりますところ,現地においては,日本の権利者から,日本における販売禁止を条件としてライセンスを得て生産されたはずの日本の音楽レコードが,そうした当該契約の効力の及ばない第三者を経由するという形をとることで,結局,日本に逆輸入されてきている,いわば還流してきているという実態が生じております。
 したがって,日本の権利者がいざ海外展開を図ろうとしましても,現地で生産されているそうした日本の音楽レコードは安価なものとなっておりますので,そういったものが日本に還流してきてしまっては,それによって権利者の経済的利益をかえって大きく損ねかねない。そういった事態を懸念しまして,なかなか積極的な海外展開を躊躇せざるを得ない,そういったジレンマが生じておりました。
 そうしたことから,我が国の音楽文化の海外普及を促進しようということで,作詞家や作曲家,歌手やレコード製作者などといった方々が,このような逆輸入を,さらには実効性を高めるために,国内における頒布であったり,頒布目的所持,そういったものを,一定の要件の下で著作権等の侵害とみなすことができることとしたものです。
 趣旨としてはそういうことですが,具体の制度設計に当たりましては,例えば第1に,条文は句読点が入り組んでいて少々読みにくくなっておりますが,第1に,日本で同一の音楽レコードが販売されていること,これが前提でございます。第2に,日本販売禁止の音楽レコードであって,かつその旨を知っているということ。第3に,日本において頒布する目的での輸入や,日本における頒布目的での所持であったりすること。そして第4に,そうした還流によって権利者が得ることが見込まれる利益が不当と言える程度に害されること。さらに,第5に日本で最初に販売されてから,今後政令で定めることになります期間を経過していないこと,などといった諸々の要件をすべて満たして初めて,権利行使できるという制度設計としておりまして,消費者の利益の確保等の観点との調和を図ったところでございます。
 次に,2点目の書籍・雑誌の貸与権についてですが,これは,貸与権が創設されたのは昭和59年ですが,その当時において,経過措置として当分の間,書籍・雑誌の貸与については貸与権を適用しないこととしておりましたところ,近年のレンタルブック店の大規模な事業展開等による著作者の経済的利益への大きな影響,そういった状況の変化を踏まえまして,当時の経過措置を廃止し,すなわち原則に立ち返りまして,書籍・雑誌の貸与についても,著作者の貸与権が及ぶこととしたものです。
 最後に3番目の柱,罰則の強化についてですが,これは,近年の情報技術の発達・普及に伴い,著作権等の侵害可能性が格段に増大してきている状況を踏まえまして,著作権等侵害の罰金刑や懲役刑の上限,そういったものを,特許権や商標権といったものの侵害の場合と同様に,5年以下の懲役又は500万円以下の罰金等に引き上げるとともに,今回,知財の関係法としては初めてとなりますが,これらの併科を可能とすることで,実効性を担保するという措置をしたものです。
 なお,全体としまして,改正法の施行日は,平成17年1月1日となっておりますが,資料4−1にアステリスクが3か所ございまして,それぞれ一定の経過措置を設けております。
 続いて,資料5の方を御参照ください。こちらは,いわゆる知財推進計画でございますが,これは位置付けとしては,内閣官房の知的財産戦略本部の方で昨年7月にまず策定されました。その後の進捗状況を踏まえて,今年の5月に「知的財産推進計画2004」として見直しが図られたものです。この新しい知財推進計画全体では,政府全体で約400の施策が登録されているということですが,そのうち特に著作権に関係が深いと思われますものを抜き出しますと,結果として約60項目ございます。それらを,資料5を1枚おめくりいただきますと目次がございまして,便宜上5つの分野,これらは先ほど小委員会の設置のところで出てきました前期の各小委員会のテーマに対応するものですが,1法律ルール,2円滑な流通,3国際的な課題,4著作権教育,5司法救済制度と,テーマ別に当方で便宜上再編集したものが資料5でございます。
 なお,時点更新のほか表現の適正化なども含めれば,ほぼすべての項目について何らかの修正がなされており,分量も大部にわたりますので,ここでは主な変更点につき簡単に御紹介させていただくことにしたいと思います。
 中身に簡単に触れてまいりますと,まず1番目の分野,法律ルールにつきましては,新規追加事項が4点ございます。2ページ目からになりますが,まず権利者への利益還元のための基盤整備の一環としまして,2ページ目一番上の音楽レコードの還流防止。記載の時点が今から見るとやや古くなっておりますが,現在は法案が成立して,今後こういうことが必要だということがうたわれております。さらに2つ目の電気通信役務利用放送の著作権法上の位置づけ検討,これらは新規事項となっております。また,一番下の権利者の利益と公共の利益とのバランスへの配慮,さらに,3ページにまいりまして,デジタル時代に対応した法制度のあり方についての検討,これらも新規に加わった項目となっております。
 次に,4ページに移っていただきまして,2番目の分野の円滑な流通ですが,ここでは,2つ目の著作物の裁定制度の手続の見直しや,3つ目の項目,コンテンツに対する評価手法の確立や情報公開などの環境整備,さらに一番下の標準著作権契約書といったところが新たな追加事項となっております。
 続いて,7ページ目からになりますが,3つ目の分野として国際的な課題への対応です。ここは分量的にも結構ございまして,新規追加だけでも10項目以上になりますので,詳細は割愛させていただきますが,特に模倣品・海賊版対策の強化につき各般の強化がうたわれております。例えばということで拾ってみますと,新規事項としまして,8ページの上から3つ目になりますが,海外輸出統一マークの導入支援ですとか,9ページの真ん中で,侵害状況調査の実施というようなもの。あるいは新規というよりは,一層具体的に記載されたものとしまして,11ページの下段になりますが,一元的相談窓口の設置など政府内の連携体制強化,といった項目などがございます。
 さらに14ページの方にいっていただきまして,4番目の分野である著作権教育についてですが,ここでは2つ目の項目であるコンテンツに関するルール及びモラルの向上のところが新規追加部分です。
 そして最後になりますが,15ページ,5番目の司法救済分野については,最後のファイル交換ソフトなどのインターネットを利用した侵害の取締り強化,この項目が新規に追加となっております。
 以上,足早で恐縮ですが,最近の著作権に関する動向ということで事務局から簡単に御報告,御紹介させていただきました。

