「話すこと・聞くこと」
2学年
全5時間
在籍学級、一部取り出し
本単元は、聞くことの力を付けるための単元である。
聞く能力は、態度、聞き方、聞く内容から捉えられる。態度、聞き方については、「話し手の方を見ながら」「うなずきながら」「最後まで」などが挙げられる。特に本単元では、耳を澄まし集中して最後まで聞く態度を身に付けさせたい。
次に、聞く内容についてである。学年に応じて、順序を考えながら聞き取る、要点を押さえながら聞き取るなどの目標が挙げられる。また、聞く目的によっても聞き方は、おのずと変わるものである。一言一句をもらさずに聞き取る場合もあれば、メモを取って大まかに話の概要を聞き取る場合もある。また、聞き取ったことを次にどう生かすかによっても聞き取るときの留意点や操作活動は変わってくる。さまざま場面に応じて、その目的に合った聞き方ができるようになってほしい。
本単元では、大切なことを落とさずに聞き取ることを目標とする。「まいごさがし」の単元で聞き取る内容として大切なことはまいごとなっている人の特徴である。特徴を聞き取り、それを具体的に正確にイメージしていく聞き方が大切になる。まいごを探すという目的のためには必要でない情報を省き、大切なことだけを落とさずに聞くことができるようにさせたい。
また、まいごをさがすことが最終的な目標になってしまわないように、応用編として、大切なことを聞き取ってまいご以外のものをさがす言語活動を計画したい。今回は、「わたしはだれ(何)でしょう」「先生を捜せ!」「スリーヒントゲーム」の3つの言語活動を考えた。この中から「先生を捜せ!」ゲームについて説明する。
デジタルカメラで教師・指導者一人につき数枚の写真を撮っておき、その中から服装やもち物、特徴を聞いて本物の先生を捜すゲームである。写真は似ているほど間違いやすく、注意深く細かな違いを聞き取らなければならなくなるのでおもしろい。児童の集中力も高くなる。自校の教師・指導者を題材に扱うことによって、聞きたいという児童の興味関心を引き出すことができる教材である。
方法としては、ゲーム的な活動をとおして、楽しみながら体験的に学習できるようにしたい。ゲームを楽しみながら大切なことを正確に聞き取るための工夫や注意に気付かせ、ただ何となく聞くのではなく目的に応じて意識して聞く力が付くようにさせていきたい。
学習活動(具体的な言語活動) 次・時間 |
各局面における伸ばすべき国語力・日本語力 | 学習支援・指導と学習材 |
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一次 1時
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二次 2~4時
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三次 5時
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本単元では、聞く力の実態に合わせた個別支援を大切にして、学習材を活用していく。
「先生をさがせ」ゲームの問題例
ゲームの手引き例
「わたしは何でしょう」ゲームのやり方
出題グループ
答えるグループ
「書くこと」(手紙文)
低学年
6時間
取り出し(在籍学級も可能)
書くことを覚えた子どもたちにとって、「手紙」は書いたことが有効に働くことを実感できる、身近な活動である。実際に遊びの中でも、休み時間の相談や下校後の約束をやり取りしているお手紙ごっこの場面をときどき見かけることがある。
学習活動としては、少し改まった状況を設定することによって、相手意識や書く目的・内容を明らかにしたり、文の書き方や文字に気をつけたりすることができると考えられる。具体的には、家族に運動会の招待状を書く場を取り上げる。
運動会は、日本の学校生活では代表的な行事であるが、日本語を母語としない子どもたちやその家族にとっては、あまり経験のないものでもある。時には、競技に全員が参加することに驚いたり、徒競走では全員が力いっぱい走り競うことに戸惑ったりすることもある。運動会の招待状を書く活動を通して、不思議に思うことや感じたことを表現したり、それを教師・指導者や友達に聞いたりできるよさもある。また保護者にも、ただ目の前の運動会の様子だけではなく、練習の過程や子どもたちの気持ちを知ることによって安心して参観することができるだろう。
日本語の学習としては、自分の出場する競技の説明の中で、順序を表す言葉を使ったり、がんばったことや見てほしいところなどの気持ちを表す言葉を使ったりすることをねらっている。また、自分が伝えたいことだけではなく、招待される家族にとって必要な情報は何かを考えさせることによって相手意識を持たせた学習を行うようにしたい。
学習活動(具体的な言語活動) 次・時間 |
各局面における伸ばすべき国語力・日本語力 | 学習支援・指導と学習材 |
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一次 2時
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運動会の日時、種目の順番(児童が出る種目の順番や競技位置)、種目の説明、家族の出る種目の説明、集合場所など、その他、説明図、挿絵などレイアウトの工夫。 |
二次 3時
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三次 (運動会終了後に行う)
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基本的な文型と文例
「読むこと(物語文)」
1~6学年(中学校でも可)
3~4時間
本単元は「物語の順序をバラバラにして、元どおりに正しく復元する活動(モンセラサルト「読書のアニマシオン」による)」をベースに行う授業である。
