「規制改革・民間開放の推進に関する第2次答申」における教員採用、教員評価等に係る運用上の工夫及び留意点について(通知)

17文科初第1183号
平成18年3月31日

  

 各都道府県教育委員会教育長 殿
 各指定都市教育委員会教育長 殿
 各都道府県知事 殿
 附属学校を置く各国立大学法人学長 殿

文部科学省初等中等教育局長
銭谷  眞美

      

 平成17年12月22日に、政府の「規制改革・民間開放推進会議」が取りまとめた「規制改革・民間開放の推進に関する第2次答申」において示された「具体的施策」については、最大限に尊重し、所要の施策に速やかに取り組むとの閣議決定が行われました。
 同答申においては、下記1.及び2.のとおり、教員の質の向上を目指した免許・採用制度及び教員評価制度の改革について提言されていることから、関係者の皆様にお知らせすることとしました。各位におかれましては、地域の実情等に応じて、別紙資料も参照しつつ、下記の事項にご留意いただくようお願いします。
 あわせて、都道府県教育委員会におかれては、域内の市区町村教育委員会に対し、この通知の内容について周知願います。また、都道府県知事部局におかれては、域内の私立学校に対し、この通知の特別免許状に関する内容について周知願います。
 なお、特別免許状の活用については、私立学校、国立学校においても十分ご留意いただくようお願いします。

1.免許・採用制度改革~社会人経験者を含む多様な人材の確保・活用に向けて~

(1)免許状を有しない者の採用選考の拡大

  • 教員免許状を有する者を対象とする採用選考に加え、より多様な人材を学校教育に確保・活用するための方策として、教員採用選考において、教員免許状を有しない者も対象とし、合格した者には特別免許状を授与することを前提とした特別選考の積極的な活用に努めること。
     なお、平成17年度教員採用選考試験において、すでにいくつかの県で特別免許状の授与を前提とした特別選考(別紙1参照)が実施されているが、他の都道府県・指定都市又は学校法人等においても、積極的に上記の特別選考を活用されたい。
  • 特別免許状について、制度の趣旨等について広く周知し、その活用促進を図る観点から、各任命権者においては、教員免許状を有しない者に対する特別選考の実施状況等、採用選考の状況について広く公表するよう努めること。
  • 上記のような特別選考を実施する際には、幅広い多くの志願者が得られるよう、募集の趣旨等について、広く周知徹底に努めること。

(2)特別免許状の活用の促進

 下記の方途を講じることにより、特別免許状の一層の活用に努めること。

【1】 適任者の幅広い情報収集

  • 特定分野に秀でた能力を有する者の雇用が必要となった際に、推薦すべき者を迅速かつ適切に選出・雇用できるよう、日頃から幅広い発掘・把握に努めること。
     その際、すでに、看護等の一部教科において教員免許状を有する者が不足している場合においては、適任者の情報収集等を行っている場合もあるが、非常勤講師の登録等を参考に、学校長等の任命権者・雇用者以外の第三者からの推薦を活用するなど、免許状を有しない者に関する情報収集・把握に努めること。

【2】 授与権者と任命権者又は雇用者との間における教育職員検定に係る事務手続きの事前取決め

  • 採用選考を実施し、その合格者に対して教育職員検定を実施する場合には、(ア)採用選考時の提出書類をもって教育職員検定時の書類に代えることができることとする、(イ)教育職員検定の際に行われる学識経験者の意見聴取事項についてあらかじめ取決めを行い、採用選考時に事前に聴取するなど、授与権者と任命権者又は雇用者との間で教育職員検定に係る事務手続きの事前取決めを行い、事務手続き上の負担を軽減することにより、特別免許状の活用促進に努めること。
  •   
  • 特に私立学校においては、教員免許状を有しない志願者が、特別免許状の授与の申請が負担となることによって、事実上不利に扱われることのないように配慮するよう努めること。
     なお、特別免許状授与のための教育職員検定を実施する際には、受検者の人物、学力、実務及び身体について、適切な検定を行うことが前提であることには変わりはない。

