複合化公立学校施設PFI事業のための手引書 第3章 複合化公立学校施設PFI事業の進め方1(4)3)


←前ページ 次ページ→

3) 実施方針の策定・公表

1 実施方針の策定・公表
 実施方針とはPFI事業を実施しようとするとき、その基本的な考え方や内容について明らかにするものです。事業に関する情報が早く周知され、民間事業者がPFI事業への参加のための検討がしやすいように、可能な限り早い段階での作成・公表が重要です。また、事業の進捗に合わせて詳細化していくことも可能です6
 実施方針において定めるべきとされている内容はPFI法第5条第2項に示されており、これに沿って作成します。
<実施方針において定めるものとされている事項(PFI法第5条第2項)>
  特定事業の選定に関する事項
  民間事業者の募集及び選定に関する事項
  民間事業者の責任の明確化等事業の適性かつ確実な実施の確保に関する事項
  立地並びに規模及び配置に関する事項
  事業計画又は契約の解釈について疑義が生じた場合の措置に関する事項
  事業の継続が困難となった場合の措置に関する事項
  法制上及び税制上の措置並びに財政上及び金融上の支援等に関する事項
  その他特定事業の実施に関し必要な事項

2 実施方針に対する質問や意見の受付
 PFI事業において民間事業者の創意工夫の発揮を促すためには、民間事業者の意見を踏まえ事業の検討を進めることが重要です。そのため、実施方針公表後、実施方針に対する質問や意見を民間事業者から受け付けます。
 質問の受付については、民間事業者の検討期間が確保できるよう実施方針の公表後一定期間を置いてから行い、回答は質問と合わせて公表することが一般的です。
 また、民間事業者から受けた意見については、必要に応じて、特定事業の選定や民間事業者の募集に反映します。

3 審査委員会の設置
 実施方針の策定以降、PFI事業の実施に当たり、専門的かつ客観的な視点からの意見を反映させるため、審査委員会を設置し、一般的には実施方針の公表、特定事業の選定、入札公告、事業者の選定に際し、審査委員会を開催し審議を行います。
 総合評価一般競争入札方式を採用する場合には、1総合評価一般競争入札を行おうとするとき、2落札者を決定しようとするとき、3落札者決定基準を定めようとするときは、あらかじめ学識経験者の意見を聞くこと7が求められており、審査委員会において意見聴取を行うこととなりますが、公募型プロポーザル方式を採用する場合にも、同様に審査委員会において学識経験者等の意見を聴くことが望ましいと考えられます。
 また、審査委員会は、外部の学識経験者と公共の関係部署により構成される場合が多くみられます。外部の学識経験者を選定する場合には、事業の特性に応じて、金融、建築、教育行政、併設施設運営に精通した専門家などから選定することになります。また、当該事業について真に優れた提案を選定するためには、審査委員に、事業の目的やPFI導入の趣旨についての共通認識を有してもらうことが非常に重要となります。したがって、公共の担当者は審査委員に対してこれらについて十分な説明を行うことが求められます。

6   民間資金等の活用による公共施設等の整備等に関する事業の実施に関する基本方針 一-2-(2)(3)
7   地方自治法施行令第167条の10の2第4項

複合化公立学校施設PFI事業の留意事項
民間事業者の検討期間の確保・民間事業者との十分な意思疎通
 併設施設の運営を民間事業者に委託する場合、民間事業者においては、コンソーシアムの組成、金融機関との調整などにおいて、学校施設のみの場合と比較すると時間を要することになると考えられます。また、より複雑な事業の枠組みとなることから、公共と民間事業者の間で十分な意思疎通をすることが重要となります。
 したがって、可能な限り実施方針の公表時点やその後速やかに、要求水準書(案)や契約書(案)、落札者決定基準(審査基準)(案)を公表し、これらの資料についても民間事業者から質問等がある場合には速やかに回答を行うことが望ましいと考えられます。
 また、入札説明書を作成する前に、当該事業に関心をもつ民間事業者に対しヒアリングを行うなど、広く公募条件に対する意見等を収集する工夫をすることも考えられます。

←前ページ 次ページ→

 

-- 登録:平成21年以前 --