京都市子育て支援総合センターこどもみらい館(京都市)

京都市子育て支援総合センターこどもみらい館

1  自治体・団体名: 京都市

2  自治体・団体の概要
 こどもみらい館は,乳幼児の子育て支援を総合的に推進するため,保育所・幼稚園,私立・市立・国立の垣根を越えた「共同機構」としての取組を行う全国に類のない子育て支援の中核施設である。
 これまで,相談,情報発信,子育てネットワークの構築,研修,研究の5つの機能を柱とし,1日平均1,350人,年間41万人の方が来館され19年1月には290万人を突破するなど,多くの市民に親しまれている施設である。
◇所在地  京都市中京区間之町通竹屋町下る楠町601-1(元京都市立竹間小学校跡)
※1  竹間小学校は国の学制公布に先駆け,京の町衆の浄財により,上京第21番組小学校として明治2年に設立された。その後富有小と統合し,閉校となった。
※2  こどもみらい館は統合幼稚園である京都市立中京もえぎ幼稚園と併設している
◇延床面積  4,666平方メートル(地下1階地上4階建)
◇館内施設
 1階  こども元気ランド,子育てサークル情報コーナー,ロビー(喫茶)
 2階  相談室,事務室,研修室
 3階  子育て図書館,視聴覚室,工作実習室
 4階  研修室・会議室
 地階  駐車場20台
 その他館内には,社団法人京都市保育園連盟,社団法人京都市私立幼稚園協会,京都市立幼稚園長会の事務局がある。
◇開館時間
 (平日) 午前9時~午後9時   (日祝日) 午前9時~午後5時
◇休館日  火曜日(祝日の場合は,その翌日),年末年始(12月28日~1月4日)

3  京都市の保育・幼児教育の特徴及び支援
 市立幼稚園においては,子どもたちに「生きる力」を育むことを目指し,教育内容の充実と創意あふれる幼稚園づくりに取り組んでいる。また幼稚園が地域の子育て支援センターとしての役割を果たせるよう,幼児と保護者を対象に幼稚園を開放し,子育てに関する相談を受け付けるとともに,保護者同士が子育てについて交流したり,未就園児と在園児の交流事業の実施など子どもたちの豊かな感性を育てる特色ある教育を推進している。
 一方で,京都市内の幼稚園児の約9割が通園している私立幼稚園では,幼稚園教育の一層の充実とともに,未就園児の保護者の子育て相談事業や,園行事等の地域開放等を行うなど地域における子育てネットワーク構築の場を創出することを目指す取組も積極的に実施している。
 保育所(園)においても,公・私立を問わず京都市では先駆的に乳児(0歳児)保育を実施し,これまで延長保育・一時保育・休日保育・障害児保育など多様な需要に対応する保育を行うと同時に,資質向上のための研修や相談体制を構築してきている。
 こうした取組を「保育・幼児教育の充実」,「京都市全体の子育てネットワークの構築」に結びつけるため,京都市教育委員会及び「幼稚園・保育所(園),国公私立の垣根を越えた」取組を行う京都市子育て支援総合センターこどもみらい館が中心となって保健福祉局,児童福祉センター等と連携した支援体制を組んでいる。

4  連携の取組状況
1 京都市子育て支援総合センターこどもみらい館の設置経過
平成元年から,私立幼稚園協会・PTAにおいては市長に対し「幼児教育センターの建設」の要望活動が展開されていた。
これまで,市立幼稚園各園における教育相談の実施,公私立の保育所における育児相談の実施などそれぞれの地域の子育て支援センターとしての役割を果たすための取組が進められていたが,その機能をより高めるためにも,幼稚園・保育所が独自に,また,共同して利用できる相談,研究,研修のための「共同機構」の必要性が高まってきた。
一方では,子どもの減少に伴って中京区の市立幼稚園5園の統廃合が進められており,統合に向け,地元・PTAによって組織された「中京市立幼稚園統合準備委員会」においては,論議を積み重ねた末,統合の英断を下された。こうした地元の方々の思いを受け止め,市立幼稚園長会・PTAからも,市立幼稚園の統合モデル幼稚園を併設した「幼児教育センター」の要望が出された。
平成7年7月,公私立の幼稚園関係者により,120を越える公私立幼稚園,2万人の保護者の総意として,「幼児教育センター建設促進委員会」が結成され,市長及び教育長に早期建設についての要望書が提出された。

(要望書の内容)四つの機能に焦点を当てた「幼児教育センター」
1  子育てに不安や悩みを持つ若い親や,これから結婚する人が安心して子育てができるための「相談機能」
2  幼児教育関係者の指導力の向上を目指した「研修機能」
3  望ましい幼児教育の在り方についての実践的な「調査・研究機能」
4  家庭・地域の教育力の向上を図るための,保護者や地域を対象にした「情報提供・啓発機能」

