改正教育公務員特例法における令和5年4月からの教員研修に関する運用の留意事項及び関連情報について(事務連絡)

事務連絡
令和5年3月30日

各都道府県教育委員会教員研修事務主管課
各指定都市・中核市教育委員会教員研修事務主管課  御中
各都道府県教員研修事務主管課
各指定都市・中核市教員研修事務主管課
 

文部科学省総合教育政策局教育人材政策課

改正教育公務員特例法における令和5年4月からの教員研修に関する運用の留意事項及び関連情報について(周知)

 令和4年5月18日、「教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律」(令和4年法律第40号。以下「改正法」という。)が公布され、その概要及び留意事項について、「教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律等の施行について(通知)」(令和4年6月21日付け4文科教第444号、文部科学事務次官通知。以下「施行通知」という。)において通知したところです。また、令和4年8月31日、改正法による改正後の教育公務員特例法(昭和24年法律第1号。以下「改正教特法」という。)第22条の2に基づく大臣指針(以下「指針」という。)の改正等の趣旨・概要及び留意事項に関しては、「改正教育公務員特例法に基づく公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針の改正等について(通知)」(令和4年8月31日付け4文科教第816号、総合教育政策局長及び初等中等教育局長通知。以下「指針通知」という。)において通知したところです。 令和5年4月1日からの改正教特法施行に向け、よくお問い合わせをいただく内容を中心に、御留意いただきたい点や関連情報等をまとめましたので、改めて周知します。 本周知も踏まえつつ、施行に向けて適切な事務処理が図られるよう御配慮いただくとともに、各都道府県教育委員会におかれては、域内の市(指定都市及び中核市を除く。)区町村教育委員会に対して、各都道府県知事におかれては、域内の市(指定都市及び中核市を除く。)区町村認定こども園主管課に対して本内容の周知をお願いします。 また、本事務連絡は、関係資料と併せて文部科学省のウェブサイトに掲載しておりますので、御参照ください。


1 これまでの経緯

  •  グローバル化や情報化の進展により、教育を巡る状況の変化も速度を増している中で、教師自身も高度な専門職として新たな知識技能の修得に継続的に取り組んでいく必要が高まっている。また、オンライン研修の拡大や研修の体系化の進展など、教師の研修を取り巻く環境も大きく変化してきた。このような社会的変化、学びの環境の変化を受け、令和の日本型学校教育を実現する「新たな教師の学びの姿」として、教職生涯を通じて探究心を持ちつつ主体的に学び続けること、一人一人の教師の個性に即した個別最適な学びの提供、校内研修等の教師同士の学び合いなどを通じた協働的な学びの機会確保が重要となる。こうした新たな教師の学びを実現するため、教育公務員特例法の改正により、公立の小学校等の校長及び教員の任命権者等による研修等に関する記録の作成及び当該履歴を活用した資質の向上に関する指導助言等を行う仕組みを整備した。また、この新たな制度を適正に運用するため、公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針の改正、同指針に基づく研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドラインの策定等を行った。この新たな制度の下で「新たな教師の学びの姿」を実現するために、国において、教員研修高度化推進支援事業により、オンデマンド研修コンテンツの充実や教員研修の高度化に資するモデル開発を進めている。また、教員研修高度化推進支援事業等により作成されたオンデマンド研修コンテンツ等を一元的に収集・整理・提供する「教員研修プラットフォーム(以下「プラットフォーム」という。)」と、当該プラットフォームにおける研修受講履歴を自動的に記録可能な「研修受講履歴記録システム(以下「記録システム」という。)」の一体的構築を進めている。

2 研修履歴記録の際の留意点

1. 法律上記録の対象となる校長及び教員の範囲について

  •  指針の具体的な運用方針を定めた、「研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)の第2章3.(1)において、法律上記録の対象となる校長及び教員の範囲が記載されている。この中にも記載のある教育公務員特例法施行令上の整理を、別添2-8の表にまとめたため、活用されたい。なお、臨時的任用教員等に関しては、改正教特法に基づく研修履歴を活用した資質の向上に関する指導助言等の適用対象ではないが、臨時的任用教員等を対象とした研修プログラムの設定や教育センター等が行う研修への参加など、研修機会の充実に努め、資質の向上が図られることが望ましい(指針五の7参照)。

