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学校での実践、教材つくり・授業つくり

  • JSLバンドスケールによる実態把握
  • 個人カルテ作成
  • 個別年間指導計画の作成、実践
  • 教材開発・ワークシート作成
  • 授業実践・検証
    • 日本語指導
    • JSLカリキュラムによる指導

JSLバンドスケールによる実態把握(注1)

東京都 目黒区

  • 帰国幼児児童生徒を中心として、他の幼児児童生徒との相互啓発の在り方やそれぞれの個性を生かした学習の在り方や、一人ひとりのニーズに応じた指導の在り方などを明らかにした。(詳細は、資料「目黒区の国際理解教育」にJSLバンドスケールに基づく実践例掲載)

千葉県 船橋市

  • 外国人児童生徒の日本語習得状況をJSLバンドスケールで把握することにより、個人の実態に合わせた指導が可能になった。

(注1)JSLバンドスケール
 「JSLバンドスケール」は、「日本語を第一言語としない子どもたち」(JSL児童生徒)の日本語能力を把握するために川上研究室で開発された「測定基準(ものさし:scales)」です。子どもの日本語能力をきちんと把握し、その言語能力にあった日本語指導を考えることができるように、冊子にまとめられています。

<年少者日本語教育研究室より転載>
http://www.gsjal.jp/kawakami/index.html
(※年少者日本語教育研究室のホームページへリンク)

個人カルテ作成

愛知県豊田市

(参照:別紙資料4) 外国人児童の個人カルテ 別添資料4‐1

(1)ねらい

  • 外国人児童の指導に重要な児童の情報(日本語力、学習の力、在日期間、一時帰国の様子)を、全教師が把握しやすい状態にする。
  • 外国人児童の卒業後の進路を追跡記録し、在籍児童の学習指導や進路指導に役立てる。
  • 生活の環境の変化が多い外国人児童の生育状況を記録し、児童に関わる教師の共通理解を図る資料とする。

(2)形式(次ページ参照)

個人カルテA 外国人児童の情報を簡単な記号や数字で一枚にまとめたカルテ
個人カルテB 外国人児童の一時帰国や学校在籍の様子を文面でまとめたカルテ
個人カルテC 外国人児童の懇談や学習・生活における特記事項を文面でまとめたカルテ

(3)「個人カルテA」各項目の説明

1 番号 外国人児童名簿一覧の番号。上2ケタは入学年度、下2ケタは在日期間が長い子から順番につけている。
2 ブラジル・ペルー・その他 国籍。「その他」の場合は、○がついて言葉も記入。
3 氏名 名前
4 性別。「女」「男」と記入。
5 生年月日 誕生日
6 出生 把握している児童は言葉で記入。把握していない児童は「0」。
7 ことばの教室 ことばの教室に在室中の児童は、○がつく。
8 初来日 はじめて日本に来た年月。
9 滞日(年数) 日本に滞在している期間。12ヶ月超えると1年増える。
10 帰国(月数) 帰国していた期間。月単位で累計。
11 本校入学・編入・転入 1年4月に西保見小に入学した子は「本校入学」、日本以外の学校から途中で入学した子は「編入」、日本の学校から途中で入学してきた子は「転入」に○がつく。

※ 8から11の詳しい動向は、個人カルテBに文面で記載。

12 ひこうき雲・ハーモニー・ゆめの木・パウロフレイレ・その他 放課後の動向。放課後過ごしている場所に○がつく。「その他」の場合は、○がついて言葉も記入。自宅に帰る児童は、どこにも○がつかない。
13 幼稚園・保育園 あてはまるところに丸がつく。「ブラジル」はブラジルの保育園か幼稚園ということ(「ペルー」も同様)。「その他」の場合は、○がついて言葉も記入。
14 在籍記録 該当学年に4月から3月まで在籍していた児童は、○がつく。4月から3月まで在籍しなかった児童は、△がつく。
15 ことばの教室 ことばの教室に在室していた期間を月で記入。
16 取り出し 該当期間全て取り出した子は、○がつく。全てではないが取り出した子は、△がつく。
17 日本語の理解力 授業中の日本語の力を評価した記録。
  • A 在籍学級で授業を受けることができるが、入り込み指導を行う必要がある。
  • B 通訳を必要としないが、取り出して授業をする必要がある。
  • C 取り出して通訳をしてもらいながら授業をする必要がある。
  • D ことばの教室で学習中。
18 学年末テスト 1月に実施する外国人児童向けテストの合計点数。項目別の点数やテストの分析は別紙「日本語力テスト」に記載。
19 学力検査 2月に行われる学力テストの結果。在籍学年のテストを受けた場合に記入。
20 保護者の動向 帰国する予定があるか懇談で確認。「帰国」「在日」と記入。
21 小学校卒業後 小学校卒業後の進路。あてはまるところに○がつく。「その他」の場合は、○がついて言葉も記入。
22 中学校卒業後 中学校卒業後の進路。簡単に言葉で記載。
資料4‐2

