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高知県教育委員会 高知県学力改善推進モデル事業

はじめに

 平成19年度に実施された,全国学力・学習状況調査の結果から,本県の小学生の学力はほぼ全国水準にあるが,中学生は全国を下回っていることや,家庭学習の状況に課題があることが明らかになりました。

 本県では,平成19年度7月に県内の大学教員,小・中学校及びPTA関係者,市町村教育委員会関係者等からなる「高知県学校改善支援プラン検討委員会」を設置し,調査結果から見える本県の子どもたちの学力の現状と課題,さらにその改善策について検討を行い,平成20年2月に高知県「学校改善支援プラン」として県内に示しました。

 また,平成20年7月には,『学ぶ力を育み心に寄りそう緊急プラン~「学力向上・いじめ問題等対策計画」~』を策定し,本県における学力や生徒指導上の諸課題の解決を図るための取組を現在進めているところです。
 高知県学力改善推進モデル事業は,「学校改善支援プラン」の改善の視点を踏まえ,教員の授業力向上に取り組む事業として上の緊急プランにも位置づけられています。

1.高知県教育委員会における取組

1.事業内容について

(1)事業概要

◆事業目的:平成19年度全国学力・学習状況調査の結果分析から明らかになった課題を解決するために,「学校改善支援プラン」に基づく実践研究を小中学校を推進モデル校として指定して行い,その研究成果を県内の各学校に普及・啓発する。

◆推進モデル校:
 小学校5校
 中学校10校

◆本県の課題(学校改善支援プランより)
<課題1>学力の状況

  1. 小学生段階と中学生段階での,学力の定着状況の格差が大きい。
  2. 小学生:読解力や書く能力等,応用力は十分に身に付いていない。
  3. 中学生:基礎的な知識と活用する力の両方ともに身に付いておらず,特に数学の土台となる基礎的な問題が出来ていない生徒が多い。
  4. 小学生段階と中学生段階での学力差が大きい

<課題2>児童生徒の学習や生活の状況

  1. 授業以外で勉強する時間が少ない。また,宿題や予習をしている割合も少なく,家庭での学習が十分に定着していない。

<課題3>学校の取組状況

  1. 小規模校が多く,教科担任が1人の中学校が多いため,教科の専門性を高める研修が十分に行われていない。
  2. 自己点検評価結果を学区運営の改善に生かしている中学校の割合が少ないなど,評価結果が改善策に十分反映されていない。

◆課題改善の視点(学校改善支援プランより)
視点1 学校における組織的な学力向上
視点2 教科の枠をこえた中学校授業力向上
視点3 国語,算数・数学における指導方法の工夫改善
視点4 学習意欲の向上と学習習慣定着のための学習環境づくり

◆研究テーマ:各推進モデル校は下記のテーマの内,それぞれの学校の実態に則したテーマに基づき実践研究を実施する。

  1. 教科の枠をこえた中学校授業力向上
  2. 組織的な校内研修の在り方
  3. 小中連携による学力向上

◆県教育委員会の取組内容

1.県連絡協議会(年4回実施)
 講師招聘,情報交換,研究協議等

  • 教員の授業改善,組織としての取組の在り方等への意識向上を図るため,講師を招聘して講話を行った。
  • 成果の普及を図り,推進モデル校の取組をより充実するため,推進モデル校における研究授業の実施や情報交換の場を設けた。

2.モデル校への学校訪問,連絡会の開催(月1回程度)延べ160回実施

  • 授業についての指導・助言
  • 取組状況の把握と研究の進め方についての指導・助言

3.先進校視察研修の実施

  • 愛媛県八幡浜市立八代中学校,松蔭小学校(6月)
  • 京都市立衣笠中学校,岐阜市立陽南中学校(11月)

4.「校内研修ハンドブック」を作成し,県内公立全小中学校,市町村教育委員会,県教育委員会義務教育関係全指導主事等に配付。
内容:高知県の学力,授業力のとらえ,授業づくりのスタンダード,校内研修の進め方,実践事例集,評価資料等。

◆モデル校における取組内容

  1. 「授業力評価シート」,「児童・生徒による授業評価」を活用した授業改善。
  2. 各校の課題に則した組織的,計画的な校内研修の実施。

(2)実施体制

高知県教育委員会
◆推進モデル校へ指導主事の派遣
◆学力改善推進モデル事業連絡協議会の開催
◆先進校視察研修の実施
◆校内研修ハンドブックの作成・配付
 ・学力向上実践事例集の作成・配付

