文部科学省特定事業主行動計画(改訂)

「仕事も子育てもがんばる職員支援プラン ~ワーク・ライフ・バランスの実現を目指して~」

平成23年12月9日
文部科学大臣
文化庁長官

1.基本的考え方

 子どもは、我が国の将来を築く「社会の宝」であり、また「国の宝」である。親自身が、子育てをする喜びを感じながら、自分の子どもと他人の子どもとを区別なく、温かく、かつ厳しく、次代の社会を担う子どもを守り育てることができる環境を社会全体で作っていくことは、我々大人に課された課題である。
 このような状況の中で、平成15年7月、我が国の次代の社会を担う子どもたちが健やかに生まれ、育まれる環境の整備に国や地方公共団体、事業主など様々な主体が社会を挙げて取り組むことを目指す「次世代育成支援対策推進法」(平成15年法律第120号。以下「法」という。)が成立したところである。
  法において、国の各府省及び地方公共団体は、行政機関として我が国の子どもたちの健やかな育成のために次世代育成支援対策を推進することに加え、一事業主としての立場から、自らの職員の子どもたちの健やかな育成のために、行動計画を策定・実施することとされている。特に、文部科学省としては、自らの所管行政に照らし、先導的な行動計画を率先して策定・実施していく必要がある。
 こうした観点から、文部科学省及び文化庁では、法第7条第1項の「行動計画策定指針」に掲げられた基本的視点を踏まえつつ、文部科学省及び文化庁職員(以下「職員」という。)が自らの子どもの健やかな育成のために十分な役割を果たせるような環境を整えるため、文部科学省特定事業主行動計画を平成17年3月に策定し、平成22年3月に、計画策定後5年間にわたる取組の実施状況についてのフォローアップ結果を踏まえ、一部改訂を行ったところである。
 平成22年度においては、改訂した計画の啓発を行う一方、仕事と生活の調和のために超過勤務縮減や休暇取得の促進及び業務の効率化のために実効性のある改善提案を職員から募るなどの取組を続けてきた。
 これらの取組を踏まえ、このたび本計画を更に実効あるものにするべく改訂を行う。今後は、平成26年度末までの間、本計画に沿った具体的な取組を推進するとともに、その状況を検証し、職員が次世代育成を行う上でのよりよい職場環境の整備と職員の意識改革を進めていくことが必要である。

2.実現すべき目標

 家庭その他の場において、子育ての意義についての理解が深められ、かつ、子育てに伴う喜びが実感されるように配慮されるという、法の理念を実現するために、本計画を実行し、以下の目標の達成を目指す。

<実現すべき目標>

[1] 子どもの出生時(産前産後休暇期間を含む)における父親の休暇取得率(=男性職員の休暇取得者数/子どもの出生により新たに休暇が取得可能となった男性職員数)を平成26年度までに100%とする。【平成22年度実績:51.9%】
 このために、各年度において以下のような目標を掲げ、段階的に実現することを目指す。

平成23年度

平成24年度

平成25年度

平成26年度

70%

80%

90%

100%

[2] 育児休業取得可能な男性職員の育児休業取得率(=男性職員の育児休業取得者数/新たに育児休業が取得可能となった男性職員数)を平成26年度までに10%とする。【平成22年度実績:8.6%】

[3] 平成26年度までに、午後7時までに「課室内消灯・施錠」を行う日を、各課において年間20日にする。【平成22年度実績:0日の課が26%、1~4日程度の課が51%】
 このために、各年度において以下のような目標を掲げ、段階的に実現することを目指す。

平成23年度

平成24年度

平成25年度

平成26年度

12日

15日

18日

20日

[4] 平成26年度までに、レッツ5ホリデーの取得などを通じて、全職員が夏季休暇を取得することを目指すとともに、年次休暇の平均取得日数を年間12日にする。【平成22年実績:夏季休暇未取得者14.6%、年次休暇平均取得日数9.3日(文部科学省)、10.9日(文化庁)】

