ここからサイトの主なメニューです

2.(2)19.NPO法人体験観光ネットワーク松浦党/松浦体験型旅行協議会

松浦党の里ほんなもん体験

取組の概要

(1)活動の趣旨

【エリア紹介】

 本NPO法人・協議会の活動の舞台、長崎県北松浦半島は、九州の西端にある長崎県、北松浦半島とその周辺の島々からなり、水軍「松浦党」発祥の地でもあります。

【活動紹介】

 豊かな自然や農林漁業を活かし、プログラム化した「ほんなもん(イコールほんもの)」の体験を提供し、平成18年度には修学旅行で訪れた、58校約1万人の児童生徒が利用しました。この活動が認められ、都市と農山漁村の共生・対流を促進する優れた団体などを表彰する「第4回オーライ!ニッポン大賞(主催:農林水産省など)」で、グランプリ(内閣総理大臣賞)を受賞しました。(平成19年)



(2)活動の理念

 私たちは、ありのままの暮らしや自然の営みの中で、児童生徒の皆様をお客様ではなく家族の一員としてお迎えします。
 そこで、体験や民泊を通して、児童生徒の皆様に松浦党の里の豊かな食文化や生活文化、農水産物の価値、家族の絆や親の愛・人の愛を伝えます。特に、人とのふれあいを通してコミュニケーション能力を高め、モチベーションを高めて「力強く生きる力」を身に付けていただきたいと強く願っています。
 このため、児童生徒の皆様にとって安全でかつ教育効果の高い体験活動となるよう、心を込めてお手伝いさせていただくこととしています。


取組の3つの特徴

≪その1≫

 90種類の豊富な農林漁業体験プログラムと、1日最大2,000名の受入れが可能な漁村・農村での民家ステイ体験(民泊)ができること

 松浦党の里の特徴は、何といっても、体験プログラム数や宿泊できる民家数の豊富さです。
 当初は、「田舎だから何もない。こんな田舎に修学旅行生がくるはずがない。」「他人を宿泊させるのはちょっと…。」など、農家や漁家になかなか受け入れると言ってもらえませんでしたが、理解を求め地道に農漁家を1軒1軒駆け回った結果、「1回だけなら」と言ってもらい、何とか協力を得ることができました。
 それでも無事に受入れが終わると、「楽しかった」「家の中が久しぶりに賑おうた」「よかコトしてくれたね」「今度はいつな?」と異口同音に評価してくれました。
 初受入れの成功によって予約問い合わせが殺到し、「よし、いける!」との確信を得て、旧11市町村に跨る広域連携に着手し、受入地区を13に拡大することができました。
 体験活動への農漁家の参加意識が高まるだけでなく、他地区に負けないよう、地区ぐるみで努力する動きも活発になってきましたが、その理解と関心の深まりは、青少年との交流を心から楽しみ、その健全育成に自ら役立っているという実感、生きがいに出会えたことや社会貢献の喜びと誇りに起因しています。
 農漁家である担い手が、体験活動を通してかつてのような自信や誇りを取り戻したことで、地域が輝いて見えるようになりました。

【体験プログラム】

種類 プログラム数 主なプログラム
漁業体験 15 漁村民家ステイ、定置網漁、地引網漁、養殖場エサやり、イワシ網漁、カゴ漁、たこ漁、延縄漁、船釣り、港釣り、刺網漁 ほか
農林業体験 19 農村民家ステイ、いちご収穫、田植え、稲刈り、じゃがいも栽培、酪農家の牛乳豆腐作り、森林間伐、炭焼き、和牛農家 ほか
味覚体験 25 田舎料理、長崎ちゃんぽん、押し寿し、そば打ち、豆腐、よもぎもち、魚のおろし方、かまぼこ、さつま揚げ、アジの開き ほか
自然・歴史体験 11 元寇史跡と星鹿城山、鷹島元寇史跡探訪、阿値賀島自然観察クルージング、志々伎山登山、磯の生物観察、昆虫観察 ほか
アウトドア体験 6 乗馬、シーカヤック、ヨット、和船漕ぎ、筏作り、川釣り
伝統・工芸・文化・平和体験ほか 14 つる工芸、凧作り、わらぞうり作り、竹細工、昔玩具作り、押し花作り、茶道 大名茶鎮信流、座禅、松浦火力発電所見学 ほか
合計 90  

 体験プログラムは、整えられたものではなく、ありのままの自然や暮らしの営みの中で実施する「ほんもの体験」を意図しています。一番人気は漁村・農村での民家ステイ体験(民泊)であり、エリア内約500軒の民家で1日最大2,000名の受入れが可能です。

体験エリアMAP

≪その2≫

 民間主導のコーディネート組織「松浦体験型旅行協議会」と広域エリア内13地区の受入組織を指導する「NPO法人体験観光ネットワーク松浦党」が相互に連携し、これらを長崎県や松浦市など行政が強力にバックアップする「官民協働」の受入システム

