第4節 高等教育機関の多様な展開

2.高等専門学校の充実

 高等専門学校は,中学校卒業後という早い年齢段階からの,実験・実習を重視した,5年間一貫の専門的・実践的な技術教育を特徴とする高等教育機関です(図表2-3-16)。工業の分野を中心に,平成18年5月現在,国立55校,公立6校,私立3校の計64校が設置されていますが(図表2-3-17図表2-3-18),その教育成果は,産業界から高い評価を得ており,最近の平均求人倍率は10倍前後であり(図表2-3-19),例年100パーセント近い就職率となっています。

図表●2-3-16 分野別学科数・入学定員

図表●2-3-17 高等専門学校分布図

図表●2-3-18 設置者別学校・学科・学級及び入学定員(平成18年度)

図表●2-3-19 卒業者の進路推移

 卒業後には,大学3年次への編入学制度などによる進学の道が開かれており,平成17年3月の高等専門学校卒業者のうち約41パーセントに当たる4,121人が,専攻科や長岡,豊橋の技術科学大学をはじめとする国・公・私立大学等に進学しています(図表2-3-19)。
 このうち,専攻科については,科学技術の進展に即応して更に高度な知識を学ぶため,平成18年度に新たに設置された1校(東京都立産業技術高等専門学校)を含め,現在では60の高等専門学校に設置されています。これらの専攻科はすべて大学評価・学位授与機構の認定を受けており,その修了者は,一定の要件を満たせば同機構から学士の学位を授与されることとなっています。また,専攻科修了後の大学院進学率も最近では30パーセント前後で,高等教育において複線的な進学構造を形づくっています(図表2-3-20)。
 現在,各高等専門学校においては,近年の科学技術の高度化や産業構造の変化など社会のニーズに対応し,カリキュラムの見直しなどの教育改革や学科改組等も進められています。また,地域活性化や地域貢献への取組が積極的に行われており,地域共同テクノセンターなどを拠点として,地元企業・各種団体との共同研究・技術支援などを通じて,地域産業の振興と,ものづくり技術者の育成を進めています。

図表●2-3-20 高等専門学校専攻科卒業生の大学院進学状況

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