第4回全国家庭教育支援研究協議会議事録

議事録

 皆様大変お待たせをいたしました。只今よりファザーリング全国フォーラムinしが 分科会1 第4回全国家庭教育支援研究協議会 共に育み、共に育つ。そして、学びを支え合う~学校・家庭・地域において我々は何ができるか~を開催いたします。
 先ず、はじめに主催者を代表いたしまして、文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課長 笹井弘之よりご挨拶させていただきます。笹井課長よろしくお願いいたします。

 皆さんこんにちは。只今ご紹介をいただきました文部科学省の男女共同参画学習課長をしております笹井と申します。本来ですと私共の生涯学習政策局長の合田がご挨拶を申し上げるべきところ、本日所用により出席できませんでしたので私の方から一言ご挨拶を申し上げたいと思います。
 先ず、はじめに昨年の東日本大震災でお亡くなりになりました方々に深く哀悼の意を表しますと共に、ご家族あるいは被害を受けられた皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 さて、イクメンという言葉、非常に我々にも、人口に膾炙した言葉になってまいりました。本日ファザーリングジャパン様のファザーリング全国フォーラムinしがというこの場をお借りいたしまして、私共文部科学省主催 滋賀県教育委員会様共催のこの分科会の開催をさせていただきましたところ、このようなたくさんの皆様方にご出席いただきまして、ここから御礼を申し上げたいと思います。
 先程イクメンと申し上げましたが、今回のこのファザーリング全国フォーラムinしが 都から発信 父親の笑顔・母親の笑顔・子どもの笑顔が社会を変えるというテーマで、3日間に亘って行われるわけでございます。イクメンを始めといたしまして色々な方々が、学校やあるいは地域で、子どもの健やかな育成というものを、今色々な取り組みの中で図っているところでございます。こういう地域ぐるみで子どもたちを育んでいくことに対しましては、私共文部科学省の方でもお手伝いをさせていただいているところでございます。
 また、先程申し上げました東日本大震災を契機といたしまして、人と人との絆あるいは子どもを育むことの重要性が再度認識されてきているところでございます。
 その一方で、今子どもたちを巡る状況、あるいはその子どもたちを育成する我々大人の状況も変化してきているところでございます。不登校あるいはニートと呼ばれるような状況に陥っている人達。また、体験活動が重要であると言われておりますが、そんな体験をしたくとも中々そんな機会に恵まれないような人達。こういった状況にあるわけです。
 また、核家族化ということから、保護者になってもどのようにして子どもたちに接すればいいのか学ぶ機会も、本来であれば自然に学んでいくのが望ましいわけですが、中々そんな機会に恵まれないということもございます。
 こうした中で、文部科学省といたしましても家庭教育支援に力を入れているところでございます。社会的自立に向けて、育ちに応じた関わりを行っていきますと共に、親子が地域やあるいは学校とつながりを持って、豊かな人間関係の中で育ち合い、学び合うことが非常に重要であると考えておりまして、そのための連携協働を図りたいと考えているところでございます。
 文部科学省ではこのような状況を踏まえまして、現在、家庭教育支援に関しての検討会を開催しているところでございます。3月までにはこの検討会の報告書をまとめたいと考えており、また文部科学省のホームページ等でも広く周知を図っていきたいと考えております。
 本日のこの研究協議会もそういった家庭教育支援について、みんなで考えていこうというものの一環でございます。地域で家庭教育支援に携わっていただいている皆様方、あるいはNPO、企業、また私共のような行政関係者等々、多数の色々な関係者の皆様方が一堂に会して家庭教育支援、効果的な取り組みに関しての情報交換、あるいは良い取り組みに関しての共有を、この研究協議会を通じて図っていきたいと考えているところでございます。
 この研究協議会は昨年から始まりまして、今回が4回目になります。本日はこの後、京都大学霊長類研究所の正高信男先生からの基調講演。その後、正高先生にも加わっていただきまして、竹原様、新庄様の事例発表で松田先生のコーディネートによりますパネルディスカッションを予定しているところでございます。短い時間ではございますが、今回の研究協議会が皆様方の色々な取り組みにとって、是非役に立つような研究業議会であれば大変ありがたいと考えているところでございます。
 最後になりましたが、この会を催すにあたりまして、ファザーリングの実行委員会の皆様方、また共催いただきました滋賀県教育委員会様、その他たくさんの方々にご協力をいただいております。ここから御礼を申し上げまして本日の研究協議会が有意義なものとなりますよう、皆様方のご協力をいただきたいと考えて私のご挨拶とさせていただきます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

 笹井課長、ありがとうございました。開会の挨拶でございました。
 それでは早速、基調講演に入らせていただきます。講演タイトルは「いまこそ父親力を」。京都大学霊長類研究所教授 正高信男様による基調講演です。正高先生のプロフィールはお手元の資料をご覧いただきたいと思います。それでは早速ですが登壇していただきましょう。皆様大きな拍手でお迎えください。正高信男先生です。
 正高先生、宜しくお願いいたします。

