盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和6年1月30日)

令和6年1月30日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化

キーワード

令和5年度「全国いじめ問題子供サミット」の開催、新国立劇場の視察と京都出張、愛知県及び名古屋市の教育実習受け入れ条件、被災自治体からの学校施設の災害復旧に関する要望への対応、SLIMの機能復旧への受け止め、H3及びスペースワン社のロケット打ち上げへの期待、文化芸術分野におけるハラスメントの防止、国立劇場の再整備への見通し

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和6年1月30日(火曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和6年1月30日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和6年1月30日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から今日は2件ございます。
 まず1件目です。先週の土曜日27日です。令和5年度「全国いじめ問題子供サミット」をここ文部科学省で開催いたしました。今年度のサミットは、「「いじめはしない」という感覚を身につける」をテーマといたしまして開催しましたが、サミットには、私も参加し、全国から集まった135名の小中学生が、自身の地域や学校における、いじめ防止のための取組について説明する姿を拝見させていただきました。また、当日は、実際にいじめを経験したことのあるタレントの景井ひなさんによる講演や、参加した児童生徒が、いじめを防ぐためにできることなどについて議論をするグループ協議などの交流を通じて、児童生徒のいじめに関する意識を高めることができたのではないかと考えております。文部科学省としては、本サミットの開催も含め、引き続き、いじめの未然防止のための取組のより一層の充実に向けて、関係省庁と連携しながら取り組んでまいりたいと考えています。
 もう一つの2点目でございます。同じ27土曜日でございますが、新国立劇場において初春歌舞伎公演を視察させていただきました。国立劇場の閉場後、他の劇場で初めて開催する歌舞伎公演でしたが、多くの観客の方が公演を堪能されていることを実感しました。今後も、国立劇場の再整備についてしっかりと取り組んでいくとともに、閉場期間中も我が国の伝統芸能の継承に必要な取組を進めていきたいと考えています。また、一昨日28日には、京都に出張し、門川京都市長や文化芸術関係者の方々と意見交換をいたしました。意見交換では、京都国際マンガミュージアムにおけるマンガ資料の保存・活用への取組や、華道・茶道を次世代へ継承していく上での課題、国内外への普及・発信に向けた取組など幅広くお話を伺いました。日本が誇る文化の振興や継承、国内外への発信の強化などを、地に足をつけながら取り組んでいく上で、今回の視察や意見交換は大変参考となりました。今後とも、関係施策の充実に積極的に取り組んでまいります。
 私からは以上でございます。

記者)
 教員採用試験に関してお話をお伺いしたいと思います。愛知県教育委員会と名古屋市教育委員会では、大学生が小中学校で教育実習を行う際の受け入れの条件として、教員採用試験の受験を求めているとの報道がありました。大村知事は、この制度について見直す旨を会見でも発言されていました。学生を受け入れる側の学校や教員の負担は重々承知しているところですが、教員不足が叫ばれる中、教師になってみようと思う学生にとっては現場で学ぶ機会を失ってしまうことや、教員採用試験を形だけで受験することなども懸念される問題かと思います。改めて、この件に関しても文部科学省としてのお考えをお聞きしたいと思います。合わせて、自治体への周知や調査を行うことなどは検討されているのでしょうか。よろしくお願いします。

大臣)
 教育実習生を受け入れる際の手続につきましては、各学校や教育委員会が、教育実習生の所属する大学と調整の上で行うものでありますが、お尋ねのあった愛知県と名古屋市のような条件を付すことは、他の自治体でも一般的に行われているものとは認識しておりません。教育実習は、学校現場での教育実践を通じて、学生自らが教職への適性や進路を考える貴重な機会であることから、採用試験を受験する地域にかかわらず、教師を目指す学生に対して、その機会を確保することが重要であると考えています。愛知県教育委員会に確認しましたところ、先ほどおっしゃったとおり、愛知県においては、今後、この取扱いを見直す方針であるというふうに伺っているところです。そして、現時点では、他の自治体に対しまして調査等を実施することは考えておりませんけれども、会議などの場で、学生に教育実習の機会を適切に確保するよう、注意喚起をしてまいりたいと考えています。

記者)
 先日大臣が石川県を視察した際に、学校施設などの復旧に関して自治体から補助対象の拡充などの要望があったと思いますけれども、それに対して文科省としてどのように対応されていくのか教えてください。

大臣)
 先週25日ですが、能登半島地震の被災地を訪問した際に、馳知事をはじめ、被災自治体の皆様から、学校施設の災害復旧について、補助対象の拡大や技術的な支援などの要望を多く頂戴したところです。こういった御要望等を踏まえ、今回の地震における災害復旧事業については、仮設校舎に加え、新たに仮設寄宿舎の整備費これを補助対象とするなど、財政支援を拡充することとしました。技術的な支援につきましては、既に文部科学省から応急危険度判定士を派遣しているところですが、新たに市町とのホットライン窓口を開設するとともに、学校施設の建て替えの要否を判断する被災度区分判定を行う専門家を派遣する予定です。当省としては、子供たちの学習環境がしっかり確保されるよう、引き続き、被災地に寄り添いながら支援をしていきたいと考えています。

記者)
 JAXAが昨日月探査機のSLIMの運用を再開しました。月の岩石の画像の取得など、次々と成果が出ています。一方で、来月にはH3ロケット2号機で打上げが予定されていますけれども、SLIMの成果からのH3打上げに向けたJAXAへの期待などを教えていただけないでしょうか。

