ア |
図書・雑誌・新聞等の出版物は,現代社会における知識と文化の有力な流通手段であり,将来,人類の文化遺産となる。これらの様々な出版物を収集・保存し,様々なサービスを通じてすべての人々に提供する図書館の基本的役割は今後も変わらない。これに加えて,インターネット等の電子情報へのアクセスを提供するとともに,電子情報を発信あるいは保存することもこれからの図書館の役割である。 |
イ |
図書館がその役割を十分発揮するには,他のメディア提供手段(書店,マスコミ,インターネット),社会教育施設に対して持つ特性を明らかにし,それを生かすサービス方法を考えることが必要である。 |
ウ |
図書館は,他のメディア提供手段(書店,マスコミ,インターネット)と比べて,出版物に発表された正確で体系的な知識・情報を蓄積・保存して提供するとともに,マスコミやインターネットが提供する情報を案内・提供することができる。この点で,あらゆる情報を一個所で提供しうる「ワンストップサービス」機関であり,職員がそれを案内するサービスを行う点に特徴がある。 |
エ |
図書館はすべての主題の資料を収集しているため,調査研究や課題解決に際して,どのような課題にも対応でき,どのような分野の人々にも役立つ,また,関連する主題も含めて広い範囲でとらえ,多面的な観点から情報を提供することができる。 |
オ |
図書館は,図書館ネットワークを通じて,資料や情報をやり取りし,多様な資料やサービスを提供・保存することができる。(1)国立国会図書館-都道府県立図書館-市町村立図書館からなる階層的ネットワーク,(2)近隣の複数の市町村立図書館からなる広域ネットワーク,(3)学校図書館,大学図書館,専門図書館との館種を越えた協力・連携など,多元的なネットワークを構成している。全国的なネットワークを確立するとともに,将来は,アジア地域や世界的なネットワークなど,国際的なネットワークに発展することが期待される。ネットワークを発展させるには,前提として各図書館の充実が必要である。 |
カ |
図書館法第2条では,図書館の目的として,教養,調査研究,レクリエーションの三つが挙げられ,すべての図書館で住民の調査研究を支援することが求められている。第3条では,すべての図書館がレファレンスサービスを行うことが求められており,そのためには優秀な司書が必要であると考えられる。第3条第7号では,図書館が時事に関する情報や参考資料を作成して利用者に紹介することを定めている。社会が多くの課題を抱えている現在,この点をもっと重視し,取り組むべきである。 |
キ |
図書館が長期にわたって利用されるには,空間(施設)・人(職員)・資料の3要素の充実のほか,レファレンスサービス,リクエストへの対応など,図書館サービスの基本を忠実に実行することが必要である。 |
ク |
全国どこでも図書館サービスを受けることができるようにするには,図書館の設置を促進する必要がある。中学校区などの生活圏に図書館を整備することが必要である。人口当りだけでなく,可住地面積当りでの図書館の整備をめざすことも必要である。 |
ケ |
図書館は,海外の図書館のように,教育プログラムやアウトリーチ活動などを積極的に行い,魅力的な図書館づくりを行うべきである。 |