本計画は、平成13年度から概ね10年間で実現すべき政策目標を設定するとともに、その政策目標を達成するために必要な施策を示したものであるが、計画の開始から5年間の進捗状況等を踏まえ、今後の5年間の計画として全体の見直しを行ったものである。
総論
1. | スポーツの意義 | ||||||||
スポーツは、人生をより豊かにし、充実したものとするとともに、人間の身体的・精神的な欲求にこたえる世界共通の人類の文化の一つである。心身の両面に影響を与える文化としてのスポーツは、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成や個々人の心身の健全な発達に必要不可欠なものであり、人々が生涯にわたってスポーツに親しむことは、極めて大きな意義を有している。 すなわち、スポーツは、体を動かすという人間の本源的な欲求にこたえるとともに、爽快感、達成感、他者との連帯感等の精神的充足や楽しさ、喜びをもたらし、さらには、体力の向上や、精神的なストレスの発散、生活習慣病の予防など、心身の両面にわたる健康の保持増進に資するものである。特に、高齢化の急激な進展や、生活が便利になること等による体を動かす機会の減少が予想される21世紀の社会において、生涯にわたりスポーツに親しむことができる豊かな「スポーツライフ」を送ることは大きな意義がある。 また、スポーツは、人間の可能性の極限を追求する営みという意義を有しており、競技スポーツに打ち込む競技者のひたむきな姿は、国民のスポーツへの関心を高め、国民に夢や感動を与えるなど、活力ある健全な社会の形成にも貢献するものである。 更に、スポーツは、社会的に次のような意義も有し、その振興を一層促進していくための基盤の整備・充実を図ることは、従前にも増して国や地方公共団体の重要な責務の一つとなっている。
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このように多様な意義を有する文化としてのスポーツは、現代社会に生きるすべての人々にとって欠くことのできないものとなっており、性別や年齢、障害の有無にかかわらず国民一人一人が自らスポーツを行うことにより心身ともに健康で活力ある生活を形成するよう努めることが期待される。 なお、人間とスポーツとのかかわりについては、スポーツを自ら行うことのほかに、スポーツをみて楽しむことやスポーツを支援することがある。スポーツをみて楽しむことは、スポーツの振興の面だけでなく、国民生活の質的向上やゆとりある生活の観点からも有意義である。また、スポーツの支援については、例えば、ボランティアとしてスポーツの振興に積極的にかかわりながら、自己開発、自己実現を図ることを可能とする。人々は、このようにスポーツへの多様なかかわりを通じて、生涯にわたる豊かなスポーツライフを実現していくのである。従って、スポーツへの多様なかかわりについても、その意義を踏まえ、促進を図っていくことが重要である。 |
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2. | 計画のねらい | ||||||||
我が国においては、年間労働時間の短縮や学校週5日制の実施等による自由時間の増大、仕事中心から生活重視への国民の意識の変化などにより、主体的に自由時間を活用し、精神的に豊かなライフスタイルを構築したいという要望が年々強まっている。 しかしながら、一方では、科学技術の高度化、情報化等の進展により、人間関係が希薄となり、精神的なストレスが増大したり、日常生活において体を動かす機会が減少し、体力が低下したりするなどの心身両面にわたる健康上の問題が顕在化してきている。中でも、次代を担う子どもの体力が低下傾向にあることは、将来の明るく豊かで活力ある社会の形成にとって、極めて憂慮すべきことである。 また、我が国は、平均寿命の伸長と出生率の長期的な低下という少子・高齢化に直面しており、2050年(平成62年)には、ほぼ3人に1人が65歳以上のいわゆる老年人口となることが予測されている。このような社会において国民が全体として生涯にわたり健康的で明るく、活力ある生活を送ることが、個々の国民の幸福にとどまらず社会全体の活力の維持のためにも強く求められている。 このような社会環境の変化に伴い、国民のスポーツの実施目的、実施内容も高度化・多様化し、行政や関係団体等に求められる内容も変化してきている。 一方、アテネ夏季オリンピック競技大会にみられるように、我が国のトップレベルの競技者の世界の舞台での活躍は、国民に大きな夢と感動を与えるものであり、今後の国際競技大会における活躍への期待も年々高まっている このような状況の中、現代社会におけるスポーツの果たす意義、役割を考えたとき、国民のスポーツへの主体的な取組みを基本としつつ、国民のニーズや期待に適切にこたえ、国民一人一人がスポーツ活動を継続的に実践できるような、また、競技力の向上につながるようなスポーツ環境を整備することは、国、地方公共団体の重要な責務である。こうしたスポーツ振興施策を効果的・効率的に実施するに当たっては、施策の定期的な評価・見直しを行いつつ、中・長期的な見通しに立って、スポーツの振興をめぐる諸課題に体系的・計画的に取り組むことが求められている。 本計画は、このような視点から、スポーツの機会を提供する公的主体及び民間主体と、利用する住民や競技者が一体となった取組みを積極的に展開し、一層のスポーツ振興を図ることにより、21世紀における明るく豊かで活力ある社会の実現を目指すものである。 |
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3. | 計画の主要な課題 | ||||||||
本計画においては、上に述べたような「ねらい」を踏まえ、今後のスポーツ行政の主要な課題として次のものを掲げ、その具体化を図ることとする。
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また、地方公共団体において、本計画を考慮しながら地方の実情に即したスポーツの振興に関する計画を定めることとなっているが、これらの計画とあいまって、スポーツ振興のための各種施策を総合的かつ積極的に推進していくこととする。 なお、これらの施策の実施に当たっては、国や地方公共団体における連携はもとより、スポーツ団体相互の連携の促進に努めるとともに、公的主体と民間主体との間の役割分担にも配慮しつつ、スポーツ団体や国民各層に対して積極的に各種施策を周知するなど効果的な推進に努めていくこととする。 |
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4. | 計画の性格 | ||||||||
本計画は、スポーツ振興法に基づいて、長期的・総合的な視点から国が目指す今後のスポーツ振興の基本的方向を示すものであると同時に、地方公共団体にとっては、地方の実情に即したスポーツ振興施策を主体的に進める上での参考指針となるものである。現在、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現すること等を基本として、地域の特性を生かしつつ、魅力ある地域づくりを進めている各地方公共団体においては、自らの選択と責任に基づく主体的な地域づくりの一環として、創意と工夫を凝らしたスポーツ振興施策を推進することが期待される。 また、民間のスポーツ団体においては、本計画で示された基本的なスポーツ振興の方向を踏まえて、各団体に期待される役割に応じ、その事業活動の強化を積極的に図るとともに、必要な組織体制の充実に努めることが望まれる。 |
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5. | 計画の実施 | ||||||||
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スポーツ・青少年局企画・体育課
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