「不登校の児童生徒等への支援の充実について(通知)」令和5年11月17日

5文科初第1505号
令和5年11月17日

                                 

  各都道府県教育委員会教育長 殿
  各指定都市教育委員会教育長 殿
  各都道府県知事 殿
  附属学校を置く各国公立大学法人学長 殿
  小中高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長 殿

文部科学省初等中等教育局長
矢野 和彦
(公印省略)
 

不登校の児童生徒等への支援の充実について(通知)
 
 
 

 不登校児童生徒への支援につきましては、関係者において様々な努力がなされているところですが、令和4年度の国立、公立、私立の小・中学校の不登校児童生徒数が約29万9千人(過去最多)、うち学校内外で相談を受けていない児童生徒数が約11万4千人(過去最多)、うち90日以上欠席している児童生徒数が約5万9千人(過去最多)と高水準で推移しており生徒指導上の喫緊の課題となっています。更に国立、公立、私立の高等学校においても不登校生徒数が約6万人、うち学校内外で相談を受けていない生徒数が約2万5千人、うち90日以上欠席している児童生徒数が約4千人となっております。
 こうした状況において、文部科学省では本年10月17日に「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」を取りまとめ公表するとともに、政府としても11月2日に閣議決定した「デフレ完全脱却のための総合経済対策」において不登校児童生徒等の早期発見・早期支援や学びの継続のための取組の方向性を示し、こうした方向性が11月10日に閣議決定した令和5年度補正予算案に反映されたところですのでお知らせします。あわせて、文部科学省がこれまで発出した通知について、「学校に戻ることを前提としない方針を打ち出した」等の指摘があることから、誤解が生じないよう、別紙のとおり不登校の児童生徒への支援について改めて基本的な考え方を周知します。
 都道府県・指定都市教育委員会にあっては、所管の学校及び域内の市区町村等教育委員会等に対し、都道府県にあっては所轄の学校法人及び私立学校に対し、附属学校を置く国立大学法人及び附属学校を置く公立大学法人にあっては附属学校に対し、構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体にあっては認可した学校に対し周知するようお願いします。  


 

 令和5年3月に取りまとめた「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」を前倒しして、不登校児童生徒全ての学びの場の確保や心の小さなSOSの早期発見等に係る支援を強化するため、令和5年度補正予算案において、以下の取組を予定していること。予算成立前であり現時点での検討案ではあるが、内容を確認の上、活用を検討いただきたいこと。

1.不登校児童生徒等の学び継続事業(別添1)
 (1)校内教育支援センターの設置促進(29億円)
  ・校内教育支援センターを設置できていない自治体において、校内教育支援センターを設置したり、教職員研修等を実施したりすること。
  また、今回の補正予算は、校内教育支援センターの設置に当たってのコーディネーターに係る謝金にも活用できること。なお、校内教育支援センターにおける指導体制については、教師や学習指導員による学習支援やスクールカウンセラー等による相談支援が考えられるほか、コミュニティ・スクール(学校運営協議会を設置した学校)や地域学校協働活動の枠組み(別添3)を活用することにより教職員と地域の関係者が連携・協働して運営を行うことも考えられること。
 (2)教育支援センターのICT環境の整備(2億円)
  ・不登校児童生徒を在籍校とつなぎ、オンラインによる指導やテスト等を受けられ、成績反映を可能にするため、教育支援センターのICT環境を整備すること。
 (3)スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置充実(7億円)
  ・不登校児童生徒への支援やいじめの解消のため、児童生徒・保護者等に対して、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによる積極的な支援を実施すること。
  ※なお、「令和5年度補正予算(第1号)に伴う対応等について」(令和5年11月10日付け総務省自治財政局財政課事務連絡)において、今般の「国の補正予算における歳出の追加に伴う地方負担(中略)の一部を措置するため、令和5年度の地方交付税を(中略)増額交付すること」とされているので、あわせてお知らせする。

2.不登校児童生徒等の早期発見・早期支援事業(別添2)
 (1)教育支援センターの総合的拠点機能形成(3億円)
  ・支援を受けられていない不登校児童生徒へのアウトリーチ支援の実施や保護者に対する相談窓口を新たに開設する等教育支援センターが不登校児童生徒への支援に係る地域の総合的な拠点となるためのモデル構築を行うこと。
 (2)1人1台端末等を活用した「心の健康観察」の導入推進(10億円)
  ・不登校やいじめ、児童生徒の自殺が急増する中、児童生徒のメンタルヘルスの悪化や小さなSOS、学級変容などを教職員が察知し、問題が表面化する前から積極的に支援につなげ、未然防止を図るため、1人1台端末等を活用して、「心の健康観察」の全国の小・中・高等学校での実施を目指すこと。
   なお、各種相談窓口の情報(別添4)が相談支援を必要とする児童生徒に確実に届くよう、1人1台端末を活用する際のポータルサイトや、ブラウザのお気に入り機能等を活用して、各種相談窓口に繋がれるようにすること。
 (3)不登校・いじめ対策等の効果的な活用の推進(1億円)
  ・各地域・学校における不登校・いじめ対策の実施状況を調査・分析し、対策ごとの効果・課題を整理することにより、さらなる不登校・いじめ対策の充実につなげるとともに、優れたモデルとなり得る事例を収集・展開すること。

 

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課

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