【齊藤分科会長】
 ありがとうございました。本日は第4期の第1回目の会議でございますので,御出席の委員の方々から,各小委員会におきまして検討すべき事項,これにつきまして御意見をいただきたいと思っております。これまでの各小委員会の御議論を踏まえまして,事務局より検討事項の例をお示ししてございますので,その御説明をまずいただきましょう。どうぞ。

【吉川著作権課長】
 資料6をごらんいただきたいと存じます。各小委員会における検討事項例となっております。これはあくまで例でありまして,それぞれ「等」という字がついていますので,オープンエンドになっているということでございます。
 まず,法制問題小委員会でありますけれども,著作権法の整備にむけて検討事項の整理,具体的には,先ほど説明を申し上げました知的財産推進計画2004に記載されている法律改正を要する事項,それから,これから改めてと思っておりますけれども,関係団体からさまざまな要望事項があると思います。もう少し網羅的にこれを集めて,そしてそれらの中から検討すべきだという事項を抽出していただくというようなことを考えて,このように記載しております。ですから,この記載事項,あるいは要望事項というものもかなりの数,いろいろな種類のものがあると存じますので,そういったものの中で検討事項を整理して,そして法整備はこのような方向でということを議論していただくということが,法制問題小委員会の検討事項になると思います。
 また,次の契約・流通小委員会でありますけれども,著作権等管理事業法の見直し等についてという事項が上がっております。これは,著作権等の管理事業法の附則第7条に,施行後3年を経過してその状況を検討した上で必要な措置をとるというふうな規定がございます。そこで,この施行後3年を経過してまいりましたので,見直しが必要であるかどうかということを点検していただくということで,ここに事項として挙げております。
 また,権利者情報の整備,提供のあり方等について,これらは前期からの継続課題,最近やはり重要性を増している課題としてここに挙げさせていただいておりますが,そのほかにも,契約・流通にまつわる課題というものがあると思います。
 国際小委員会は国際課の担当でありますが,私のほうから御説明いたします。
 新たな条約策定等への対処でありますが,これは具体的にはWIPOのほうで議論がかなり煮詰まっております放送条約と言われている条約案についてのポジションについて議論をいただくということが継続的な課題でございます。また,「等」となっておりますのは,WIPOで同じように視聴覚的実演に関する条約も多国間条約として制定の動きがございまして,これらについての方針についても議論していただくことになろうかと思います。
 次の海賊版対策は,先ほどの知的財産推進計画2004の中にもかなり重点的な事項として記載がございましたけれども,昨今非常に重要になっておりますので,事項として挙げております。
 3つ目のデジタル化に伴う著作権の国際的な課題化への対応でありますが,これは前期からの継続課題ということでもありますけれども,国際的な裁判管轄の問題でありますとか,あるいはインターネットで発信をし利用するという,簡単に国境をまたがる技術ができておりますので,紛争解決の準拠法をどうするかというような,そういった前期からの継続課題がここに記載されております。
 以上でございますが,あくまでオープンエンドになっておりますので,それぞれの小委員会で必要な事項について議論していただいた上で追加もあるものと思われます。
 以上でございます。

