萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年11月6日)

令和2年11月6日(金曜日)
教育、文化

キーワード

世界文化遺産の国内候補選定に関する文化審議会への諮問、不登校の児童生徒に対するICTを活用した学習支援、遠隔・オンラインによる学習と授業の代替

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年11月6日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年11月6日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年11月6日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。今日、私からは特別ありません。

記者)
 1問質問させていただきます。昨日、大臣の方で、文化審議会に世界文化遺産の関係で諮問がございましたけれども、改めまして、ご所感をいただきたいと思います。それと加えましてですね、諮問の中で暫定リストの見直しということにも触れられておられますけれども、リストの方から、今後、削除されるというような可能性もあるのかどうか、その辺りについても、ご所感・ご意見がございましたらお伺いできますでしょうか。

大臣)
 我が国では1992年の世界遺産条約批准以来ですね、19件の遺産が世界遺産一覧表に記載され、我が国の文化遺産の対外発信や地域活性化に貢献をしてきました。一方で、国内の世界遺産においても、保存・活用の担い手の減少や開発行為への対応など、世界文化遺産の保存・活用に係る様々な課題が生じており、これらの課題に対応するため、我が国の世界文化遺産の「今後の在り方」について検討する必要があると思っております。こうした現状を踏まえ、文化審議会において、世界遺産一覧表への記載の意義、登録された世界文化遺産の持続可能な保存・活用、世界遺産一覧表の充実に向けた取組などについて総合的にご議論いただきたいと考えております。また、暫定一覧表の見直しについては、こうした議論について一定の方向性を得た後に、必要に応じ、検討していただくことになると考えています。

記者)
 大臣の月曜日の衆院予算委員会のご答弁の中で、不登校とICT教育につきまして、オンラインで授業をすればそれで出席したことになるという形で、そこに易きに流れてはいけないんだという趣旨のご発言があって、これについて、その、ちょっといささか、学校現場で、実際、不登校に向き合っていく先生方の中には、決してオンラインで学ぶということは不登校の子供たちにとっても易きに走るということではないんじゃないかというような声が上がっておるんですが、若干、大臣のご説明の真意がですね、伝わっていないような気がするんですけれども。改めて、どういう狙いでICTと不登校についてお考えなのか、お聞かせ願えませんか。

大臣)
 もしそういう意見があるとすれば、限られた時間の答弁なので真意が伝わらなくて残念です。不登校の児童にとってですね、学校に行かずとも授業を受けることができるオンラインは極めて有効なツールだと思っています。しかしですね、思い起こしてもらいたいんですけれど、20年前までは、不登校児への対応というのは、圧倒的多くの学校がですね、卒業式に卒業証書を配って終わる、その間は、もう言うならば、放置状態になってしまう状況も決して否定できない学校が数多くありました。それは、もちろん、現場の先生方は大変な苦労をされてですね、やっているのですけれど、中々解決策が見い出せないということがあったと思うんです。ちなみに、私は、都議会議員時代のときにですね、地元に、不登校のための小中一貫校というのを構造改革特区で設置を認めてもらいました。今もその学校は存続してですね、一度不登校になってしまったけれども、何とか学校へ戻ろうという子供たちの支援策を続けております。スクールカウンセラーですとか様々な心理士ですとか、こういった方たちも含めて、オンラインで環境が整ったからオンラインを見てくれさえすれば学校に来なくていいよということの易きに流れては困るということを私は申し上げたので、例えば、福岡市のように、ステップ教室のようにですね、みんなと同じ教室ではまだ学べないのだけど、とにかく、学校の校舎の中まで来て、そして、何とかクラスへ戻る努力をしようなんていう子供たちに対して、先生方も色んな努力をしてくれていると思います。そういったですね、当日もお話ししましたけど、同級生が毎日のように手紙を書いてですね、学校へ来いよという声をかけていただいているような、そういう努力を無くしてしまうような方向にいくことはやめてもらいたいなと。すなわち、オンライン授業をやれば、不登校はもう学校へ来なくていいのだというような易きに流れては困るということを申し上げたまでで、ツールとして、ぜひ有効に使っていただくことは結構なのですが、最終目的は、やっぱり、学校へ出てこれるような環境をですね、しっかり作っていくことが大事だと思っていまして、その努力はですね、学校の先生方、大変ご負担ですけれども、頑張ってほしいという意味を込めて答弁したつもりです。