 みなさんこんにちは。只今ご紹介に与りました正高といいます。よろしくお願いします。京都大学霊長類研究所の教授をしておりまして、こう言いますと大抵の方が「ああ、京都の人だな」とお考えと思いますが、先ずその誤解を訂正させていただきます。
 霊長類研究所は京都大学に所属しておりますが、京都にはありません。どこにあるかと言うと、愛知県の犬山にありまして、最近はお城ブームで犬山城にロンブーの淳が来るなど話題になっていますが、そんなところに我々の研究所は所在しているわけです。因みに京都大学の組織で京都にないのは、今流行の原子炉とうちだけです。原子炉は大阪の泉南にあって、我々は愛知県にある。従って私は愛知県からやってきたというわけでありますが、私自身は大阪生まれの大阪育ちの関西人であります。霊長類研究所の教授をかれこれ16~7年やっているのですが非常に不幸なのです。何故不幸なのかと言うと、大阪人と愛知県は合わないという。皆さんの中に愛知県出身の方がいらっしゃいますか。いらっしゃらない。いらっしゃらないのであれば言いますが、愛知県は酷いところですよ。何が酷いと言って、先ず、最大に酷いのは食い物が不味い。何でも味噌付ければいいと思っているのですね。だから耐えられないのです。従って、本当は勤務しなければいけない日ですが、こういうところへ来て講演しているのですが、関西に来るのは極めて嬉しいことであります。関西に呼んでいただく分には喜んで来るという次第です。実は用事があって昨日来たのですが、お好み焼きを食べようと思ったのです。「千房」に行こうと思って―――別に「千房」が好きではありません。しかし取り敢えずの選択肢として京都駅辺りには「千房」しかないから、「千房」はたいして美味しくないけれど、愛知県のお好み焼きよりは100倍美味しいから、「千房」で辛抱して食べてやろうと思ったら、昨日は閉まっていました。夜しょうがないからラーメンを食べに―――「たからや」をご存知だと思いますが、「たからや」にラーメンを食べに行こうと思って―――最近は京都駅の「たからや」がなくなったから、わざわざ本店の三条木屋町まで行ったら「たからや」がないのですよ。皆さんはなくなったことを知っていますか。しょうがないから「珉珉」で餃子を食べながら、おじさんに聞けば「たからや」は倒産したらしいですね。何がショックと言って―――昨日から凄くショックなのですが、二度と「たからや」のラーメンは食べられないのかと思った。それでも仕方がないと思って、こんな話をしていてもしょうがないのですが。
 何が言いたいかというと、大阪文化が好きだということです。大阪ローカルの、関西ローカルのテレビ番組も好きなのです。だから昨日一晩仕事をして、今朝は午前中ずっと暇だったのですが、暇な時に何をするかと言えば、平日はホテルで朝の10時からやっている「よ~いドン!」というテレビを見るのが好きなのです。皆さんご存知ないですか。全然知らないようで、真面目な方が今日は多いみたいですね。では話を止めますが、次はそれを見ていたのですが、ということはどうでもいい話でありまして、その「よ~いドン!」は実は8チャンネルの関西テレビでやっている番組です。それを見るがために、その前の9時台から8チャンネルを点けていたのです。何をやっているかと言うと、「とくダネ!」という―――これはご存知ですよね。小倉がやっている朝のワイドショーをやっていたのです。そこで凄く面白いものをやっていました。今日「とくダネ!」をご覧になった方はいらっしゃいますか。いない・・・今日は真面目な方が多いですね。話が全然乗らないですね。「とくダネ!」で今日は何をやっていたかと言えば、金曜日でアメリカのニュースを現地から放送するという話です。娘のコンピューターを壊した親父の話をやっていました。見ていましたか。見ていましたよね。あれは無茶苦茶面白かったですよね。
 娘が15歳になるのだそうですが、Facebookで親の悪口をたくさん書いた。何を書いたかと言えば、「家の親はとんでもない親だ。私が学校から帰ってきたら、先ず家の手伝いをさせる。先ず、掃除・洗濯・料理・食事。私はメイドではない。メイドには〇〇がいるじゃないか。それなのにどうして私はこんなことをしなければいけないのか。その後は勉強だ。私はもう気が狂いそうだ。」といったことを、Facebookに親の悪口を書いたのだそうです。それを父親がFacebookで見た。そして激怒した。激怒してどうしたかと言えば、その激怒した自分のメッセージをYou Tubeにアップした。ビデオでアップして、そこで「娘よ、俺が子どもの時は、そんなことは当たり前だった。そんなふうにして働くのが子どもというものだった。それをお前は一体どういうつもりだ。」と言って、最後に何をするかと言えば、娘さんが持っているラップトップのコンピューターをそこへ置いて、ノースキャロライナの畑か何かで、「もうこんなコンピューターは壊してやる。娘、見ていろ。」と言って、自分でピストルを持ってきてバンバンと弾を撃ってお終いなのです。その時に9発撃つのですが、最後のメッセージが傑作で、「この弾は1発1ドルする。9発撃つから9ドルはお前が払え。」尚且つ―――そのラップトップは親が買い与えたらしいのですが、「今度ラップトップを買うときは、お前が自分の金で買えよ。」とYou Tubeにアップして、それが結構アメリカで話題になっているという話をしたのです。
 それを見て「とくダネ!」の笠井さんというアナウンサーの方がコメントするのです。笠井さんという方はイクメンのはしりのような方です。私は昔「たまひよ」の創刊1周年記念のシンポジウムがあってベネッセに呼ばれたときに、一緒に並んでしゃべったことがあるのですが、育児に熱心な方でいわゆるイクメンのはしりです。僕位の歳だと思いますが、「まあ、なんて酷い親子だろう。」と言ったのですね。「呆れた。こんなことをやり合っているなんて、とんでもなく呆れた。」もっと彼が呆れたことは何かと言えば、それをテレビのニュースで3大ステーションの1つのNBCが放送したのだそうです。こんなことをやって面白い親子がいるという話で。
 この父親の態度をアメリカで、―――Twitterか何かでやったのでしょう。「あなた方はこの父親の態度をどう思いますか。」支持するか、批判するか、どちらでもない、とやったら、何と73%のアメリカの親が「支持する」と出た。ということで「アメリカは何ていう国だろう」と言って番組のそのコーナーは終わったのです。
 私が面白かったのはその逆でありまして、それを「なんていうことだろう」という日本の風土が極めて日本的。ある意味でアメリカとは全く違う子育てに対する態度が出ていると思って感心しました。一言で言うならば、アメリカの子育ては私に言わせれば、非常に極端に言えば、父性中心の子育てだと思いますね。それに対して日本は何かと言えば、基本的に母性原理のようなもので子育てをしている。
 それは未だに、こんなに世の中はグローバリゼーションしている中でも、全然解消されていない。解消されるどころか、こんなにインターネットが発達している、いろんな情報が交錯しているにも関わらず、増々その違いが精鋭化している可能性すらある。
 それは例えば、保育の現場に行けば一番よく分かります。保育の現場で携わっている先生方に―――アメリカですよ。子どもにとって求められる資質、一番望まれる資質。幼児教育において育まなければならない資質は何かと問えば、判で押したように欧米では2つのことを言います。
 1つは何かと言えば、セルフエスティーム。これはそもそも日本語に非常にし辛い言葉なのですが、敢えて日本語に訳すと自尊感情ということだと思うのです。つまり自分が自分であるということが凄く大事。自尊感情を育むということが保育の第1番目の目的なのです。
 もう1つの目的は何かと言えば、ジャスティスということです。公正であること。つまり、セルフエスティームとジャスティスというもの。両方ともこれは日本には凄くそぐわない言葉で馴染み難いのですが、それを育むのが幼児教育だという。
 日本はどうか。日本で昔、保育の現場の先生にアンケートで聞いたことがあるのです。何かと言えば、これも判で押したように2つです。99%一緒です。
 何かと言えば、思いやりと優しさ。これも逆に言うと、思いやりを英語にしようと思ったら合った言葉が中々ないのです。優しいというものも意外にないのです。いわゆる日本的な優しさ。その2つなのです。
 僕はよく保育学会などに行って講演させられた―――今はさせられない。あまり悪口ばかり言うから呼ばれなくなりましたが、行くと、ここに書いてあるのですよ。思いやりと優しさを・・・そこでそんなものやってもしょうがないといった講演をするから、凄く評判が悪いのですが、しょうがないことはないけれど、しかし「思いやりと優しさ」「思いやりと優しさ」「思いやりと優しさ」・・・いわゆるこれは母性原理ですね。母親から子どもに対して、相手の気持ちを汲んであげて、相手が願っているようなことをするのが思いやりで、良いことであって、それが優しさであるということばかりやって、それがまるで人類普遍の子育てのし方であると思ったら、少なくとも―――良い悪いは置いておいて、それは大きな間違い。
 少なくともアメリカではそんなことはしていないということです。従って、アメリカの子どもさんは3歳位になると滅茶苦茶悪いですよ。実際に見に行かれたら分かると思います。
 日本の子どもは、それは良い子です。実に従順な良い子です。何故かと言えば子どもの時からちゃんとお母さんが丁寧に育てているわけです。日本の最近の話では、お母さんが虐待をするなど、色々問題があると言われますけれど、母親がやっている育児の質をアメリカと比べたとしたならば、日本の方が格段にレベルは高い。しかも日本の母親はもの凄い時間を子育てに費やして、子どもを大事に育てている。極端な話をすれば寝る時を考えてみれば分かります。日本は添い寝をするわけです。
 向こうはそもそも添い寝をしないのです。それをそもそも育児の時間やエネルギーに入れたなら話にならない位違うわけです。
 日本の子どもさんはある意味、お母さんにくるまれて非常に健やかに、従順に育っているわけです。
 アメリカはそうではないわけです。ある意味ではポンと突き放しているわけです。そして3歳位になると自我が芽生えてくるから「いろんなことをやりたい!」と言うわけです。すると親は「駄目!」と言うわけです。子どもはキーっとなります。しかしそのコンフリクト。そこで自分の思い通りにならないということをエネルギーにしてステップアップしていく。どのようにステップアップするかと言えば、自分の要求が親に対して通らないと聞いたときから、親に要求が通らないのであれば、幼稚園にいる仲間でやろうとなって、如何に園児の仲間関係の中で、自分がイニシアティブを取るか。テイク・イニシアティブ。イニシアティブを取ってやるかということに、子どもたちは最大限のエネルギーと頭を使う。アメリカはテイク・イニシアティブということを子どもの時から徹底的に仕込まれて大きくなっていく。だから何かあった時には、先ず、自分が率先してやる。
 日本は違いますね。例えばここで何かお話会をして、分科会でしゃべろうとしても、皆一応はシーンとしています。その時に率先して最初からしゃべるというのは、変わり者ではいますが、大体は嫌われますね。その時はみんな「うんうん」と聞いていて、後で「あの人何?」と言うでしょう。そんな時に最初からイニシアティブを取ったら浮くわけです。そうではなくて、適当に先ずみんなの空気を読んで、そこの中で何となく相手があまり軋轢を感じないような、それとないところから話を持っていかなければ、うまく盛り上がらないという雰囲気になる。といった違い。
 それは何故かと言えば、まさに日本はある意味で極めて母性が強い。それに対して向こうは父性的だということになる。しかし、今まではそれでも何となくうまくやってきた。
 その1つの理由は何か。先ず1つは、昔は地域というものがあった。母性ばかりを家で注入して、お父さんが家で全然育児をしない。高度成長期はそうですよ。エコノミックアニマルと言う言葉があった。家庭など顧みずに働いて、全然子育てをしなくても、子どもには周りにいろんな人がいて、それがいろんなことで社会を教えてくれたという時期がありました。
 ここにファザーリングという言葉が書いてあるそうですが、我々生物学者は、ファザーリングという言葉はあまり言いません。マザリングという言葉は言います。ペアレンティングという言葉もあります。
 ではこういうものはどう言うのか。我々はアロマザリング。これも日本語になりにくい言葉ですが、英語で書くとAllo mothering。要するにマザリングでないペアレンティングという意味ですね。育児の意味です。これをアロマザリングと言います。僕はこれを別に否定するわけではないですが、ある意味で非常に良い言葉。日本にもアロマザリングはかつてあった。ところが今はもうないわけです。地域が無くなったから。いまどき地域はないでしょう。例えば私は今京都で、いろいろNPOで活動していますが、今の京都の街中には本当に子どもがいないですよ。ご存知だと思いますが。だから今は小学校の統廃合が凄いですよね。この間聞いたら、京都駅の前の辺りの、東本願寺、西本願寺があるところで、4つの小学校を統合して、1学年がやっと50人位で・・・37~8と言ったかな。「それで1クラスにするか2クラスにするか1学年揉めているのです。」という位しか子どもさんがいない。祇園祭の薙刀鉾の稚児を連れてくるのが大変なのです。城陽かどこかの子どもが来ているわけで、いまだに鉾町と呼ばれるようなところには小さな子どもなどいません。爺婆ばかりです。そんなところでは逆に言えばもう子育ても何もない。それがこの辺りの先、南草津に行ってください。京都に住むのはもう無理ですね。土地がありません。高い。暑い。厚生施設も良くない。京都市は福祉も良くない。
 滋賀県は結構良い。力を入れているというので南草津の辺りにみんな住むわけでしょう。そこに行ったらどうなっているかと言えば、高度成長期の団地の再現に近いものだけど、今度は小さい子どもさんをもった家庭ばかりが増えるわけです。
 そこであっという間に子供が増えたら、困るのは幼稚園・小学校ですよ。何故なら子どもが急増するから。それを収容するだけの学校を作らなければいけない。それが日本はずっと上がっていくのです。上がっていったらどうなるかと言えば、一斉に生まれた子どもたちが幼稚園を出て小学校に入り、小学校から中学校に行き、中学校に入った頃にはもう幼稚園は閑古鳥が鳴いていて、ガラガラで潰れるわけです。中学校、高校、大学と出て行ったら、また今度は京都の街中と同じ、あるいは大阪の千里ニュータウンと同じ老人の町が、今から30年位したら南草津に出現するわけです。それはコミュニティとは言わない。
 コミュニティというのはそこの中に老若男女全部がいて、それ自体が独立して持続可能性を持っていないと駄目。子どもは、普通はそういうところで育つ。そういう中でいろんな人を見て育つ。その中でアロマザリングをされていたのですが、今や日本はそういう状況ではなくなってしまった。
 だから今の日本の子どもは、少なくとも思春期以降になったら、親と教師以外の大人と口をきくという機会が圧倒的に少ない。誰か調べたらいいと思います。一体、今の中学生以上の人間が大学に入るまでの間に、どれだけの間、どれだけ親や教師以外の人間の大人と口をきいているか。会話をしているか。非常に少ない。そんな中で社会的経験を積むということは不可能に近くなっている。
 それからもう1つ。それは何と言ってもこのバブル崩壊の影響ですよね。昔の右肩上がりの時は日本的でも良かったのです。むしろ、高度成長期は日本成功の秘密ということが言われた。日本人論ということが盛んに言われて、日本的であるから日本は高度成長を遂げたというわけです。例えばいわゆる阿吽の呼吸というやつです。空気を読む。思いやりを持つ。優しい。それだからこんなに上手くいった。日本的な組織。日本的な人間関係だから上手くいった。と言われていた。
