出席停止制度の適切な運用について

  出席停止制度とはどのような制度ですか。

   学校は,児童生徒が安心して学ぶことができる場でなければならず,その生命及び心身の安全を確保することが学校及び教育委員会に課せられた基本的な責務です。学校において問題行動を繰り返す児童生徒には,学校の秩序の維持や他の児童生徒の義務教育を受ける権利を保障する観点からの早急な取組みが必要であり,児童生徒を指導から切り離すことは根本的な解決にはならないという基本認識にたって,一人一人の児童生徒の状況に応じたきめ細かい指導の徹底を図ることが必要です。
 しかし,公立小学校及び中学校において,学校が最大限の努力をもって指導を行ったにもかかわらず,性行不良であって他の児童生徒の教育の妨げがあると認められる児童生徒があるときは,市町村教育委員会が,その保護者に対して,児童生徒の出席停止を命ずることができます。(学校教育法第35条,第49条)。
 この出席停止制度は,本人の懲戒という観点からではなく,学校の秩序を維持し,他の児童生徒の義務教育を受ける権利を保障するという観点から設けられています。


  平成13年の学校教育法改正により,何が変わったのですか。

   平成13年の学校教育法改正により,次の点が変わりました。

1.  出席停止の要件の明確化
 出席停止の基本的な要件は,「性行不良」であることと,「他の児童生徒の教育の妨げがある」と認められることの2つが示されています。
 平成13年の法改正により,法律上の要件を明確化するため,「性行不良」の例として,「他の児童生徒に傷害,心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為」「職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為」「施設又は設備を損壊する行為」「授業その他の教育活動の実施を妨げる行為」が掲げられ,それらの「一又は二以上を繰り返し行う」ことが示されました。

2.  出席停止の手続に関する規定の整備
 出席停止は,法律の規定の趣旨を踏まえ,定められた要件に基づき,適切な手続を踏みつつ運用されることが必要です。そのために,出席停止の命令の手続に関し必要な事項を教育委員会規則で定め,実際に市町村教育委員会が出席停止を命ずる際には,保護者の意見の聴取を行うこと,出席停止を告げるときには理由及び期間を記載した文書を交付しなければならないことが示されました。

3.  出席停止期間中の児童生徒に対しての学習支援措置の明記
 出席停止制度の運用にあたっては,他の児童生徒の安全や教育を受ける権利を保障すると同時に,出席停止措置期間中の当該児童生徒への指導の充実を図ることも重要です。
 そのため,市町村教育委員会は,出席停止期間中の児童生徒に対して学習支援の措置を講じるものとすることが定められました。

-- 登録:平成21年以前 --