【齊藤分科会長】
 ありがとうございました。ただいま事務局の御説明がございましたが,これを参考にしていただきながら,各小委員会におきまして検討すべき事項を中心に本日,自由に御発言いただきたいと思っております。どなたからでも,どの点でも結構でございます。どうぞ早めに御発言くだされば幸いでございます。

【三田委員】
 資料5の1ページの4番目のところに,ゲームソフト等の中古品流通のあり方ということが書かれてありまして,中古販売で従来から言われていることは,ゲームソフトや音楽CDの場合,デジタルでありますので,簡単にコピーができる。これはクロンコピーと呼ばれまして,もとのものと全く同じものがコピーされてしまう。そのことに対する著作者の権利を守らなければならないというような文脈で書かれることが多かったんですけれども,書籍の場合には,書籍をコピー機でコピーしましても,製本がうまくいきませんので,もとのものとは違うということで,デジタルなものと書籍のようなものとを区別して考える考え方があります。
 確かに手元に本を置きたいという欲望を私たちは持っております。ですから,従来は本を購入した人から,その譲渡に対して対価を求めるという形で著作権使用料をいただいていたわけでありますけれども,昨今は読書の事情も変わりまして,読者の多くは,本を所有するということにはあまり関心を持たないという状況があります。それから,漫画や推理小説なようなもの,推理小説は,読み終えて犯人がわかったら,もう二度と読まないというものが多いんですね。ですから,音楽CDのようにコピーをとって繰り返し聴くということがなくても,古本屋で本を買って推理小説を読んで犯人がわかってしまったら,もう物体としての書籍には価値がないということで,また古本屋に売りにいくということが起こります。読者の立場から考えますと,読者は,とにかく推理小説を読んで犯人がわかればいいわけです。そうしますと,新刊書を購入して本を保有している人も,古本を買って犯人がわかって,それをまた売った人も,同じように本を読むということを享受しております。
 これに対して,本を買った人は著作権使用料を払っているのに対して,古本を買って古本を売ってしまった人からは,古本屋にはお金を払っておりますけれども,読者は対価を払っていないという状況が起こっております。こういうことについて,書籍というものを楽しんだ人から平等に著作権使用料をいただくというのが,本を生産したり,著作物を書いたりする者の当たり前の考え方ではないかなと私は考えております。
 以上の論点から,中古品の流通に対して,デジタルと,それから一般の書籍とを区別するようなことなく,平等に検討していただきたいと思います。
 以上です。

【齊藤分科会長】
 ありがとうございました。そのほかの点,いかがでございましょうか。今との関連でも結構でございますが,どうぞ。

【金原委員】
 資料6ですが,デジタル化に伴う著作権の国際的な課題への対応という項目が入っております。もちろんこれは非常に重要なことで国際小委員会で検討していただくことは必要なことでありますが,同様な状況は,法制問題小委員会にも,あるいは契約・流通小委員会にもあるのではないかと思います。デジタル化の問題,それから,デジタル化だけではないんですが,法制度の問題,それから利用に関しての動きというものも,国際化に対応してそれぞれ御検討いただくということが必要ではないかと思います。したがいまして,デジタル化並びに国際化については,国際小委員会のみならず,当然のことですが,あとの2つの小委員会でもそのような観点から検討を加えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【齊藤分科会長】
 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。このあたりを検討すべきではないかと,こういう御提言を本日いただこうと,こういうことでございます。