 アメリカは駄目だと言われていた。アメリカは駄目。あんなやり方をしていたらぶつかって、中々物事が上手く進まないと言ったのです。
 しかし世の中は変わるもので、今はむしろそうではなくなってきている。今はどうなったかと言えば、見れば分かると思いますが、極めて文科省風に言うと、生きる力というものが弱い子どもさんが非常に出現している。何故か。それは母性しかないからです。そこで父性を注入して、社会の中に出て行って、自立した人間として行動するという力が、幼少期から育まれていない子どもさんが圧倒的に多い。
 それは私自身、霊長類研究所というところは、学部はないのですが大学院生は来ます。大学院生を見たら、はっきり言ってうんざりします。言っては悪いですが。うんざりするのはどう言えばいいか、男にうんざりする。今日本で元気なのは女。
 爺婆は別ですよ。彼らは元気すぎます。京都でも観光旅行するのは止めてほしいと思います。京都のバスに爺婆を乗せる専用バスを走らせろという位鬱陶しいですが、それは置いておいて、元気なのは女性です。
 ニュースを見ていれば分かるでしょう。日本のスポーツを見れば分かります。スポーツで活躍しているのは、女子サッカーを始めとして、みんな大体において女性。スキーのジャンプでも。女性は溌剌としている。
 駄目なのは男。打たれ弱いですね。はっきり言って話にならない。笑っていられるならば良いですが、私達は笑っていらない。そんなやつを相手にする。そして何を言うかと思ったら「一体、自分が何をやりたいのか分からない。」まさにセルフエスティームがないからですよ。自分というものを今まで考えてきていない。そして何となく親の期待。要するに親の背中を見て育つ。だから良い子ですから、親の期待を察して、親が言わなくてもそれを自分自身に取込んで、そして自分というものを作っていって、親の言うとおりに上手くいって、大学まで行って。大学までだったらいいのです。大学の学部は一応先生の授業を聞いて知見にすればいいわけです。
 ところが大学院というものは、先生の言っていることを聞いていたのでは駄目なのです。自分で研究課題を見つけて立案してやるというところに来ると、もう全然出来ないです。男は出来ない。例えば僕の隣の研究室にいた男の子ですが、2年位経ってから僕のところに来て「大学院を辞めることにしました。」どうしたのか聞けば、「自分で一体自分が何をやりたいのかよくわかりません。」どうするのか聞けば、「自分を見つめ直したいと思います。」見つめ直すためにどうするのかと聞けば、「オーストラリアに行ってワーキングホリデーをしようと思います。」それは中々良いから、ついでにアフガニスタンに行って撃たれてくればいいのではないかと言ったのです。すると隣の司書さんが、「先生よく言ってくださいました。」という話があります。
 オーストラリアに行ったとしても自分は見つからないと言うのです。そんなものが見つかるわけがないわけです。それを「お遍路する」などと阿呆なやつがたくさん出てくるのはどうしてかと言うと、それは一言で言うと、まさにそういう父性というものを注入することが全くない状態で、いまの日本の子どもたちは大きくなった。
 よく言われるのですが、企業の中にも私の知り合いがいるのですが、日本の社会にはっきり言って未来はない。そんなものがインドや中国に、絶対に勝てるわけがないのです。今の日本の若い男の子を見ていて、勝てるとは到底思えない。インドも中国も一応は知っていますからね。
 向こうは違うわけですよ。まだ一所懸命頑張れば、一所懸命がんばって、良い大学に行って、良い就職をすれば、良い暮らしが待っていると思っているわけです。日本のいわゆるカー・クーラー・カラーテレビの頃の時代。だから一所懸命やれば良い暮らしが待っている。
 今、日本の子どもでそんなことを思っている子はいないでしょう。良い暮らしとは何?スマホ?スマホにしても安いものじゃないですか。液晶テレビ?今時ラップトップのコンピューターでも3万円で買えますからね。では別に欲しいものや良い暮らしというものが何だか全く分からなくなった中で、そういう子どもさんは「一体自分が何をしたらいいか分からない。」と言う状況になってきている。
 そして社会自体が極めて閉塞的な状況になっています。社会の状態が閉塞的になっている最大の原因は何かと言えば、僕に言わせれば、日本人が基本的にリスクを冒すことに対して極めてネガティブ、消極的です。昔からそうだったのですが気が付かなかった。いつ気が付いたのか。
 昔、日本人論ということが盛んだったころに、こんなことが言われました。アメリカは離婚率が高い。凄く離婚する。あんなに家庭が滅茶苦茶で離婚率が高い。あんな社会では日本と違って社会自体に調和がないから、そんなところで高度成長は達成できないだろうということを真面目に言われた。
 よく考えれば何故離婚したらいけないのですか。因みに僕は離婚していませんよ。していませんが、何故離婚をしてはいけないのか。考えようによっては当たり前なわけですよ。1回結婚してみなければ分からないことは世の中にたくさんあるわけでしょう。皆さんもおそらくそうですよね。結婚したらあんなに酷かったと思う事はたくさんあるでしょう。しかし皆さんは離婚した人もいるけれど、しなかった人がおそらく多いと思うのです。何故かと言えば、離婚して、離婚のために払うエネルギー・労力まで考えて、もう1度リセットしてやり直そうと考えたときに、「もうあれでいいか。もう1度やったからと言ってよくなる可能性はあまりないかもしれない。そうならば嫌だけれど取り敢えず辛抱しておこう。」と思っていませんか。今までそう思って子どもを作ってきませんでしたか。それは良いことですか。一概には言えないですね。つまり「俺はこれでは嫌だ。やめよう。リスクを冒してでももう1度リセットしてやり直そう。」ということは凄く大事。確かに家庭は離婚率が高いかもしれない。
 アメリカはその代わり、転職率も凄く高い。転職も離婚も発想は一緒。日本は転職がないわけですよ。ご存知のように男の方が多いから、日本は未だに終身雇用制でしょう。未だにこの不況下でも、ともかく大学を卒業見込みでなければ企業は雇用してくれないという話があるわけです。だから1度就職に失敗したら困るから、その時は留年して、5年行ってでも大学学部卒にして就職トライするわけです。こんな阿呆なことはないですよ。何故なら、そんなものが会社に行った時に上手くいかない。「俺にはこれが職業として向いていなかった。」ということは山のようにある。
 その時にアメリカではどうするかと言えば、―――あるいは上司が変な奴だった。「もうあんな奴とは付き合っていられない。」と思ったら、アメリカであれば結局辞めた方が良いのですよ。辞めてどうするかと言えば、他の職を探せばいいのですよ。向こうはいくらでも中途採用をしてくれますから、「そうですか。ではあなたを採りましょう。」と言って採ってくれるわけです。それがアメリカにおいては、今、企業の活性化の原因になっている。
 日本はいくら言っても、今、終身雇用制度を潰そうとはしないですね。おそらく無理でしょう。何故しないか。それはそういうリスクを冒すことに対して、入った会社の人間たちも、採っている方も非常に消極的。従って出来るだけリスクの低い方法で、安全策で人事をやろうとしてくると、こんな不況になって閉塞感が出てくると負のスパイラルになって、もう二進も三進も行かない。その時に―――ユニクロはどうするか知りませんけれど、ごく1部の企業を除いて、「いや、止めましょう。アメリカ式にして中途採用をどんどん採りましょう。逆に辞めてもらっても良いです。」ということはしなくなっている。それは日本のいろんなところで、―――家庭問題もそうですが、一緒。日本は、今は何らかの形でリスクを冒して、それで尚且つリセットしてもう1度トライしようとしない。そのことのツケが―――昔は良かったのですね。昔は終身雇用制・年功序列賃金制度で良かった。何故良かったのか。それはどんどん子どもが後から増えてきている限りはいいですよ。これからは子どもが減る一方なのです。減る一方の中で今の日本型の雇用システム、あるいは社会システムを続けている限りは、もうどうしようもないという状態になりつつある。
 そして今の若い人たちを見ていると、これから先改善する余地は無い。もっと悪くなっていく一方であるとしか考えられない。例えば、文科省が最近躍起になっていっていることで、日本の学生を留学させよう。僕も実は学位を取って―――昔、サルの研究をしていましたから。サルの研究なんて就職口は中々無いわけですよ。だから学位を取っても日本に就職口がないので、アメリカに行って、84年から86年までアメリカで働いていた。1ドル250円の頃です。今は1ドル70数円ですよね。3年間向こうで働いて、そして日本へ戻ってきた。
 今の若い子はそういうことをしない。何故か。はっきり言って、一旦日本を出たならば根無し草になる可能性があって、今度戻ってくるときが怖い。一体、戻ってくる場所があるかどうか怖い。僕らの時はそこまで考えなかった。しかし今の子どもは本当によく考えるのです。
 だから今僕が驚くのは、大学院に入っていて―――男の子ですよ。「学業を続けていくことが経済的に困難だから、大学院をやめて働きます。」と言う人がいるのです。皆さんはどのように思われるか知りませんが、我々の頃は「はあ?」という感じで・・・。実は僕らの時も不況だったのですよ。僕は1977年に大学卒業です。その頃は酷い不況で、僕は大阪大学なのですが、京都大学の理学部―――理学部というものはあまり就職口がないところで、理学部にある求人広告はわずか1個だったらしくて、「王将の店長募集」しかなかったという話なのです。しかし無かったとしても我々の頃は、それは当たり前だし、大学院で研究していくのに飯を喰うなんて―――基本的に米と納豆と味噌汁があれば喰っていけるわけで、生活などというものはもうカツカツで当り前で暮らしていた。
 それから比べたら今の子どもさんは至れり尽くせりいろんなことをしている。例えば、学会発表をするといっても、全部●●や交通費まで支給して、コンピューターも与えて、それでも尚且つ、生活していく先行きがないからと、まるで爺のようなことを言うのです。年金をもらえない。そしてやめます。お好きなようにやめればいいと思ってやめさせますが。と言う位、ある意味―――それは男ですよ。女の子はそんなことを言わないです。だからそういう状況に今はもうなってきている。
 その位今の子どもたちには、自分に少々何か今あったとしても、先行きが分からなくても、思い切り何かをやってやろうという力がない。ではこれから先それをどうやって変えていくかと言うと、まさにこのファザーリング。あるいはアロマザリングとも言いますが、育児というものを1度考え直して、母親がやる育児ではない、いろんな人間が関与して、そこで1人の子どもが自立したい時に、その自立を促す。そして「私はこう言う人間として、こういうことがやりたいのだ。」というイメージが持てて、それをアピールする子どもさんを育てる。これをやらざるを得ないだろうと思います。従って、その為にみなさんは1つのミッションを担った方々として、非常に大事な、ある意味でこれからの日本の将来を背負っている―――もちろん外国人を導入すればいいのですが・・・日本にもっと来てもらったらいいのですが、それは置いておいて。少なくとも今の日本の子どもさんを育てるためには大事な使命を持っていらっしゃるのであろうと思います。
 但し、言うことは1つ。男が、あるいは別に親でなくても良いのですよ。今嘆かわしいのは何度も言いますが爺婆です。今日もいらっしゃるのにすみません。たまに爺婆見えますから言いますけれど、孫ばかり可愛がる爺婆がいます。あれはけしからんですね。自分の孫だけ可愛いという。それは日本に割と多いです。
 欧米は違いますよ。一番の例が、日本では養子制度が全然普及しない。いわゆるAdopted-childです。無い。日本の養子は何かと言えば、自分に子どもがないから、財産を継いでもらう人がいないから養子にとって、その代わりに自分の老後を見てもらおうとするものしかないわけです。あれが養子制度なのです。だから虐待の問題が出てきて、日本で虐待問題があっても、究極的に解決できない。何故できないのかと言えば、それこそ今テレビで「虐待のサインがあったら早く見つけましょう。通報してください。」それは通報することも大事ですが、いくら通報してもらっても、虐待されている子を親から離しても置いておく所がないわけですよ。結局のところ。
 欧米はあるのです。何故ならば、養子にとってくれる人間がいくらでもいるから。
 日本は子どもを養子にとってくれる人がいないから、問題解決しない。
 アメリカで養子にとってくれる人は、どういうつもりで子どもを養子にとるかと言えば、それは、いわゆる爺婆が、自分たちは子育てを終えた。無事に子育てを終えることが出来た。子どもは立派な大人になった。そのことを神に感謝して、今度は自分が神に恩返しするために、恵まれない子どもをもう1人とって育てます。というふうにします。だからヨーロッパ、アメリカという国は意外に保守的で、意外に宗教的なのです。
 しかし日本にはそういう発想がゼロでしょう。日本でそんなことを思っている人は、僕が知っている限り1人しか知り合いの中にはいません。日本ではそういうふうにして養子をとる人は全然いない。しかし大事なのはまさにそういった発想であって、皆さんも大事なのはもちろん自分の子どもをちゃんと育てることです。それを離れてみんな誰の子どもであろうと、自分の子どもと同じように叱り、しかもある意味で愛するという姿勢をもっていただきたい。
 もう1つ、2人母親になってはいけないということです。これは意外に多い。つまり、口うるさいお父ちゃんです。お母ちゃんがもう1人いるということです。これは困る。現に多い何よりの理由に、そういう育児雑誌がたくさんあるわけです。例えばAERA with Kidsやプレジデントファミリーです。子どもを賢く育てる方法などが書いてあるわけです。僕にもプレジデントファミリーが取材に来たのです。1度は応じたのですが、「お宅等こんな雑誌―――AERA with Kidsもそうですが、AERAは母体が朝日新聞じゃないですか。プレジデントはダイヤモンド社ですよ。AERAなどは新聞の方では偉そうなことを書いているくせに、一方ではお金儲けのためかどうか知りませんが、子どもを有名な市立小学校に入れる方法や、子どもの頭を賢くする方法など、こんな記事を書いて恥ずかしくないのか。恥を知れ。金儲けさえできれば何でもいいのか。」と言ったら、もう2度と来ません。しかし友達には「よく言った。」と言われました。あんな雑誌は最低ですよ。プレジデントファミリーとかAERA with Kids。あんなことまでして金儲けしようとなった時から日本は駄目になったのです。しかしあれが読まれていることが・・・。読まれているということは父ちゃんが読んでいるわけですよ。父ちゃんは読んで何をしているかと言えば、自分の子どもを一所懸命賢くして、有名私立中学に入れようと思っているやつが、世の中には大勢いる。今はともかく不況ですから、会社に行っても面白くないという男親は大勢いるでしょう。行ってもしょうがない。金もない。だから酒を飲んで遊ぼうと思っても金がない。風俗行くにも金がない。することない。時間が余っている。しょうがないから子育てを一所懸命やって、子どもを盆栽のように育てて、賢いペットのように育てようと思っている人がいたら、それは反省しろ。
 反省してそういう子育てではなく、本当に自分のゲームのようなつもりで子育てをするのではなく、次世代をちゃんと日本に残していって、これからの閉塞的な状況を打破しようという展望もって、世界観を持って、子育てをイクメンとしていただきたいという話をしたら、丁度4時15分になりましたので、終えさせていただきます。
 どうもご清聴ありがとうございました。

