盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和5年10月10日)

令和5年10月10日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化

キーワード

不登校対策の取組を行う世田谷区の学校と、理化学研究所の視察、鹿児島国体の総合開会式への出席、佐渡島の金山への視察等、旧統一教会に対する解散命令の請求に関する見通し、埼玉県議会の虐待禁止条例改正案について、量子コンピュータを含む量子技術の社会応用について、北海道旭川市のいじめに関する第三者委員会の調査報告書の流出、令和4年度「体力・運動能力調査」の結果と体力増進に向けた対策、岸田総理との会食について

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和5年10月10日(火曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年10月10日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和5年10月10日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 今日は冒頭、3件ございます。
 まず第1点目です。連休前の10月6日の金曜日ですが、不登校対策の取組を行っております世田谷区の学校と、埼玉県和光市にあります理化学研究所を視察してまいりました。世田谷区松丘小学校のスタディールームでは、児童のペースに合わせた学習などのサポートがされている様子を、そしてもう1つ伺いました世田谷中学校の分教室である学びの多様化学校「ねいろ」という名前のところですが、ここでは、不登校生徒の実態に配慮して編成された特別な教育課程の「キャリア・デザイン学習」を実際に見ることができました。また、その後訪れました和光市にあります理化学研究所では、脳科学研究の現場と、量子コンピュータの開発や利活用促進等に関する取組を拝見し、世界最先端の研究開発現場を肌で感じることができました。今回の視察を通じて得られたことを踏まえ、関連施策の充実に積極的に取り組んでまいります。
 続けまして2点目です。2件目は、10月7日土曜日ですが、天皇皇后両陛下の御臨席のもと開催されました鹿児島国体の総合開会式に出席し、選手の皆様を激励してまいりました。本大会は、当初、令和2年に開催される予定でしたが、皆さんに御案内の通り、新型コロナウイルス感染症の影響で本年に特別国民体育大会として開催されるようになったものであります。選手の皆さんが、大いに活躍されることを期待するとともに、今大会が実りの多いものになることを祈っております。
 最後、3点目です。昨日、祝日スポーツの日の9日月曜日に「佐渡島の金山」を訪問してまいりました。現地では花角知事、そして渡辺佐渡市長に面会しまして、我が国が世界遺産登録を目指している「佐渡島の金山」について、引き続き協力していくことを確認いたしました。また、その構成資産であります「相川鶴子金銀山」や「西三川砂金山」を視察し、「佐渡島の金山」の高い文化的価値を実際に感じることができました。実感をいたしました。引き続き、新潟県、佐渡市、関係省庁と連携しながら、世界遺産登録の実現に向けて全力で取り組みたいと思います。
 私からは以上の3点でございます。

記者)
 旧統一教会への解散命令請求について伺います。13日にも解散命令請求へという報道も出ています。改めてですが、明後日12日にも宗教法人審議会を開き解散命令請求について意見を伺うという報道も出ていますが、審議会についてや解散命令請求について進展がありましたらお伺いできますでしょうか。

大臣)
 繰り返しになるんですけれど、旧統一教会につきましては、現在、同法人の業務等に関する具体的な証拠、資料などを伴う客観的な事実を明らかにした上で、最終的な判断を行うための対応を進めているところです。現時点では、旧統一教会について解散命令を請求することや、宗教法人審議会を開催することを決定した事実はございません。

記者)
 埼玉県議会に出されている子供放置禁止の条例案についてお話を伺いたいなと思っております。PTAらによる反対署名は現時点で7万人を超えているということも確認されております。また憲法学の専門家からも問題点などが指摘されている状況なんですが、この条例案について大臣の受け止めをお願いしたいと思います。

大臣)
 お尋ねの埼玉県の条例改正案につきまして、報道等で承知をしております。しかしながら、詳細については把握しておりません。各自治体において検討されている個別の条例案ということでございますので、文部科学省としてコメントすることは差し控えたいと考えます。さはさりながら、文部科学省としては、地域全体で子供を守り育てる環境、あるいは仕組みを整備することは重要であると考えております。条例につきましては、各自治体の実情等を踏まえて制定されるものでありますから、そういった観点から、関係者の意見も踏まえた上で、十分な議論が行われることは望ましいと、一般論としては考えております。

記者)
 理化学研究所に大臣も行かれたと思うんですけども、富士通が理化学研究所と協力して国産の第2号機の量子コンピュータを開発して一般への共用開始をしました。大臣としてこれから量子技術の社会実装が期待されてますけれども、大臣としての見解をお願いいたします。

