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2 大学の教員組織の整備

 これからの知識基盤社会において,我が国の大学が国際的な競争力を持って発展していく上で,若手教員がその能力や資質を十分に発揮し活躍することのできるような環境が整備されることは極めて重要なことです。
 しかし,大学教員を志す若手研究者にとって,大学におけるキャリアパスの第1段階である「助手」のポストについては,「名称を見直すべき」,「職務内容が分野によって様々である」,「期待される役割も多岐にわたる」などの指摘がなされており,そのあいまいな位置付けの改善が望まれてきました。
 このような意見を踏まえ,中央教育審議会においては,平成15年11月以降,大学の教員組織の在り方について審議を重ね,17年1月24日に「審議のまとめ」が取りまとめられ,同月28日に答申「我が国の高等教育の将来像」に盛り込まれました。この答申を踏まえ,学校教育法等が改正され,19年4月1日から大学の教員組織の整備(准教授,助教の新設など)が行われることとなりました。
 新たに設けられる「助教」という職は,現在の助手のうち主として教育研究を行う者のために設けられる職です。学校教育法上,その職務内容は「学生を教授し,その研究を指導し,又は研究に従事する」と規定されており,若手研究者が自ら教育研究を行うことのできる第1段階の大学教員の職として明確に位置付けられています。
 さらに,これまで学校教育法上「教授を助ける」ことが職務内容として規定されていた「助教授」を廃止し,自ら教育研究を行うことを職務内容とする「准教授」という職が新たに設けられます。
 また,今回の学校教育法の改正に伴い,関係省令の改正を行うため「学校教育法施行規則等の一部を改正する省令」が平成19年4月から施行されます。
 この省令により,大学設置基準などの関係規定が改正され,専任教員についての規定の見直しや,大学院における教育研究上の目的の公表の義務化などがなされます。また,「大学は,教育研究の実施に当たり,教員の適切な役割分担の下で,組織的な連携体制を確保し,教育研究に関する責任の所在が明確になるように教員組織を編成するもの」と規定されることによって,各大学に,主体的・機動的で質の高い教育研究活動がより一層求められることとなります。
 各大学が,この制度改正の趣旨を生かし,真摯な検討と取組を行うことによって,大学教員を志す若手研究者のキャリアパスが明確になります。また,若手教員が柔軟な発想を生かした教育研究活動を展開しながら,自らの資質能力を向上させていく環境がより一層整備されるなど,教育研究の一層の活性化が期待されます。

〈大学の教員組織の在り方について〉

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