総合的な人間力をはぐくむための長期宿泊体験活動−地域参加型の取組を中心として−
【活動のポイント】
- 本校普通科生徒の大半は、過疎化・少子高齢化の進んだ奥三河山間地域に育ち、幼児期・少年期に不可欠な広い範囲での人的交流や異文化に接する体験が少ない。そこで、新しい人との出会いや体験を通して、人間的・社会的視野を広く養い、コミュニケーション能力を高め、バランスの取れた総合的な人間力を育むことを目標とした。
- 非常時において高校生として求められうるボランティア活動の内容を知るとともに、地域の方々と協力しながら体験活動を進めていく中で交流を深め、非常時への対応能力を高める。学校が、実際の災害時に避難場所となり、そこで活動することとなるであろう生徒が多いため、宿泊場所は本校の体育館としている。
【活動内容(対象:2年生)】地域参加型体験活動について
市の防災担当者を中心に、ボランティアコーディネータや保護者の協力をいただき、学校の体育館を舞台に非日常的活動を実施する。
<1日目>
- 阪神大震災を再現した3D映像を含めた講話
- 体育館が避難所となったとき何が必要かをグループワークで検討させるDIG演習(地図を使って防災対策を検討する訓練)
- 避難所の設営・ハイゼックス(炊飯袋)を用いた炊き出し
- 特殊メイクを施して傷病者に扮した教員への応急処置等
<2日目>
- AED(自動体外式除細動器)使用法の講習・ロープワーク講習
- ライフライン復旧作業としての土嚢作り
- 道路の破損箇所の補修・三角巾を用いた応急救護法の講習
- その他、自主的に活動できる仲間づくりや学級づくりを図るための合宿体験活動(2泊3日)や、知見を広げ、自己の在り方、生き方を考える中でバランスのとれた総合的な人間力を高める修学旅行(3泊4日)を実施する。
【体験活動の支援体制】
- 校長、教頭のほか、生徒指導主事や進路指導主事、保健主事などからなる学校としての推進体制を構築したほか、新城市作手総合支庁教育課長や地域振興課防災担当者、PTA会長等からなる学校支援委員会において体験活動の実施を支援した。
- 全行事に養護教諭が帯同した。また、危険を伴う器具の使用に関しては、農業科を中心とした多くの教員を配置した。
- 多くの生徒からヒアリングを事後に直接行い、改善に向けての課題の把握に努めている。
- (例)「三角巾を用いた応急救護法の講習」を「特殊メイクを施して傷病者に扮した教員への応急処置」の前にやってほしいという声が多かったため、19年度はプログラムの順序を組み替えて実施する。
【体験活動の成果と課題】
- 生徒アンケートからは以下のようなことが読み取れる。
- 「非常時に高校生に期待されるボランティア活動の大切さを理解した。」
- 「家庭において避難先、持ち物、連絡先などを確認し、防災用品を購入した。」
- 「生徒自らが非常時において主体的に動くことの大切さを理解した。」
- 18年度に新しく始めた取組が多いので、今年度の反省を来年度の取組にいかにフィードバックし、いかに培ったノウハウを引き継ぐかが課題である。