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3 設置認可制度に係る制度改正

 平成18年3月,大学の設置認可制度に関し,虚偽申請に対するペナルティの導入や設置認可後の設置計画履行状況調査(いわゆる「アフターケア」)の明確化など,所要の整備が行われました(18年4月1日施行)。

1.大学の設置審査について

 大学の新設や学部・研究科を設置する際には,申請者からの提出書類に基づき,大学設置・学校法人審議会で専門的な審査を行い,最終的に文部科学大臣が認可する仕組みになっています。設置審査では,提出書類を一方的に審査するのではなく,審査過程で生じた質問や意見を申請者に伝達するとともに,必要に応じ面接や実地審査を行うなど,申請者との信頼関係に基づいた「対話」を重視した審査を心掛けています。

2.大学設置・学校法人審議会会長コメント

 ところが,近年,申請書類に虚偽記載をしたり,準備不足のまま認可申請するなど,大学関係者のモラルが問われる事例が増えてきました。平成17年度の設置審査では,大学院大学の設置の申請件数が過去最高となる12件に上ったものの,うち構造改革特区制度を利用した新設の申請2件が不認可となりました(全体では91件が認可,2件が不可,3件が保留,5件が審査過程において申請者が申請を取下げ)。こうした状況を踏まえ,大学設置・学校法人審議会会長は,17年11月28日,答申の提出にあたって異例の「会長コメント」を公表しました。この中で,大学院大学に関する申請については「準備不足の傾向が顕著」であると指摘され,また,虚偽の申請書類等については,「設置認可制度の根幹を揺るがす問題で,極めて遺憾」である点や,「大学間競争の激化に伴い,学生確保を急ぐ余り,申請に先立つ設置計画の検討・準備が拙速」である点などについて指摘されました。こうした状況を踏まえ,文部科学省に対し,次の3点の取組について検討を要求しました。

3.制度改正のポイント

 上記1への対応としては,申請者と審議会との「対話」による相応の時間を確保するため,文部科学省令の改正により,大学院大学の新設に関する申請期限を大学新設と同様,これまでの開設前年度の6月末から4月末までとしました。
 また,2を受けて,文部科学省告示により,大学などの認可の申請があった場合,その申請者が,過去の認可申請・届出において虚偽等の不正行為があり,発覚してから最長5年を経過していない者や,新設した大学や学部などの履行状況と当初の設置計画が著しく不適当であると認められる者などに該当する場合には,文部科学大臣は認可しないとする基準を新設しました。
  3については,設置認可・届出に関する設置計画や留意事項の履行の状況について報告を求め,又は調査を実施できることを省令上に明確化し,実効性を高めました。
 今後も,これらの制度改正の趣旨を踏まえ申請者と信頼関係をつくるとともに,学習者の保護や国際的通用性の保持の観点に立ち,「大学の質」を保証するため,設置認可制度を適切に運用する必要があります。

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