国語の授業、特に物語や説明文の読解の授業に参加するには、まず内容を把握する力が求められる。しかし、物語文を読み、その内容を理解していくのは、子どもたちには非常に難しい。
本活動を行うことにより、物語の順序をたどる活動から、内容把握、内容理解につなげていく力を付けることをねらっている。また、在籍学級で学習する物語教材を事前に本単元で扱うので、在籍学級での授業の事前に内容が把握できる。そのことで、在籍学級での授業への参加の負担軽減、意欲づけにもつながると考えられる。
また、日本語を母語とする子どもたちが授業の中で付けていく、「読む力(内容把握、情景認識、場面構成の力、要旨をつかむ)」も、本単元で付けていくことをねらっている。視覚的な理解から、読むことによる理解に移行していく活動も仕組んでいくことにより、「読む力」を育成することができると考え、本単元を設定した。
学習活動(具体的な言語活動) 次・時間 |
各局面における伸ばすべき国語力・日本語力 | 学習支援・指導と学習材 |
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一次 1時間
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二次 1~2時間
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三次 1時間
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学年 | 作品名 | 工夫や留意点 発展、バリエーション | 紙芝居・絵本 |
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1上 | はなのみち |
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絵本:岩崎書店 |
1上 | おむすびころりん |
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紙芝居:教育画劇 |
1上 | ぐりとぐら |
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絵本:福音館書店 |
1上 | 大きなかぶ |
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絵本:福音館書店 |
1下 | くじらぐも |
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書き下ろし |
1下 | ずうっと、ずっと大好きだよ |
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絵本:評論社 |
1下 | たぬきの糸車 |
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書き下ろし |
2上 | ふきのとう |
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書き下ろし |
2上 | スイミー |
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絵本:好学社 |
2下 | お手紙 |
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絵本:文化出版局 |
2下 | 三まいのおふだ |
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絵本:童心社 紙芝居:「たべられたやまんば」 童心社 |
2下 | スーホの白い馬 |
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本:福音館書店 |
3上 | 三つのお願い |
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書き下ろし |
3上 | きつつきの商売 |
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絵本:「森のお店やさん」アリス館 |
3上 | 三年とうげ |
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絵本:岩崎書店 |
3下 | モチモチの木 |
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絵本:理論社 |
4上 | 白いぼうし |
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本:「車の色は空の色」ポプラ社 |
4下 | ごんぎつね |
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絵本:・「新美南吉全集第」大日本図書・偕成社・ポプラ社 紙芝居:童心社 |
5上 | 新しい友だち |
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書き下ろし |
5上 | プラムクリークの土手で |
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本:福音館書店 |
5下 | わらぐつの中の神様 |
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本:童心社(フォア文庫) |
5下 | 大造じいさんとガン |