 ありがとうございました。
 大変楽しいお話しを聞かせていただきました。ちょっと意外なお話も飛び出しましたが、基調講演を修了いたしまして、この後パネルディスカッションに移らせていただきます。パネルディスカッションのご準備がございますので、しばらくお待ちいただきたいと思います。

(00:46:16~00:47:55 パネルディスカッションの準備)

 はい、それでは引続きましてパネルディスカッションに移らせていただきたいと思います。コーディネーター並びにパネリストの皆様方はご登壇いただきますようお願いいたします。
 それでは先ず、参加の皆様方のご紹介に移らせていただきます。
 先ず、コーディネーターをご紹介いたします。当分科会のコーディネーターは東京学芸大学教授 松田恵示様でございます。大きな拍手をお願いいたします。
 続きまして3名様パネリストのご紹介をいたします。先程大変楽しい基調講演をしていただきました、京都大学霊長類研究所教授の正高信男様でございます。
 そして横浜市立東山田中学校コミュニティハウス館長 竹原和泉様でございます。
 そして地元を代表いたしまして、おおつ男性会議代表世話人の新庄博志様でございます。
 それでは早速コーディネーターの松田恵示様に進行をバトンタッチいたしますので、宜しくお願いいたします。

 それでは改めまして皆様方どうもこんにちは。今、正高先生の非常に刺激的なお話を受けて、今度はそれを地域の中で具体的にどのように考えていくのかということをテーマにいたしまして、パネルディスカッションへ入らせていただきたいと思います。
 そう言いますと、家にもプレジデントファミリーがあったかなと思いながら、これは拙いなと思って聞いていたのです。
 このパネルディスカッションのテーマは、今もアロマザリングというキーワードをいただきましたが、家庭教育支援が、基本的には1つ1つの家庭が本当にしっかりできるように、グッと閉じて頑張っていきましょうというイメージではない。むしろ家庭教育であるからこそ様々な多様なものが入ってくる、あるいはみんなで行っていく、そういった違うものとの出会いがもっと積極的に図られなければいけない。そんなところがおそらく底に流れる大きなテーマになっていると思います。
 そういうことを考えるために、先ず今日は各地域で非常にいろんな実践をなさっているお2人の方に、先ずその実践の報告をいただいた上で、正高先生にもお入りいただいてディスカッションを進めていく。そんな段取りで進めさせていただければと思いますので、宜しくお願いいたします。
 それでは時間もそんなにございませんので、先ず竹原様の方からご報告いただきたいと思います。それではどうぞよろしくお願いいたします。

 こんにちは。横浜からまいりました竹原でございます。私は、横浜の港北ニュータウンに7年前に開校した中学校の中にあるコミュニティハウスの館長として、学校と地域を結ぶ中でどのような活動をしてきたか、特に今日はお父さんに視点を合わせお話をさせていただこうと思います。

 先ず、お手元にもありますが、お父さんが子どもと一緒に楽しむ機会を作っています。赤ちゃんからお年寄りまで来る施設ですが、「パパと一緒に遊ぼう!」という年間プログラムがあります。7年前には安藤さんに来ていただき、「パパ's絵本プロジェクト」というお父さんも一緒に絵本を読もうというプログラムをしました。お父さんの社会参加・地域参加はきっかけがなければできないのですが、おそらくこういうプログラムは、先ずお母さんが葉書を出して、何だかわからないけれど「行ってきて」と言われたお父さんが来るという状況だと思います。他のお父さんに会って「みんなもっと頑張っているぞ。」「なんだ、僕のように妻に言われて来た人もいるけど、率先して来た人もいるのか。」ということに気がついて帰ることもあります。

 3校の小学生が参加する「土曜クラブ」では、天体観測を年2回行っています。夜なので必ず付き添いが必要なので、お父さんが来ます。保護者参観の日も行けないような本当に忙しい方が、夜であれば何とか来られるということで来られます。土星の輪を望遠鏡で見て子どもと一緒に感動し、家に帰ってからも「今度は天の川を見てみよう」「金環日食があるから一緒に見たい」とその後も子どもと一緒に動けるお父さんになっていただけばと思っています。
 また、夏休みにデイキャンプをやっています。最初の頃はこちらが企画していましたが、今ではお父さんたちが企画運営をしてます。天体観測に付き添いで来ていたお父さんたちが、いつの間にか関わってくださるようになりました。近くの竹やぶから切り出した竹でそうめん流しをしたり、竹筒でご飯を炊いたりといったことをする中で、お父さんたちが横のつながりを作り、我が子が卒業して中学生になっても活動しています。
 「我が子のことだけではなく」と先程のお話にもありましたが、我が子が入り口ではあったけれど、いつの間にか地域の子みんなに対しての思いが伝わるような活動になっています。子どもを核にお父さんが社会参加をして、お父さん同士の横のつながりができます。おそらく大津の方もみなさんそうしていらっしゃると思いますが、こういう小さな動きがまちの豊かさにつながっていくことでしょう。

