萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年7月6日)

令和3年7月6日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、その他

キーワード

大雨被害について、早稲田大学・テンプル大学ジャパンキャンパス・昭和女子大学の視察、熱中症対策に関する取組について、スーパーコンピュータ「富岳」を用いた国立競技場における飛沫シミュレーション、現職教師の教員免許更新講習や現職研修に関する認識等について、東京オリンピック・パラリンピックの観客数等について、民間の観測ロケットの打上げ成功等について

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和3年7月6日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和3年7月6日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和3年7月6日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 私から4件です。まず、7月1日から活発な前線がもたらした大雨により、静岡県の熱海市で発生した大規模な土石流等、甚大な被害が発生しております。この度の災害で亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。今回の大雨による文部科学省関係の被害として、本日9時時点で、学校管理下における児童生徒等の人的被害の報告はありません。物的被害としては、学校施設で19件、社会教育施設等で28件、雨漏りなどの被害が報告されています。なお、熱海市伊豆山地区で発生した土石流による学校施設の被害は報告されておりません。また、本日9時時点で、土砂災害警戒情報の発表等により、休校している学校として16校が報告を受けております。文科省としては、災害に係る情報収集や対応を検討するため、7月1日に災害情報連絡室を設置をし、関係都府県の教育委員会等に対し、児童生徒等の安全確保と文教施設の被害情報の把握、二次災害防止を要請しています。その後、5日には官房長を本部長とする災害応急対策本部に格上げをし、省全体として災害に対応しております。引き続き、関係自治体とも緊密に連携し、被害情報や被災地における課題、支援ニーズの把握に努め、先手先手で被災地の支援を全力で尽くしてまいりたいと思います。
 続きまして、昨日、都内の私立大学等の高等教育機関を訪問し、大学拠点接種や教育研究活動の状況について視察を行いましたので、この場を借りてご報告申し上げます。まず、午前中には早稲田大学を訪問いたしました。早稲田大学では大学拠点接種を昨日から開始したところであり、その実施状況を拝見し、現場では整然と順調に学生や教職員へのワクチン接種が実施されている様子を確認することができました。また、同大学の大学拠点接種の会場であるリサーチイノベーションセンターにおいて行われている世界最先端の産学連携研究の現状も視察をいたしました。同センターでは、企業と共同して社会ニーズに合致する優れた成果を上げている研究の事例として、微生物の培養・解析やデータベース構築に取り組んでおられる竹山春子教授や、物質の界面の研究をしておられる本間敬之教授の研究室を拝見させていただき、視察後には田中総長をはじめ大学の皆様とも有意義な意見交換を行うことができました。また、午後にはですね、テンプル大学ジャパンキャンパスと昭和女子大学を訪問しました。両校が共同で実施するワクチンの大学拠点接種会場や対面授業の様子を視察するとともに、マシュー・ウィルソン学長や坂東眞理子理事長・総長と懇談をしました。1つのキャンパスに日米の大学が併設されていることで、コロナ禍においても、互いに連携しながら多様な教育の相乗効果をあげられていることを、両校の学生との意見交換でも確認することができ、大変貴重な視察の機会となりました。今回の視察で得られた知見については、今後の大学拠点接種や産学連携の促進、コロナ禍におけるグローバル教育など、大学政策等の検討において有効に活かしてまいりたいと考えております。
 続きまして3件目なのですが、7月に入りこれから夏本番を迎えます。熱中症の事例が発生しておりますが、梅雨明けに熱中症のリスクが更に高まることから、今後より一層の十分な対策をしていくことが必要です。文科省においては、これまで熱中症対策に係る取組として、熱中症の予防法や応急処置等の対処法に関する参考資料の作成、各教育委員会への熱中症事故の防止に関する通知の発出や、指導主事向けの会議などでの注意喚起、また、コロナ禍においても運動時のマスク着用が必要ないことについての周知徹底などを行ってきたところです。これらの継続的な取組に加え、本年5月には、環境省と合同で「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」を作成をしました。本手引きは、教育委員会等の学校設置者が、各地域の特性等を踏まえ、独自のガイドラインを作成・訂正する際に活用いただくとともに、学校が危機管理マニュアルの見直し・改善を行う際にも、本手引きの熱中症対策に係る最新の情報や優良事例を参考にしていただくことを想定しています。その具体的内容として、熱中症警戒アラート発表時において学校がとるべき対応や、暑さ指数(WBGT)を基にした学校行事の運営ルールをあらかじめ作成しておくことなどを盛り込んでおります。文科省としては、本手引きを学校設置者や各学校等に更に活用していただくため、公式SNS、メルマガ、行政説明等、様々な機会で周知していくこととしております。今後とも、学校設置者や各学校における本手引きの活用をはじめとした熱中症対策の徹底について、様々な機会を捉え、繰り返し注意喚起を行ってまいりたいと思います。
 最後なのですが、先週ご報告した通り、我が国のスーパーコンピュータ「富岳」が3期連続世界1位ということで評価をいただきました。先日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の橋本会長と安全・安心な大会運営についてお話したことを踏まえ、スーパーコンピュータ「富岳」を用いた感染リスクの試算を行いましたのでご報告を申し上げます。私から理化学研究所に指示をし、東京オリンピック・パラリンピックの会場の1つである国立競技場の環境を摸擬して、飛沫の飛散シミュレーションから感染リスクの試算を行いました。「富岳」での試算結果では、国立競技場の客席スタンドで、全員がマスクをした状態、さらに観客の間に空席を設けることで感染リスクが下げられることなどがわかりました。具体的には、国立競技場の設計通りの空調条件である客席の後方から風が吹いている条件では、感染リスクは限りなくゼロに近いこと、また、客席の前方から風が吹いている条件では感染リスクが少し上がりますが、仮に1万人動員した場合の新規感染者数の試算は1名に満たない程度であることなどがわかりました。本結果につきましては、組織委員会にも共有しており、東京オリンピック・パラリンピックがより安全・安心に運営されるための参考として活用されることを期待しています。私からは以上です。