【中山委員】
 資料6の検討事項例ですけれども,これは例であって,今,著作権課長がおっしゃいましたように,最後に「等」と書いてありますので,それで結構だと思いますが,特に法制問題小委員会の検討事項には知財推進計画2004の記載事項と書いてあります。この知財推進計画2004には,全部が著作権ではないんですけれども,404項目ありまして,これは,知財本部の本部員等が出した要望,例えばレコードをこうしてほしいとか,書籍をこうしてほしいとかいう要望を取りまとめたら400になったということでございます。もっとはっきり言ってしまうと,著作権法を体系的に検討をして,そこから問題を洗い出すという作業は,本部ではしておりません。したがいまして,2004に書いてなくても,やはりこれは体系的な検討も忘れずに,2004に書いてないようなことでも重要なことがあり得るということを留意していただきたいと思います。

【齊藤分科会長】
 ありがとうございました。どうぞ。

【角川委員】
 ブロードバンドの問題があります。著作権がブロードバンドの普及でどうなっていくかということ。それから,デジタル化の問題とブロードバンドというのは,まったく視点が違うところがあると思います。デジタル化されないとブロードバンドに流れないという問題はあるんですけれども,その場合に,ブロードバンドに熱心な学者,あるいは国会議員から,著作権法をもっと簡単にしろと,簡素化というふうな言葉も言われております。もっと極端な例では,著作権法でも報酬請求権を一本にしろとか,そういうような乱暴な意見が出ているんですけれども,そこら辺については,ここの審議会ではどういうふうに対応していったらいいのかを出していただきたいと思うんです。

【齊藤分科会長】
 これは検討事項としての話でございますか。あるいはこの場で。

【角川委員】
 16年度の課題の中にはブロードバンドという言葉が入っておりませんので,もしここで対応しないと,ここでせっかく話されたこと以外のことが,ほかの領域の人から出て討議されていくのは好ましくないのではないかと思ったんですよ。

【齊藤分科会長】
 では,それを検討事項に加えたほうがよろしいということでございますね。

【角川委員】
 はい。ぜひ検討事項に入れていただきたいと思います。

【齊藤分科会長】
 報酬請求権という話ではございませんね。

【角川委員】
 はい。そこまで踏み込んでしまうと,間違った方向にいく可能性があると思うんですけれども,ブロードバンドにも対応していくという項目も入れていただきたいと思います。

【齊藤分科会長】
 ありがとうございました。そのほかいかがでございましょうか。どうぞ。

【入江委員】
 毎回申し上げていることで大変恐縮なんですが,追及権の問題については,古くて新しい問題と言われておりまして,関係団体の協議を促してはいるんですが,さまざまな事情があってそれが実現していないわけで,これは早急に具体化する段階にはありませんけれども,課題としては,この委員会の課題として残しておいていただきたいと,そのように思います。よろしくお願いいたします。

【齊藤分科会長】
 入江委員が今,遠慮がちにおっしゃいましたけれども,早く検討したほうがよろしいわけですね。とにかく追及権は忘れないでほしいと,こういう御指摘でございます。
 そのほかいかがでしょうか。どうぞ。

【神山委員】
 この3つの小委員会のあれが出ているんですけれども,契約・流通小委員会については,具体的に管理事業法の見直しだとか,あるいは国際小委員会については,放送条約への対応とか,わりと身近な具体的な課題が出ているんですけれども,法制問題小委員会は,推進計画2004に記載事項と,極めて大きなくくりで書かれているんですけれども,当面,何か具体的な課題みたいなものを事務局のほうではお考えなのか,あるいは今そこまではないのか,ちょっと教えていただきたいと思うんですが。

【吉川著作権課長】
 御質問ですのでお答えします。事務局として何も考えてないかと言えば,考えているところはありますけれども,ただ,ここにこのように知財推進計画2004とか,あるいは関係団体への要望とあえて書きましたのは,法制問題小委員会の見識で優先的に取り組むべき課題をこれから絞っていただきたいと,そういう希望でございます。それといいますのも,先ほどまさに中山先生からの御指摘もございましたけれども,体系的に著作権の今後のあり方についてと,そういう観点で,必ずしも要望事項等が整理されておりません。ですから,その整理が必要であります。ある種の戦略に基づいて,こうあるべしという取り組みの優先順位を決めていただかないと,これからも右往左往することになってはまずかろうと思います。検討課題の整理という作業がまず重要な課題になってくるという意味でございます。