 次に、お父さんが「キャリアを活かす」場面があります。お父さんたちはそれぞれ仕事の場――商店をやっていたり、ビジネスマンであったり、様々なキャリアを持っていらっしゃいますが、そういうお父さんたちが職場での体験を語ったり、職場に中学生を迎え入れることもあるかもしれません。そして、もう自分の子どもはずいぶん大きくなってしまった長老のお父さんたちも、地域には大勢いるのですが、そういう方たちも関わってくれています。東山田中学校ではキャリア教育を地域との連携の軸、子どもたちを育てる軸にしています。1年生は「プロに学ぶ」といって、若い職業人に等身大の話を聞きます。2年生は「職場体験」で約100カ所―――1学年300人以上おりますので、2~3人ずつ企業が受け入れてくださっています。またリクルート社の協力で東山田中学校版タウンワークを作っています。
 3年生は入試前の面接の模試。今までは校長先生や担任の先生がやっていたのですが、地域の町内会長さんや民生委員さんやリタイヤしたビジネスマン、―――つまりちょっと偉そうな方たち。こんなことであれば昔はいくらでもやったという方たちが面接官をしてくださいます。面接官をしてくださることはとても良いことで、地域の中に、中学生のことを理解をする人がたくさん増えて、応援団が増えていきます。中学校の悪い噂は半日で地域に広がり良い噂は中々広がっていかないのですが、この面接をしてくださった方たちは、「中学生と一対一で話ができて本当に良かった。」「思ったよりも中学生は真面目だった。」「良い子ばかりだった。」と地域で語ってくださり、応援団になっています。
 これから東山田中学校キャリア教育についての5~6分のDVDを流します。ほとんど目で見れば分かるような流れになっていますので、地域の方、お父さんたち、企業の方たちがどのように関わっているかご覧ください。
 毎年年度末に、キャリア教育に関わってくださった地域の方、企業の方、先生方、コーディネーター、保護者の方が一堂に会して交流会をしています。それぞれの思いを共有し、まちのつながりが深まるようにという企画です。
 このDVDは新入生の説明会に流したり、新任の先生や転勤していらした先生たち対象の4月の研修会で使っています。時として、「昨年はやったけれど、今年はやらない。」「今年は3日お願いしたけれど、来年は1日で良いです。」ということが起こります。地域や企業の方は本当に心を込めて中学生を受け入れてくださるのですが、毎年コロコロ変わらないように、こういうDVDを作っています。「10年後の社会人」というハンドブックも作って、企業にとってどんなメリットがあるか、企業はどのように関わっていただきたいか、他の企業はどんな思いでやっていらっしゃるのかなども伝えています。

 これらキャリア教育で地域と学校をつないでいるのは学校支援地域本部という全国で広がっているコーディネート組織です。現在3000校位ありますが―学校が地域と一緒にやりたいけれど、校長先生や副校長先生、担当の先生だけではできないことで、地域の市民の発想の方がより豊かにできるかもしれないことをコーディネートし、先生方がお忙しい中、職場体験先の開拓、ハンドブックの編集、キャリアの交流会運営等をしています。
 先程のお話にもありましたが、中学生は家族、先生、プラス塾の先生位しか大人とは会わない。地域の方や企業人と会うことはほとんどありません。斜めの関係と言われていますが、そういう機会を作ることが、将来役立つのではないかと思って活動しています。
 学校支援地域本部ではホームページも運営しています。このホームページのプロバイダ契約から入力まで現役世代のお父さんたちがやっています。もちろんメーリングリストで連絡を取り、月一回土日にミーティングをしながら、学校に関わることができます。元々このお父さんたちはネットデイという、学校の中にネット環境を整備するために、天井裏の配線やサーバー設置などのためにボランティアとして出てきてくれた人たちです。その後学校からお呼びがかからなくて、折角そういう思いがあった人達が何かできたらという人が中心に学校支援地域本部のホームページを運営しています。ホームページの中にコミュニティカレンダーというものがありますが、これは紙ベースで先に出たものですが、3つの小学校と中学校、そして地域の行事がすべて掲載されているカレンダーです。私は3人の子を伴いフランスとアメリカでそれぞれ5年間過ごしました。転勤族の妻としてアメリカでPTA活動をしたときにこのカレンダーがあり、語学が堪能でもなく、地域の事情に詳しくなくても、ボランティアとして参画できたのは、このカレンダーのお陰なのです。ニュータウンの新設校で帰属意識が薄く、中々ボランティアに出てくる機会が見つけられない人たちにとって地域情報を知ることで1歩を踏み出せるのではということで、全国に先駆けて作りました。すでに全国各地で緑やピンクのカレンダーがつくられています。このカレンダーに関心を持ってくださいましたら、データをエクセルで差し上げられるので、どうぞたくさん作っていただければと思っています。

 最後に、お父さんたちがさらに深く学校に関わる仕組みにコミュニティスクールがあります。地域運営学校というもので現在日本で約800校あり文部科学省は全国の1割の学校まで増やすと明記しています。それは今までの公立学校という考えをさらに進めて、地域のみんなが担い手として子どもを育んでいくというコンセプトだと思います。一口で言えば、学校の最大の応援団ですが学校関係者評価もしますので、ある時は辛口の友人としての立場もあります。詳細は文部科学省のホームページを見ていただければと思います。
 お父さんたちは土曜クラブの天体観測に来ること、キャンプやHPの運営にかかわること、そして学校運営協議会のメンバーになることなど、参画の場やその度合いはさまざまで、色々な出番が用意されていると思いますので、子どもや学校とかかわり、力を発揮されたらどうかと思っています。
 震災の時に学校が地域の砦であったということは証明されました。避難所運営が自治的に立ちあがったところは、日頃から学校と地域が上手く連携していたところであったということが、宮城県の調査で証明されました。日々子どものために、大人も楽しみ、学びながら活動することは、いざという時に力を発揮すると知りました。
 今日は一地域の事例としてご紹介でき感謝しています。ありがとうございました。

 横浜の非常に活発な取り組みをご紹介いただきました。学校と地域が非常に連携を強めているということと、特にその中でもお父さんの役割が、例えば天体観測という夜と言いますか闇と言いますか。そういうものに関わって、お父さんが前に出てくる。あるいはキャンプという抗うことのできない大きな自然のところで、お父さんが前に出てくる。また、これはお父さんだけの事ではないと思いますが、仕事ということでお父さんが出てきている。また、お父さんの関わり方、分担の在り方等についても、具体的なご事例をいただけたのではないかと思います。
 それでは続きまして、このまま新庄さんの方にもご紹介いただければと思いますのでよろしくお願いいたします。

(01:12:07~01:13:20 は2本目のデータと重複)

 改めましてこんにちは。おおつ男性会議の新庄と申します。本日は主催者の1人といたしましても、本当にご熱心に皆様ご熱心にこのフォーラムにご参加いただきましてありがとうございます。地元ということで、僕等はイクメンという育児の世代が過ぎたメンバーばかりなのですが、イク爺も最近は少しずつメンバーの中に増えてきている状態でございますが、我々の活動を中心にお話をさせていただきたいと思います。
 我々のおおつ男性会議は、2003年にこの大津市で日本女性会議という催しものが開かれました。そこの男性の実行委員が、「折角集まったのだから同窓会でもしていこう。」ということで集まったメンバーが、年間何回かお酒を飲みましょうという軽い気持ちで始めたグループでございます。その後いろんな方々から後押しをしていただきまして、なんとかこの8年間頑張って事業を続けてこられたという状態でございます。
 先ず、DVDを用意させていただきましたので、それを見ていただきたいと思います。これは大津市内にあります小学校を1日お借りしまして、我々のメンバーや、地域の方、地域の大学の学生さんなどが先生になりまして、三世代交流を一つのテーマとして、お爺ちゃんからお婆ちゃん、そして小さいお子さんやベビーカーの子どもも含め、いろんな方が一緒になって授業を受けて、1日学校の体験をもう1度やってみようという事業でございます。1度ご覧いただきたいと思います。お願いします。
 (DVD上映)
 前に番組でお知らせした学校生活再現プロジェクトですが、皆さん先生として行かれたのですね。
 行かせていただきました。ありがとうございました。
 こちらは大津市パワーアップ夢実現事業としまして、おおつ男性会議によって11月19日の1日だけ、学校として開かれたのですが、私達も生徒として参加してきたのでそちらを見てください。VTRジャンジャン。
 とてもいい天気でした。こちらが仰木の里小学校です。こちらで開かれました。
 私達も学校に来るのは久しぶりで、とても懐かしかったね。全部が小さく見えました。
 マッキーの授業が始まるよ。
 マッキーが本当に先生をやっていたのです。
 びっくりした。
 3月17日、以上です。
 ということで、私達もマッキーの国語の授業を受けました。
 マッキーお疲れ様でした。
 どうしているの?
 先生をやったのですか。
 珍しい。
 授業はどうでしたか。
 僕はびっくりしました。凄く熱心に聞いてくださって、凄く積極的に発言してくださって、こんな積極的な授業になるとは思わなかったです。こうして、実際にその人たちの、視聴者の皆さんの前で、あるいは受け身の皆さんの前でお話しをして、触れ合うことで、反応が凄く分かりますし、僕も勉強になります。僕も教えられたという感じがします。
 なるほど。
 さて、理科はもちろんホシノお兄さん。五藤光学研究所の凄い機械を使ったプラネタリウムのお勉強会です。
 そして学芸員や地域の人達、いろいろな人たちが先生になって授業をしてくれています。これは家庭科の授業です。●●●●を作っていました。
 凄く良い匂いでしたね。
 こちらは体育の授業ですね。大人から子供までみんな●●●●、楽しそうだった。
  そして給食の時間ですね。こちらはユウさんがお昼の校内放送をして、元の音楽の授業ではユウさんが●●の、パワーアップ夢学園の校歌を作るということでした。
 久し振りにドキドキして良かったです。
 この感想を聞きながら歌詞作りをやっているのですね。
 「ふるさと 仰木の里 比叡と琵琶湖に囲まれて・・・
 これが校歌です。
 皆さん卒業する●●していますね。
 ・・・お爺ちゃんも お父さんも お兄ちゃんも・・・●●●● 
 パワーアップ 夢学園 パワーアップ 夢学園
 懐かしい 校舎に 抱かれて ブランコ●●●●
 お祖母さんも お母さんも お姉ちゃんも・・・
 学校の先生がうまくやってらっしゃる●●●●
 調理台が低くなっていて、自分の体が大きくなったのが分かりました。
 どんなことが面白かった?
 ●●●●。
 ●●●●どうでした?
 凄く・・・みるみるみんなの●●●●仕上がっていって、びっくりしました。感動しました。
 2度、3度、また参加させてくださることがあれば、参加させていただきたいと思います。
 道徳の時間など、凄く共感できるところがありまして、これからの人生に活かせると思います。音楽も凄く楽しくて面白かったです。また、次回も参加したいと思います。よろしくお願いします。
 楽しい1日でありました。またやりましょう。さあ・・・

