萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年9月25日)

令和2年9月25日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

キーワード

文部科学省デジタル化推進本部、自民党教育再生実行本部による決議、行政手続上における印鑑の使用について、政務三役の初登庁時の出迎え対応と就任会見、教育分野のデジタル化のための規制改革、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界文化遺産登録について、少人数学級

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年9月25日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年9月25日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年9月25日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私からは一件です。この後、資料をお配りをいたしますが、「政府一体でデジタル化を強力に推進する」との総理指示や、今般の新型コロナウイルス対策によって明らかになった課題等を踏まえ、文部科学行政の各分野におけるデジタル化を迅速かつ強力に推進するため、本日、文部科学省デジタル化推進本部を設置することとしました。本日2時20分から第1回の会議を開催することとしており、一昨日のデジタル改革関係閣僚会議における動向も共有しつつ、議論をキックオフする予定です。文科省としては、この本部や、今後副大臣を主査として設ける教育ワーキンググループ及び科学技術ワーキンググループにおける検討等を通じて、デジタル化によって目指すべき姿や克服すべき課題、課題解決の方策や関係省庁との連携の方向性等を具体的に深堀りをし、政府全体の動向も見据えつつ、スピード感を持って対応してまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 2点伺わせてください。まず、昨日ですね、自民党の教育再生実行本部の決議文、大臣に手渡されました。決議は、法改正を含めた30人学級の実現とか、高校生の1人1台端末などといった内容となっていますけれども、この決議について、まず、大臣の受止をお願いします。

大臣)
 昨日、自民党の教育再生実行本部から「30人学級の推進及び高等学校のICT環境整備に関する決議」をいただきました。いずれの事柄につきましても、個別最適な学びの実現や今般の新型コロナウイルス感染症の対応等を踏まえれば、非常に重要であるということを受け止めております。まず、決議にある「30人学級の推進」に関しては、菅内閣の下でも存続することとした教育再生実行会議において、小人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備について検討を進めているところです。昨日、第2回初等中等教育ワーキンググループを開催したところですが、学級編成の標準の引下げを含め、引き続き、スピード感をもって精力的に議論を進めていきたいと考えています。また、高等学校のICT環境整備については、地方自治体が独自の財源を確保して端末の調達を進めている事例や個人の端末の持込みを進めている事例など、多様な実態があることや、これまでの高等学校におけるICT環境整備の進捗状況を踏まえ、1人1台端末の実現に向けた検討を進めてまいりたいと考えています。文科省としても、昨日おまとめいただいた決議の内容等も十分に踏まえ、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備や高等学校のICT環境整備について、関係者間で丁寧に議論を進めつつ、その実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。

記者)
 もう一つはですね、先ほどの冒頭発言にも関連するかなと思うんですが、ハンコのお話です。河野行革大臣が、全省庁に対して行政手続きで印鑑を使用しないよう要請しまして、使う場合は、その理由を今月中に回答するよう求めました。これについて、文科省としてはどのような答えをするお考えでしょうか。

大臣)
 9月23日のデジタル改革関係閣僚会議において、河野行政改革担当大臣から、行政手続における押印の見直しに関する発言がありまして、私、登庁後、直ちに担当に指示をしました。文科省としては、「政府一体でデジタル化を強力に推進する」という総理からの指示を踏まえ、現在、文部科学省関係の行政手続における押印について、原則廃止の方向で精査を進めておりまして、廃止できないものに関しては、その理由も含め取りまとめの作業を行っているところです。

記者)
 先日、新任の副大臣、大臣政務官の初登庁や会見が深夜に行われました。働き方改革に逆行しているとの意見もありますが、大臣の受止めや今後の対応についてお願いします。

大臣)
 先週18日ですね、菅内閣の副大臣及び大臣政務官の人事が行なわれ、文科省において、同日夜に新任の副大臣・大臣政務官が初登庁し、就任記者会見が行われました。この日程が深夜に及ぶようになった理由については、通例、初登庁就任会見は就任当日に行ってきていたところ、今回は、翌日から4連休が始まる状況であったことに加え、9月末の概算要求提出期限に向けた対応のため、そもそも政務二役の日程がタイトな状況であったこと等を踏まえたことによるものと報告を受けております。また、多くの職員が出迎えたとの報道もありますが、今回は初登庁・就任会見が深夜に及ぶことがあらかじめ想定されたため、働き方改革の観点も踏まえ、対応する職員を局長・審議官級以上の幹部職員と一部の課室長級職員に限定し、従来よりも大幅に人数を絞る対応をとっていたとの報告も受けております。ただし、今回のこのような一定の事情はあったものの、私としては、これまでの慣例として行ってきた事柄であっても、働き方改革の観点を踏まえ見直すべきは前例にとらわれずに見直すことが必要と考えておりますので、来年以降、政務三役の初登庁時の出迎えについては、原則、夜間の時間帯には行わないことにしたいと思います。また、就任会見についても、これは記者会の皆さんと相談の上ですね、どうしても当日やるという必要性がなければ、翌日等あるいは定例の日にちを改めて設けていただくようにして、お互いに、夜間の時間帯には行わないようにしたらどうかなというふうに思いますので、改めて、広報を通じてご相談をさせていただきたいと思います。