記者)
 1点質問させていただきたいなと思います。教員免許更新制に関してなんですけれども、昨日の中教審の小委員会の方で文科省の結果として、調査結果としてですね、これまで言われていた教員の負担というだけではなくてその内容に関してもかなり厳しい結果が出ております。それで、これまでの文科省の把握している調査においてはですね、内容に関しては一定評価を得ているというものだったわけですけれども、それとはちょっと違った結果が出ていて、たぶん大学の関係者なんかはショックを受けてらっしゃると思うんですが、この結果に関して、大臣としてどのように受け止めてらっしゃるか。それから、小委員会は、制度の存廃も含めて今後議論するとおっしゃってますけれども、今後の議論にどのようなことを期待されますでしょうか。

大臣)
 昨日開催された教員免許更新制小委員会において、現職教師の教員免許更新講習や現職研修に関する認識等に関するアンケート調査結果が公表されたことは承知しております。教員免許更新制につきましては、従来より、教師が多忙な中で限られた時間を使って更新講習を受講しなければならず、個々のニーズに合った講習ではなく、スケジュール的に受けられる講習を受けているなど、負担感や不満も生じているとの声を私としても聞いておりました。このような中、今回の調査結果は、教員免許更新制に負担感や不満を感じている教師の方が相当数いらっしゃるという状況を反映しているのではないかと思います。教員免許更新制につきましては、本年3月12日に、中央教育審議会への諮問の中で、必要な教師数の確保とその資質能力の確保が両立できるよう、何らかの前提を置くことのない抜本的な検討が行われている途上ですが、引き続き、議論を深めていただきたいと考えております。私としては、そこで議論をしっかりと見守りつつ、スピード感を持って制度改革を進めてまいりたいと思います。満足度、「満足」と「やや満足」を足すと6割という結果なので、必ずしも講義の内容が不満だということじゃないんですけれど、それと、要するに、教師としての現場でのスキルの関係性がないものも受けなければならないので、わかりやすく言うと講義は面白かったけど役には立たないという事態が生じているんだということが、ミスマッチがよく浮き彫りになった結果じゃないかと思っています。

記者)
 冒頭、発言がありました「富岳」の試算についてお伺いいたします。この試算ですが、これは、今、1万人程度の観客というのが言われていますけれどもそれでやられているのか、それともいくつかのパターンでやられているのか。結果としては、先ほど大臣、感染リスクはゼロに近いということだったんですが、これはいろんなシミュレーションをやっても基本的には感染リスクはゼロと捉えていいのか、もう少しちょっと教えていただけますでしょうか。

大臣)
 当初、1万人という数字が決まった後に調査を依頼したものですから、1万人で調査をしました。今、組織委員会の方で、様々な流動的な対応等を考えていることは承知していますけれど、別にそこに、何も1万人を強調したわけじゃなくて、当初1万人を上限で入れましょうということで、最新の国立競技場の場合はどういうことが起こるのかということを、科学的にもですね、しっかり検証しようという中でやったことです。従って、それ以下とかそれ以上の人数のシミュレーションはやっていません。で、唯一あるとすれば、マスクをしている場合と感染者がマスクをしていない場合というのもやっていただいたようでございます。それは、やっぱりその場合には、一定程度数字が上がるということがはっきり見えていますけれども、基本的には、観客の皆さんにはマスクをしていただくし、言うならば、席を空けて座っていただくという前提なので、そうすると国立競技場に限っては、極めて感染拡大は抑えることができるということが科学的にも証明できた、そういう結果だと思います。後ほど資料をお配りします。

