盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和6年2月27日)

令和6年2月27日(火曜日)
教育、科学技術・学術

キーワード

被災地の子供への学習・体験活動の提供支援の公募開始、自殺対策強化月間に係る大臣メッセージ、造影剤「トロトラスト」の健康被害に関する旧放医研の調査、「学校事故対応指針」に基づく報告の徹底と指針改訂について

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和6年2月27日(火曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年2月27日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和6年2月27日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、2件ございます。まず第1件目、能登半島地震の被災地では、全ての学校が始業しているものの、避難所や集団避難先で生活するなど、平時と異なる環境の子供もおり、様々な不安や課題にきめ細かく対応する必要があります。このため、石川県からの要望等も踏まえ、被災地の子供たちに学習や体験活動の機会を提供する取組への支援について検討・調整を進めてきましたが、この度、既存事業を活用した支援を実施することとし、本日より公募を開始いたします。この支援では、補助率を10/10とするとともに、被災自治体と連携して活動する民間団体からの直接申請も可能としています。積極的に御活用いただき、被災地の子供たちへの支援の充実につなげていただければと考えております。これが1点目です。
 2点目です。3月は、自殺対策強化月間となります。これにあわせて、厚生労働省、こども家庭庁と共に、児童生徒や学生等に対してのメッセージを発信し、教育委員会等に対しても通知を発出いたします。児童生徒や学生の皆さんは、悩みや不安を抱え、孤独感を感じていても、決して一人ではなく、私をはじめ、味方になってくれる大人は必ずいるということを知っていただきたいと思います。また、学校関係者におかれても、1人1台端末等を活用した「心の健康観察」などにより、児童生徒等の態度に現れる微妙なサインに注意を払っていただき、不安や悩みの声に耳を傾けていただくようお願いいたします。以上です。

記者)
 児童生徒の学習用デジタル端末の検索履歴を学校側が閲覧できる機能を活用することにつきまして、世田谷区議会から検閲のようだとの指摘を受け、世田谷区教育委員会で検討を撤回したと報道されております。学習端末の検索履歴を教育委員会や学校が活用することについて、文部科学省としてどのような考えをお持ちでしょうか、お尋ねします。

大臣)
 世田谷区教育委員会の決定につきましては、報道を通じて承知しております。教育委員会の主体的な検討の結果と受け止めております。他方で、他の自治体の中には、保護者の十分な理解を得た上で、例えば自殺やリストカットなどの要注意ワードが入力された場合に管理職等にアラートが出る仕組みを構築し、生徒指導上の課題の早期発見・早期対応につなげている自治体もあります。いずれにせよ、検索履歴も含め、GIGA端末から得られるデータやログを活用するに当たっては、子供の実態を踏まえつつ、保護者等の十分な理解を得ながら取組を進めることが肝要であり、一律の解はないと考えています。当省としては、様々なデータを活用してきめ細かな指導や支援に生かすこと自体は重要であると考えており、各教育委員会において主体的な判断ができるよう、様々な取組や工夫の事例を収集・発信していきたいと考えております。以上です。

記者)
 1930年以降に国内で使用された放射性物質を含む造影剤「トロトラスト」の被害に関して伺います。国は、「トロトラスト」の体内沈着を認めた傷痍軍人を恩給増額などで支援してきましたが、女性や子供など国の支援から漏れた民間人が多くいた可能性があることが本紙の取材で分かりました。この健康被害をめぐっては、旧放医研が60年代から調査に着手して、民間人も含め数多くの症例を把握しています。国内初の薬害との指摘もある健康被害を後世に伝えるため、放医研の調査も生かし厚労省と連携して被害実態の調査や検証を行う考えがあるか、記録を残す考えがあるか、お聞かせください。

大臣)
 国際放射線防護委員会ICRPと世界保健機関WHOの呼びかけをきっかけに、1960年代より、旧放射線医学総合研究所、これは現在の量子科学技術研究開発機構QSTです、ここでは、α線内部被爆に関する日本人の「トロトラスト」の発がん性などを明らかにする目的で調査と研究を実施してまいりました。当該調査研究の結果については、既に国際原子力機関IAEAの会議や学術誌等で報告しており、現在もホームページ上で公表しているというところでございます。以上です。

記者)
 それは、特に文科省としては調査をするというお考えはないということでよろしいでしょうか。

大臣)
 はい。現在のところはそのとおりです。

記者)
 学校事故への対応について2点お伺いします。指針で求められている死亡事故等の発生報告と都道府県教委などからの報告が一部にとどまっているという現状についての所感を教えてください。また、文科省は今、指針の改訂を目指しており、本日の有識者会議でも新しい指針案を基にした議論が見込まれていますが、新しい指針への大臣の期待を教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

大臣)
 学校管理下における死亡事故につきましては、同様の事故の防止につなげることを目的として、「学校事故対応に関する指針」に基づいて国へ一報することとなっていますが、必ずしも確実な報告がなされていない状況については、改善が望まれると考えております。このため、文部科学省におきましては、令和4年3月に閣議決定された「第3次学校安全の推進に関する計画」を踏まえつつ、有識者会議を開催し、指針の実効性を高めるための改訂作業を進めているところです。その中で、「重大事故の国への報告」や「事故発生後の調査等の対応」が着実に行われるよう検討を重ねており、指針の趣旨である「同様の事故を防ぐ」ことに向けて、引き続き検討を進めるとともに、指針の改訂後におきましては関係者に対する周知を徹底してまいりたい、そのように考えております。

(了)

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