記者)
 デジタルの関連で、先日、11月3日でしたか、平井デジタル改革担当相から、遠隔授業において、受信側の教員配置という現行の規制を見直すという趣旨の発言がありました。言わば、内角高めにボールがきたような感じだと思うんですけども、大臣の受止め、あるいは平井さん、河野さんとの次の会談日程等決まったのがあれば併せてお願いします。

大臣)
 このことも結構正しく報道されていないというか、まだ、お互いの理解度が少ないのだと思うんです。私も、確認したら、平井さんが言うには、在宅で勉強する場合に、そこに教員がいるなんてことはありえないのだから、それは無理だよねということを、私、申し上げたんだよ、と。それはその通りだと。すなわち、例えば、学校で配備をしたパソコンやタブレットを放課後自宅へ持ち帰っていいこと、そして、自宅での勉強をですね、例えば、宿題などをその場で提出を認めると言ったときに、その時に、学校の先生が、各戸のですね、家にいるということはありえない訳でありまして、それはその通りだと思うんです。他方、私が心配しているのは、例えば、河野大臣が言うように、予備校の先生のような人が、上手なテクニックの勉強を一斉にやったときに、受け手になる教室に教員が居なくてもいいという話とは、これ別の話でありまして、初めて来年4月から全ての子供たち1人1台環境が整備されるのであって、このICTというのはあくまでツールであって全てを代替するわけじゃないし、逆に、このツールを上手に使うことによって、子供たちの習熟度・理解度を高めるためには、受け手側にもやっぱり教員がいてですね、そして、画面を覗き込んで声をかけたり質問にその場で答えてあげたりすることで授業の深みを作ることができると思っているので。そこに人が居ないという話とは違うのだというのを今やっているのですけれど、何となく、オンラインがあればですね、余計な大人はいなくても大丈夫じゃないかという、これこそ易きに、反しちゃいけないのだと思っていまして、そこは、よく丁寧に説明をしながら議論していきたいなと思っています。オンラインを上手に使うことを決して否定しませんし、あるいは、4月以降、環境が整備されるとですね、もしかすると、受け手に大人がいなくてもできるいい授業というのもきっと出てくると思います。ただ、正に元年ですよね。今までは5.4人に1台を覗き込んでいた学校現場に、1人1台のパソコンやタブレットが入るっていうのは、正に、来年4月以降が元年です。私、よく自転車とかプールにたとえて言うんですけれど、5.4人で校舎の中で乗り回していた自転車は、今度、エンジン付きで外まで1人1台出ていいよとなったときに、先生は要らないのだという話にはならないでしょうと。そこは、しっかり現場の状況を見極めながら、教員としての役割、ティーチングからコーチングというワードもありますけれど、ご本人が教えなくても、他の人の授業を配信を受けながらですね、現場で逆にコーチングをするというスタッフとしての教員の在り方というのもあるのだと思うので。そこは、あんまり最初から規制改革を前提にやるんじゃなくて、段階的に、しかもその発達段階に応じてね、小学生でも低学年と高学年では使い勝手が随分違うと思うし、中学生になったりすればもっと違うと思うので、そこは、現場の状況をよく見ながらですね、決して抵抗勢力になろうとしているわけじゃなくてですね、子供たちのことですから、後になって想定を超える課題が出てくる可能性がありますので、ここは、大事をとって、一歩一歩前に進めていきたい、それが私の思いです。

(了)

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