日進市は名古屋市の東部に隣接し,名古屋市と豊田市のベッドタウンとして近年県内屈指の人口増加地域となっている。田園地区と高層マンション地区が混在し,古くからあるものと新しいものとの両面の顔を持っている。また,平成6年10月に市制を施行した若い都市である。
近年の急激な人口増加のため,新たに日進市で生活を始めた子どもが増えてきている。
まだまだ残っている自然(森,林,川,池,湿原など)を体験活動の場にしたり,田や畑を借用して栽培活動をしたり,市内の福祉施設や公共施設でボランティア活動をしたり,地域の方々と交流したりすることが十分可能な地域である。
また,各小学校区の家庭教育推進委員会などによる地域活動が盛んである。
取組にあたっては,地域や子どもの実態をふまえ,めざす子ども像を明らかにして,地域の特色を生かし,地域との連携の中でモデルとしての「豊かな体験活動」を推進している。そして,多様な体験活動の機会の充実を図り,子どもたちの思いやりの心をはじめとする豊かな人間性,社会性をはぐくむことをねらいとしている。
また,平成14年度の取組の反省から「豊かな体験活動」「豊かな人間性」といった言葉について再度吟味し,具体的な子ども像で定義した。それにより市内の全教員の理解を図り,具体的な学習活動や評価方法を工夫している。
子どもがいろいろな価値に出会う,子どもの心が動く,ねらいを明確にした,多様で十分な直接体験活動
各校が単元構想全体の中で,各々の体験活動が果たす役割を明確にし,体験活動の前後の学習活動を工夫しながら実践を進めている。
また,各校の取組を同じような活動にそろえるのではなく,学校や地域の特色を生かした多様な体験活動を展開していくことを前提にしている。
市内すべての小中学校(小学校7校,中学校3校)が推進校となるため,小中学校長の代表や教頭,教務主任,校務主任の各代表,各小中学校担当者,市教育委員会担当者による「豊かな体験活動」研究推進委員会を発足させ,推進地域としての研究推進の原案作成,各校の取組やその評価について検討している。また,各校の中心となる体験活動のねらいによって,各校研究推進者を3つの領域(「生」「食」「住」)に分け,各領域ごとに研究推進部会を開催し,各校の体験活動実践者(授業者)の代表を加え,各体験活動のより具体的・実践的な部分について検討している。特に本年度は,「豊かな人間性」の5つの心(感動する,感謝する,向上する,思いやる,奉仕する)の内,各領域と深くかかわっている心を明確にして実践を進めている。
感動する心 |
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感謝する心 |
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向上する心 |
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「生(い)」「食」「住」の各領域とも,「低学年:かかわる」「中学年:試みる」「高学年:働きかける」「中学生:共に生きる」といった発達段階に即した取組となるよう活動内容や期間などを工夫している。(「中学生:共に生きる」は「生(い)」「住」のみ)
〈例:「生(い)」領域の発達段階に即した取組〉
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※ NIA=Nisshin International Association(日進市国際交流協会)
推進校間の連携・連絡調整を図るとともに,市内関係行政機関や関係諸団体が子どもの体験活動に対して支援・協力できるような体制づくりをめざして,年3回の開催を原則とした「日進市豊かな体験活動推進地域協議会」を設置した。
また,各校の体験活動を支援するため,保護者,地域の自治会,社会教育関係団体,青少年団体等の関係者で構成する「学校支援委員会」を各校に設置した。各校ごとに必要に応じて開催し,地域講師の選定や地域・PTAとの連携推進の方法等についても協議を進めている。
の各代表
各々の体験活動において,めざす子ども像をより具体的なものとした評価項目を設定し,子どもの発言内容や活動の様子,プリントやレポートへの記述内容から,子どもの変容(体験によって育ってきたものと育っていないもの)をとらえようとした。
また,教師や保護者へのアンケート,地域の人(体験活動の協力者)の感想も参考にした。
「職場体験活動」のレポート
「外国の生活について考えよう(ワークショップ)」の感想
「栽培活動」の保護者の感想
初等中等教育局児童生徒課
-- 登録:平成21年以前 --