(4)個人カルテ作成・更新の手順と保管方法

  1. 3月に日本語教室の担当が、個人カルテABCの更新作業を行う。更新したカルテは、印刷して入学年度別の「外国人児童カルテ」ファイル(鍵がかかる場所に保管)にはさむ。
  2. 4月に各学級担任に該当する「外国人児童カルテ」ファイルを配付。学級担任は、その日のうちに一度目を通し所定の場所に返却。
  3. 「外国人児童カルテ」ファイルは、4月当初に学級担任に配付する時以外、所定場所に保管され、全教師が外国人児童について把握できるようにしておく。
  4. 4月に各学級担任に記録用の個人カルテBCを配付。学級経営案にはさみ、外国人児童について気がついたことや変化があったら、その都度、記録しておく。
  5. 1年間記録した個人カルテBCは、年度末に日本語教室担当が回収。次年度に向けて更新作業を行う。
  6. 「外国人児童カルテ」ファイルは、6年間ファイリングし、卒業したら機密で処分する。
  7. 卒業後の様子の記録は、「外国人児童名簿一覧」(注2)にて続ける。
    (注2) 個人カルテAを一覧にした「外国人児童名簿一覧」が、先生用サーバーの中に保存されている。「外国人児童名簿一覧」は、MOにバックアップ。MOは、「外国人児童カルテ」ファイルと一緒に保管。

個人カルテB
個人カルテB

個人カルテC
個人カルテC

群馬県 太田市

  • 定期的な能力診断
     個に応じた指導を充実させるために、日本語能力テストを定期的に実施したり、在籍学級における定期テストの結果を検討したりすることで、生徒の能力の変化を把握した。
  • 個人カルテの作成、記録
     生徒一人一人の学習状況を把握するために、定期テストの結果や学習状況など生徒に関する情報を個人カルテに記録し、複数の指導者で活用した。
  • 小学校と中学校との連携
     小学校からカルテを引き継ぎ、事前に情報交換を行うことで、継続的な指導を行うことができた。また、ブロック別集中校システムにより、中学校担当者が小学校でも指導していたことで、入学後も個に応じた生活支援、学習支援を行いやすかった。

個別年間指導計画の作成、実践

長野県 長野市

  • 個別の指導計画を作成した。
    • 日本語指導教室の年間指導計画を作成した。(芹田小学校、徳間小学校)
    • 個別の指導計画を作成した。(芹田小学校、徳間小学校)
    • 特に、中学校において取り出し指導計画を作成するとともに、指導事項について計画し、校内協力体制を作り出したこと。(柳町中学校)

教材開発・ワークシート作成

三重県 亀山市

  • 亀山中学校は、朝の学習プリント等の日本語指導資料を作成し、継続的な日本語指導に取り組んでいる。また、亀山西小学校と連携を図りつつ、小学校では、学習する内容を各学年に沿って抜粋し、カリキュラムを作成している。これらのカリキュラムに応じたワークシートを教室内の棚に常備し、自主的に学習できるような取り組みをしている。

群馬県 太田市

  • ポルトガル語版社会科副読本
  • スモールステップに分けた四則のドリル
     「わくわくドリル(たしざん)」「わくわくドリル(ひきざん)」
     「わくわくドリル(かけざん)」「わくわくドリル(わりざん)」

授業実践・検証

日本語指導

神奈川県 川崎市

<川崎市立京町小学校>

  • 外国人児童への指導の充実
    • 連絡調整係による柔軟な週案の作成と指導の共有化
    • 日本語指導等協力者や大学生ボランティアとの連携およびきめのこまかい指導の推進

<川崎市立富士見中学校>

  • 学習指導の充実
    • 日本語教室の指導の充実
       多岐にわたる日本語教室のあり方の教職員、保護者への共通理解を図る
    • 評価評定の検討
       学習意欲を引き出す評価評定、進路希望の実現に向けた評価評定の検討

