盛山正仁文部科学大臣記者会見録(令和5年10月6日)

令和5年10月6日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化

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令和4年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」結果、東京国立博物館・国立科学博物館への視察、札幌市の冬季五輪招致、東大アト秒レーザー科学研究機構に対する支援、教師1人当たりの担当授業時数に関する議論、北海道旭川市のいじめに関する第三者委員会の調査報告書の流出

盛山正仁文部科学大臣記者会見映像版

令和5年10月6日(金曜日)に行われた、盛山正仁文部科学大臣の記者会見の映像です。

令和5年10月6日盛山正仁文部科学大臣記者会見

令和5年10月6日盛山正仁文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

盛山正仁文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から2件ございます。
 一昨日4日ですが、令和4年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果を公表しました。調査結果においては、いじめの認知件数及び重大事態の発生件数が過去最多、また、小・中学校の不登校児童生徒数も過去最多となるなど、極めて憂慮すべき状況となっています。いじめの認知件数の増加については、新型コロナ感染症の影響が続き、感染を予防しながらの生活だったものの、部活動や学校行事等の様々な活動機会が再開されたことによる接触機会の増加によることなどが、不登校児童生徒数の増加については、長期化するコロナ禍による生活環境の変化により、生活リズムが乱れやすい状況が続いたことなどが背景として考えられます。いじめ防止対策については、これまでも、積極的認知や組織的対応の徹底を求めてきましたが、いじめ重大事態の発生件数が過去最多となるとともに、そこに至る前に約4割がいじめとして認知できていないことや、安易に解消と判断してしまっていたものが一定数存在するなど、早期発見・早期対応や重大事態の対応に課題があると考えています。また、不登校対策についても、COCOLOプランに基づく対策の強化に着手したところですが、不登校児童生徒数が小・中学校で約30万人と過去最多となり、そのうち、学校内外の専門機関等で相談・支援を受けていない小・中学生が約11万4千人に上るなど、引き続き喫緊の課題となっています。これらを踏まえ、私より、これらの課題に対応するいじめ・不登校対策の強化策を緊急に取りまとめるよう、事務方に指示をいたしました。当省といたしましては、こども家庭庁等の関係省庁と連携し、いじめの防止や、不登校児童生徒の多様な学びの場での継続した学びに全力を尽くしてまいります。
 続きまして、もう1点でございますが、昨日5日に、上野にあります東京国立博物館と国立科学博物館を視察してまいりました。東京国立博物館では総合文化展と収蔵庫、国立科学博物館では常設展を視察し、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行した後の来館者数の回復状況や、収蔵品の保管に関する工夫や苦労について直接お伺いすることができました。今後も、これらの博物館が我が国の文化や科学の研究・発信拠点として安定的に活動に取り組むことができるように、必要な取組を進めていきたいと考えております。

記者)
 冒頭発言にもありました問題行動調査の結果についてお伺いします。文科省が定める子供の自殺が起きた時の背景調査の指針では、全ての事案について調査に移行することが望ましいとされていますが、詳細調査は全体の4.6%しか実施されていないということが調査結果で分かりました。また、学校側から詳細調査の制度などについて説明されていないという御遺族が4割いることも分かりました。子供の自殺という重大な事案を防ぐため、原因調査が重要ではないかと思いますが、大臣のこの調査結果についての受け止め、またどのような対策が必要だと思われるかお伺いできますでしょうか。

大臣)
 児童生徒の自殺はあってはならないことです。学校として自殺に至る過程を丁寧に探り、再発防止策を打ち立てるため、必要な場合に詳細調査を実施することなどを「子供の自殺が起きた時の背景調査の指針」で求めております。また、この指針では、詳細調査実施の判断に当たり、遺族の意向を確認するよう求めていることから、今回の調査において、遺族への説明状況について確認を行ったものです。遺族への説明を行っていない件数が全体の4割程度となっていることについては、指針に基づいた対応の徹底を図る必要があると考えます。具体的には、令和4年5月から、自殺事案が発生した際に、詳細調査への移行の有無と併せて、遺族への説明を行っているかの確認を行っております。引き続き、各学校設置者が指針に沿った対応を行えるよう徹底していきたいと考えています。

記者)
 オリンピックの関係でお伺いします。2030年の冬季オリンピックの招致を目指していた札幌市が30年大会を断念して34年に切り替えるという報道がされています。この件に関する受け止めと所感をお聞かせください。

大臣)
 2030年冬季オリンピック招致に関する報道については私も承知をしております。大会の招致に当たりましては、札幌市民はじめ、北海道民、国民の支持を得ていくことが重要であります。現在、招致主体であります札幌市そしてJOCにおいて、招致実現に向けて、どう取り組むべきかを検討していると承知をしております。ということで、我々としてはその動きを現時点では見守っていきたいとそんなふうに考えております。

記者)
 今年のノーベル物理学賞ではアト秒の研究に対して受賞されることが決まりました。日本人はこの中に受賞者がいなかったわけなんですけれども、国内のアト秒の研究では東大でアト秒レーザー研究施設「ALFA」の建設が計画されています。東大ではすでに研究組織ができていますけれども、「ALFA」の箱の建設自体というのはどのように進めていくのか、予算面などの課題について教えていただけるとありがたいです。