記者)
 大臣の冒頭のデジタル化の関係なんですけれども、一昨日のデジタル改革関係閣僚会議で、菅首相がデジタル教育などの規制緩和を取り上げたいと、進めたいということを指示なさっております。これまで、骨太の方針などでも規制緩和の問題、出てきておりますけれども、大臣として、文科省としてどのように取り組まれるお考えかお聞かせください。

大臣)
 規制改革の推進については、総理からの指示も踏まえ、文部科学行政を力強く推進をしていくために必要な改革をしっかりと進めてまいりたいと思います。教育分野のデジタル化に向けては、現在、遠隔オンライン教育を含むICTを活用した学びの在り方について、中教審や教育再生実行会議等において検討していただいております。具体的には、高等学校における遠隔授業の充実に向けた単位数の算定ですとか、対面による授業の実施などの在り方の見直し、また学習用デジタル教科書を使用できる授業時数の基準の緩和、また、それを含む今後の在り方、大学における遠隔授業の単位上限の在り方を含めたニューノーマルにおける大学教育を実現する方策等について議論いただいているところです。引き続き、新型コロナウイルス感染症への対応の成果や課題も踏まえつつ、これらをはじめとする教育分野のデジタル化を進めるために必要となる改革については、果断に、検討を進めてまいりたいと思っています。

記者)
 少し前の話ですけれども、世界文化遺産についてお聞きしたいと思います。先日、北海道と北東北の縄文遺跡群について、イコモスの調査委員が現地調査を行いました。日本側は一定の理解を得られたという一方で、今後、コロナウイルスでですね、登録の日程が不透明な状況になっています。大臣の受止めとですね、今後の登録に向けた取組を教えてください。

大臣)
 今年の夏に開催が予定されていた世界遺産委員会が延期をされて、現時点で、新たな日程が明らかにされておりませんが、これは特段、日本ですとか北海道、北東北の指定に対して不利なわけじゃなくて、世界共通のルールなので。これはやむを得ないと思います。基本的にはですね、関係自治体と連携しながら世界遺産登録をしっかり目指していきたいと思います。

記者)
 冒頭にありました学級編成の引き下げに関して伺いたいんですけれども。少人数のきめ細かな指導体制の構築に向けた計画的な環境整備というお話しなんですけれども、少人数にするっていうのは感覚的にはいいんではないかなと私も思うんですけれども、その、実際、政策としてやる上では、政策効果というものを説明していかなきゃいけないんだと思っているんですけれども、この辺り、議論がいろいろ分散しているような気がしておりまして、例えば、三密回避であるとか、いじめなんだとか、不登校なんだとか、あるいは学力なんだ、働き方改革なんだと色んな議論がありますけれども、大臣としては、少人数化における効果っていうのは一番どの辺りだとお考えなんでしょうか。

大臣)
 色んな効果が想定されると思います。ただ、先日もちょっと触れたように、例えば、教育的な効果、エビデンスはどうなのだと言われると、その確固たるですね、色んな調査結果はあるのですけれど、それをもって少人数が絶対いいのだと私がこの場で胸を張って報告するまでの知見は持っておりません。しかし、どう考えてもですね、皆さんの会社でもそうでしょうけど、例えば、課があって課員がいらっしゃってですね、人数が多いのと少ないのでは意思伝達っていうのはおのずと変わってくると思います。そういう意味では、今の40人で、今後、授業を進めていくよりは、例えば、30人という数字になった方が、子供たちは先生と接する機会や、また先生も子供たちに注ぐ眼差しの機会っていうのは多くなると思うので、そういったことは大きく期待ができるんじゃないかと思っています。ただ、それは置いておいて、私が、今、この機会にですね、進めさせていただきたいと思ったのは、やはり、今後の新たな感染症などが来たときに、もう学校を止めない、学びを止めない、そのためには、一定のですね、環境を変えていかないと、また一斉休校などを選択しなくてはならない事態にもなってしまうのではないかということがありますので、まさに、令和の時代の新しい学校のスタイルとして、この少人数学級は物理的な方から、数字的な方からまずスタートしたいと思います。で、ご指摘のような色んな効果っていうのは、今後、議論の中で出てくると思いますし、例えば、教育現場の先生方からすると、人数が減ると子供たちに対してもフォローがしやすくなる一方で、親御さんとの対応も、当然少ない方がある意味楽になってくるというのもお声としては聞いていますので、色んな効果は期待できると思いますので、それはあの、追々、またしっかりエビデンスを示していきたいなと思っています。