[5] 超過勤務の縮減や休暇取得の促進及び業務の効率化のため、各課室において、それぞれの状況を踏まえた取組を実践する。

[6] 職員が、子ども・子育てに関する様々な地域貢献活動等に、積極的に参加できるように努める。

[7] 子育てを支援する諸制度に関する職員の認知を高める取組を行うとともに、職員向けの家庭教育に関する講座・講演会を毎年開催する。

3.目標を実現するための具体的な推進方策

(1)子育てしやすい職場環境の整備

    1)子どもの出生時における父親の休暇の取得の促進

    [1] 各課室長は、父親となる職員の子の出生時(産前産後休暇期間を含む)における休暇取得が促進されるよう、休暇を取りやすい環境づくりに努め、それに対応できるよう、職場全体の業務体制を整える。

    2)妊娠中及び出産後における配慮等

    [2] 子どもを持つことが判明した職員に対し、遅くとも出生予定日の約5ヶ月前までに、所属の課室長・所属課室の庶務担当者に対して、出生予定を報告するよう周知する。

    [3] 子どもを持つことが判明した職員若しくは子育てを行う職員の所属する課室長は、当該職員に対して、育児休業(産前産後休暇期間も含む)、子どもの看護を行う際の特別休暇、年次休暇や早出・遅出勤務制度を活用しやすくなるよう、業務分担の見直しなどを積極的に行う。

    [4] 子どもを持つことが判明した職員若しくは子育てを行う職員に対して、人事上の必要な配慮を行うとともに、育児休業期間の非常勤職員採用などの代替要員の確保についても、必要に応じて積極的な対応を図る。

    3)育児休業からの円滑な復帰

    [5] 育児休業中の職員が所属する課室の職員は、当該職員に対し、課室の業務状況などに関する電子メールを活用した連絡、広報誌等の送付を行うなど、業務に関する積極的な情報提供を行う。また、休業中の文部科学省及び文化庁側の連絡・相談担当を明確にする。

    4)職員に対する情報提供

    [6] 職員の福利厚生事業の一層の利用向上を目指して、各種福利厚生事業を紹介するパンフレット等の資料を作成・配布するとともに、引き続き電子メールや掲示板を活用して職員への情報提供を行う。
     特に、子育て中の職員が利用できる共済組合事業等については、それらの内容を「福利厚生事業による次世代育成支援」としてまとめ、パンフレットに掲載して一層の普及を図る。

    5)転居を伴う異動における配慮

    [7] 職員からの人事調書やヒアリングをもとに、転居を伴う異動について、可能な範囲で、子育ての状況に応じた人事上の配慮を行う。併せて、人事上の配慮を求める職員は所属の課を通じて、大臣官房人事課に対して早めの情報提供を心がけるよう周知する。

    6)宿舎の貸与における配慮

    [8] 大臣官房会計課及び各課室の庶務担当者は、宿舎の貸与に当たっては、国会対応等業務上の種々の要素及び家族構成等を考慮しながら、配慮を行う。  

    7)庁内託児施設(「かすみがせき保育室」)の利用促進

    [9] 事業所内託児施設「かすみがせき保育室」については、電子メールや掲示板を活用して、その利用の促進に努める。    

(2)超過勤務の縮減

    [1] 上司は率先して早期退庁に努めるとともに、部下の勤務時間を的確に把握し、必要やむを得ない場合を除いて、早期に退庁するよう促す。

    [2] 午後7時までの「課室内消灯・施錠」を推進するため、各課室で業務の繁閑を考慮した上で、実施日を事前に局内・人事課に周知し、局全体・人事課でそれを実行するよう促す。

    [3] 必要やむを得ない場合を除いて、業務時間外に会議・打合せの設定や超過勤務を前提とした仕事の依頼を行わないよう努める。

(3)休暇取得の促進

    [1] 各課室長は、各課室員と積極的にコミュニケーションを図ったり、率先して計画的な休暇取得に務めるなど、部下職員が休暇を取りやすい雰囲気づくりや、職員間で業務の協力ができるような配慮に努める。