大臣)
 今お話がありましたように、東大におきましては、アト秒レーザー科学の全学的な研究組織として、昨年11月に「アト秒レーザー科学研究機構」を設立し、そして同機構が研究施設構想を有しているということは承知をしております。文科省としては、これまで大学の要望を受けて同機構の研究体制の強化に対し、支援を行ってきたところです。具体的にはですね、国立大学法人運営費交付金、この中の枠組みで支援をしております。この全体のものとしましては、教育研究組織改革における支援ということでは、5,830万円、令和4年度、5年度で、そんなところの金額であります。今後、研究施設構想については、大学や研究者コミュニティにおいて設置や研究装置開発など、この検討が深められるものと考えておりますので、今はその動向を見ながらということかと思います。

記者)
 学校の先生の働き方の関係で伺いたいなというふうに思います。今、中教審の特別部会等で議論されているわけですけれども、学校の先生の受け持っている授業数がちょっと現状多過ぎるのではないかという議論が研究者であるとか教職員団体のほうから最近、意見表明とか提言が相次いでおりまして、大臣も就任された際に大学で教鞭をとられた経験から、授業準備というものも良い授業をするには大事なのではないかというような御認識もあったかと思うんですが、学校の先生の持っている授業数がどうあるべきか、もうちょっと減らすべきじゃないかという議論に対して大臣としてはどのようにお考えになりますでしょうか。

大臣)
 なかなか学校の先生、それは別に小学校であり、中学でも高校・大学でもそうだと思いますが、どういうふうに評価をしていくのかということ自体はなかなか難しいと思います。今年の4月に公表した勤務実態調査の速報値では、児童数が少ない小規模な小学校教師の持ちコマ数は多いんですけれども、在校時間は意外に短い、逆に、大規模校など教師が担任する児童数が多いほど、教師の持ちコマ数が少なくても、逆に在校等時間が長い、そんなことでございますので、持ちコマ数だけで教師の勤務負担を測るというのはまず難しいのかなと思います。そういったこともありまして、教師一人当たりの授業の持ちコマ数については、国が一律に上限を設けるのではなく、特定の教師に過度な負担が生じないよう、例えば、持ちコマ数が多い教師には、その他の校務分掌を軽減するなど、各教育委員会や学校の実態に応じて柔軟に対応すべきものであると、そんなふうに考えております。そうは言いながらということかもしれませんが、当省としては、特に授業の持ちコマ数が多い小学校については、高学年における教科担任制を今進めているところです。それによって、まずは、教師の平均持ちコマ数の軽減を図ることが重要と考えます。また、中教審の特別部会からも、緊急的に取り組むべき施策の一つとして、標準授業時数を大幅に上回っている学校は、見直すことを前提に点検を行うことについて今年の8月に提言をいただいており、9月にその旨全国の自治体宛に通知をしております。そして我々は、中教審における審議を踏まえながら、引き続き、働き方改革、処遇の改善、学校の指導・運営体制の充実、これらを一体的に進めていきたいということでございまして、ぴたっとしたお答えにはなっていないかもしれませんけど、問題意識を持って取り組んでいるということです。

記者)
 問題行動不登校調査についてお伺いします。不登校の理由として一番多いのは「無気力・不安」で50%を超えています。より良い政策を打ちためには原因分析というのが必須だと思いますけれども、現状、文科省として子供たちの心の動きというか、原因というのをきちんと分析できているのかというところの大臣の御感想と、今後どのような詳細な分析というのをしていく予定かということを伺わせてください。

大臣)
 生徒のお子さんがですね、現在の調査で今御指摘があったように不登校の要因の半分以上が「無気力・不安」となっているということでございまして、なぜ生徒さんが若いのに無気力になって不安になるのかということ、これがどういうことかということを考えないといけないんだろうなと思います。COCOLOプランは御存知かと思いますが、ここでは児童生徒の不登校となった要因等を把握することなどとしております。これを踏まえまして、今年度の委託事業として、児童生徒本人や保護者、教職員等に対するアンケート調査を令和4年度の問題行動等調査と関連付けて実施をし、不登校の各要因の実態分析を今行っているところです。現在、調査を実施しているところでございますので、この結果が出たところで次の対応策をということになりますので、現在のところこれ以上ちょっと、私のほうから申し上げられるものはないということで御理解を賜りたいと思います。

記者)
 北海道旭川市で一昨年、いじめを受けていた中学2年生の女児が凍死した件で、第三者委員会の調査報告書のうち、黒塗りされて非公表とされていた部分が流出した疑いがあって、旭川市教委が調査をするという報道が出ているんですけれども、御遺族の意向に反する重大な事態かと思いますが、文科省としてこの事態を把握されているかということと、受け止めや今後の対応があれば教えてください。

大臣)
 ちょっと私は詳細をまだ聞いていないものですから、担当課長からよろしいですか。

事務方)
 事案の発生につきましては教育委員会のほうから報告はいただいております。本来、そういった状況はあってはならないことでありますので、同様に事実関係についてより詳細な報告を求めるとともに、再発防止についても併せてお聞きしていく、そういった状況でございます。

(了)

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