大臣)
 今お話がありましたとおり、昨日JAXAから、小型月着陸実証機SLIMについて、太陽電池が発電できるようになり通信が復帰し、運用を再開したということが発表されました。このニュースを聞いて私も大変嬉しく、喜ばしく思ったところです。運用再開後、科学観測の対象である岩石の一つについて、計画通りマルチバンド分光観測を実施し、データを取得できたと聞いております。そういう点では、SLIMがまた一つ、画期的な成果につながる活動を行うことができたと考えています。今後、SLIMの着陸点が月面での夜に入る前、というのは今月の31日ぐらいまで、明日ぐらいまでしかないと聞いておりますが、科学観測を続けられる見込みがあると聞いておりますので、今後に期待したいと思います。また、H3ロケット試験機第2号機については、2月15日に打上げが予定されております。引き続き、JAXAにおいて着実に打上げ準備作業を進めていただきたいとも考えています。

記者)
 落語家のお弟子さんが当時の師匠から暴力などのパワハラを受けたとして300万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁が師匠側の暴力や暴言を認めて80万円の支払いを命じる判決を先週出しました。伝統芸能の継承と発展を所管する文部科学大臣として、今回の判決をどう感じられているかと、伝統芸能などの徒弟制におけるパワハラ予防策について、大臣の御所見があればお聞かせください。

大臣)
 お尋ねがございました、落語家の四代目三遊亭円歌氏による吉原馬雀氏に対するパワハラに関する東京地裁の判決につきましては、当事者間による民事上のことでもございますので、コメントは差し控えたいと思いますが、その上で、文化庁が令和4年7月に公表しました「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン」では、実演の現場において暴言等による精神的な攻撃等があることについても言及した上で、ハラスメント防止のため責任体制を確立することなどを求めているところです。文部科学省としては、ガイドラインの実効性確保に向けて、研修会の実施や相談窓口の設置、ハラスメント防止対策の支援などを実施しつつ、引き続き、関係府省庁とも連携をして、芸術家等の活動環境の改善に取り組みたいと考えています。

記者)
 幹事社の質問に関連して伺いたいのですけれども、教育実習に関しましてなのですが、 教育実習に関しては受け入れサイドが現在、非常に仕事が忙しくなっていてなかなか受け入れられないと断られるような事例もあるように聞いています。愛知県とか名古屋市の今回の件に関しては、そういった課題認識が背景にあるというような指摘もあるのですけれども、教育実習がなかなか受け入れが難しくなっているという現状に関して、大臣はどのようにお考えになっておりますでしょうか。

大臣)
 詳しく承知していないので、後で担当のほうからお願いしたいと思います。

記者)
 宇宙関連でお伺いしたいのですけれども、2月にはH3ロケットの打上げがありますが、3月には民間のスペースワンという会社が小型ロケット、カイロス初号機というのを打上げる予定になっています。こちらに関する大臣の期待をお伺いしたいのと、大臣は種子島だったりスペースワンが打上がる和歌山県の串本町へは視察に行く予定があるかを、ぜひお伺いしたいと思います。お願いします。

大臣)
 まず、H3ロケット試験機2号機については、2月15日の打上げということで、今、JAXAにおいて着実に打上げが実施されることに期待しているということ、そしてこれにつきましてはウィークデーでございまして国会開会中と思われますので、残念ながら種子島に伺うことはできないと思っております。また、今御指摘のスペースワン社が開発した小型ロケット、カイロスロケットの初号機について、3月9日に打上げ予定ということで、民間企業主導で開発したロケットとして国内初となる衛星の打上げでございますので、成功を期待しているところでございますが、私が行くかどうかについてはまだ何も決めておりません。

記者)
 冒頭の発言にありました国立劇場の件に関しましてお伺いしたいのですけれども、御存知のように国立劇場を閉館してから建て替えの予定が定まらない状況でして、こういう状況が続くことは日本の文化にとっては結構危機的なのではないかという声も聞くことが多いです。現状を大臣はどのように捉えていらっしゃるのか、また今後の目処など、現状で見通しがありましたらお聞かせください。

大臣)
 最近の新聞の記事なんかにも報道されているところでございまして、国立劇場に関しましては、2回の入札公告を行ったわけなのですけれども、令和4年、令和5年、ともに2回とも応札者辞退となっております。大変残念なことであります。新しい国立劇場は、伝統芸能の伝承と創造の拠点という機能のほかに、文化観光拠点としての機能強化をしようということで、PFI事業を使ってやろうということが令和2年に決定されたところなのですが、残念ながら2回とも応札がされないという、これは忌々しき事態だと思います。他方で、劇場施設の老朽化が進んでいるため、このままでは耐震性も含めて危険であろうということで、昨年の10月末に国立劇場・国立演芸場を閉場したわけでございます。現在、独立行政法人日本芸術文化振興会におきまして、建設市場の動向の確認などを行いつつ、今後の対応を検討しているところであります。御案内のとおり、資材が上がる、そして人件費が上がる、そしてまた元々想定されておりました万博に加えまして、今回の能登半島地震、こういった再建というようなことも加わっておりますので、こういった状況も見ながらどうすればいいのかを考えるということになります。いずれにしましても、国立劇場は、我が国の文化芸術の象徴というべき施設でございます。たまたま、歌舞伎をですね初めて新国立劇場で行うということは、今回1月初春歌舞伎公演ですか、でできたわけでありますが、ただ今までの国立劇場であれば花道というものがありました。これは東銀座の歌舞伎座に行っても花道があるわけでございますけれども、新国立劇場は当然のことながらコンサート・オペラを前提にした劇場でありましたのでそういう花道はありません。そんなことも含めてですね、どうすればいいのかできるだけ関係機関と早く連携、相談をして、国立劇場の再整備が速やかに進むように、しっかり取り組んでいってほしいと考えております。

(了)

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