こうした長年にわたる幼稚園関係者,保育園関係者の要請に応えるべく,平成7年11月,「京都市幼児教育センター基本構想策定委員会」が設置され,平成8年8月の最終答申の内容は,
「子育ての道標(みちしるべ)」として子育て支援の中核的な役割を果たす
幼稚園・保育所,国公私立の垣根を越える観点から,可能な分野で,また可能なところから「共同機構」としての取組を進める。 などであった。
平成9年10月1日には,事業推進のための執行体制の強化を図るため,民生局(現 保健福祉局)の参画を得て,「幼児教育センター・統合幼稚園開設準備室」を設置した。
平成11年市会で条例可決。同年12月23日に開館。

2 京都市子育て支援総合センターこどもみらい館の取組の具体的内容・方法・実施状況
内容・方法(P.38~41参照)
相談機能
子育て相談… 心身の発達や育児不安などについて,臨床心理士等が相談に応じる。〈予約制〉
健康相談… 乳幼児の疾病や発育,健康に関して専門の医師が相談に応じる。〈予約制〉
電話相談… 乳幼児を育てる過程で生じてきた疑問や子育ての不安,悩みなどをボランティアが電話で応える。
「こども元気ランド」での相談… 相談職員を配置し,こども元気ランドでの遊びを通して,親子と自然な形で触れ合う中で,簡単な相談に応じたり子育ての楽しさを伝える。
情報発信機能
子育て図書館の運営… 絵本・育児書や保育・幼児教育の専門図書館,約23,000点の蔵書
子育てパワーアップ講座… 親子でもの作りや遊びをとおして,親子のふれあいを深め,家庭でのスキンシップの大切さについて学習する講座。〈申込み制〉
子育てセミナー… 子育てに関する今日的な課題をわかりやすく解説し,日常の子育てに役立つ情報を提供するセミナー〈申込み制〉
子育て井戸端会議… 乳幼児をもつ保護者同士が自由に参加して,子育てや身の回りのことを気軽に話し合える場の提供。
すくすく教室… 生後6ヶ月までの乳児のいる保護者等を対象に子どものこころの発達や食べること,事故防止等をテーマにした教室〈申込み制〉
子育て支援ネットワークの構築
子育てボランティアの養成(電話相談ボランティア,子育て支援ボランティア,絵本ふれあいボランティア,地域子育て支援ボランティア:約500人がこどもみらい館に登録)
研修機能
共同機構の取組として,保育士・幼稚園教諭の資質向上を目指す研修会の実施
研究機能
開館5周年(16年度)を機に乳幼児子育て支援プロジェクト,就学前研究プロジェクト,地域と結ばれた事例研究プロジェクトの3つのプロジェクトを立ち上げ,研究を続けている。
開始年度
開館日〉平成11年12月23日~
対象
乳幼児とその保護者,一般市民及び保育士,幼稚園教諭など
実施状況(P.77~参照)

3 連携した取組に至る過程での課題や工夫した点・対処法
幼稚園所管の教育委員会,保育所所管の保健福祉局の職員を配置し,保育・幼児教育の枠を取り去り,乳幼児の子育て支援を協働で推進している。
私立・市立・国立の垣根を越えた取組を推進するため,こどもみらい館内には,社団法人京都市保育園連盟,社団法人京都市私立幼稚園協会,京都市立幼稚園長会の執務室を設置しており,「共同機構」としての取組を連携して進めている。
こどもみらい館における保育者の資質向上のための研修計画並びに乳幼児の子育て支援に関する調整及び情報交換等を行う組織として,学識経験者,保育者,保護者,市民公募委員などと,行政機関で構成する「こどもみらい館企画推進会議」を設置している。
開館当初から約500名の市民ボランティアを養成し,絵本の読み聞かせ,電話相談などを市民とのパートナーシップの下に運営している。

4 こどもみらい館の取組の成果
 相談,情報発信,子育てネットワークの構築,研修,研究の5つの機能を柱とし,親子のふれあい,親同士の交流,ボランティア養成等の多彩な事業を展開する中で,家庭・地域の教育力の向上,保育士・幼稚園教諭の資質向上,乳幼児の子育て支援の推進,さらには関係機関とのネットワークの形成に大きな役割を果たしてきた。

5 こどもみらい館の取組の課題
 こどもみらい館では,子育て支援に関する多彩な事業を展開しているが,市民ニーズが多様化してきていることや,講座の受講など物理的な要因で希望者の全員に応えられていない現状がある。これらに対応するため,今まで以上に地域や家庭に子育ての情報を発信していくことが迫られている。

5  今後の方向性や展望
 子育て支援の中核施設としての機能を踏まえ,各区役所に設置している子ども支援センター及び地域子育て支援ステーション,また,保育所,幼稚園や関係機関と連携を一層強化することにより,京都のまちが長年培ってきた「地域の連携力」を呼び起こし,子育てを支え合える地域のネットワークづくりのための施策の推進を図る。

6  担当者連絡先
 京都市子育て支援総合センターこどもみらい館
 総務課 担当係長 奥野 寿士(おくの としじ)
  TEL   075-254-5001   FAX   075-212-9909
E-mail okuno@kodomomirai.or.jp



こどもみらい館(PDF:690KB)

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