大臣)
 今おっしゃったものでございますけど、6日の午後ですね、理化学研究所に伺いました。具体的には、今年3月に理化学研究所が開発・公開した初号機をまず見て、その後、富士通が理化学研究所と連携をして、視察した6日の前日であります5日に公開したばかりの国内企業としては初めての量子コンピュータ、これを拝見しました。社会実装に向けた大きな1歩であるというふうに考えています。量子コンピュータは、創薬・材料・金融などの幅広い分野において、産業の成長機会の創出や社会課題の解決をもたらしうる革新的技術であると考えております。そして、量子技術は、計測・センシング・マテリアルやレーザーなどについても、同様に大きなインパクトが期待されているところでございますので、実用化・産業化に向けたさらなる取組が重要と考えており、そういう点で、富士通さんがですね、民間での利用ということをですね、主たる目標としての量子コンピュータを完成させたというのは大変喜ばしいことだと、そういうふうに思っております。当省としては、引き続き、内閣府など関係府省と密に連携をしながら、我々の取組をさらに加速していきたい、そんなふうに考えております。

記者)
 前回の会見でも質問があったかと思うんですけども、旭川でいじめを受けた女子中学生が凍死した問題で、第三者委員会がまとめた報告書で非公開部分が流出した疑いがあることについてなんですけど、改めて大臣の受け止めと、それと、報道では保管状況の調査について文部科学省に対しても市教委のほうが要請をしたというような報道があったんですけど、何か進展があればお願いします。

大臣)
 今御指摘の旭川市の件につきまして、報道でそういうことであるということは承知をしております。詳細につきましては、現在、旭川市の教育委員会あるいは非公表版の調査報告書を保有する各行政機関、再調査委員会において、保管状況を調査しているところでありますので、現時点でこれ以上の見解を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。一般論として、調査報告書の内容が、関係のない第三者に流出するということは、個人の情報保護の観点からも絶対にあってはならないことであります。旭川市の教育委員会に対しては、まずは保管状況の調査結果、再発防止策の報告を求めたところでございます。その結果を受けて、文科省としても必要に応じて、対応していきたいと考えています。
 それからもう1点、最終報告書について我々文科省のほうにという話でございますが、必要な指導・助言を行うために、北海道教育委員会を通じて提供していただいております。しかしながら、担当課において適切に保管・管理されているというふうに私たちは認識しているところです。

記者)
 スポーツ庁が公表した体力能力調査についてお伺いします。スポーツをする頻度や時間が多いほうが、16歳で達成意欲が高くて、40代・70代だと健康ですとか生活が充実していると感じている割合が高いという結果だったんですけども、運動の頻度や時間が少ない人はどのようにスポーツをしてもらうか、そういった環境作りなど対策があれば教えていただければと思います。

大臣)
 なかなか難しい、答えにくい質問であります。男女ともに、あるいは年齢を問わずですね、皆さんにスポーツに親しんでいただくこと、そしてそれが健康づくりにも役立つんだということをこれまで以上にどう国民の皆さんに御理解をしていただくか、そういうことがまず必要であると思います。そしてまた、どのようにして今、これまでに比べて横ばい、あるいはちょっと落ちているというような年齢層の方にもっとよく運動してもらうのかというようなことではないかなと思うんですが、生活習慣が変化してきてなかなか運動、あるいは歩くということが少なくなってくる、そういうようなところもあろうかと思いますし、また、この数年の間、新型コロナの影響でですね、外出ですとか外で運動をするということがなかなかしづらかった、そういうこともあるのではないかと、そんなふうに思いますが、我々としては、繰り返しになりますけれども、スポーツができるような環境を整える、あるいはそういうふうに多くの方々に自分自身の健康にも良いことなんだから、なかなか時間がお忙しいと思いますけれども、そんな中でも時間をやりくりして少しでも運動をしようというふうに思ってもらえるように、そういうこと、環境整備と言うんですかね、そういうことに関しては関係機関・団体等とも連携をして推進していきたいと考えます。

記者)
 冒頭発言にありました佐渡島金山の訪問の件でお尋ねいたします。大臣、視察されたのは少なくとも大臣の立場となってからは初かと思っておりますが、訪問された所感であったり、世界遺産登録に向けての手応えのようなものがありましたらコメントをお願いいたします。