<川崎市立今井小学校>

  • 適応指導、日本語指導、学習指導の充実
    • 日本語指導を必要とする児童の指導方針の決定と指導の検討
    • 国語科「聞く・話す」の領域を中心として伝え合う力の育成
群馬県 太田市

<旭小>

  • 習熟度別指導を行った結果、児童が落ち着いて学習に取り組むことができるようになった。
  • 母語による付加的指導を行った結果、教科の学習への取組が積極的になった。
  • 個に応じた指導の充実を図るためにスモールステップによるドリル教材を作成し、学習をすすめた結果、四則計算の習熟が図られ、学習への取組が前向きになった。
  • 児童一人一人が学習の目標を設定することができるようになり、学習に対して地道に努力する態度が身に付いてきた。

<旭中>

  • 生徒の習熟の程度や支援の必要性に応じた指導携帯を工夫したことで、生徒の学力や学習意欲が向上した。
  • 授業時間外の補習授業を実施したことにより、生徒に自主学習の習慣が身に付き、学習への意欲の向上につながった。

JSLカリキュラムによる指導(注3)

千葉県 船橋市
  • 外国人児童生徒の日本語習得状況をJSLバンドスケールで把握することにより、個人の実態に合わせた指導が可能になった。
  • JSLカリキュラムによる日本語指導を行うことにより生活を通した学習用語の習得が可能になった。
    センター校の実践
    <葛飾小学校>JSLカリキュラムによる日本語指導の実践
長野県 長野市
  • JSLカリキュラムの趣旨を生かした授業実践
    1. 徳間小学校
       参加者 44人 長野教育事務所と共催
       授業者 有賀光世
       協力者 鄭 穎
       対象児童 3人(タイ、フィリピン)<生活言語習得段階>
       題材名「自分の国のすきな料理を作ろう」(10時間)(トッピク型)
       助言者 山本清隆(信州大学教育学部教授)
      • ‘自分の国の好きな食べ物を作って食べる’という10時間の単元を設定して、食材や生活用品の名前を知り、「まるまるを買います」「まるまるをください」と会話しながら、買い物をし、活動したことを発表する「買い物ごっこ」の学習を行った。
    2. 芹田小学校
       参加者 42人
       授業者 祢津伴美
       協力者 島田博代
       対象児童 2人(フィリピン)<学習言語習得段階>
       単元名「日本とフィリピンの貿易」(9時間)(教科志向型)
       助言者 徳井厚子(信州大学教育学部助教授)
      • 日本の食糧自給率グラフから、輸入と輸出について理解させる9時間の単元を設定して、果物を中心にスーパーを見学し、フィリピン産のバナナに焦点を当て、輸入の意味を理解するとともに、「日本は、フィリピンからバナナを輸入します」という表現ができる学習を行った。
  • JSLカリキュラムの趣旨を活かした授業検証
    • 子どもが体験したり関心を持っている事柄をもとにして、問題解決的な学習過程を仕組むことが、自ら学ぶ意欲を喚起することに有効である。
    • 日本語で学ぶ(日本語の意味を理解して、日本語で自己表現できる)ために、見学や操作等具体的な活動を通した場面を構成することが、言語の習得に有効である。
    • 生きた日本語の指導においては、指導者の力量を高めることが重要である。
    • 児童生徒の実態を把握して、指導者自身が、教材開発や指導内容を作り出す意欲が高まった。
東京都 目黒区
  • 帰国幼児児童生徒を中心として、他の幼児児童生徒との相互啓発の在り方やそれぞれの個性を生かした学習の在り方や、一人ひとりのニーズに応じた指導の在り方などを明らかにした。(詳細は、目黒区作成資料「目黒区の国際理解教育」にJSLカリキュラムに基づく実践例掲載)

(注3)JSLカリキュラム
 「学校教育におけるJSLカリキュラム」の開発
 平成13年度から、日本語指導が必要な外国人児童生徒を学校生活に速やかに適応させるために、日本語の初期指導から教科指導につながる段階の「JSLカリキュラム」の開発を行なっている。
 平成15年7月には、小学校における「トピック型」「教科志向型」JSLカリキュラムについて最終報告を取りまとめ、公表した。
 今後は、中学校におけるカリキュラムの開発のほか、外国人児童生徒の日本語指導に関する各種情報の共有化を目指し、インターネット上での日本語指導等支援システムの整備を図ることとしている。
 (文部科学省ホームページ 帰国・外国人児童生徒教育等に関して文部科学省が行なっている施策に関する情報 より転載)

お問合せ先

総合教育政策局国際教育課

-- 登録:平成21年以前 --