 体験利用者である学校側と受入側である農漁家をつなぎ、安全でかつ教育効果の高い体験プログラムを提供するため、平成14年1月に、会員約80名で推進組織「松浦体験型旅行協議会」を設立しました。
 平成18年4月には、広域連携により拡大した各地区受入組織の代表を理事とする「NPO法人体験観光ネットワーク松浦党」を設立し、責任ある組織体制のもと民泊先への指導、衛生管理の徹底をはじめ農漁家への安全対策の指導強化を図っています。
 また、民間主導の取組に対する関係自治体の理解も深く、両団体設立当初からの財政支援に加え、平成18年4月には長崎県及び松浦市からの人的支援をいただき、「官民協働」の受入システムを確立することができました。
 「松浦体験型旅行協議会/NPO法人体験観光ネットワーク松浦党」−「各地区の受入組織」−「受入民家・指導員など担い手」が、人と人との信頼の絆で結ばれたネットワークを形成し、安全でかつ教育効果の高い体験活動を支えています。

「松浦党の里ほんなもん体験」の仕組み

≪その3≫

 年間延べ60回を超えるインストラクター講習会の実施や、事故に備えた賠償責任保険への加入といった、安全・安心に対する万全の備え

 特に、安全対策については、事故の発生が児童生徒の皆様はもとより、学校や旅行会社に多大な迷惑をかけ、ひいては地域全体の信用までも台無しにしてしまうとの強い思いから、常に安全管理の改善を求め、対策を強化し続けています。
 安全対策は、受入れの前にすべての受入民家・インストラクターが講習会受講や自己研鑽により身につけなければならず、「NPO法人体験観光ネットワーク松浦党」が責任を持ってその指導徹底にあたっています。

【講習のポイント】

 体験活動は、農漁業や伝統的食文化、環境への理解を深め、コミュニケーション能力を高める絶好の機会です。教育目的の民泊や体験は、その目的が達成できるレベルのプログラムでなければなりません。楽しみながら学校や家庭で学べない大切なものを学べなければなりません。
 このためには、「簡単・楽」「やさしい」「お手軽・すぐできる」「安全・雨天中止」「便利・合理的」「近代的・最新式」な体験ではなく、次のような理念をしっかり捉えなければなりません。

  • 1大変だから→優越感が生まれ、自慢でき、自信につながります。
  • 2難しいから→乗り越えた喜びがあり、達成感があります。
  • 3時間がかかるから→交流があり、人間関係が構築できます。
  • 4危ないから・天候が変わるから→安全対策や健康管理のノウハウが身につき、自然環境や農林漁業が深く理解できます。
  • 5不便・不合理だから→工夫し合理性を見出し、創造力・問題解決能力の向上につながります。
  • 6原始的・旧式だから→手先や体を十分に使い、知恵や技術を知り、自己能力を発見し、自信が持てます。

 このような理念とともに、体験活動が求められる背景、体験や民泊の進め方、安全対策、緊急時の対応などについて、年間延べ60回を越える座学と実地の講習会を実施しています。
 特に民泊における安全対策については、衛生管理基準を定め、「食中毒予防の5つのポイント」として次の対策を常に指導徹底しています。

  • 1食品の準備:新鮮な物の準備、温度管理の必要な食品を室温で放置しないなど
  • 2調理場内の保存:冷蔵庫・冷凍庫の詰めすぎに注意、食品は容器に入れて保存するなど
  • 3下準備:調理場の清掃、手洗いの励行、包丁・まな板の使い分け、食器の消毒など
  • 4調理:下準備で汚れた台所の清掃、手洗いの励行、十分な加熱など
  • 5食事:手洗いの励行、清潔な食器の使用、食品を室温で長時間放置しないなど

 また、体験における安全対策として、例えば、漁業体験では全員にライフベストを着用させ、体験場所を港の至近に限定して漁船同士での相互監視ができるようにしています。さらに監視艇を出し、体験を中断せずに船酔いやトイレの人を陸に揚げる任務に就かせています。
 このように安全対策の指導を徹底し、決して事故が起こらないようシステムのチェックと安全に対する注意喚起を定期的に行っています。

【保険契約内容】

項目 1生産物賠償責任保険 2行事参加者傷害保険 3施設賠償責任保険 4船舶賠償責任保険
体験プログラム 死亡・後遺障害   3,000万円    
入院保険金日額   4,500円    
通院保険金日額   2,500円    
対人 1名     3,000万円  
1事故     1億円 3,000万円
対物 1事故     500万円 3,000万円
民泊 対人 1名 7,000万円   7,000万円  
1事故 3億円(年間)   3億円  
対物 1事故 1,000万円(年間)   1,000万円  
  • 1生産物賠償責任保険:民泊先での飲食物に起因する食中毒事故等によって生じた身体障害・財物損壊
  • 2行事参加者傷害保険:体験プログラムに参加している間の事故によって生じた身体障害
  • 3施設賠償責任保険:体験・民泊施設の管理不備等に起因する事故によって生じた身体障害・財物損壊
  • 4船舶賠償責任保険:船舶(シーカヤック等)使用中の衝突事故等によって生じた相手方の身体障害・財物損壊