大臣)
 手応えというのはちょっと私は、イコモスさんですとかユネスコさんと私自身が何も接触してませんので、ちょっとそこのところは何とも言えないということでございます。「佐渡島の金山」を拝見をして、私が行ったのは2箇所でございます。「相川鶴子金銀山」というところと、もう一つの「西三川砂金山」という2箇所でございます。相川鶴子のほうにつきましては、割合施設がしっかりしておりますし、金がどういうふうになっていてというようなのが、その前のですね、「きらりうむ」という施設を含めてですね、分かりやすくなっておりまして、昔の人はこんなふうにして苦労しながらですね、掘っていったんだ、あるいは重機も何もない時代にですね、手作業で自分の手と簡単なつるはしやのみですよね、そういうのでここまでやったんだということに対しては、すごいことをこれまでやってきたんだなというふうに正直感心しました。何て言うんですかね、くさび状のカンカンカンと岩を穿つこういう杭のようなものがあるんですけれども、これがですね、なんと2日で1本なくなってしまうということを聞いて驚きまして、それぐらい固い岩のところのようでございました。そういうところを含めて、一生懸命開発をし、そして事故もあまりなくですね、他のところへ横流しというんですかね、不正の流出なんかもなく金を採掘された、そういった歴史、そしてまた、5軒ぐらいしか人が住んでいなかった相川という集落に、金山のせいでしょうけれどもピークは5万人を超えるような人が集まるような大集落になったんだということを見て大変驚きましたし、すごいものだなと感心いたしました。そして、もう一つの西三川の砂金山というところなんですが、よく西部劇なんかでですね、ゴールドラッシュか何かのそういうのを昔見た時に、川に入ってですね、じゃぶじゃぶとザルのようなもので砂を取ってやって金がちょっちょっちょっとお皿に残る、そういうようなものを私は想像してたんですけど、最後、さらったりするのはそこと基本的にあまり変わりがないんですけれども、砂金を取り出すためにですね、昔のことですからダイナマイトがあるわけではありませんですね。水の力を利用して、簡単に言うと簡単なダムを作る、水をせき止めてですね、水の流れをですね、1箇所にせき止めて、そしてそのせき止めているところの出口のところ、それを一挙に開けることによりまして、水がわーと洪水みたいになるわけですね。それである程度手で崩した岩山というんですかね、そういうところに水をわーと流すことによって石ころだとか何だとかが流れて、そしてそんな中で金のほうは比重が重いものですから、金がそこで底に溜まっていく、それをこういうふうにさらえてですね、発見をしていく。それでそれは1回流したらそこの岩と言うんですかね、はなくなるわけですから、それをまた川筋というのかな、流す溝を変えながらですね、連綿と何年にも渡って砂金を取ってきたという、その知恵であり作業ですね、そしてそれを集落の人が協力して共同でやってきたということに対してすごいものだなと。その結果が江戸時代の小判だとかですね、そういうようなものになっていったのかなと、あるいはそれが同じ日本海側であります金沢のほうにですね、移っていって金箔ですとか蒔絵ですとかね、そういうものになっていったのかなということで、佐渡と能登半島というか金沢なんかとのつながりですとか、そういうようなことを含めて、本当に私にとっては良い勉強になった新たな発見ということでございました。そういう点で、この「佐渡島の金山」というものが日本の江戸時代、あるいはそれ以降ですね、そういうことで文化的なものも含めてですね、集落の生活だとか、そういうものを含めてこういう形でみんなが金を採掘していった、あるいはそういったことを通して佐渡や地域が栄えたんだということをユネスコのほうにですね、評価をしてもらえるといいなというふうに、それは強く感じた次第であります。

記者)
 6日金曜日の夜に大臣は総理と2時間ほど会食されているんですけれども、どのような話が出たのか教えていただけますでしょうか。

大臣)
 それはその時のぶら下がりでもお答えしてありますけど、まず御質問はですね、統一教会のことをじっくり話されたんですかという御質問がありまして、それについては全くそういう話はしていませんというふうにお答えしました。じゃあなんでこんな時期に会食をしたんだと言われまして、それは入閣や何やらが決まる前からですね、一度お食事でもさせてもらえませんかねというふうに申し上げていて、それがあのタイミングになったということでございますので、四方山話ですね、派閥のことを含めましてね。そんなことを楽しく総理にお酒を頂戴しながらお話を伺ったということであります。

記者)
 経済対策とか政策の話は特になかったんでしょうか。

大臣)
 すみません、本当に四方山話で御期待に応えるような真面目な話ではありませんでした。強いて言うならば、国会もいよいよ近くなってきたけれど、しっかり頑張ってくれと、そういう言葉はありました。

(了)

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