    [2] 各課室において、四半期毎に休暇計画表を作成・周知し、各課室長は、計画どおりに休暇取得(レッツ5ホリデーなどの連続休暇を含む)が可能となるよう、職員の休暇取得状況を定期的に把握し、必要に応じ職員に対して休暇取得を促す。
     とりわけ、ゴールデンウィーク・シルバーウィーク、夏季及び年末年始においては、積極的にレッツ5ホリデーなどの連続休暇を取得できるよう配慮する。      

    [3] 各課室長は、職員が子どもの入学式、卒業式、授業参観等の学校行事や子どもの誕生日などの家族行事に積極的に参加できるよう、家庭行事を事前に休暇計画表に記入・周知させるなど、休暇取得しやすいよう配慮する。

(4)業務の効率化

    [1] 各課室長は、職員の体調や家庭の事情を可能な限り考慮し、必要に応じて業務分担を見直すとともに、業務の効率化のための具体的な取組を行う。また、省全体でも、行政を取り巻く環境の変化を踏まえ、必要に応じて「業務効率化推進実施計画(第二弾)」を検証し、必要に応じて改訂を検討する。

    [2] テレワークなど、ICT技術や情報通信ネットワーク等を活用した業務効率化について、技術の進展を踏まえて、機密情報の取扱いも含めて検討を行い、可能な限り実施を進める。

(5)本計画及び次世代育成支援のための諸制度の周知と管理職員の意識改革

    [1] 本計画について、本計画の目標及び内容をコンパクトに示したポスターなどを作成し、全職員に対する周知を図る。

    [2] 諸制度について、仕事をしながら子育てをした職員の経験談などを盛り込んだ「仕事と子育ての両立のためのサポートハンドブック」、職員の勤務時間・休暇等制度をまとめた「コンパクト勤務時間・休暇等」の配布などによって周知に努め、職員の理解を高める。特に、子どもを持つことになった職員に対して、各課室長は報告を受けた場合、上記冊子を必ず配布する。      

    [3] 新たに課室長になった全職員に対して、マネジメントに関する能力を高めるための研修への積極的な参加を促す。
     また、補佐級・係長級の研修等については、各職制上求められる職務・役割等を踏まえ、必要に応じ内容の見直しを行いながら、積極的な参加を促す。

    [4] 本計画の推進のためには、職員一人一人の取組とともに、管理職としての各局課室長の役割と意識の持ち様が極めて大きい。このため、管理職の人事評価の能力評価及び業績評価において、評価者は、被評価者の的確な評価を行う。

(6)子どもとふれあう機会の充実と家庭教育支援の充実

    [1] ボランティア活動・体験活動・スポーツ・文化活動関係事業及び家庭教育支援関係事業をはじめとする、様々な子ども・子育てに関する地域貢献活動等に、職員が地域の構成員として積極的に参加することを推奨するとともに、「子ども見学デー」などにおいて、子どもたちに対し業務説明や職場見学の機会の提供などを行い、親子のふれあいを深める機会の充実を図ることにより、家族や社会全体で子育てを支援する意識を高める。

    [2] 職員向けに、家庭教育に関する資料の配付、講座・講演会を実施し、職員の家庭教育に対する支援を図る。

4.推進体制~実効ある計画にするために

(1)職場環境の問題については、職員が自分自身の問題として考え、取り組むことが必要である。
 本計画を着実に実行するため、本計画以外の省内における業務効率化に関する取組とも連動させて、各局官房各課ごとにそれぞれの状況を踏まえた具体的な計画を策定し、取組を進める。また、各局官房各課の取組状況については、必要に応じ、文部科学省特定事業主行動計画策定・実施委員会等に報告する。        

(2)本計画の達成状況については、文部科学省特定事業主行動計画策定・実施委員会等において、毎年度、実現すべき目標を中心に検証を行い、その結果を職員に周知するとともに、翌年度の各局官房各課の計画に反映させ、改善を図る。

お問合せ先

文部科学省大臣官房人事課

-- 登録:平成22年05月 --