第3章 研究成果関連の動向

第2節■特許

 一般的に特許出願が多くなされている国は、企業等の研究開発が活発であり、加えて国籍別の外国出願・登録件数が多い国は、将来的な海外生産拠点、市場の確保に対し積極的な戦略を展開していると考えることができる。

(主要国の特許出願・登録動向)

 主要国の特許出願件数(出願人の国籍別に、自国及び他国に出願した件数と、PCTを利用して各加盟国の国内段階に移行した件数(注1)を合計したもの)の比較では、日本の出願件数は世界第1位で推移してきており、続いて米国、韓国、中国の順となっている。特に近年の、韓国、中国の出願件数の伸びが目覚しい。一方、2005年(平成17年)のPCTを利用した特許出願件数を見ると、米国が他国を大きく引き離して世界第1位であり、我が国は米国に次いで第2位となっている(第2-3-7図)

  • (注1)1978年(昭和53年)に特許協力条約(PCT)が発効し、これにより出願人は1つの出願を1か所に提出することで、希望する複数の国(指定国)に同時に出願したのと同等の効果を得ることができるようになった。PCT加盟国は137か国(2007年3月現在)である。

第2-3-7図 主要国の特許出願件数の推移

  • (注2)WIPO:World Intellectual Property Organization(世界知的所有権機関)

 登録件数(出願人の国籍別に、自国及び他国に出願した件数と、PCTを利用して各加盟国の国内段階に移行した後に登録となった件数を合計したもの)についても、我が国が世界第1位で推移しており、次いで、米国、韓国、ドイツとなっている。なお、我が国の1996年(平成8年)の登録件数が一時的に増加しているが、これは、特許付与後異議申立制度が導入された影響により、登録時期が早まったためである。また、2005年(平成17年)のPCTを利用した特許登録件数を見ると、米国が世界第1位で他国を圧倒しており、我が国が米国に続いている状況である(第2-3-8図)

第2-3-8図 主要国の特許登録件数の推移

 主要国における国籍別の特許出願及び登録件数を見ると、我が国への外国人の特許出願・登録する件数の割合は、主要国と比較し低くなっている(第2-3-9表)

第2-3-9表 主要国における国籍別出願及び登録件数(2004年)

(日本人の外国への特許出願及び登録件数)

 日本人の外国への出願先としては、米国の割合が最も高く、次いで、中国、欧州,韓国の順となっており、近年、中国への出願件数が急激に増加している。特許登録傾向を見ると、同様に米国における登録割合が最も高く、次いで中国、韓国、欧州特許庁と続いている(第2-3-10図)

第2-3-10図 日本人の外国への特許出願及び登録件数の推移

 また、主要国において日本人の特許出願及び登録件数が占める割合は、米国、中国、欧州特許庁において高い傾向にある(第2-3-11表)

第2-3-11表 主要国における特許出願及び登録件数のうち日本人の占める割合の推移

(我が国における特許出願・登録動向)

 我が国の特許出願件数は増加傾向にあり、外国人による我が国への特許出願件数の割合も近年ゆるやかな上昇傾向にある。また、我が国の特許登録件数は近年ほぼ横ばいで推移しているが、外国人による我が国への特許登録件数の割合は減少傾向にある。なお、1995年(平成7年)から1996年(平成8年)の大幅な件数の伸びは、特許付与後異議申立制度等の影響により登録時期が早まったためである(第2-3-12図)

第2-3-12図 我が国における特許出願及び登録件数の推移

(我が国への外国人の特許出願及び登録件数)

 外国人による我が国への特許出願件数を国籍別に見ると、米国の出願が近年、減少傾向から再び増加へと転じたほか、ドイツ、韓国が増加傾向を示している。特許登録件数については、1996年(平成8年)を境に減少傾向にある中、近年、韓国が若干増加している(第2-3-13図)

第2-3-13図 我が国への外国人の特許出願及び登録件数の推移

(我が国の分類別特許出願件数)

 我が国の特許出願件数を分類別(注3)に見ると、2004年(平成16年)は、その前年と同じ順位となっており、「物理」が最も多く、次いで「電気」となっている(第2-3-14表)

  • (注3)特許に特許分類が付与されるのは、出願公開の時点(1年半以上経過後)である。

第2-3-14表 我が国の分類別の特許出願件数(2004年(平成16年))

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