2. 研修受講履歴記録システムの利用について

  •  文部科学省では記録システムについて、令和5年3月末にシステム構築事業者を決定し、令和6年4月1日からの本格稼働に向けて構築を進めていく。記録システムの利用に関する留意点について、指針通知以降のもののみ以下に記す。
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  •  1)記録項目について
  •   「研修受講履歴記録システムへのデータ移行に備えた記録項目案」(令和5年1月20日付け事務連絡、教育人材政策課事前周知。以下「項目案」という。)は、記録システムから研修履歴を出力する際のフォーマット案として、調達公募の際に示しているものである。入力項目に関しても、基本的には同様のものを想定しているが、各自治体の教員育成指標に合わせて、項目の追加や削除、順番の変更等といったカスタマイズは可能である。
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  •  2)その他
  •   記録システムに関しては、令和5年度、システム構築事業者との調整がつき次第、可能な限り早期に今後の全体の見通しに関して教育委員会等向けに説明会を行うとともに、カスタマイズに関し個別の意見を聞く機会を設けるほか、データ移行時期が近づいた頃に、具体的な作業手順等に関して説明会を行うことを予定している。

3 関連情報

1.文部科学省ウェブサイトについて

  •  文部科学省では「新たな教師の学びの姿」の実現に向けて役に立つ情報を集約したページを立ち上げたため、積極的に活用いただきたいこと。

2.新たな教師の学びのための検索システム

  •  独立行政法人教職員支援機構では、教師がその資質向上のために受講可能なコンテンツ等の情報を掲載する「新たな教師の学びの検索システム」を公開している。前述のプラットフォームが本格稼働するまでの間、当該システムについても積極的に活用いただきたいこと。

4. その他

  • 1.「新たな教師の学びの姿」は、時代の変化が大きくなる中にあって、教員が、探究心を持ちつつ自律的に学ぶこと、主体的に学びをマネジメントしていくことが前提であることを踏まえ、改正教特法に基づく研修履歴を活用した資質の向上に関する指導助言等に関しては、研修に関わる教員の主体的な姿勢の尊重と、教員の学びの内容の多様性が重視・確保されるよう徹底すること。とりわけ、校長及び教員に対して行う「資質の向上に関する指導助言等」については、校長及び教員の意欲・主体性と調和したものとすることが前提であることから、指導助言者は、十分に当該教員等の意向をくみ取って実施すること。
  • 2.オンデマンド型の研修を含めた職務としての研修は、正規の勤務時間内に実施し、教師自身の費用負担がないことを前提とすること。
  • 3.研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に当たっては、研修履歴を記録・管理すること自体を目的化しないよう意識を十分に持ち、あくまでも新たな学びに向かうための「手段」として研修履歴を活用すること。
  • 4.研修履歴の記録は、その対象となる校長及び教員に係る個人情報に該当するものであり、個人情報の保護に関する法令や条例・規則等に基づき適正に取り扱うよう留意すること(ガイドライン3.(2)参照)。
  • 5.教師個人に研修レポート等の報告を求め、記録の対象とした場合には、過剰な報告や記録により資質の向上のための取組に支障を来すことのないよう留意すること(ガイドライン3.(4)参照)。
  • 6.地方公務員法の規定により行われる人事評価に関しては、校長等の管理職が、日常の職務行動の観察を通じて得られた情報などを総合的に踏まえつつ、期末面談等の機会に各教師が発揮した能力や挙げた業績を確認した上で、評価が実施されるものであり、研修履歴や研修量の多寡そのものが人事評価に直接反映されるものではないことに留意すること(ガイドライン3.(8)1参照)。

5. 別添資料

1 教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律等の施行について(施行通知、令和4年6月21日付け4文科教第444号)

2 改正教育公務員特例法に基づく公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針の改正等について(指針通知、令和4年8月31日付け4文科教第816号)

3 研修受講履歴記録システムへのデータ移行に備えた記録項目案(令和5年1月20日付け事務連絡)

4 「新たな教師の学び」を支える研修体制の構築

事務連絡(全体版)

本件担当:
総合教育政策局 教育人材政策課 教職員研修係
電話:03-5253-4111(内線:2987, 2986)
E-MAIL:kyoikujinzai@mext.go.jp

お問合せ先

(総合教育政策局教育人材政策課)