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本:「椋鳩十童話集1」小峰書店 |
5下 | 月夜のみみずく
(詩) |
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絵本:偕成社 |
6上 | 森へ |
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本:「たくさんのふしぎ傑作集」福音館書店 |
6上 | やまなし |
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本:福武書店 偕成社 |
6下 | 海の命 |
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絵本:ポプラ社 |
6下 | きいちゃん |
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本:アリス館 |
「読むこと(説明文)」
中学年
7時間
在籍学級
中学年の子どもたちは、さまざまなことに興味関心が強く、また自分で疑問を解決したいという意欲を持てる時期である。このような時に、自然界の不思議な出来事に出会うことは意義深いことである。また、教科書以外の本を読むなどして自ら調べることで、新しい発見をしたり、自然に対する洞察力を高めたりすることができよう。
そこで、本単元では、教材文を読み、それについてできるかぎり多様な方法(本、テレビ、インターネット、聞き取りなど)で調べさせる。それをグループで事典にまとめ仕上げさせ、みんなで読み合わせたい。
例えば、教材文「ありの行列」を読んだ児童は、ありが道しるべをつけながらえさを運んでいることを知るが、その他のありの生態についても調べてみることを課題とする。そして、それらをグループでまとめて一冊の事典に仕上げさせる。また、あり以外の他の昆虫や生き物についても、課題をもって取り組ませる。
このような学習方法は、
学習活動(具体的な言語活動) 次・時間 |
各局面における伸ばすべき国語力・日本語力 | 学習支援・指導と学習材 |
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一次 2時
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二次 4時
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三次 1時
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学習活動(具体的な言語活動) 次・時間 |
各局面におけるのばすべき国語力・日本語力 | 学習支援・指導と学習材 |
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一次
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二次
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三次
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「言語事項」(語句指導のうち、辞書指導)
4学年
3時間
取り出し、在籍学級
理解語彙を増やし、できるだけ多くの漢字が読めることは日本語の文章を読む上で大きな鍵となる。語句の意味を正確に把握していないために読むことや書くことの言語活動がつまずくこともある。だからといって、指導者が常にそばに居るわけにはいかず、学習者が主体的に疑問点を調べ、学習に取り組む必要がある。そのためには、辞書の仕組みと使い方について理解し、用途目的に応じた辞書を選び、活用する術を学ばなければならない。言葉の意味や使い方、書き表し方を調べる方法を学べば、他教科における語彙習得も可能となり、より発展的な学習へとつなげることができる。そこで、本単元は、文章内容を理解したり、表現したりするために必要な文字や語句について辞書を利用して調べる方法を理解し、実際に辞書を使いこなせるよう指導する。
ここでは、場面に応じた辞典利用の指導が必要になるので、一欄表の形式ではなく学習活動を具体的に想定しなから書いていくことにしたい。
辞典利用でまず大切になってくるのは、「読んでみたい文章の中に意味のわからない言葉があったとき、どうするか?」というところから、辞書の必要性に気付き、積極的に活用させることである。
国語科では通常4、5学年で国語辞典を、5、6学年で漢和(字)辞典の引き方を学ぶ。日本語を母語としない子どもたちは「母語・和(日曜日)辞典」の活用から始まり、教師・指導者は「和(日曜日)・外国語辞典」で語意を示す。外国語辞典の場合、アルファベット順のものが多いが、五十音順のものもある。いくつかの種類の辞書を紹介し、用途、目的に応じて辞書を選択する。
辞書を活用することで、語彙、漢字の意味などを理解し、さらに活用する力、読む能力、書く能力をつける。
[授業の流れ]
< 導入>
ねらいを理解させる。下記の例文を読む。
[例文]
ここに辞書があります。
辞書にはいろいろな種類があります。厚さが10センチメートル以上もある大きなものから、手のひらに乗るぐらい小さなものまであります。外国の言葉を日本語に訳したものや、日本語の意味を説明したもの、漢字の読み方がわからない時に調べるものなど、たくさんの種類があります。
みなさんが本を読んでいる時、わからない言葉や漢字にぶつかったら、まず、辞書をひいてみてください。
<辞書を紹介する>
外国語・和(日曜日)辞典、国語辞典、漢和(漢字)辞典、類語辞典、アクセント辞典、外来語辞典、etc.
