総合型地域スポーツクラブ育成マニュアル 3-3 クラブ何でも相談室

Q5 総合型地域スポーツクラブを育成していく上で、学校の運動部活動との連携をどのようにとったらよいでしょうか。

 A どのように学校の運動部活動との関係を構築していくかは、多くの地域において、総合型地域スポーツクラブを育成していく上での大きなポイントになるでしょう。そこで重要になるのが、子どもたちのスポーツ環境を一層充実させるためには、部活動とも連携した総合型地域スポーツクラブが望まれているという観点です。クラブの皆さんは、学校の体育施設に活動の拠点を置くために、単に自分たちの活動の場を借りるという姿勢ではなく、地域住民である子どもたちのスポーツ環境を良くするという理念で、学校の運動部活動との連携を考えていきましょう。
 学校や運動部活動指導者の皆さんも、現在の運動部活動では補いきれない場合もある子どもたちのスポーツニーズに応えるとともに、完全学校週5日制に伴う子どもたちのスポーツ活動に対する場の提供という観点で、また、開かれた学校づくりの一環として学校体育施設の共同利用を一層促進するという観点で、総合型地域スポーツクラブとの連携を考えていきましょう。
 行政の担当者は、市区町村教育行政の中で、ともすればこれまで必ずしも十分でなかった学校教育とスポーツ振興の担当の間での情報交換に努め、情報の共有を図りましょう。
 今後の子どもたちのスポーツ環境をどのように整備していくのかを、子どもたちに関わる様々な人たちが、子どもたちを主役として話し合い、つくり出していく必要があるということからスタートしましょう。

Q6 総合型地域スポーツクラブのバリエーションにはどのようなものがありますか。

 A 先行的にクラブつくりに取り組んでいる事例等の中から、そのいくつかを紹介します。
 (1) 小・中学生を中心とした青少年層を対象に立ち上げた事例があります。このクラブでは、地域のスポーツ少年団などの単一種目のチームをすべて融合し、さらに中学校の部活動の一部(土日の活動)をスポーツクラブの活動に位置付けて小中一貫で連動させています。学校と地域がうまく連携したクラブつくりです。このことは、子どもたちの教育という点からも有意義です。開かれた学校づくりは総合型地域スポーツクラブの起点になります。学校側に働きかけるには、市区町村教育委員会の学校教育を主管する課との連携が必須です。
 (2) 成人を主な対象として立ち上げた事例があります。地域では、学校開放施設の利用者として多くのサークルが活動していますが、それらで構成する施設ごとの組織を立ち上げの母体にしたものです。クラブは利用施設に集うチーム連合的な組織になるわけです。その上で、それぞれのサークルの活動を少しずつオープンにしていって、徐々に総合型地域スポーツクラブ化していくものです。
 (3) これは少し独特な地域性が背景として必要なのかもしれませんが、クラブを自治会などの活動としてしまって住民すべてをクラブ会員とする事例もあります。この方法は住民の合意さえ得られれば行政にとって比較的取りかかりやすいでしょう。
 (4) 行政が調整役となり、体育協会やレクリエーション協会それに体育指導委員などすべてのスポーツ関係団体を網羅して組織の再編を図りながら、クラブつくりに取り組んでいる事例があります。これも行政が力を発揮する手法の一つでしょうが、長期的な展望を持った取組がないと、単なる組織の再編にとどまり、クラブの育成にまで至らないおそれがあります。
 (5) 海外では有名な国際的イベントを運営するクラブもあります。日本でも、地域のイベントを運営するために力を合わせたグループが母体になっている事例があります。
 (6) 地域にあるプロチームや企業のトップチームが母体となって行政が支援しながら総合型地域スポーツクラブに移行する事例も出てくるでしょう。

 いずれにしても、総合型地域スポーツクラブは、地域の実情に合わせて地域住民が創るクラブですので、クラブ設立のきっかけや経緯は様々でしょう。それぞれの地域で、既存の枠にとらわれず、自由な発想からスタートしましょう。

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スポーツ・青少年局生涯スポーツ課

(スポーツ・青少年局生涯スポーツ課)

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