共同研究
◆研究テーマ
1.教科の枠をこえた中学校授業力向上
2.組織的な校内研修の在り方
3.小中連携による学力向上
◆各種学力データ,授業評価,学校評価等による成果と課題の検証
◆研究成果の普及・啓発
◆検証改善サイクルの確立 

市町村教育委員会・推進モデル校
◆研究発表会の開催
◆連絡会の開催
◆組織的,計画的な校内研修の実施
◆学力改善推進モデル事業連絡協への参加
◆先進校視察研修への参加
◆ホームページによる情報発信

(3)研究成果

◆各推進モデル校において

  1. 授業力診断シート各種評価を活用した授業改善のための組織的なPDCAサイクルの構築が進んだ。
  2. 講師を招聘した授業研究や校内研修を組織的,計画的に実施することを通し,教職員の授業改善への意識の向上が見られた。
  3. 家庭学習ガイドブックの作成や学習ガイダンスの実施など,児童生徒の家庭学習の充実を図るための取組が行われ,児童生徒の学習意欲の向上につながった。
  4. 今年度は小中で互いに授業研究に継続的に参加し,協議を重ねることができた。今後は,小中の教員が共通認識のもとで,系統的な指導が図れるよう更なる連携の推進が期待される。

◆県教育委員会において

  1. 推進モデル校と定期的に連絡会を持つことで,進捗状況を把握し,状況に応じた指導助言を行うことができた。
     その結果,事業の趣旨が各モデル校に確実に浸透し,テーマに沿った研究の推進につながった。
  2. 「授業力評価シート」を全ての推進モデル校において活用したことで,定量的なデータに基づく取組の検証と改善のサイクル化について,一定の定着が見られた。

2.普及啓発と今後の取組について

(1)成果の普及啓発に関する取組

◆各推進モデル校における取組

  1. 研究発表会の開催
  2. ホームページによる情報発信
  3. 研究紀要の作成・配布

◆各推進モデル校における普及内容

1.組織的な学力向上への取組における成果と課題について
 ・改善目標及び取組内容の設定
 ・取組の検証方法について
 ・改善サイクルに係る具体的な取組について

2.中学校における教科の枠をこえた授業力向上を図る組織的な校内研修の進め方及び成果と課題について

3.小中の連携についての具体的な取組及び成果と課題について

◆県教育委員会における取組
1.県連絡協議会の開催(4回開催)
 ・推進モデル校における研究授業の実施や情報交換の場を設けることで,,各推進モデル校の取組の普及を図るとともに,推進モデル校での取組の充実を図ることが出来た。

2.「校内研修ハンドブック」及び「高知県学力向上実践事例集」を作成し,県内全ての小中学校に配付した。
 配付後は,指導主事による学校訪問や授業研究における具体的な指導助言の資料として活用している。
 また,県教育委員会小中学校課のホームページにも掲載し,普及啓発を図っている。
 (http://www.kochinet.ed.jp/shochu/)

確かな学力の育成に向けて

(2)来年度以降の取組

◆各推進モデル校において

  1. 各校の実態に応じ,教員の授業力向上に引き続き努める。
  2. 地域のモデル校として公開授業及び実践資料等を提供するなど,引き続き成果の普及に努める。

◆県教育委員会において

  1. 「校内研修ハンドブック」,「高知県学力向上実践事例集」を小中学校課主催の各種学力向上に関する連絡協議会及び学校訪問の際の指導助言資料として,来年度以降も引き続き活用していく。
  2. 平成21年度教育事務所単位で開催する,県内全小・中学校の研究主任を対象とした「学力向上連絡協議会」において,推進モデル校の代表による実践発表を行い,事業の成果の普及と啓発を図っていくよう予定している。

2.調査活用協力校における取組事例

取組事例1.PDCAサイクルを活用した学校の活性化 土佐市立高岡中学校

(1)学校の状況について

 本校は,「学ぶ意欲を育てる指導のあり方」を研究主題として継続的に取り組み,生徒の学習態度にも落ち着きが見られる。しかし,平成19年度の全国学力・学習調査の結果は厳しく,学習のつまづきから不登校となる生徒がいるなど,課題が見られた。

◆本校の課題の要因
  1. 達成目標を持ち,検証を行う等の教員の意識の弱さ
  2. 授業技術を磨き,相互の力量を高め合う等の学校組織の弱さ

 これらの要因を分析する中で,「計画→実践→評価→改善という一連の取組が繋がっていないために効果的な実践となっていない」という課題が明らかになった。
 そこで,本校では,平成20年度から「学力向上」を第一の柱に,教員の意識改革並びに指導方法の工夫改善について取組を始めた。

