子育て支援コーディネーター養成事業(山梨県)

子育て支援コーディネーター養成事業

1  自治体・団体名: 山梨県,山梨県立大学

2  自治体・団体の概要
 21世紀の新しい時代の潮流に対応し,県民の強い要望と支援のもとに,平成17年4月,男女共学になった。山梨県立女子短期大学を全面的に改組した国際政策学部,人間福祉学部の2学部と,山梨県立看護大学(看護学部)を統合した少人数教育による大学である。「地域に開かれ,地域に向き合う」という理念のもと,生涯学習事業や地域研究事業,そして,地域に必要な人材を育成するための教育開発など,大学と地域をを結ぶ拠点として地域研究交流センターを立ち上げた。県民,NPO・団体,企業,行政など様々な立場と山梨の地域づくりをともに考え,ともに担っていくことを基盤としている。

3  地域の特徴
 本県は豊かな自然環境に囲まれた地域である。子育ての環境に関しては,昔と比べ希薄になったとはいえお祭りなどの地域に根ざした人と人との交流や互助活動もおこなわれており,地域の担う役割はまだ大きい。また,健康で地域活動に熱心な高齢者が活躍しており,愛育会活動においては,全国的にも高い組織率を誇っている。

4  連携の取組状況
1 連携にいたるまでの経緯等
 本県は,長期総合計画「創・甲斐プラン21」の中で,県民一人一人がそれぞれの立場で,子どもたちの健やかな成長に関わり,社会全体で,子どもや子育て家庭を支援する「やまなし子育て支援プラン」を立ち上げた。少子化傾向や多様な価値観やライフスタイルによる子育てを取り巻く環境の変化,育児の孤立化・負担感などに代表される子育てに対する意識の変化に対応するため,「あんしん子育てプロジェクト」の中の一つとして,子育て支援コーディネーター養成講座を開講することとした。
 一方県立大学では,地域づくりに貢献するという目的で地域交流センターが開設された。
 そこで,県教育委員会社会教育課と県立大学の人間形成学科の共同で講座を開設し,人材を養成することとした。

2 連携した取り組みの具体的内容・方法・実施状況
内容・方法(平成17年度)
第1回  9月16日(金曜日) 「子育て支援の現状と課題」
 開講式・オリエンテーション
 「少子化の現状と次世代育成支援」 山梨県福祉保健部児童家庭課
 「子育て支援コーディネーターの実際」 新座子育てネットワーク代表
 シンポジウム「山梨の子育て支援の現状を知る」

  新座子育てネットワーク代表
NPO法人子育て支援センター
「ちびっこはうす」代表
羽黒ほっとさろん代表
山中湖村健康福祉課

第2回  10月7日(金曜日) 「子育て環境,子育て状況を考える」
 「家庭教育・学校教育についての国の指針」 山梨県立大学
 「男女共同参画時代の子育て支援」 山梨県立大学
 「母子保健・小児医療の現状と課題」 山梨県福祉保健部
 「企業と子育て支援」 シラネパック代表

第3回  10月14日(金曜日) 「子どもの人権から考える子育て支援・虐待予防」
 「児童養護施設での状況と課題」 山梨県立大学
 「児童相談所からの報告」 中央児童相談所
 「虐待予防 その対策」 ケーススタディ,グループディスカッション

第4回  10月28日(金曜日) 「子どもとの関わり方を学ぶ」
 「子どもとの遊び方・コミュニケーションの取り方」 韮崎市立藤井保育園
 「親子で楽しむ造形遊び」 山梨県立大学
 「親子でふれあう手遊び・体操・表現遊び」 山梨県立大学

第5回  11月10日(木曜日) 「親との関わり方を学ぶ」
 「カウンセリング概論」 山梨県立大学
 「親との関わり方をふりかえる」 山梨県立大学
 「親への対応Q&A 教育現場から」 東京都福生市教育委員会

第6回  11月25日(金曜日) 「コーディネート力を磨く -人をつなぐ企画・人を支えるネットワーク-」
 「様々な企画に学ぶ・企画とは?」 山梨県立大学
 「民間企業に学ぶ企画とネットワーク」 ライフ・ディスプレイ KNOT
 「親子参加型学習の企画」 グループディスカッション

第7回  12月9日(金曜日) 「子育て支援ネットワーク 情報発信・情報活用」
 「インターネット活用の情報入手」 山梨県立大学
 「企画書・パンフレット作成」 グループワーク


第8回  12月22日(木曜日) 「山梨の子育て支援を担う」
 「親子参加型学習の企画・運営演習(発表準備)」
 「子育て支援の今後」 都留文科大学
 「親子参加型学習の企画発表・運営演習」
 まとめ 閉講式
開始年度 平成17年
対象
 定員40人(5ヶ年で計200人を対象とする予定)
 市町村の家庭教育・子育て支援事業関係者で市町村教育長または市町村長が 推薦する者(市町村教育委員会の職員・市町村社会教育指導員・市町村公民館職員・地域子育て支援センター指導者・児童館職員・その他)
実施状況
 受講者は定員40名の所39名であり,28市町村の中16市町村が受講している。(市町村合併があり来年度に受講希望するところもあった。)男女別は,男3名女36名であり女性の関心が高いことを示している。また,出席率は94パーセントと高く受講者一人一人が使命感に満ちて学んでいる状況がわかる。

3 連携した取組に至る過程での課題や工夫した点・対処法
 事業の骨子は前年度県で計画していたが,実際講座を開催するまでには県立大学・県の福祉保健部・県教育委員会社会教育課の3者で何回か打ち合わせを行ったり,担当者どうしはメール・電話等で綿密に連絡し合った。検討内容の主なものは,講座の内容である。受講対象者が様々な立場や年齢の方々なので子育てについての理解度が一様ではないので,どの程度から講座内容を始めたらよいか,子育てコーディネーターに必要な学習内容はどのようなことかなどである。細かなことでは,講座の日,受講時間数,講師,募集方法,会計など様々あった。
 講座内容は,県立大学の人間形成学科の講師を中心に子育て支援団体の代表者なども講師に交え,家庭教育,子育て支援の今日的課題を取り上げていくこととした。また,子育てに関する専門知識を学ぶ聴講に加え,相談窓口や,親子の遊び,などの企画・立案を「演習」として取り入れるなどより実践的な内容とした。

4 連携した取組の成果
 講座の中で重要位置を占めている講師については,県立大学のネットワークと行政のネットワークの広がりにより,受講者にとってより今日的な課題や実践力を養うものなどを組み入れることができた。また,修了後,受講者が相談できる窓口が大学と教育委員会と2つあるので,より適切なアドバイスができる。

5  今後の方向性や展望
 5年間で受講修了者を200人養成し,各市町村に一人以上のコーディネーターを設置することにより,地域間の格差を無くしていきたい。また,コーディネーターどうしの情報交換で市町村間のネットワークが広がったり,修了者と県立大学,県教育委員会とのつながりにより,さらに子育ての支援体制が強めていけると考える。

6  担当者連絡先
 山梨県教育委員会社会教育課成人・家庭教育担当 臼谷
 TEL   055-223-1773
 FAX 055-223-1775
 メール usutani-assa@pref.yamanashi.lg.jp

 山梨県立大学人間形成学科 高野助教授
 TEL   055-224-5261
 FAX 055-228-6819

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