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平成23年度「帰国・外国人児童生徒受入促進事業」に係る報告書の概要(宇治市)

平成23年度に実施した取組の内容及び成果と課題 【実施団体名 宇治市教育委員会】

1.事業の実施体制〈運営協議会・連絡協議会の構成員等)

事業の実施体制〈運営協議会・連絡協議会の構成員等)

  ○帰国・外国人センター校就学相談委員会

No

所属

役職等

氏名

備考

1

平盛小学校

校長

川上 博

センター校

2

南部小学校

校長

橋川 清之

センター校

3

南宇治中学校

校長

山下 一也

センター校

4

帰国・外国人児童生徒在籍校

校長

 

 

5

宇治市教育委員会 学校教育課

校長

波戸瀬 亮

事務局

6

宇治市教育委員会 教育指導課

指導主事

中井 良幸

事務局

 
 ○指導補助者・支援員について(適宜委嘱)
   帰国・外国人児童生徒の母語の状況により、母語を理解することのできる指導補助者・支援員を適宜委嘱し、受入校に派遣を行う。

2.具体の取組内容  

(4)指導補助者・支援員等の配置
 帰国・外国人児童生徒が在籍する公立学校に、学校と外国人保護者との連絡調整等を行う際に必要となる、指導補助者・支援員等を配置した。取組内容としては、就学、転学に係る事務的手続きの説明、保護者懇談等の通訳等を実施した。
 具体的な内容としては、西大久保小学校に入学したペルー国籍の1年生児童について、保護者が日本語能力に欠けていたことから、学校と保護者の間における意思疎通が困難な状況が生まれたため、4月から転出した11月までの間に、1回あたり2時間の通訳を6回、計12時間の指導補助者・支援員の配置を実施した。
  その内容としては、家庭訪問時の通訳、個人懇談時の通訳、転出手続きの説明時の通訳を実施した。
 また、1月に平盛小学校に転入学したエジプト国籍の1年生児童について、同様に保護者に日本語能力が欠けていたことから、転入学手続きの説明、学校諸費の徴収方法や取扱い等の説明時の通訳として、1回あたり2時間の通訳を4回、計8時間の指導補助者・支援員の配置を実施した。

(5)初期指導教室(プレクラス)の実施
 転入学・編入学直後の帰国・外国人児童生徒のうち、生活言語程度の日本語力に欠ける者に対して、日本の学校生活への適応指導や、基本的な日本語指導の充実を図るための講師を配置した。
 平盛小学校では、8月に1学年下措置で編入学した1年生児童について、編入学当時全く日本語を理解できない状況であったため60時間分の講師を依頼し、日本語の挨拶、日付や曜日の言い方、学校の各部屋の呼び方、五十音の学習、簡単な文章の音読や読解等について指導した。
 また、1月に転入学した1年生のエジプト国籍の児童については生活言語能力は転入学時に一定程度身につけていたため、40時間分の講師を依頼し、国語・算数等の授業時に英語による通訳を通じた授業支援を中心に指導した。
 南部小学校では、10月に編入学した5年生と1学年下措置の1年生の台湾籍児童の兄妹について、合計100時間分の講師を依頼し、日本語のあいさつ、自己紹介のしかた、学校生活を送る上で必要な最低限度の日本語の習得、ひらがな・カタカナの読書き、日常会話の練習等を指導した。
 南宇治中学校では、12月に編入学した1年生の中国籍の生徒について、60時間分の講師を依頼した。当該生徒は、9月に中国で中学校に進学したところであり、受験までの期間も短いという厳しい状況の中で、肯定・否定・疑問形の学習、助詞の使い方等、受験に向けた国文法の指導を中心に指導した。

3.成果と課題    

(4)指導補助者・支援員等の配置
  学校運営を円滑にすすめるには、学校と保護者との間で十分な意思疎通を図ることが必要である。そのためには、保護者の母語で、わかりやすく学校運営のあり方や、児童の学校での様子を伝えることが有効である。
  西大久保小においては、児童には一定の日本語力があったものの、保護者の日本語力が欠けており、入学にかかる手続きや児童の日常の様子を保護者に伝えることが困難な状況であった。そこで、本事業を実施することにより、回数としては少なかったが、家庭訪問や個人面談の場で、児童の日常の様子を保護者に伝えることができた。また、11月に市外へ転出した際には、転出に係る複雑な事務手続きを保護者の母語でわかりやすく伝えることができ、円滑な転出手続きを促すことができた。

  平盛小学校では、同様に日本語能力に欠ける保護者に対して、児童の学校での様子や事務的手続きを英語で説明することにより、保護者の学校運営や学校への協力について理解を促し、その結果円滑な学校運営を図ることができた。

 以上のように、本取組により、保護者と学校との間の信頼関係を構築することができ、一定の成果を挙げることはできたが、予算不足により十分な回数を確保できなかった。今後は十分な予算を確保し、配置回数を増やしていくことが必要と考える。

(5)初期指導教室(プレクラス)の実施

  平盛小学校、南部小学校の児童については、初期指導教室を通して、一定程度の生活言語を身につけさせることができ、円滑な学校生活を送ることができるようになるとともに、教科によっては通常学級での授業も可能となった。また、編入学直後の環境の変化にも、手厚い支援により、うまく対応させることができた。
  南宇治中学校では、中国よりも日本の方が教育過程が進んでおり、かつ受験までの期間が短いという厳しい状況であったため、受験に必要な日本語の習得に注力して指導し、一定程度は成果があったが、受験を乗り切るための言語能力の習得には至っていない。

  課題としては、学齢が進むにつれて、習得する必要がある日本語の難易度も上がるため、中学校や小学校高学年に対して、より多くの時間数を確保する必要性を認識した。また、全体的に予算不足のため、十分な支援を行うことはできなかった。今後は予算確保とともに、より有効な配置方法を検討する必要がある。

4.その他(今後の取組等)

  平成24年度も、平成23年度と同じ体制で継続実施していく方向だが、全体的な予算や支援回数については、増やす方向に向けて取り組んでいきたい。また、平成23年度の反省を踏まえて、高学年の初期指導や保護者との連絡調整により多くの支援を行うこと等、有効な支援方法を検討していく。

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

電話番号:03-6734-2035

-- 登録:平成24年09月 --