【齊藤分科会長】
 よろしいですか。その他いかがでしょうか。どうぞ。

【佐野委員】
 私,初めてここに参加させていただいているわけですが,皆さん専門家の方がほとんどで,いろいろな小委員会のお話があっても,非常に難しいんですね。私たち消費者にとって間接的かもしれませんが,実は非常に生活に密着した問題ばかりで,前回のレコードの還流防止措置,一番最初にお話のあった中古品流通の在り方など,すごく生活に密接しています。それにしては,皆様の説明の仕方も非常に難しいし,もっと一般の消費者にわかりやすく,身近な問題であるだけに,もっと考えられるような形で検討をしていただきたい。また公開するのも公開するだけでよしとするのではなく,誰にでもわかるようにしていただけると,さらに私たちの理解も進み,もっと意見も出せると思います。
 一番最初に関係団体からの要望事項等がありますが,こういうところでも消費者の意見をどんどん出したいと思います。それには,まずわかりやすい説明,わかりやすい文章で言っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【齊藤分科会長】
 ありがとうございます。非常に重要な御指摘でございます。従来は,ソフトといいましょうか,つくる側と,それから,それを受ける消費者という関係が確立されていましたけれども,デジタル社会に入りますと,今の最終消費者という言葉はだんだん消えていって,その消費者の手元で複製し送信をする。利用行為を行うということも多々出てまいりますので,これからはまた主役でございますので,大いに頑張っていただきたいと思います。著作権に関連することがかなり消費者の手元で出てくる可能性があろうかと思います。
 今の要望等も重要でございますね。よろしくお願いいたします。

【石田委員】
 経団連から参っております石田でございますけれども,小委員会を設置することについての検討でありますので,小委員会がどういう項目で,なぜ必要かということにつきましては,3つの小委員会を設置する前提として整理したほうがよろしいというか,著作権課長からは,検討項目につきましての検討からという指摘はあるんですけれども,そのように思います。それが基本的な意見です。
 この3つの小委員会を挙げることにつきましては,私も結果的によろしいのかなと思っているんですが,1つ目の,法制問題小委員会につきましては,中山委員からも指摘のように,私としては,この著作権委員会は常に体系的整備,固有の問題は継続的に小委員会に置くべきかなというふうに思っています。今,著作権問題を考える場合に,知的財産法制全体を考えていかないと,有益な実効性の上がる検討はしにくい時代で,とりわけ独禁法との関係とか,あるいは特許法制,例えば法人著作制度と法人発明制度などについても持続的に考えているほうがよかろうというふうに考えているわけです。そういう意味で推進計画2004というふうなことで,先ほどの指摘はありますけれども,これを法制問題小委員会でやるということになりますと,ほぼ全体になってしまうと思いますので,その中から,やはり基本問題を,体系的整備がいいかどうかわかりませんけれども,法制問題小委員会ではもうちょっと具体的に,ここできょう議論するのかどうかわかりませんけれども,絞り込んだほうがいいと,そういうふうに思っております。
 意見を整理しますと,小委員会の設置につきましては,ある程度具体的な検討項目を挙げて,その小委員会のくくりを決めたほうが運営もしやすい。そういう意見であります。そして,法制問題小委員会のところでは,体系整備を持続的にやっていくようなスタンスを意見としては持っています。すなわち著作権法制を考える場合には,知的財産法制全体を常に考えていくべきでありまして,独禁法制あるいは他の知財法制との関係を常に見ていくべきだという意見であります。
 以上です。

【齊藤分科会長】
 ありがとうございました。そのほかいかがでございましょう。事務局から何か御発言ございますか。

【吉川著作権課長】
 いえ,特にございません。

【齊藤分科会長】
 この点につきまして,そろそろ閉じてよろしいでしょうか。まだ御発言があればいただきたいと思いますが。従来でございますと,小委員会を設けるについては,こうこうこういうことでと,かなり具体的な検討事項例を示して発足してきたわけでございますが,今回は,違う方法をとりまして,まず緊急課題も含めまして,それを整理するという作業をしばらくやるのではないか,こういうことでございますので,本日御発言をいただければ,そういうものも検討事項の中に入ってきます。したがいまして,委員の先生方の御発言,きょうの御発言は非常に重要なのでございます。全部を検討できるかどうかは別としまして,御発言なさっておいたほうがよろしいという面がございます。どうぞ。