(2)全国学力・学習状況調査の結果等を活用した取組について

 全ての教育活動をPDCAサイクルによる考え方で見直し取り組むことで,教員の意識の変革を図り,本校の課題である生徒の学力向上や不登校生徒数の減少に繋げることができると考えた。
 そこで,研究における共通認識として
以下の3点を全教員で確認した。

  1. 現状認識を確実に行う
  2. 明確なねらいを定める
  3. できるだけ数値化で証明できる方法を考え,検証で終わらず改善の手だてを考える

 これらのことにより,「計画→実践→評価→改善」という一連の教育活動による学校改善に着手した。

◆学習の基盤づくりの研究

 学習基盤づくりでは,学校・家庭・生徒の役割の明確化と,教職員の組織づくりや意識の向上,保護者や生徒の意識を変革する発信のあり方が必要と考えた。学校・家庭・生徒がそれぞれの役割を果たすことが,確かな学力を向上させることに繋がると考え,学校内外にむけてのアンケートを実施した。そして,アンケートで明らかになった課題の改善に向け,各自が手だてを考え,意識の活性化を目指すワークシートの作成を行った。

◆授業力向上の研究

 授業力向上の研究では,「指導のスタンダード」「わかる授業の創造」「学力向上PDCAサイクル」の3つの研究に取り組んだ。「指導のスタンダードの研究」では,教師の指導基本姿勢や生徒の授業規律について研究・実践を行った。

授業力向上の研究

 また,「授業づくりの研究」では,個々の生徒の現状を把握する「評価(Check)」とその結果を分析して次の新たな方策の検討を行う「改善(Action)」が十分機能していないと考え,この改善のための実践研究を行うこととした。(本年度は特に数学科と国語科において研究を推進した。)

<具体的実践例(数学科)>

 数学科では,基礎的計算力を中心として,以下の3点の手だてを取り組んだ。
手だて1)確認小テストの実施
手だて2)単元テストの実施
 Do(確認小テストの内容に即した基礎基本を重視したテスト問題)
 →Check(問題の関連性が構造化できていないことの把握)
 →Action(自学ノートによる個別指導と誤答ノートの活用)
 誤答ノートでは,問題用紙をノートに貼り,間違った箇所をノートにやり直させた。同時に自己分析のコメントを書かせることで,どのような点で間違い,どのような問題ができていなかったか気づくことができるようになった。また,生徒自身が自己分析できるようになり,次の学習への意欲付けにもなっている。

手だて2)単元テストの実施

手だて3)記録簿の作成
 Do(質問が出た内容や課題の達成率などの記録)
 →Check(次回の授業内容の明確化と早急な課題解決への取組)
 →Action(支援の必要な生徒の把握)

手だて3)記録簿の作成

◆仲間づくりの研究

 不登校数の減少や居心地の良い学級作りを目指すためには,生徒同士が互いに高まり合う集団を育成することが重要であり,不登校支援のあり方やピア・サポート活動の効果的活用を研究した。

  1. Q‐Uアンケート(『楽しい学校生活を送るためのアンケート』)を活用した効果的な集団づくり
     子どもたちの学究生活での満足度と意欲,学習集団の状態について測定するQ‐Uアンケートを実施し,その結果を分析後,「グループ体験による学級育成プログラム」を実施し,プログラムを活用した集団づくりを行った。その後,2回目のアンケートで検証を行った。
  2. 不登校担当教諭の配置による居場所づくりの研究
     平成20年度に新たに配置し,一人ひとりの実態に応じた支援が行われ,居場所づくりに努めた。
  3. ピア・サポート活動を取り入れた生徒
    同士の関わり合いの研究

(3)成果について

○統一した教員の指導規律・生徒の授業規律により,授業に臨む教員・生徒の意識が活性化した。
○全国学力・学習状況調査における無解答率が大幅に減少し,正答率も全国平均との差が改善された。
○仲間づくりで学習環境が整備され,支援を要する生徒への取組の充実により,不登校生徒数の割合が7.6%から4.1%に減少した。
○単元テストを活用し,短いスパンで手だてを取ったことにより,93%の生徒に得点率の上昇が見られた。

