平成20年度全国学力・学習状況調査の結果の取扱いについて(通知)

20文科初第654号
平成20年8月22日

各都道府県教育委員会 殿
各指定都市教育委員会 殿

文部科学省初等中等教育局長
金森 越哉

(印影印刷)

 各都道府県教育委員会及び指定都市教育委員会におかれては,全国学力・学習状況調査(以下「本調査」という。)の円滑な実施について,特段の御理解と御協力をいただいておりますが,本調査については,現在公表に向けた作業を進めているところです。
 今後,文部科学省から各教育委員会や学校等に対して,調査結果を提供することとなりますが,その取扱いについては,「平成20年度全国学力・学習状況調査の実施について」(平成19年11月14日付け19文科初第865号文部科学事務次官通知)において示した「平成20年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領」(以下「実施要領」という。)に基づき適切に行われる必要があります。
 ついては,今後の調査結果の公表に向けて,各教育委員会においては,下記に示す,実施要領の該当部分及び留意事項に基づき,調査結果の取扱いについて適切に行うとともに,調査結果の取扱いに関し,所管の学校に対して周知を行うようお願いします。
 また,都道府県教育委員会におかれては域内の市町村教育委員会に対して,同様に,調査結果の取扱いについて適切に行うよう指導の徹底をお願いします。

1 基本的な考え方

 本調査に参加・協力した教育委員会は,実施要領を前提として調査に参加・協力したものであり,調査結果の取扱いについては実施要領に基づいて行うこと。

2 調査結果の公表について

(1)実施要領

  • 1 実施要領の7.(4)では,調査結果の取扱いに関する考え方として,本調査により測定できるのは学力の特定の一部分であることや,学校における教育活動の一側面に過ぎないことなどを踏まえるとともに,序列化や過度な競争につながらないよう十分配慮して,適切に取り扱うものとすると定めている。
  • 2 また,調査結果の公表にあたって,具体的に配慮すべき点として,次の点などを定めている。
    • 1) 本調査の実施主体が国であることや,市町村が基本的な参加主体であることなどにかんがみて,都道府県教育委員会は,域内の市町村及び学校の状況について個々の市町村名・学校名を明らかにした公表は行わないこと。なお,個々の市町村名が明らかにならない方法で公表することは可能なこと。
    • 2) 市町村教育委員会は,域内の学校の状況について個々の学校名を明らかにした公表を行わないこと。
    • 3) 市町村教育委員会が,保護者や地域住民に対して説明責任を果たすため,当該市町村における公立学校全体の結果を公表することについては,それぞれの判断にゆだねること。また,学校が,自校の結果を公表することについては,それぞれの判断にゆだねること。
    • 4) 調査結果の公表にあたっては,本調査の結果が学力の特定の一部分であることを明示すること。また,数値の公表にあたっては,それにより示される調査結果について読み取り方を併せて示すこと。
       さらに,自らの調査結果を公表するにあたっては,学校の教育活動の取組の状況や調査結果の分析を踏まえた今後の改善方策等を併せて示すなど,序列化につながらない取組が必要と考えられること。

(2)留意事項

  • 1 市町村教育委員会,学校がそれぞれの判断で自らの結果を公表した後においても,都道府県教育委員会は個々の市町村名・学校名を明らかにした公表を行わないこと。同様に,学校がそれぞれの判断で自校の結果を公表した後においても,市町村教育委員会は個々の学校名を明らかにした公表を行わないこと。
  • 2 市町村教育委員会や学校が,保護者や地域住民に対して説明責任を果たすため,自らの結果を公表するにあたっては,(1)24)を踏まえ,序列化等につながらないように配慮しつつ,それぞれの地域や学校の事情等に応じて,適切な内容,方法等で公表することが考えられること。

3 情報公開における調査結果の取扱いについて

(1)実施要領

 実施要領の9.(8)では,調査結果のうち,公表する内容を除くものについて,次の点を定めている。

  • 1 文部科学省は,これが一般に公開されることになると,例えば次のような調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると考えられるため,行政機関の保有する情報の公開に関する法律第5条第6号の規定を根拠として,同法における不開示情報として取り扱うこととしている。
    • ア 序列化や過度な競争が生じるおそれ
    • イ 参加主体からの協力及び国民的な理解が得られなくなるなど正確な情報が得られない可能性が高くなり,全国的な状況を把握できなくなるなど調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ
  • 2 教育委員会等においても,提供される調査結果のうち,文部科学省が公表する内容を除く調査結果について,1を参考に,それぞれの情報公開条例に基づく同様の規定を根拠として,情報の開示により調査の適正な遂行に支障を及ぼすことのないよう,適切に対応する必要があること。

(2)留意事項

  • 1 文部科学省が公表する内容以外の情報について,文部科学省は,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)第5条第6号の本文「国の機関(略)が行う事務又は事業に関する情報であって,公にすることにより,(略)その他当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」を根拠として,不開示情報として取り扱うこととしていること。
  • 2 国が行う本調査の結果の公表・情報公開については,これまでも国会等で広く議論が行われてきたところであり,都道府県教育委員会が個々の市町村名・学校名を明らかにした情報を公にした場合又は市町村教育委員会が個々の学校名を明らかにした情報を公にした場合,その性質上,本調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあること。また,その具体例としては,次に掲げるおそれが挙げられること。
    • ア 本調査の実施については,序列化や過度な競争につながらないよう特段の配慮が必要であることについて,国会,審議会等において議論が行われたところであり,それらの議論を踏まえて作成した実施要領の趣旨に反して,都道府県教育委員会が個々の市町村名・学校名を明らかにした情報を開示し,又は市町村教育委員会が個々の学校名を明らかにした情報を開示することにより,本調査の実施方法に対する国民の信頼が損なわれるおそれ
    • イ 市町村教育委員会等は自らの判断で本調査に参加しているところ,一部の都道府県教育委員会が個々の市町村名・学校名を明らかにした情報を開示し,又は一部の市町村教育委員会が個々の学校名を明らかにした情報を開示することにより,次年度以降市町村教育委員会等からの協力が得られなくなるなど正確な情報が得られない可能性が高くなり,結果として全国的な状況を把握できなくなるおそれ
  • 3 都道府県教育委員会においては,1及び2を参考に,それぞれの地方公共団体が定める条例を根拠として,個々の市町村名・学校名を明らかにした情報の開示により本調査の適正な遂行に支障を及ぼすことにならないよう適切に対応すること。同様に,市町村教育委員会においては,1及び2を参考に,それぞれの地方公共団体が定める条例を根拠として,個々の学校名を明らかにした情報の開示により本調査の適正な遂行に支障を及ぼすことにならないよう適切に対応すること。なお,その際,別添2別添3の資料が参考になると考えられること。

[お問い合わせ先]

文部科学省初等中等教育局
学力調査室
電話:03-5253-4111(代表)(内線3725)

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