平成28年度 「公立学校における帰国・外国人児童生徒に対するきめ細かな支援事業」に係る報告書の概要(富田林市)

平成28年度に実施した取組の内容及び成果と課題

1.事業の実施体制(運営協議会・連絡協議会の構成員等)

  • 渡日まもない児童へのきめ細やかな支援体制(日本語能力測定方法(DLA)の活用、「特別の教育課程」の編成、日本語指導員の配置)
  • 日本語指導研究協議会の開催(年2回)。構成員は、大阪教育大学 講師 、(特活)とんだばやし国際交流協会2名、市教育委員会2名、日本語指導担当教員8名、日本語指導員9名

2.具体の取組内容

 ※取り組んだ実施事項[1]~[8]について、それぞれ記入すること

○日本語能力測定方法(DLA)の活用について

  • 「導入会話」、「語彙カード」による「語彙力チェック」を実施。
  • 「特別の教育課程」による日本語指導

 午前中の国語の時間は「特別の教育課程」による日本語指導を行う時間と位置づけ、抽出による個別の指導を実施。授業で使用している教科書等を活用。書字の練習とともに母語の指導や母国文化の指導も並行して行った。

○「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施について

  • 日本語指導研究協議会の開催(年2回)

 第1回は平成28年5月12日(木曜日)に開催し、「特別の教育課程」作成に係る意見交換やDLAの活用について市教育委員会から講話、指導法や対象児童生徒の様子について日本語指導員どうしの交流を行った。第2回は平成29年2月22日(水曜日)に開催し、「特別の教育課程」に係る意見交換、各校での日本語指導について交流及び検討を行った。

○児童生徒の母語が分かる通訳者の派遣について

  • 通訳者を派遣。上記の個別指導の他、学級への入り込み指導、本児および保護者の相談窓口、懇談や家庭訪問時の通訳も行った。

3.成果と課題

 ※取り組んだ実施事項[1]~[8]について、それぞれ記入すること

○日本語能力測定方法(DLA)の活用について

  • DLAの活用により、昨年までと比較して生活言語の習得が進んでいることが確認できた。
  • DLAを活用し、児童生徒の日本語能力を測定するスキルのある教員が少ない。
  • 渡日当初は「中国に帰りたい」と言っていた児童が、生活言語の習得が進むにつれて、積極的に学校生活を送ることができるようになった。友達との会話がスムーズになることで、仲間が増え、明るく振る舞うようになった。一方、学習言語の習得には課題が残る。

○「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施について

  • 研究協議会を行うことで、日本語指導員どうしの連携が生まれ、指導力の向上につながった。市内各校での日本語指導について、交流ができたことに加え、学識経験者からの助言を得ることができた。
  • 各校において、日本語指導担当教員と日本語指導員が創意工夫して指導にあたっているが、その効果について検証する方法が少ない。

○児童生徒の母語が分かる通訳者の派遣について

  • 該当児童の日本語能力が向上し、積極的な生活が送れるようになった。
  • 母語が十分通じる職員がいることにより、該当児童や保護者の安心につながった。
  • 他の児童の多文化理解につながった。

4.その他(今後の取組等)

○日本語能力測定方法(DLA)の活用について

  • DLAを活用できる教員を育成するため、府の研修などに積極的に教員を派遣する。
  • DLAの測定結果について、確実な引き継ぎと分析を行い、効果的な指導につなげる。
  • 「書く」力を育むことで、まとまった文章を「読む」「作文する」ことができる力をつけたい。
  • 今以上にコミュニケーション力を育成するためにも、引き続き「特別の教育課程」による個別指導をすすめていきたい。

○「特別の教育課程」による日本語指導の導入に向けた協議会の実施について

  • 今後も学識経験者等を活用し、日本語指導員の指導スキルの向上を図る。

○児童生徒の母語が分かる通訳者の派遣について

  • 学校全体を巻き込んだ多文化共生の学びにつなげ、該当児童生徒の「居場所」をさらに確立することに加え、市全体の多文化共生の取組に広げていきたい。

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総合教育政策局国際教育課

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