(4)来年度以降の課題について

○全教科におけるPDCAサイクルの取組を活性化させ,確かな学力を身に付けさせる。
○不登校担当教諭を中心に支援を続け,不登校生徒数の減少に努める。
○学校組織の見直しを図り,教員が育つシステムづくりに努める。

取組事例2.「学力向上を目指した組織的な校内研修の在り方~読む力・考える力・書く力の育成を目指して~」に重点を置いた取組 香美市立楠目小学校

(1)学校の状況について

 本校は,全校児童数167名(6学級)の学校である。平成18・19年度の2年間,文部科学省の「義務教育の質の保証に資する学校評価システム構築事業」指定の調査協力校として実践研究を行った。また,高知県教育委員会の「教えの喜び伝承モデル事業」の指定も受け,授業力の向上,わかる楽しい授業づくりの研究を行ってきた。授業づくりにおいては,従来の読解に加え,PISA型「読解力」を視野に入れた授業展開の工夫についての研究も行ってきた。

(2)全国学力・学習状況調査の結果等を活用した取組について

 平成19年の全国学力・学習状況調査の結果については,国語A(知識),国語B(活用)とも,全国平均正答率を若干上回る結果となったが,特に,正答率の低かった問題は,以下のとおりである。

国語A(知識)
○物語の一部を読んで,登場人物の心情として適切なものを選択する(57.7%)
国語B(活用)
○古紙の再生利用が重要な課題となってきた理由を聞く(42.3%)
○同じ本を読んでいた二人の感想から共通する書き方の良いところを書く(53.9%)

 全国水準の学力や高い志の育成を目指して

こうした状況を踏まえ,読む力・考える力・書く力の育成を図るための校内授業研究の組織的な実施を行うとともに,学ぶ意欲の向上や学ぶ習慣を身に付けるための取組などを実施した。

◆校内授業研究の組織的な実施

1.具体的な取組
○校内授業研究
 ・全校研究(6回)
 ・授業公開(13回)
○日常的な授業公開
 ・「見てね,見せてね」
2.取組の目標
○基礎学力の定着と学力の向上
○わかる楽しい授業づくり
○考える場や書く場を設定した授業づくり
3.目指す目標
○到達度把握検査結果で全国平均を上回る得点率
○児童生徒による授業評価や学校評価アンケート結果で授業に対する満足度の向上

「授業のスタンダード」に基づいた単元構成・1単位時間の授業構成

校内授業研究のリサイクル

◆学ぶ習慣の確立

1.具体的な取組
○与える宿題
○自ら学ぶ課題
○予習・復習ノート
2.取組の目標
○自学自習の習慣や自ら学ぶ意欲を身に付ける
3.目指す成果
○家庭学習を全くしない児童をなくす
○予習・復習を行う児童の割合を30%
 以上にする

(3)成果について

 校内研究を組織的にPDCAサイクルで実施したことで,6つの授業力の視点において,児童・教師とも数値結果が向上した。
 これらの結果は,思考力・判断力・表現力等を育成するために,これまで行ってきた授業と授業そのものの組み立て方を変えてきたことが要因の一つと推察される。

(参考:授業力診断シート(次頁))

(4)来年度以降の課題について

◆校内授業研究の組織的な実施について

[目指す成果]
○全国学力調査のB問題で全国水準以上にする。
○授業評価表の質問項目において,全教員が肯定的評価ができるようにする。
○児童による授業評価で,授業に対する満足度を上げる。

◎「わが校の授業のスタンダード」に基づき,児童に思考力・判断力・表現力等を育成するための質的な充実を図る。
◎算数(4~6年)単元テスト(高知県教育委員会作成)を活用し,短いスパンでのPDCAサイクルの取組を行う。

◆学ぶ習慣の確立について

[目指す成果]
○家庭学習を全くしない児童を「0」にする。
 20年3月:6.4%→21年2月:3.6%
○予習を行う児童の割合60%以上
 20年3月:21.1%→21年2月:49.7%
○復習を行う児童の割合60%以上
 20年3月:34.8%→21年2月:53.9%

◎「予習‐授業―復習」のサイクル化を意識した授業づくりを意図的に行う。
◎「予習してきて良かったと児童が実感できるような」授業づくりと,予習内容や児童の感想などを学級だよりなどに掲載して啓発活動を行う。
◎学習習慣を定着させる取組を保護者と連携して行う。

授業力判断シート

3年国語

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お問合せ先

初等中等教育局参事官付学力調査室

(初等中等教育局参事官付学力調査室)

-- 登録:平成22年03月 --