第3章 科学技術システム改革

第2節■科学の発展と絶えざるイノベーションの創出

2 大学の競争力の強化

(1)世界の科学技術をリードする大学の形成

 国際競争力のある大学づくりのためには、国公私立大学を問わず、大学における競争的環境の醸成を一層促進することが必要であり、文部科学省では、平成14年度より「21世紀COEプログラム」を実施し、第三者評価に基づく競争原理により、世界的な研究教育拠点形成を重点的に支援している。この事業により、これまで、学長を中心とした全学的観点からの大学づくりなど大学改革の推進、優れた研究者養成機能の活性化、研究水準の向上等が推進されており、中央教育審議会答申「新時代の大学院教育」(平成17年9月5日)や「第3期科学技術基本計画」(平成18年3月28日閣議決定)において、「21世紀COEプログラム」をより充実・発展した形でポスト「21世紀COEプログラム」を実施することが求められている。

(2)個性・特色を活かした大学の活性化

(地域に開かれた大学の育成)

 地域における大学は、地域にとって重要な知的・人的資源であり、地域に開かれた存在として地域全体の発展に一層寄与すべきである。
 平成18年2月に、文部科学省、地域再生本部、総合科学技術会議等が連携し、地域の人材、知識が集積する知の拠点である大学等と連携した地域の自主的な取組を省庁連携により支援する「地域の知の拠点再生プログラム」を、地域再生本部で決定した。
 これを受け、平成19年3月までに、本プログラムを活用した地域再生計画を32件認定し、山梨大学・山梨県・地場ワイン産業・生産農家等が一体となり、ワインに関する人材の生涯養成拠点の整備等の取組を推進し、地域ブランドの確立を図る「山梨県ワイン人材活性化計画」や、神戸大学を中心に、兵庫県・神戸市・NPO・民間事業者等の連携により、高齢者の活力創造と生活習慣病予防のための歩く健康づくりを推進する「こうべ『健康を楽しむまちづくり』構想」等、大学等と地域が連携した様々な取組が進展している。また、平成19年2月には、高度人材に対する永住許可弾力化事業、地域バイオマス利活用交付金等、新規施策を導入するなど、本プログラムを充実させたところである。
 また、文部科学省では、本プログラムの支援措置の一環として、科学技術振興調整費による新規プログラム「地域再生人材創出拠点の形成」において、地域の大学等が地元の自治体との連携により科学技術を活用して地域に貢献する優秀な人材を輩出する「地域の知の拠点」を形成する取組を公募し、認定地域再生計画に基づいて優れた提案を支援しており、現在、上記山梨大学の取組をはじめ、10大学において取組が進められている。

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