 はい、ありがとうございます。
 このような企画で随分ご好評をいただきまして、ご参加の皆様には「また来年もしてね。」とおっしゃっていただいたのですが、割とこういう事業と言いますか、大津市のパワーアップ活動支援事業というものをいただいてやったものです。新規事業に対しては随分とその中でもセレクトされるのですが、補助金を出していただけるのですが、継続事業については中々難しくて、2回目・3回目をするときには自分たちでしなさいということでございますので、若干の費用も掛かりますので、中々2回目が出来ていないのです。こういった地域の方と学校のご協力をいただきながら、また我々の思いを1つのフィールドの中で実現できた事業であったということで、今回ご紹介させていただきました。
 さて、その我々の団体はどういうものなのか、もう1度ご説明させていただきたいと思います。先程も申しあげましたが、最初は2004年に16名からスタートしまして、現在は大津市内57名の皆さんにお揃いいただいています。私は市内で飲食業をしておりますが、こういった自営業の他に会社の役員さんや会社員の方、そして学校の先生もおられますし、まだ仕事に就いてないという方もおられます。また市会議員の先生もおられたり、公務員の方もおられたりということで、本当に多業種。いろんな社会のそれぞれのお立場の方がお揃いになられているということも含め、また、その方々がこの男性会議だけを楽しんでおられるということではなく、地域の中の消防団をしておられたり、会社の中のいろんなポジションに就いておられたり、1つのネットワークの多い方がまたこの会議に入っておられまして、その中のお互いの情報交換もいろんな形でさせていただいているということもございます。
 先程も言いましたが、8年間も続いている1つの大きな理由に、元々男性の実行委員の同窓会をしようということで、如何にしてお酒を飲むかを考えて作った組織です。大津市さんから―――滋賀県の県の方も若干ございますが、こういったグループに対して「活動を支援しましょう」という提案事業というものが例年、県・市で行われております。そういったものに毎年応募させていただいて、飽きがこないように事業展開をしていっていることが継続の1つの理由かなと思っております。
 また、一番下段に大津男女共同参画推進団体連絡協議会という長い名前がございます。これはどこの府県にもあると思いますが、いわゆる女性団体の連絡協議会の中の1団体として、我々男性会員も入会させていただいております。そうしたところ、本当に皆様に可愛がっていただいて、いろんな課題もいただいて、毎日楽しく女性団体の皆さんとお付き合いをさせていただいているということもございます。
 さて、大体やってきた事業のご紹介をさせていただきたいのですが、最初に作った時は、何をしていこうか分かりませんでしたので、アンケート調査をさせていただきました。男女共同参画を市民の皆さんが本当はどんなふうに思っているのか、アンケート調査をしましたところ、男性と女性の認識の違いよりも、世代間の認識の違い、いわゆるジェネレーションの違いが非常に大きかった。これは認識を共有するには、先程のパワーアップ活動支援事業のテーマでもございますが、ジェネレーションギャップを埋める。Bridge the Gapと言いますか、世代間交流をすることが一番だということに、この最初のアンケート調査で気付きまして、こうしたフォーラムやコミットメントバッチというものを作りまして、活動を開始したわけでございます。
 2005年にこういった学校をお借りした事業をさせていただきました。他には川柳の日めくりのカレンダーを作りまして、トイレや玄関先に飾っていただいて、毎日男女共同参画をインプットしていこうという時代でありました。当初はやはり男女共同参画という言葉がまだまだ一般的ではありませんでしたし、男性が男女共同参画と言うと、「何をしておられるのかな。」と思われた時代でもありましたので、そういう意味では先進的な啓発活動が出来ていたのではないかと思います。
 2006年度は前年度に中越地震がありました。男女共同参画もいろんな方向に目を向けるべきだという国の方向性もございました。そこで防災に男女共同参画の視点を入れようということで、山古志村の村長さんに講演しに来ていただきました。そのご公演から言葉、キーワードを選びまして、―――後ほど会場の外で見ていただけるとありがたいのですが、男女共同参画を鑑みた防災かるたを作りました。また、普段防災訓練をしますと、男性が訓練をして女性が炊き出しをするということが普通のパターンですが、男性が今度は炊き出しをして、女性が女性を担いだり救助活動をしたりする練習をして、入れ替わっての事業もさせていただきました。
 その次の年に「結」という言葉に出会いました。どこの地域にもあるのかどうかは分かりませんが、特に農村部では物のやり取りをするときに、お金のやり取りで済ますのではなく、「今日は共同作業をしたときに助けていただいたから結にしておこう。」「これは結返しにします。」という結で済ますということが、日本では古くから行われていたと聞きました。結という言葉をテーマに、地域や家庭をもう1度絆を深めていくための双六を作りました。これはこの近所の、成安造形大学の学生さんに絵を描いていただいています。
 2008年度にこの大津市には石山寺というところがございまして、紫式部が源氏物語の構想を練ったという由緒あるお寺です。ここが丁度千年記に当たりました年です。そこで千文字の恋文を全国から募集して、恋文集の冊子を作ろうではないかという企画をさせていただきました。これを募集させていただきましたところ、我々が予想していたのは、今のご主人や今の奥さんに対する恋心を、もう1度蘇らせて綴っていただけるのかと思ったところ、実は成し遂げられなかった昔の彼氏彼女に送った手紙がほとんどであったということもありました。秘めた恋心を読ませていただいたということもございました。これも7歳のお子様から92歳のお婆様まで、本当にたくさんの世代の方にご参加いただいた作品でございます。
 2009年度はやはり同じような形で、感謝の手紙という冊子を作らせていただきました。これも恋文を読ませていただくとほとんどが「あのときはありがとう」という感謝の恋文でございましたので、イメージを変えて感謝の手紙を全国から集めさせていただきました。
 他にもこういった形でもっと男性、―――先程の先生のお話しではございませんが、人間力が落ちているということで、人間力を高めていこうということとか、鮒寿司作りの体験をさせていただいたり、地元のことをもっと勉強しようという体験をさせていただいたり、もう1度自分の人生をブラッシュアップしていこうと。男の生き方をもう1度考えていこうという。最近の女性にこれから負けずに頑張っていこうということを今のテーマとしてやっているのが現状でございます。
 今、こういった事業をしておりますと有り難いことに、県や市の審議会の委員として我々のメンバーから排出してくださいとお声を掛けていただきます。また、今回のフォーラムもそうですが、こういった催し物の実行委員として排出させていただくなど、色々なところでお声を掛けていただくようになりました。しかしそういうことをしておりますと、どうしてもそちらの方に力が必要になってきますので、本来の会の主体性が薄くなってくることが1つの欠点かと思います。会は会で、本当は自分達のしたいことだけをしたいけれど、皆さんは職業を持っている現役世代の方ばかりなので、いくつもお願いするわけにはいきませんから、自分たちのやりたいことを継続してやっていくにはどうするか、これからも考えていかなければと思っています。
 また、みんな歳をとってきたことも事実です。この会を始めたのは8年前ですので、僕も8歳若かった。10年前というと随分身体も自由に動いて、考え方もアグレッシブにできたのですが、やはり段々歳をとってくると、身体も動かなくなってきて、お酒の量も減ってくるということがございます。その辺りもこれから考えていかなければいけないことだと思います。
 こういった会は、会社でも現在では10年間続くということは、事業として難しい部分でございますか、継続できているという理由のいくつかをピックアップしました。
 1つは、しっかりとした事務局を担ってくれる方がいるということです。事務作業が好きな方もいらっしゃれば、嫌いな方もいらっしゃいます。やはり事務局が整理整頓して、資料等を準備して、各会員さんにアナウンスするという作業を丁寧にやっていただける方がおられるということは、組織継続の大きなポイントだと思います。
 また、会員の多様性です。その分野の方だけが集まっていますと、どうしても同じ目線であり同じ情報しか入ってきません。しかしいろんな肩書き、いろんなことを経験された方、右も左も何もわからない方等々、いろんな方が入られることがお互いに刺激になって良いのではないかと思っています。
 そして総例会の回数をしっかり守ることです。我々は、年に4回は必ず集まることを決めています。これは「今回は人が集まらないから止めておこうか。」とやってしまうと、「次回に行けばいいや」となり来る方が段々減ってくることになります。総例会の回数を必ず守る。その時には必ず講師さんを呼んできて、何かためになるお話を聞かせていただいています。
 世話人と会員です。実は、男性会議には世話人ということが、普通の組織で言うと理事さんかもしれません。世話人は会員さんのお世話をする立場であることを意識してやっております。従って、私は代表世話人という肩書をいただいていますから、会員さんも世話人さんも全てお世話をするという考え方でやっております。本当に、集いに皆さんが来ていただいたときは、ホストを務める形でやらせていただいています。
 発信性も大事です。ホームページや年度報告書はきちんと―――今日も資料に添えさせていただいていますが、毎年こういった報告書を必ず出すことに努めています。
 活動のキーワードといたしましては先程も言いましたが、三世代交流はずっとテーマとして続けていこうと思っています。
 特に子ども―――我々の子どもも含めて、我々の事業には子どもも来るのですが、子どもを子ども扱いしないということは考えています。参加した子供たちにも一定の役割・一定の責任をちゃんと与えて、それをきちんと消化してもらう展開の事業をやっています。また、男性だから、女性だからということで、イベントの中で違いを付けることは出来るだけ避けていくのが当然のこととしてやっています。
 後ろから考える。これは同窓会から始めたということもございまして、事業をやった後の「お疲れ様、乾杯。」というところから想像いたします。どうやって美味しいお酒を飲むか。その為にはどんな終わり方をするか。その為には中間的に何をもってきて、どのようにスタートを切るか。その為の準備はどうするか。そういうふうにお酒の味を想像して、後ろから順番に企画するのが我々のやり方です。そういうことで皆さん、お酒の好きな会員さんが増えているのかなと思います。
 各会員さんのおめでたいこと、お祝い事を大切にさせていただいています。
 野暮な言い方かもしれませんが、家庭と地域と職場は我々の活動のフィールドでございますので、家庭を愛し、仕事に励み、地域を大切にすることを、会員の1人1人が、結構お酒の好きな方ばかりなのですが、実際は本当にそういったことを望みながらやっておられる、真面目な方ばかりが揃っておりますので、それも含めてありがたい話だと思います。
 実は先般の滋賀県の若年層のアンケート調査にもあったのですが、ロールモデルに「将来どんな人になりたいですか。」「モデルはどなたですか。」という問いがありました。「お母さんのようになりたい。」もしくは「ロールモデルはありません。」という答えがほとんどだったというデータをいただきました。こんなことは今では無いのかもしれませんが、「お父さんのようになりたい。」と子どもに言われたい。もしくは「お父さんのような人と結婚したい。」と言われるような父親になれるように、もう1度自分を磨いていきたいと思うのですが、中々現実的にはそうならない。しかし、仕事の現場を見せるわけにはいきませんが、地域で頑張っているお父さんや、家庭の中で頑張っているお父さんの姿を、子どもたちに見せることによって、「こうしたらいいのかな。」「こういうことはしてはいけないのかな。」ということを子どもたちに気付かせてやりたいと思います。
 滋賀県は「三方よし」の本場でございます。「売り手よし・買い手よし・世間よし」。やっている者も、参加している方も、これをやっている社会も、全てが良くなるという考え方が、この滋賀県では基本的に昔から培われてきた文化でございます。その考え方を大切に今後も活動していきたいと思っています。今後とも我々の活動を応援していただければ有り難いと思います。どうもありがとうございました。

