第3章 科学技術システム改革

第4節■国際活動の戦略的推進

2 アジア諸国との協力

(1)中国、韓国との協力

 中国・韓国との間では、従来からの二国間協力に加えて、2004年(平成16年)11月の日中韓首脳会議で承認された「日中韓三国間協力に関する行動戦略」での合意に基づき、第1回日中韓科学技術協力担当大臣会合が2007年(平成19年)年1月にソウルにおいて開催された(我が国からは伊吹文部科学大臣が出席)。会合では、環境・エネルギー、防災、感染症対策など地域共通課題の解決のための日中韓協力を重視するという今後の科学技術協力の基本的方向を確認した。また、本会合での合意に基づき、環境・エネルギー分野での今後の日中韓協力の具体策を検討する「日中韓科学技術協力ワークショップ」が文部科学省の主催により、2007年(平成19年)3月に福岡で開催された。


第1回 日中韓科学技術協力担当大臣会合の様子

(2)東南アジア諸国連合(ASEAN(アセアン))との協力

 ここ数年、ASEAN(アセアン)科学技術委員会(COST)に日本・中国・韓国の3か国を加えたASEAN COSTプラス3による協力が文部科学省を中心として行われており、2006年(平成18年)8月には、初めて次官級による第1回ASEAN COSTプラス3会合をマレーシアで開催した。会合では、日本から、感染症や防災に関するプログラムを提案した。

(3)アジア・太平洋経済協力(APEC(エイペック))における協力

 第4回APEC(エイペック)科学技術担当大臣会合(2004年(平成16年)3月)での結果を踏まえ産業科学技術ワーキンググループ(ISTWG)において、科学技術人材養成等に関するプロジェクトを進めている。現在、新興・再興感染症の技術予測に関するプロジェクトが、タイのAPEC(エイペック)技術予測センターと文部科学省科学技術政策研究所との共同で進行中である。
 また、2007年(平成19年)3月にはAPEC(エイペック)気候センター(APCC)、日本学術振興会、海洋研究開発機構共催の下、「インド洋・太平洋における気候変動の予測に関するシンポジウム」を東京で開催した。

(4)各国との協力(最近の主な活動)

 インドネシアとの間では、2006年(平成18年)12月に我が国主導の下、アジアの防災科学技術専門家が一堂に会してアジア防災科学技術フォーラムをジャカルタで開催した。


アジア防災科学技術フォーラムの様子

 ベトナムとの間では、2006年(平成18年)8月に日ベトナム科学技術協力協定を締結し、第1回日・ベトナム科学技術合同委員会を2007年(平成19年)3月に東京にて開催した。
 インドとの間では、2006年(平成18年)10月に第7回日印科学技術協力合同委員会(平成17年11月)の成果として、科学技術分野の行政官、研究者等による日印科学技術イニシアティブ会合を外務省、文部科学省の共催により、東京で開催した。会合の成果を受け、今後、ICT、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーの分野における日印共同研究を推進することとしている。

(5)プロジェクトベースの協力

(センチネル・アジアプロジェクト)

 近年アジア地域で多発している大規模自然災害の対応として、地上状況に左右されない衛星を利用した災害監視に対する各国の連携・協力の重要性が高まっている。我が国においては、我が国が主催するアジア太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)を通じ、インターネットを通じて衛星画像等の被災地情報を提供・共有する「アジア防災・危機管理システム(センチネル・アジア)プロジェクト」の構築を19か国44機関8国際組織の協力の下で推進しており、そのシステムの運用を開始したところである。

(新興・再興感染症研究拠点形成プログラム)

 アジアを中心とした新興・再興感染症の発生国あるいは発生が想定される国に設置した海外研究拠点(タイ、ベトナム、中国)及び国内研究拠点において新興・再興感染症の研究を推進するとともに、人材の養成も行っている。

(人道的対人地雷探知・除去技術研究開発推進事業)

 本事業では、現場の評価を基に、より安全・確実かつ効率的に探知できるよう研究開発を進めている。平成18年度は、外務省のカンボジア研究支援無償により本事業で開発した地雷探知試作機の評価試験を実施した。

(科学技術関係大臣会合)

 内閣府では、科学技術の国際活動を戦略的に進めるという観点から、平成18年9月に計29か国(日本を含む)の科学技術担当大臣等の出席を得て科学技術関係大臣会合を開催したほか、2国間での政策対話を実施した。

(アジア地域科学技術関係閣僚会合)

 内閣府では、2006年(平成18年)8月、マレーシアにおいて、ASEAN(アセアン)諸国、韓国、中国、オーストラリア、ニュージーランドの計16か国(日本を含む)と、第3期科学技術基本計画にも盛り込まれた、アジア地域科学技術閣僚会議を初めて開催した。さらに、同会合で我が国が提案し、各国の支持を得た、各国間の共同研究及び人材交流促進のためのオープン・アクセス・データベースの構築に関する専門家会合を、平成19年2月に東京で開催するなど、国際活動を戦略的に推進した。

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