【3】 他県の特別免許状を有する者に対する教育職員検定の弾力化

  • 他県における勤務実績等の書類をもって、教育職員検定の際の提出書類等を一部免除するなど、他県の特別免許状を有する者に対する教育職員検定についての弾力的な取扱いに努めること。

【4】 教育職員検定の透明性の確保

  • 教育職員検定については、学識経験者からの意見聴取を含め、教育職員検定の合否基準等を公表するなど、教育職員検定の透明性の確保に努めること。

【5】 小学校教員における特別免許状の授与の促進

  • 小学校教員における特別免許状については、国語、社会、算数、理科、生活、音楽、図画工作、家庭及び体育の教科又は事項について授与することができる(教育職員免許法第4条第6項第一号)こととなっているが、平成17年4月1日現在までの授与件数は2件であり、小学校においても特別免許状の積極的な活用に努めること。
     その際、それぞれの教科に関する優れた知識経験・技能等があり、要件を満たす者であれば、同じ者に対して複数の特別免許状の授与を行うことも十分に可能であるので、留意されたい。

(3)任期付き採用制度の活用

  • 各地方公共団体においては、「地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律」(平成14年法律第48号)に基づき、任命権者の判断で教職員を任期付きで任用でき、資質の高い教員に関しては、その経験等を考慮して、改めて選考を行うことにより任期の定めのない任用を行うことができるものであること。

(4)教員採用における公正性の確保

  • 教員の採用については、これまでも透明性・客観性が確保された採用選考を行うよう促しているが、受験者の関係者の中に、教育委員会関係者、学校関係者、自治体関係者などがいることが、採用に有利に働いているのではないかという懸念が一部にあることも念頭におきつつ、今後より一層、採用選考の透明性・客観性の確保に努めること。
     その際、採用選考の客観性・公正性が損なわれることのないよう、それぞれが求める教員像を明確にし、学力試験問題や採用選考方法・基準を公表するとともに、また、面接に当たっては、多様な構成により、幅広く公正な立場から面接を行える者を確保し、選考の過程で利害関係者による接触等を排除するなど、採用選考の透明性・客観性を高め、また厳正かつ公正な実施に努めることにより、教育に対する信頼の確保に努めること。

2.教員任用・評価・処遇制度の改革~児童生徒・保護者の意向を反映した教員評価の実現に向けて~

(1)児童生徒・保護者の意向を反映した教員評価制度・学校評価制度の確立

  • 学校を設置・管理する教育委員会の相談体制を強化して児童生徒・保護者の教員に関する意見等を受け付け、それを教員評価に反映させる工夫をするよう努めること。
  • 校長は、学校評価の一環として実施する授業や学級経営、生徒指導等を含む、学校教育活動に関する児童生徒・保護者による具体の評価結果を、教育委員会に報告し、教員評価や教員研修を行っている市町村や都道府県の教育委員会は学校教育の改善のため、それを適切に活用するよう努めること。

(2)校長評価制度の確立

  • 児童生徒・保護者は学校に対して満足しているか、学校の平均的な学力水準が向上しているか、学校選択制導入以降に児童生徒が増えているか、生徒指導の取組が適切であるかどうか等、学校管理能力など校長の能力や実績を任命権者が客観的に評価する仕組みを早急に確立するよう努めること。

(3)条件附採用期間の厳格な制度運用

  • 条件附採用制度については、真に教育者としての適性のある資質の高い者のみが本採用されることとなるよう、上記2.(1)による評価等を踏まえ、その厳正な運用に努めること。

(4)指導力不足教員を教壇から退出させる仕組みの確立

  • 全ての都道府県教育委員会及び指定都市教育委員会においては、現在、構築されている指導力不足教員に対する分限処分等の必要な措置を講じる仕組みについて検証するとともに、取組が不十分な教育委員会においては、厳正な運用に努めること。
  • 指導力不足教員のうち、分限処分とすべき教員を判定するための具体的で明確な運用の指針を任命権を有する教育委員会において策定するよう努めること。なお、別紙2「指導力不足教員に関する裁判事例」についても参照されたい。

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総合教育政策局教育人材政策課

(総合教育政策局教育人材政策課)

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