 どうもありがとうございました。
 男性会議という地域の団体が、学校生活再現プロジェクトのようなところで、主に学校の外部的なものを引っ張ってくる力。あるいはそんな組織がどんなふうに継続して行けるのか、あるいは何を大事にされているのかという辺り、少し具体例を交えてお話しいただけたのではないかと思います。
 では時間も限られているのですが、このご報告を受けまして、フラーの皆様も含めてディスカッションをしてみたいと思います。先ず、口火を切っていただきたいのは正高先生ですが、先程父親乃至は男子が子育てに参画していくことは、一体何をもたらすのか、あるいは何をもたらすべきなのかについて方向付けをいただいたと思うのですが、そういうところからご覧になって、今の実践についてコメントをいただけるとすれば何でしょうか。

 非常に熱心にされていらっしゃって感銘を受けました。私自身が思ったことは、職業体験は非常に大事だと思うのですが、特に大事なのは農業体験がもっとあっても良いのではないかと思います。日本は一次産業、いわゆる農業・漁業・水産業・林業に従事している人間は、現在全体の4%を切っていると思います。一次産業が4%しかない国は、誰が何と言おうと、政治が失敗した国だと言わざるを得ないのです。しかも一次産業に従事している人間の平均年齢は、遙か60歳を超えている。一方、7割以上がサービス産業に従事している。因みにこの7割のサービス産業には我々大学の教師は入っていないと思います。僕等はサービス産業だと思うのですが入れてもらえないのです。ほとんどの人間がサービス産業に職業として従事している。こんなに産業構造がいびつになった社会は、これから発展していくとは到底思えない。その為にはやはりもっと農業というものを積極的に見出して、農業を中心とした一次産業の喜びを教えることが非常に求められている。その為の職業体験ということも大事なのではないか。
 ではいつすればいいのか。非常に簡単です。長くなって申し訳ありません。今の子どもは休みが多すぎるのです。毎週週休2日で、尚且つ休みもあって。大人も多いのです。ご存知だと思いますが、サラリーマンで真面目に1年間どれだけ休めるのか計算したら、有給休暇や盆・正月の休みを含めると、1年の内120日位を休めるのです。ということは3日に1日休んでいるのです。子どもも同じようなものです。夏休みがありますからもっと休んでいる。お休みが多すぎる。多すぎるということは決して良いことではない。だから土曜日にやれば良いのです。何も土曜日に学校を休みにして家にいる必要はないわけです。もっと積極的に土曜日を活用して、農業体験をもっと積極的にやれば良いのではないかと感じました。
 これはおそらく早晩同じようなことが起きます。何故起きるのかと言えば、そのうち大学が9月入学になるからです。皆さんに小さい子どもさんがいらっしゃるならば、その子供さんが受験される時は、日本も間違いなく大学は9月入学になると思います。するとどうなるか。3月卒業の高等学校をどうするか。取り敢えずは3月のままでしょう。その6か月はどうするか。ギャップタームという言葉があります。ギャップイヤーとも言う。その時に職業体験のようなこと、例えばこの実践でやっていらっしゃることを積極的に導入して、大学に入る前に、少なくとも一旦社会人の勉強をする期間をつくることを本気で考えればいいのではないか。その時に、もちろんいろんな職業体験があるけれど、一次産業に従事することも含めた体験をする中で、一体自分はこれから何をやっていけばいいのか考える機会に、大学秋入学を活用する。
 大学が秋入学になる理由は極めて簡単です。そうしなければ外国から学生さんが来ないからです。このままでは日本の大学は潰れます。子どもがいないのですから。その為にどうすればいいか。外国から呼ぶしかありません。ところが現在日本は4月入学です。他は全部9月入学です。するとそのまま来ても、韓国・中国・インドも気の利いた人間は日本に来ないのです。みんなアメリカに行くのです。普通にやっていても来ない。どうすればいいか。同じように9月入学にして、外国から来ていただかざるを得ない。その為に日本国内の混乱は犠牲にするしかないのです。その混乱をむしろプラスに転換して、そこで社会体験をしてもらうということを考えても良いのではないかと思っています。

 ありがとうございます。
 先ず、土曜日の活用ですね。そんな視点をいただいたことと、今も力説くださいましたが、社会的な意味での子どもの時間がこれから変わってくる可能性がある。そこへ今のような活動をしっかりと考えていくことが必要なのではないか。更に農業体験。社会構造を見たときに必要なものはどこにあるのか。そういうものを考えていくことはどうだろうと伺ったと思います。その辺り、お二方は活動の中でどのように受け止めることができそうですか。

 子どもたちと接する時間を考えますと、今は塾があったり、習い事があったり、ほとんど毎日のようにいろんな家庭外のツール、―――塾もツールと言えばツールですが、そういった所に行く子がほとんど、私の周りには大勢いるのです。彼らの姿を見ていますと、今先生がおっしゃったように、自由な時間があるようで、実は束縛を作っているのは我々親の世代なのではと反省した部分がございます。土曜日の活用を是非ともこれからの1つのポイントにはしていきたいと思います。

 農業体験、第一次産業の体験は本当に貴重だと思います。やはりリアルな土を弄ったり、何かに触ったりということが少なくなっている。今、東山田でやっている職業体験は6~8割が幼稚園・保育園・介護施設が多いです。一次産業は農業の方、―――先程竹藪が出ていましたように農業地帯もあるのですが、数軒しかありません。ものづくりのニーズに子どもたちの関心が非常に高いのですが、そこもあまりオープンされていない。近くに適当なところがないし、危険であるということで中々難しいのです。しかし今頂いた視点をもう少し広げていきたいと思います。
 2点目。ギャップイヤーの話にも関わりますが、子どもたちの空いている時間は、おっしゃったように中学生もかなり忙しいのです。私がフランスにいたときには、もっとたくさんの休みを全く宿題がなく、そして体験をする夏休みが2ヵ月あります。アメリカもそうです。アメリカの大学の入試基準の中で、―――私は保護者として知ったことですが、ボランティア経験や部活の経験、―――部活はもちろんスポーツや音楽等いろいろあります。また、生徒会でどれだけ活躍したかということが、成績と同じくらい大事な要素としてあり、それがその子をジャッジする指針になるということを見ました。
 日本はお勉強さえできれば何でもいいという風潮が、保護者の中にも結構ありますので、「勉強しているのならお風呂掃除はしなくていい。」といった風潮ではないものを作っていかなくてはいけない。やはり地域で、ボランティア体験や職場体験をしたことを、その子の持っている経験値として評価するようなものがあればいいと思ってお聞きしました。
 ありがとうございます。
 では併せて僕の方からも、特に実践の中でお2人に伺いたいことがあります。先程、正高先生からアロマザリング―――つまりファザーリングは父性と母性があって、要するに母性ではないもの。つまり異なったものが子どもに用意される、出会うという多様性のようなものが、非常に重要な要素になっているのではないかと、僕が伺っていたのです。そういうことで言うなら、コミュニティスクールの形や学校支援地域本部の形で学校を支えられる。あるいは男性会議で活動される時も、先生が新しい補助の先生として2人いるという状態。つまり学校とは違う外部のものとして子どもたちに関わるその性格を弱めてしまっては、却って連携するという時の意味が無くなるのではないか。あるいは母親的な状態を父親が受け取る形で、―――先程正高先生からも2人母親がいても仕方ないという話がありましたが。そういうことで考えましたら、地域で子育てのいろんな現場に入られる時に、異なった力のようなものが、大事にされればされるほどいろんなハウリングを起こす・・・衝突が出てくるということも、実際にはあるのではないかと思うのです。その辺りの課題を感じた時はないでしょうか。

 異なった力が地域に・・・という話だと思うのですが。先ず、地域でのキャンプの時などは、最初は私達がもしかすれば母性的な、かなり至れり尽くせり状態でキャンプをスタートしました。中学生のボランティアに対しても、優しい言葉で「子どもにはこうして優しく接しようね。」という形で言って、「これでは通じない。何とかしなければ。」と思っていたところに、男性の―――つまりお父さんの力が入ったところで、お父さんは本当に真剣に取り組むことを見せます。怒鳴ってもくれます。「こういう場面では火を使っていて危ないから黙れ!」などとはっきり言っていただいた。地域の力の中にお父さんの力、お父さんの発言はとても大事だという瞬間はたくさんあります。
 もう1つ。会議を進める中で、PTAの方は女性が主流になって、―――私も女性の主なNPOなどに関わっていますが、そこに1つ違う視点が入る、企業人の視点が入る。男性の世代も色々な方の視点が入ることはトラブルにもなりますが、非常に会議を上手く進めることにもなります。地域というものは別に効率が良いわけでもなく、行ったり来たり。先月決めたはずの事を、また蒸し返すといった議論も多いのです。しかしそうやって仲良くなりながら様々な人が参画して、平場で議論する場所なので、様々な方がいらっしゃるということはとても良いです。
 学校とつながった時に、更にそれの文化が、学校文化と企業社会の文化、地域の合意形成のし方、様々違うのですが、それがまたつながっていくことで、トラブルもありますが、前に進む。そしてそれこそが学校と地域を連携させて、子どもを共に育むプロセスだと思っています。

