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第3章 4取組課題候補:行政情報提供

4. 取組課題候補2:行政情報提供
(1)  課題実施の意義と背景
 ここでは、中央省庁や地域の行政機関が保有する資料や情報を体系化した上で、地域住民や行政職員・議会議員に提供することを想定している。公共図書館は、行政職員や議員に対して、行政資料の情報提供機能だけでなく、政策立案等、仕事上の課題解決のためのレファレンス・サービス機能も有すべきである。文書館、行政機関内部の図書コーナーや議会図書室も同様のサービス機能を部分的に有しているが、全行政部署の資料・情報を通じた横断的な調査、及び国や他自治体の資料・情報等と組み合わせた調査を行える点では、公共図書館が有効であると言える。
 現在推進されている三位一体改革、市町村合併や地方再生の動きが期待する地域ごとのまちづくり、むらづくりは、行政機関内部のみで検討、実施することではない。むしろ、民主主義の成熟化に伴って、地域住民による市民社会形成への直接的な参画が求められている。まちづくり計画の基本構想に委員となったり、市民ボランティアとして従事したりするケースが考えられる。こうした場合に備えて、自分の住む地域における行政情報の把握が必要となる。あるいは、PFI事業化手法注釈23や指定管理者制度による公共サービス提供も、民間事業者の経営ノウハウの活用による地域社会形成の手法の一つと言える。
 また、本課題が想定する行政情報とは、行政上のあらゆる資料・情報を対象としている。すなわち、白書・年鑑・統計資料、条例等の例規集、予算・決算資料、本会議や各審議会・研究会における配付資料や議事録、報道発表資料・広報紙、公告・入札・調達情報、住宅地図・路線価図等行政機関の各部署が提供している資料、情報である。更に、地方自治体を紹介・記載している新聞・雑誌の記事やメディアでの放映状況も含められる。利用者にとっては、これらの資料・情報が、どこの部署によってどのような目的で作成されたか、関連する資料が他の部署にあるか、等のキーワード情報を付した上で、電子資料の形で体系的に、なおかつ、履歴的に検索・取得できることが望ましい。加えて、行政資料は専門用語が含まれ地域住民に馴染みにくい部分がある。従って、行政資料と一緒に参考事例集や行政文書を解説する資料があると、利用者の理解が進む。
 以上を踏まえると、本課題は、資料を組織化し選定・提供する公共図書館の特長が活用でき、行政資料の電子化及び統一した概念に基づくキーワード情報添付というICTの活用要素が含まれているテーマであり、適切な判断の出来る自立した個人の形成や適切な行政判断・執行に寄与するテーマであると言える。

注釈23   Private Finance Initiative:公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う新しい事業化手法。民間の資金、経営能力、技術的能力を活用することにより、国や地方公共団体等が直接実施するよりも効率的かつ効果的に公共サービスを提供することを目指す。公共図書館では、三重県桑名市(平成16年10月開館)をはじめとして、数例がある。(出典:内閣府PFIホームページ

(2)  詳細課題一覧
 行政情報提供として、取組可能な詳細課題は以下のとおり。
行政職員、議会議員に対する政策立案支援サービス
利用者の担当行政分野に関するこれまでの行政情報の一覧表示、隣接自治体、同規模自治体、都道府県、所管中央府省の行政情報の提供
政策立案に必要な行政情報に関するレファレンス・サービス(行政資料や関連資料の所在確認、事実調査等)及び外部の専門機関紹介(業界団体連絡先等)
生活課題や問題に関する行政情報の提供
「公害」等の日常生活上の障害を感じた時の行政手続に関する仕組(例:電車の騒音に困っているときの対処)及び申し込み手続資料の出力
上記の行政手続に関する有識者の意見が掲載されている新聞・雑誌記事、専門書、他の自治体における取組事例集のある図書・雑誌等の提供
「公害」等の原因等を理解・解明するための行政設置の研究機関等が保有している科学技術情報の書籍・雑誌等の提供
文書館、行政機関内部との連携
取り扱う資料・情報によって区分すると、公共図書館が、印刷・出版された複製資料を主要対象とし、貸出等を伴う利用を基本とするのに対し、文書館はオリジナル(原本)の現物文書を主要対象とし、保存を重視する。
また、公文書館法では、国、地方公共団体が事務処理上利用状態にある公文書(現用文書)を、文書館の収集対象から外しているため、利用状態にある公文書を含めて公文書すべてを対象とする情報公開制度と区別する必要がある。以上を踏まえると、公共図書館がハブとなり行政機関内部の各関連部署と連携することが必要となる。

(3)  公共図書館の役割と効果
 公共図書館が当該自治体に限らず、関連自治体、周辺自治体、都道府県、所管中央府省の行政情報を主体的に提供することは、地域住民の地方行政への参画意識向上を促すことになり、地域コミュニティの発展に貢献すると言える。

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