記者)
 またオリンピックの観客のことで恐縮なんですけども、観客数を巡っては、最終的な議論が様々でされていると承知しています。観客については、感染リスクから無観客を求める声があったり、一方で、学校観戦プログラムを含めて、大会を楽しみにしてきた方の気持ちや直接観戦する意義もあったりととても難しい問題だと思っています。観客数については文科大臣が直接決める立場にないことは承知しているんですけれども、スポーツ行政を所管する大臣であり内閣の一員である大臣としては、この様々な声をどう受け止めて、観客についてどうあるのが望ましいとお考えでしょうか。

大臣)
 ご指摘の通り、私は直接観客数の数について意見を申し上げる立場にないのですけれど、せっかくの機会ですから、多くの国民の皆さんに、生のですね、競技を見ていただきたいというのは、スポーツを担当する大臣としては多いに意義のあることだというふうに思っていますので、観戦の機会を与えていただければなという期待はしていますけれど、他方、東京都に関して申し上げると、言うならば感染者・陽性者が増えているという事態が続いておりますので、今申し上げたように、例えば国立競技場のシミュレーションで言うと、場内での感染がクラスターに繋がるようなことというのはないというのは、これは専門家の先生も同じようなことをずっと今までおっしゃっていたことの、ある意味、科学的な証明なのでしょうけれど、他方、一定の人が集まるということになると、その前後で人流が発生するということなので、仮に入場者を入れるということになれば、ゲートを絞って時間差で出たり入ったりなんていうことも当然考えなきゃならないということは組織委員会がいろいろシミュレーションしていると思いますので、方向性は、今後、5者協議で決まることになるのだと思います。現場で見たいという人には見せてあげたい気持ちもあるし、感染防止を考えればある程度抑制的にやらなきゃならない、無観客という選択肢も考えなきゃならないという、今そういう状況の中で、最終的に5者協議で決定されるんだと思いますので、その結果を受け止めてまいりたいなと思っています。

記者)
 すみません、関連で。無観客となったら大変残念な思いをする国内観客がたくさん出る一方で、IOC関係者を初め、ある程度の大会関係者は入る予定となっています。これでは誰のための大会なのかと世論の理解も得難いと思いますが、このことについてはどうお考えですか。

大臣)
 いずれの、スポーツの大会というのは、主催者があって初めて実施をされるところもあるので、一定程度の関係者という方が存在することは否めないと思うのです。その関係者の皆さんが、観客席に堂々と座って観戦をされるのか、会場で何らかの形で見守るのかというのは、やっぱり受止めが違うと思うので、そこは、運営上いろいろ配慮していただくことが必要なんじゃないかと思います。去年、夏の甲子園に行きましたけれど、観客は絞りましたけれど、朝日新聞と毎日新聞の関係者は大勢いらっしゃいましたけど、客席には座っていませんでした。特別室に大勢いらっしゃいましたので、そういういろんな対応をするんじゃないですかね。

記者)
 宇宙関連でお聞きしたいんですけれども、3日にですね、北海道大樹町のベンチャー企業のインターステラテクノロジズ社が2度目の宇宙空間到達に成功しました。民間の宇宙会社がですね、次々と、次々とではないんですけども、非常に活発に開発を進めているという現状について大臣の受止めをお聞きしたいのが1つと、もう1つは、地元ではですね、スペースポートを作ろうということで、今年度から会社を設立して計画が本格化しています。文化省の検討会では、今後の検討課題として、射場スペースポートというふうにあがっていましたが、現状でご支援をされる考えですとか、もしあれば教えてください。

大臣)
 7月3日にですね、インターステラテクノロジズ社が、観測ロケット「MOMO7号機」の打上げに成功に至ったことを、大変喜ばしく思っております。世界的に民間企業による小型ロケット打上げが本格化している中で、今回の打上げ成功により、インターステラテクノロジズ社を含む民間企業が、今後も新たな挑戦を進め、我が国の宇宙産業の振興等につながっていくことを期待をしております。また、今後の宇宙開発においては、宇宙ベンチャー企業を含む民間企業の活力を活用していくことが重要と考えており、引き続き、民間企業と連携しながら宇宙開発にしっかり取り組んでまいりたいと思っています。他方、JAXAでも射場を所有したりしていますし、民間の人たちが宇宙開発に参画されることは大いに歓迎なのですけれど、例えば事故の対応とかですね、かなり行政と緊密な連携をとっておかなきゃならない課題というのもあるので、そこは、こういう民間の人たちが参画をされてきたこの時期に、何らかの安全性の確保のためのルール作りというのも必要なのかなというふうに思っておりまして。大いに、民の人たちに参入していただくことは歓迎したいと思いますが、他方、射場の開発ですとか射場の在り方ですとかこういったものについては、少し、しっかり俯瞰をしながらですね、ルール作りというものも併せて内閣府とも検討していきたいなと、そう思っております。

(了)

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大臣官房総務課広報室