 この大津市には、大津の中心市街地には大津祭りがございます。京都の祇園祭の小さい版で、山車が町内を練り歩く祭りが秋口にあるのですが、そのお祭りの山車のお囃子は子どもが担っているのです。引手は男性で町内を練り歩くのです。昔からその子たちが先輩後輩の中で笛や鉦を教えて、卒業と言いますかある年齢になったら出て行くという繰り返しの作業をしています。「来年はお前が教えろ。」「来年は僕がこの役をする。」といった形で、先程の話ではないですが、子どもたちが一定の祭りの一部のポジショニングを担っている、という責任を継続して引継いでやっています。そういった昔ながらのお祭りがあるところはいいのです。しかし今の新興住宅地や新しいマンションなどでは、自治会の中でも、また地域の中でも、ここの部分は子どもたちに任せてやろうというものが中々見受けられないのです。是非とも子供会という部分では、子どものために何かしてあげることも大切なことかもしれませんが、子どもたちに責任を持たせるという考え方で、地域の中で学校を利用したり、広場を利用したり、そういうところで企画していくことが大切だと思います。

 非常に大雑把な言い方をしてしまいますと、やってみればトラブルよりも良い面がもっと出ているのが現場的な感覚ということですね。
 では、今までの話を伺っていただいたフラーの方から、何かご意見やご質問はございますか。ございましたら挙手いただければと思いますが、如何でしょうか。振りが急だったので、準備が無かったかもしれませんが。このシンポジウムは非常に時間が短いディスカッションですので、皆様方の中に、発火点になるようないくつかの要素を拾っていただけるような時間になればとは思っているのです。よろしいですか。
 それでは残りがあと5分です。基本的にこのお父さん乃至男の人が地域の子育てに参画していくことの意味。何をもたらすのか、もたらすべきなのかという1つの方向性と、それを実際に進めるにはどんな手がかり・きっかけがあるのかということ。そんなふうにこれを見ていただいたときに、今日のお話は非常にアイデアの多い、あるいは考える視点の多いものになっているのではないかと思います。その2点について、最後にお三方から一言ずつご意見をいただければ大変ありがたいと思います。
 では新庄さんから順番にお願いします。

 おおつ男性会議という組織自体は、自分たちが楽しくお酒を飲めば、それが一番だという形でやっている組織でございますので、崇高な生涯学習の理念とか男女共同参画の理念といったものを問われると、中々恥ずかしい部分があるのです。しかしいろんなことを、常に心の気持ちの中のどこかに持ち続けられるということが、前向きな人生を送る1つのポイントなのではと、僕自身は思っているのです。その前向きな姿を自分の子どもも含めて、地域の子どもに伝えたいという気持ちが、今の閉塞した社会の中で「こんなことをやってもしょうがない。」「こんなことをやっても思うようにはいかない。」ということが現実ですが、前向きさが伝わるようなことが、これからの社会の中でもっと必要になってくると思います。そういったことを鑑みながら頑張ってやろうと思っています。今日はどうもありがとうございました。

 ありがとうございます。
 では次お願いします。

 先程も申しあげましたが、地域には様々な入口があると思います。また、様々なステージ、参画度があると思います。1日だけのボランティアでも、1回限りの参加でもいいです。深く関わって審議会に入るようなこともできます。本当に度合は色々ですが、是非どこからかお入りになってやっていただくような機会をたくさん作りたいと思います。
 大人は子どもを核に、学校を核に、地域を核につながることが出来ます。自分だけで何かをするよりは、子どもや地域の子と一緒に考えるというところで新しい世界―――職業人としての世界だけでなく、家庭人としての世界ではなく、もう1つ地域に友人を作り、楽しみを作ることができると思います。そのプロセスで自分も変容していかなければ中々上手くいかないので、それぞれが学びのプロセスになると思っています。
 もう1つの世界を持つことで、プロフェッショナルとしての力も出していただきたいし、一市民として、一お父さんとしての力も出していただければと思います。

 どうもありがとうございます。
 それでは正高先生お願いいたします。

 ファザーリング、アロマザリングということの1つ大きな子供へのメッセージ。それは、僕は対立ということは必ずなければいけないと思います。物わかりの良すぎる父親ではしょうがない。子どもにとって全く不可解。「あいつは全然訳が分からない。」という親が今凄く大事だと思うのです。母親としては、物わかりの良い母親でいいのですが、それだけでは世の中駄目なのです。全然分からない。しかも非常に緊張関係を含んだ親。そういう養育をしてくれる人間が、子どもの発達には凄く大事。如何にその緊張関係の中でそれに耐え、そしてそれを乗り越えるかということが、子どもにとってステップアップするときの大事なところ。それが今の日本の育児には、基本的に、根本的に欠けている。昔はきっといた。どこかに変な親父。変なおっさんで訳が分からない。教師の中にもいたわけです。「あんな教師はわけがわからん。」というものがいたけれど、今は居ない。何故ならば、教育はサービス産業になりましたから、そんなことをやっていたら、直ぐ生徒に文科省へ通報されて首になるのです。だからその中では、もう我々自身の中でそういうものを敢えて作らざるを得ないと思います。そういう存在であることを、常にそういう要素を含まなければと意識しつつ、どうぞ子育てに参画していただきたいと思います。ありがとうございました。

 どうもありがとうございました。
 お三方から非常に重要なメッセージをいただきましたが、本当に早いもので、シンポジウムは最後の時間になっております。今日は少し司会をさせていただきまして、私自身2人の娘を育てているのですが、やはり本当にお父さんがお父さんとして関わることは、大切なのだということに改めて感じました。またお父さんが動くことが、家庭での教育を含めた子育てというものが、社会とよりネットワーク化していくという、そういう側面が本当に強いのだなということも感じました。それを促していくときに、組織的に―――例えば地域の団体を育てるキーパーソンをしっかりと見つけていく。いろんな仕組みを作っていくということもありますが、そこは冒険をしてみる、そんな時期なのかな。いろんなことをみんなで冒険してみて、いろんなことをやってみる。そんなことも大事なのかなと感じたところでございます。
 しかし、本当に父親ということの在り方を改めて考えさせていただける時間で、私自身も非常に楽しい時間をいただきました。
 それでは最後にもう一度ご登壇くださっています3名の皆様方に拍手で感謝を表したいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは以上をもちまして、このセッションを閉じさせていただきたいと思います。改めてどうも皆様ありがとうございました。

 松田先生、ありがとうございました。ご登壇いただきました皆様も本当にありがとうございました。
 以上をもちまして、分科会1を修了させていただきます。
 最後に共催であります滋賀県教育委員会を代表いたしまして、閉会の辞を滋賀県教育委員会事務局生涯学習課長 田中秀和よりご挨拶を申し上げます。
 田中様よろしくお願いいたします。

 皆様お疲れ様でした。只今ご紹介いただきました、滋賀県教育委員会事務局で生涯学習課長をしております田中でございます。会の最後に申しあげるお話しではないのかもしれませんが、本日は全国からこの近江の地にお越しいただきまして、本当にありがとうございます。あいにくの雪のようでございまして残念ではございますが、明日以降天気も回復するのではと若干期待をいたしまして、明日朝、琵琶湖の眺めを楽しんでいただければと考えています。先ずは、基調講演をいただきました正高先生、そしてパネルディスカッションを進めていただきました松田先生、重要な事例をご紹介いただきました竹原館長、そして新庄さん本当にありがとうございました。我々も聞いていて、非常に貴重な、刺激的なお話をたくさんいただきました。我々滋賀県教育委員会といたしましても、本日お話に出ていたような自然体験や、あるいはチャレンジウィーク―――5日間の企業体験をするという事業も進めておりますが、この方向は間違ってはいなかったのだと改めて思うと同時に、まだまだ行政として足りていない、行き届いていないところがあると感じております。今後とも、本日お集まりのような地域の皆様方と一緒になって、しっかりと子どもたちを社会全体で育てていけるように頑張っていきたいと思っております。
 また、冒頭、基調講演をいただきました正高先生のお話ですが、私も松田先生と同じく1歳と3歳になる娘の父親で、現役のパパでございます。正高先生からなんとかKidsとかプレジデントなんとか読むなというお話もありました。私もよく本屋に行って、チラチラそういう本を読んで―――心が小さいものですから、いつもそのまま戻して帰ってくるのですが、明日から自信を持って、好きな車の雑誌を買って帰ろうと思っております。妻がこの話を聞いていなければいいと思っていますが、そういった次第でございます。
 さて、取り敢えず今日は1日目これで終了でございますが、明日から2日目3日目ということで、尻上がりに盛り上がっていくかと思います。先ずは1日目終了ということで、本日色々とお手伝いいただいたスタッフの皆様方、本当にお疲れ様でございました。今夜は滋賀の美味しい食べ物、滋賀の美味しいお酒を飲んで、体力を回復させていただいて、明日以降に備えていただければと思っています。また、ついでではありますが今日の受付にも滋賀の観光パンフレットをご用意しています。大津プリンスで座って勉強に励むのもよろしいですが、県の担当者といたしましては、できれば多く、石山寺でも比叡山でも結構でございます。もう少し県内に足を延ばしていただいて、願わくば少しお金を落としていただければと考えていますが、そういった形で生涯学習も深めていただければと考えています。
 本日は誠にありがとうございました。

 田中課長よりご挨拶申し上げました。
 以上をもちまして本日の分科会1のプログラムを終了いたします。尚、皆様のご意見やご感想などが、出入り口の回収箱か、お近くのスタッフまでお渡しいただきますようお願い申し上げます。また、1日目のプログラムは終了いたしましたが、明日18日、明後日の19日に引き続き分科会を開催するほか、家族みんなが笑顔になるファザーリングカーニバルを実施いたします。18日19日の実施の分科会につきまして、一部の分科会については当日の受付も実施しておりますので、お帰りの際、1回総合案内所にてお申し込みくださいませ。また、ファザーリングカーニバルは申し込み不要となっておりますので、皆様のご来場をお待ちいたしております。
 本日はありがとうございました。お気を付けてお帰り下さいませ。

(終了)

お問合せ先

生涯学習政策局男女共同参画学習課家庭教育支援室

(生涯学習政策局男女共同参画学習課家庭教育支援室)

-- 登録:平成24年08月 --