【三田委員】
 私は,著作者の代表でありますので,著作権を守る立場でありますけれども,しかし,我々は,ただ我々の権利を守るというだけではなくて,例えば書籍の読者の立場に立って,読者の知る権利や読書権を守っていくということも考えていきたいと思っております。例えば視覚障害者の方たちや,それから,識字障害といいまして,脳梗塞などになりますと,話はできるんだけれども,本が読めないという人がおります。それから,学習障害児童というのがおりまして,これも本が読めない。しかし,録音図書,朗読テープのようなものを聞かせますと,一定の理解ができるというような人たちがおります。そういう人たちにとっては,録音図書というものは非常に重要なものでありますけれども,現在,図書館等で録音図書をつくるときには,著作者の許諾が必要であるということになっております。図書館のほうからは,これを権利制限の拡大の中に入れてほしいという要望が常に出ておりまして,私としては,著作者の権利を守りながら読者の読書権も保障していかないといけないと。
 この点については,難しい点もあるんですけれども,読者にとって本を読む権利というのは,基本的人権に属するものであろうと思われますので,私としても,著作権を守るだけではなくて,どういう形で読者の読書権を保障していきたいかということを考えていきたいと思っております。
 それから,録音図書については,点字図書館等の福祉施設に関しては権利制限の中に入っているんですけれども,現在,点字図書館は録音図書のインターネット配信ということを既に実施しております。ところが,これは公衆送信でありますので,従来の権利制限の中には含まれておりませんので,点字図書館に既にできている膨大な録音図書は,今のままですとインターネットでは配信できないということになっております。これについても,あるいは先ほどの一般の図書館における録音図書の作成についても,文芸家協会では,文芸家協会に登録している人については一括許諾を出すと。それもリストをお渡しして,そのリストに載っている人については,自由に録音図書をつくったり,インターネットで配信するのはオーケーですというふうに申し上げているんですけれども,文芸家協会で管理している著作者には限りがありますので,現在のところ,視覚障害者等,学習障害者,識字障害も含めて本来読書権を持っている人の読書環境が,著作権法があるために損なわれているという実情があります。この著作権の会議というのは,どうしても経済的なものに傾きがちでありますけれども,一般の読者の読者権をどうやって保障していくのかというようなことについても検討を続けていかなければならないのではないかと思います。
 以上です。

【齊藤分科会長】
 ありがとうございました。あとはいかがですか。どうぞ。

【永井委員】
 契約・流通小委員会のテーマとして,今回新しく出発するので申し上げるんですが,これは著作権といいましても文化審議会の中の1つなので,改めてちょっと御検討いただきたいと思うのは,生のパフォーマンスの契約というのは,今それぞれ,個々ばらばらに,いろいろなレベルでやっているわけですけれども,上演形態も非常にばらばらですし,契約も非常にバラエティに富んでいる。何が適正なのかというのは,それぞれ個々に契約すればいいんだと突き放されれば,それはそれなんですが,せめてここの作業として,もう少し情報の収集といいましょうか,いろいろな契約の情報を少しクリアして,本来あるべき契約のあり方というようなものが情報発信できないだろうかということですね。
 これは別に対立する構造ではないと思うんですが,例えば公共劇場などでやっているそれぞれのコスト,それから売り上げ,それから,それと同じように商業ベースでやっているコスト,その売り上げ,それから,複製形でやっているコストとその売り上げ,それぞれ契約が違うんだと思うんです。そういうようなことも,これはパフォーマンスの振興という意味合いも絡むかもしれないんですが,やはり契約というのは非常に重要になってきております。それから,国際的な契約も非常に重要になってきておりますし,それから,税金のかからない日米の契約のあり方とか,フランスは上演系統のものは,文化国家というんでしょうか,タックスをかけないというような基本原則がございます。そういうことをもう少し知るということも必要なんじゃないかと思います。
 その間,内閣府の方に聞かれたんですが,なぜソフト産業は振興しないんだろうかという話がございまして,そういった契約になれていないというようなところがあるんですね。そういうことをもう少しテーマとして考えてみることも必要ではないかなと考えております。御検討ください。

