親子でぐっとコミュニケーション事業(新潟県阿賀野市)

親子でぐっとコミュニケーション事業

1  自治体・団体名: 新潟県阿賀野市,阿賀野市教育委員会

2  自治体・団体の概要,地域の特徴
 本市は新潟平野のほぼ中央に位置を占め,新潟市に隣接した自然環境の豊かな地域で人口は48,136人(平成18年3月31日現在)である。平成16年4月に北蒲原郡安田町,京ヶ瀬村,水原町,笹神村の新設合併により誕生し市制を施行する。
 少子・高齢化,核家族世帯の増加,生活圏の広域化による市民意識の多様化,自然環境の保全や安全の確保等が課題として上げられている。このような,多様な課題を市民と行政が共有しながらその解決に取り組み,歴史や文化・自然を尊重しながら,地域の個性と魅力をさらに増していくような都市(まち)づくりを目指して,平成18年3月に「阿賀野市総合計画」を策定した。さらに,人づくりによるまちづくりの指針となる「阿賀野市生涯学習推進計画」を平成19年3月に策定し,生涯学習活動の活発化を図っている。

3  学社連携による家庭教育支援
1  連携にいたるまでの経緯等
 現代は社会環境の変化から,こどものいじめや登校拒否,そして,保護者による育児放棄,児童虐待など教育や子育てに関する問題を耳にすることが多い。このため本市では,家庭教育の重点化を図り,青少年の豊かな心をはぐくもうと考えた。その方策の一つとして,平成17年度から家庭・学校・地域が連携して実施した,家庭教育の向上をはかる事業に助成を行なう,「家庭教育ゆめ事業」を市単独で開始した。
 本事業のねらいは次の2点である。
(1) 子育てに携わる親や祖父母への学習機会を提供する。
(2) 親子のふれあいや家族と一緒に自然体験,社会体験などを行なう機会を提供する。
(写真:小学生の星空観察)

2  連携した取組の具体的内容・方法・実施状況
 今までも,全市PTA連合会の研修会等行なってきたが,児童,生徒の年齢幅が広いため,内容の集点化が難しかった。そこで各学校(園)単位で,より子どもや家庭の実態に合った講座,学習会を行い家庭教育力の向上をねらうものである。
 内容は,市内小中学校・幼稚園・保育園・子育て支援センタ-等が,実施する家庭教育に関する事業(体験教室,子育て不安の解消,いじめや差別について考える研修,物づくりやスポ-ツ等を通して親子がふれあう機会づくり等)を行なう際の,外部講師・指導者の報酬費等を助成する。
 平成17年度は1校(園)あたり3万円までを支給することとして,5月に市内すべての学校(園)及び関係機関を対象に説明会を実施し,趣旨の理解や活用を求めた。

3  連携した取組の成果及び課題
 平成17年度は39団体中(対象:小学校14,中学校4,幼稚園・保育園19,関係機関2)33の団体が制度を活用し,事業の延べ実施数は64件であった。各学校(園)が,東京から声優やいじめ防止のNPO団体を招いたり,地元の医師や栄養士,レクリェ-ション指導者にお願いしたりしたため,講座はバラエティに富んでいた。思春期の子どもとの関わり方や人権の尊さを学ぶ,物づくりを通して親子のふれあいを深める等の様々な事業に取り組み,家庭教育の充実を図ることができた。
 特にこの制度を利用して,就学児童健康診断時に食育や睡眠,子育てについての講演を行なう小学校が増えている。「朝食の大切さを再認識した」「子どもへの声かけを増やしたい」等の感想が参加者から聞けたという報告を,うれしく感じている。
 また,生涯学習課では各校(園)が依頼した講師の情報を集めて「指導者ガイド指導者編」を作成した。この人事バンクを活用することにより,「家庭教育ゆめ事業」以外でも外部の講師を招いて行なう事業が,学校や保育園で円滑に行なわれるようになり内容も充実してきている。
 しかし,一部の実施校(園)では趣旨が十分に伝わらず,単なる「体験教室」や学校行事と思われるケ-スもあった。これからは説明会の複数開催,趣旨を徹底するための具体例の提示,支給規約の作成等を行い改善することとした。