記者)
 冒頭のところでちょっと重複するところがあるんですが、デジタル化に関して、政府全体でデジタル化を進めていくという方針がある中で、文部科学省として、教育ICTの話もあるんですが、科学技術全体に関して、データ活用や人材育成など、そこら辺の方は、デジタル化に関する重要性に関してお聞きしたいのと、今後の文科省の取組について教えてください。

大臣)
 科学技術・学術振興は、資源の乏しい我が国にとって経済社会の継続的な繁栄を支える極めて重要な取組であり、特に、このコロナ禍というピンチをチャンスに転換するためには、デジタル化をはじめ、社会変革を促す新たな技術開発ですとか、イノベーションの強力な推進、それを支える人材育成、研究環境の整備が重要だと思っています。文科省では、科学技術基本計画や統合イノベーション戦略等の国家戦略を踏まえつつ、Soceity 5.0の実現に貢献する研究環境のデジタル・トランスフォーメーションの推進や、イノベーション創出を支える「富岳」等の世界最高水準の大型研究施設の整備・利活用の促進、感染症対策に貢献する研究開発や社会変革を促すAI、量子技術などの重点分野の研究開発、我が国の抜本的な研究力向上に向けた基礎研究の推進や若手研究者を含む科学技術の人材の育成、宇宙、海洋・極域、また、防災等の国民の安全・安心やフロンティアの開拓等に資する研究開発の推進等にしっかりと取り組んでいきたいと思います。かつて、リーマンショックの後に、研究開発投資が停滞しましたけれども、コロナ禍でその轍を踏まないように、関係府省庁とも連携しながら、しっかり予算を確保してまいりたいなと思っております。また、これらの政策的な意義や必要性を国民の皆様にしっかりと理解していただけるように、科学技術・学術を身近に感じてもらえるような取組もぜひ進めてまいりたいと思いますし、前半でお尋ねのようにですね、こういったデータをしっかり利活用していくっていう意味では、我が国の今置かれている状況では、いわゆるデータを読み取れるデータサイエンティストの数が圧倒的に少ないという指摘をされております。今、国内6大学を拠点に、人材育成を加速しています。来年度の予算の中でもさらにそれを、上乗せをしていきたいと思っていまして、せっかくいいものをたくさん持っているのですけど、それをちゃんと読み取って政策に変換できるような人を育てていくということもこの機会に少し力を入れていきたいなと思っています。

記者)
 先週の副大臣の夜のお出迎えについてお伺いしたいんですが、あの、多分、皆さん、良かれと思って、当日、記者会見もあったので設定されたんだと思うんですが、やはり、大臣も、その、夜やると聞いたときに、やっぱりやめといた方がいいんじゃないかと、そういう判断はなかったんでしょうか。

大臣)
 16日の私の就任の後のですね、慣例で、各省庁へ戻って記者会の皆さんとの就任記者会見をやることについては、再任ということもありましたし、また、私自身、多分順番がですね、5番目と言いながら延びるのは分かっていましたので、官邸を出るのが、多分12時に過ぎになるんじゃないかと。そこから、多分打ち合わせをしてやるとですね、ややもすると、新聞社の皆さん、朝刊にも間に合わない可能性があるのでどうなんですかということを、広報を通じて記者会の方に投げかけた結果、皆さんも、新しい大臣じゃないので、金曜日にやるということでご理解をいただいたというふうに承知をしています。今回につきましては、どちらかというと、新人の4人の皆さんが副大臣、政務官に就任をされて記者会見も予定通りやるということだったので、ちょっと遅い時間で気の毒だなというふうに思いましたけれども、それは了としたところです。ただ、先ほど申し上げた通り、職員の皆さんも、慣例で、遅くまで残って迎えるというのを昔からずっとやってきたのでしょうけど、年々、少しずつ変えてですね、さっき申し上げたように、今回も、かなり、管理職に絞って、出迎えの準備をしたということですし、そもそもその人たちは会見のレクをしなきゃならない人たちとほとんど被っていたということと、それから、今、概算要求の時期なので、予算周りの職員は確かに遅くまで残っていました。で、連休前だったということもあって、そういう人たちも、放送したら、皆さん、手が空く人は集まってくださいという放送に応じて出てきていただいたそうなのですけれども、結果として、伊藤さんが書いたような記事のようなですね、ぱっと見ると、こんな夜中に多くの職員に迎える必要があるのかと言われれば、私は、もう時代がどんどん変わっていますので、今年限りにして、来年からは翌日の定時の中でですね、もし出迎えることができるのだったら、迎えていただいたらどうかなと思っています。

(了)

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