第1章 科学技術政策の展開

第2節■総合科学技術会議

 総合科学技術会議は、平成13年1月の中央省庁再編に伴い、「重要政策に関する会議」の一つとして内閣府に設置され、内閣総理大臣のリーダーシップの下、科学技術政策の推進のための司令塔として、我が国全体の科学技術を俯瞰(ふかん)し、総合的かつ基本的な政策の企画立案及び総合調整を行っている。会議は原則月1回開催しており、議長である内閣総理大臣をはじめ、関係閣僚、有識者議員等が出席している(第3-1-2表)
 なお、総合科学技術会議の下に、重要事項に関する専門的な知見を迅速に探るため、平成19年3月現在、五つの専門調査会を設けている(第3-1-3図)

第3-1-2表 総合科学技術会議議員名簿(平成19年3月末時点)

第3-1-3図 総合科学技術会議の組織図

1 平成18年度の総合科学技術会議における主な決定事項

(1)知的財産戦略について[平成18年5月23日決定、意見具申]

 総合科学技術会議は、基本特許につながる国際的な権利取得、論文と特許情報の統合検索システムの整備、大学知的財産本部の国際機能の強化、国際的な知的財産専門人材の育成・確保等の取組を盛り込んだ「知的財産戦略について」を決定し、関係大臣に意見具申した。また、併せて、大学等の研究における知的財産権の使用の円滑化を図るため、「大学等における政府資金を原資とする研究開発から生じた知的財産権についての研究ライセンスに関する指針」を決定し、関係大臣に意見具申した。

(2)イノベーション創出総合戦略[平成18年6月14日決定、意見具申]

 科学技術を一層発展させ、その成果を絶えざるイノベーションにつなげていくことによって、一層の経済成長の実現と国際競争力の強化を図っていくことは重要な課題であり、第3期科学技術基本計画では、イノベーションの創出を重視し、日本が我が国独自のイノベーションにより世界をリードしていけるように、「イノベーター日本」という政策目標を掲げている。この政策目標を実現していくため、総合科学技術会議において「イノベーション創出総合戦略」を策定し、関係大臣に意見具申した。

(3)公的研究費の不正使用等の防止に関する取組について(共通的な指針)[平成18年8月31日決定、意見具申]

 総合科学技術会議は、研究者等による公的研究費の不正使用等の防止に向け、関係府省・配分機関・研究機関に対し、ルールの整備・明確化や研究費の管理・監査体制の整備などへの早期の取組を求めた「公的研究費の不正使用等の防止に関する取組について(共通的な指針)」を決定し、関係大臣に意見具申した。

(4)科学技術の振興及び成果の社会への還元に向けた制度改革について[平成18年12月25日決定、意見具申]

 科学技術の振興に当たっては、人材の活発な交流、研究活動の円滑な実施、研究成果の社会への還元などを支える制度的な環境を整備することが、科学技術に対する人的・物的投資の効果を高める重要な鍵である。このため、総合科学技術会議は、科学技術の振興や成果還元上障害となる制度的な阻害要因として研究現場等で顕在化している諸問題を解決するため、「優秀な外国人研究者を日本に惹(ひ)きつける制度の実現」、「治験を含む臨床研究の総合的推進」、「女性研究者の活躍を拡大するための環境整備」等7項目について、全66の改革事項を提言し、各提言について、担当する省庁、検討・結論の期限や実施時期を定めた工程表を作成し、関係大臣に意見具申した。

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