4  今後の方向性や展望
 現在,本市も財政的には厳しい状態であり,予算を減額(平成18年度は2万円)しているが,高くない,報酬でも良い指導をしてくだ
さる講師の発掘や,事業成果のPRを行い,事業の継続を維持することで,家庭を支援し,青少年の豊かな心をはぐくみ続けることに努めたい。
(写真:中学校の人権講演会)

  実施した事業の紹介(抜粋)
  事業形態 講演のテ-マ/体験内容 対象
中学校 講演
  • 人権の尊重の理念,人権擁護活動及び人権擁護委員制度について
生徒
講演
  • 「優しい心が一番大切」(いじめの防止)
生徒・保護者
地域住民
講演
  • 夢の実現「声優になりたい」
生徒・保護者
地域住民
小学校 実技
  • 親子スキ-教室
児童・保護者
講演・実技
  • 思春期の子どもたちへの関わり方
児童・保護者
実技・実習
  • 星空観察会
児童・保護者
実習
  • 田植えの方法を地域のお年よりから学ぼう
児童・保護者
講演
  • 「子どもの成長を支える生活習慣の大切さ」
児童・保護者
実技
  • 児童の人権と虐待について
    (CAPワ-クショップ)
児童・保護者
実習
  • 親子のコミュニケ-ション能力向上を目指す
児童・保護者
幼保育園等 講演
  • 食育講演会 「子どもの心を育てる食生活」
園児・保護者
講演
  • 親子で作ってあそぼう
園児・保護者
講演
  • 「乳幼児期の子育ての大切さ」
保護者
講演・実技
  • 講演と親子レク 「気負わずに子育て」
園児・保護者
講演
  • 「家庭における祖父母の役目」
祖父母
-寄せられた実施学校(園)の感想-
  1. 実施学校・園   社会福祉法人 やすらぎの保育園
2. 日時 平成17年7月9日(土曜日) 午前10時~
3. テ-マ 親子のふれあい
4. 内容 おもちゃ作りを通して,親子のふれあいを深める。

 新潟県立女子短期大学の斎藤裕先生を講師に親子参観日(親子でつくってあそぼう)を開催しました。
 当日は全園児の父母他,当園では子育て支援センタ-も実施しているので支援センターからも数組の出席がありました。
 午前10時から30分の予定で最初の講演が始まり,親子の基本的な関わりや遊びを通した子どもとのふれあいを熱心に話された。予定時間を15分以上オ-バ-してしまったが,大変に有意義な講演だったと思う。
 次に親子でおもちゃの制作を行なった。皿回しとプラ竹とんぼの2つを全員で作った。材料はすべて100円ショップ等で買えるものや,家庭で簡単に用意できるものを使った。どちらも昔から伝わる伝統的なおもちゃであり,少しの工夫で色々な変化がみられた。先生もあちこちに色々なアドバイス(作り方の工夫や応用な用など)をしてくださり,特に父親の参加者が熱心に子どもと制作を楽しんで過ごした。
 子どもの遊びがTVゲ-ムなどが中心となり,遊び自体が貧しくなってきている今であるが,改めて手作りおもちゃの暖かさ,楽しさ,面白さ,すばらしさ‥等体験できたと思う。貴重な土曜日だったが子どもは親子で制作したおもちゃで無邪気に遊び,大人は童心に帰りながらも子どもとふれあい遊ぶことの大切さに気付かされた良い一日だったと思う。
- 園長 丸山賢宗 -

 
(写真:講演「親子のふれあい」) (写真:プラ竹とんぼをつくろう)

5  担当者連絡先
 〒959-1919
 新潟県阿賀野市山崎77 阿賀野市教育委員会 生涯学習課 五百川 進
  TEL  0250-62-5322   FAX  0250-62-2064
  E-mail   syogaigakusyu@city.agano.niigata.jp

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