【齊藤分科会長】
 ありがとうございました。ほかにはいらっしゃいませんか。どうぞ。

【瀬尾委員】
 今ちょうど契約の話が出たので,契約についてちょっと考えたいことがございます。
 今おっしゃったような契約自体が普及しないという問題もございます。ですので,標準契約書式の策定というようなことが先ほど出ておりましたけれども,もう一つは,著しく不平等な契約関係についてということで,これは,この著作権分科会のところで話されるべき問題なのかどうかについては,ちょっと私も,そうであるというふうには言い切れないんですけれども,ただ,契約の概念がないところへ持ってきて,契約のシステムを導入した場合,力関係によって契約というのはかなり大きくバランスがとれなくなってくるんじゃないか。
 ですから,契約の導入に当たっても,一定のルールとか,モラルとか,そういうふうなことまで含めて,非常に不利な契約を押しつけられてしまうような方は,最近よく聞きますので,慎重にかつ早急に必要なものだとは思うんですけれども,どうしても力関係が影響してくる雇用とか,写真で言えば撮影委託契約,そういうふうな非常に力関係がはっきりしている場合に,どうバランスをとってフェアな契約を結んでいくとかいうことが,どちらかというと公正取引委員会さんのような,そういうふうな問題になりがちなことなんですが,そういう観点を抜いて契約を考えると実態と大きくかけ離れるので,契約のシステム自体を具体的なところに至るまで,契約・流通小委員会で検討されたらよろしいんじゃないかと思います。

【齊藤分科会長】
 ありがとうございました。いかがですか。
 そろそろ閉じてよろしゅうございましょうか。
 自由に御討議いただいたところでございます。非常に重要な御指摘が多々ございました。法制問題小委員会におかれましても,2004の記載事項を網羅的にということではなくして,まずは体系性を視野に入れながら,しかも,その記載事項から専ら選ぶということでもなく,体系の中で改めて見直していく,こういうことが必要でございましょう。まあ,大変でございますが,よろしくお願いいたします。もちろん関係団体からの要望事項等もそこに入ってまいります。体系をきちっと押さえながら,具体的な事項につきまして検討を進める。こういう作業で,委員からもその辺の御指摘があったところでございます。
 あとの契約・流通小委員会,それから,国際小委員会,このほうは,論点の整理というよりも,もう既に具体の問題がかなりあるわけでございますので,直接具体的な検討にお入りになるのではないかと推測いたします。
 今お話がございました具体的な契約についてもそうでございましょう。さらに,デジタル配信といいましょうか,デジタル流通の市場が大きく変容しつつあるわけでございます。家電市場の変化もございます。そういう中で,この領域はゆっくりできない領域でございますので,鋭意新しい技術もあわせ考えながら,古い問題も含めて,伝統的な問題も含めて,早速検討をお始めになるのではないかと,このように推測いたしております。この1年はかなり重要かと思います。
 それから,国際小委員会におかれましては,今御説明がございました放送条約,これが目の前にございますし,それから,視聴覚実演の条約,これは棚に上がったままでございますけれども,これにつきましても,日本はどういう形で動くのか,こういう面も含めて,ゆっくりできない話であろうかと思います。準拠法,裁判管轄等につきましても同様に急ぐ話であろうかと思います。
 このような形で3つの小委員会,それぞれ役割が違うわけでございますが,本日,一つ一つ大きい課題,それから詳細な課題につき,御指摘を受けたところでございます。本日の御意見を踏まえまして各小委員会におかれまして検討を行っていただきたい,このように思う次第でございます。
 事務局の側から,何かございますか。

【吉川著作権課長】
 分科会長のまとめに従いまして,小委員会の審議をこれから進めていただきたいと存じます。また,皆様方にも小委員会に参加していただきまして,それぞれ役割を担っていただくことになると思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。

【齊藤分科会長】
 それでは,これをもちまして文化審議会著作権分科会の第13回の会合を終わらせていただきます。非常に御熱心な御討議ありがとうございました。
 では,最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。

【吉川著作権課長】
 それでは、ちょっと連絡事項を申し上げたいと思います。
 次回の文化審議会著作権分科会につきましては、各小委員会における検討状況を踏まえまして、改めて日程の調整をさせていただきたいと存じます。また、各小委員会の開催通知につきましては、追って送付申し上げることといたします。
 本日はどうもありがとうございました。



(文化庁長官官房著作権課)

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