学校での体験活動への支援について

(1)教育に資する6つのポイント

 修学旅行をはじめ学校での体験活動の受入れにあたっては、「どのように教育に資するか」という視点で、次の6つのポイントを重視しながら、心を込めてお手伝いさせていただいています。

  • 1体験や民泊は、設えるのではなく、ありのままの自然や暮らしの営みの中で実施します。
  • 2民泊での料理も松浦党の里の自然、生活、産業、歴史、文化に根ざし、関連性のあるものにします。
  • 3民泊の受入家庭は、松浦党の里の農漁村に長年住み続け、この地を熟知し誇りを持つ者とします。
  • 4深く理解していただくため、準備、後片付けを含め可能な限り全プロセスの体験をしていただきます。
  • 5最終的に一人でできるよう親切丁寧に教えながら、自らチャレンジしていただきます。
  • 6受入家庭やインストラクターは、自分の生業に対する自信や誇りを伝えます。

(2)体験や民泊を通して得られる教育的効果

「力強く生きる力」の育成

  •  環境の異なる地域、他の世代との交流により視野が広がり、多様な価値観を形成することができます。
  •  厳しい自然と過疎化のなかで、懸命に生きる人々に学ぶことで、社会や生活への興味、関心、意欲などが向上します。
  •  人間関係の絆を深め、コミュニケーション(人間関係構築)能力が高まります。
  •  課題発見、対応能力も育成することができ、生きる(生活する)ために必要な知識や技術を身につけることができます。
  •  自己確認と達成感を得ます。
  •  働くことの意味、感謝の気持ちが培われます。
  •  循環型社会や環境問題について考え、行動する機会となります。
  •  自然との共生・共存、自然保護について考えます。
  •  自信や誇りを持つことで、次への動機が生まれます。
  •  主体的な行動につながります。
  •  学習・知識に対する興味・関心・意欲を高めます。
  •  安全確保について学び、考える機会となります。

ある高校の修学旅行「島まるごと体験」より


1.【青島上陸】
約20分の船旅を終えて島に上陸。“お疲れさま、ようこそいらっしゃいました”

2.【入村式】
入村式でホームステイ先の紹介です。

3.【午前プログラム】
インストラクターの紹介です。

4.【定置網漁体験】
定置網漁で魚をすくっています。
黄色のライフベストが体験者です。

5.【船釣り体験】
カサゴやべラを釣っています。限りなくのどかな時間が流れています。

6.【刺網漁体験】
漁場から戻り「海の中のかすみ網」にかかったサザエや魚をはずしています。

7.【バーベキュー】
海鮮バーベキューです。美しい自然が素材の味を一層引き立てます。

8.【自由時間】
浜辺での食後のひとときです。日常を忘れる美しい世界です。

9.【かまぼこ作り体験1】
その日の魚を3枚におろし、できるだけ小さくなるよう叩いています。

10.【かまぼこ作り体験2】
すり鉢ですって美味しいかまぼこが出来ました。

11.【凧作り体験】
紙を根気強く貼り、糊を乾かして飛ばします。

12.【地引網漁体験1】
自然と一体になって時を忘れます。

13.【地引網漁体験2】
砂地の魚はすばしっこいので、みんなの息が合わないと網に入りません。

14.【ロープワーク】
ロープワークはなかなか覚えられないけど、命を守る技です。

15.【お別れ】
楽しい時間はあっという間に過ぎました。テープで心をつないでお別れです。

16.【お別れ】
漁船で帰るグループのお別れです。“きっとまた来てくださいね。”
   

 高校生の皆様が初夏に青島を訪れ「島まるごと体験」をしました。約100名が漁家にホームステイして漁村の生活を大いに満喫しました。生徒の皆様から次のような感想文が届きました。

  • 「時間が止まったみたいで、嬉しくて楽しくてすごく幸せでした。みんなすごく良い人で、海もきれい。ご飯も美味しかった。誕生日の人のためにケーキを頼んでくれて、すごく嬉しかった。(3年女子)」
  • 「最初は漁師の人たちの顔が怖かったけど、みんな優しい人で良かった。とにかく、海に感動!涙の感動!ああいう海は残して欲しい。料理もうまくて最高、夜の星も最高!青島最高!(3年男子)」
  • 「島の人たちはみんな優しい。すごく楽しかった。一生に残る思い出になった。特に、お世話になったホームステイのおばさん、ありがとう。ほんとうに感謝の気持ちでいっぱいです。(3年女子)」
  • 「…‥何もせずにもう1日過ごしたかったです。卒業したらまた青島に行きます。(3年男子)」

“皆さん、ありがとうございました。またお会いできるのを楽しみに待っています。”

-- 登録:平成21年以前 --