[活動のバリエーション]
[参考資料1]辞書の引き方と仕組み
日本語を母語とする子どもたちも小学校3年で国語辞典の使い方を学習する。日本語を母語としない子どもたちの場合、すでに母国で母語の辞書をひきなれていて、日本語に置き換えることができる子どももいるが、文章中の正しい言葉の意味を知りたいとき、日本語の適切な意味を選びだすところでつまずくことも多い。この点を支援・指導しながら、在籍学級でも日本語教室でも子どもたちの段階に合わせて積極的に活用させる。
[ワーク1]
「はや引き名人」…グループを作り、だれが速く辞書を引けるか競争しながら、辞書の使い方を習得していく。
[課題1]どちらが先に辞書に出ていますか?先に出ているほうに○をつけなさい。
秋( ) 息( ) |
意味( ) 意志( ) |
鯉( ) 声( ) |
光る( ) 光( ) |
昼( ) ヒール( ) |
四時( ) 幼児( ) |
オープン( ) オーブン( ) |
ばらばら( ) ぱらぱら( ) |
日誌( ) 西( ) |
月光( ) 下校( ) |
数学( ) 通学( ) |
スリー( ) ツリー( ) |
過去( ) 格好( ) |
旗( ) バッター( ) |
日誌( ) 西( ) |
過去( ) かっこ( ) |
教室( ) 皇室( ) |
靴( ) 口( ) |
担任( ) 他人( ) |
数字( ) 習字( ) |
[課題2]言葉のカードを作り、トランプゲームの「スピード」のように競う。
(1)2人ペアを作り、ペアのカードを1枚ずつもつ。
(2)「スピード」と言って、同時にカードを出す。お互いに出したカードのどちらが辞書で先に出ているか瞬時に判断して取る。
※ はじめはミニマルペアでセットしておくが、慣れてきたら、カードの数を増やし、適宜持ち札を1枚ずつ出すようにしてもよい。
※ たとえば同じカ行のものなら出せるとか漢字の画数で競うなど、ゲーム性を発展させていく。
[課題3]「さかな、サカナ、魚~~なんという魚?」(漢和辞典に慣れる)
(魚の絵の中に、いろいろな魚偏の漢字を書いたものを提示する。)
Q:部首は何ですか?
Q:漢和辞典をひいて魚の絵の中の漢字の読み方を調べましょう。
絵の中の漢字: 鯛、鰯、鰻、鮎、鯵、鯨、鰈、鯉、鰹、鯖、鱸、鯊、鱒、鮒、鰤、鮪、鱗、鮫、鮭、鰆
[ワーク2]
「言葉調べすごろく」(国語辞典の使い方に慣れる)…すごろくのように駒を進めながら、その中の指示に従い、辞書を引くことに慣れていく。
{例}ふりだし→「元旦」の意味を調べてください。→年の初めの月のさらに初めの日だから1月1日を「元日」とよ呼びます。→「元旦」と「元日」とどちらが先に辞書に出ていますか?→各家々の前には「門松」を飾って(かざって)いました。→「門松」の読み方は?→「門松」は年神様(としがみさま)がお泊り(おとまり)になるための目印(めじるし)にもなりました。12月28日までに飾っていました。→「門松」を取りはずすまでを「まつ松のうち内」とよびます。→10日に飛び(とび)ます→最近(さいきん)は一般の家庭では玄関(げんかん)に「しめ縄(なわ)」または「しめ飾り」を飾ります。しめ縄には、「神」がそこにおられるという意味を表しています。→「かみ」と読む漢字は他にあるか調べてください。→床の間(とこのま)には「鏡餅(かがみもち)」を飾り(かざり)ます。→「鏡餅」は宮中で歯固め(はがため)の儀式(ぎしき)としてもちを食べたことから始まりました。→「宮中」の読み方を調べましょう。→「宮」という漢字には他にどのような読み方がありますか?→大晦日(おおみそか)の夜、除夜の鐘(じょやのかね)を聞きながら、年越し(としこし)そばを食べます。→年が明けると、元旦にはお屠蘇(とそ)、お雑煮(ぞうに)といっしょに「おせち料理」をいただきます。→「せち」は「節句(せっく)」の略(りゃく)で、本来(ほんらい)は節会(せちえ)に出される料理を示しました。→「節句」の意味を辞書で調べてみましょう。→おせち料理は重箱(じゅうばこ)につめられます。→重箱読みする言葉をさがしましょう。→一の重(じゅう)から与(よ)の重まで、それぞれに詰め(つめ)られる料理(りょうり)には、言われがあります。(すごろく用の絵を作成)
総合教育政策局国際教育課
-- 登録:平成21年以前 --