「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(抄)

はじめに 日本経済の現状と構造改革が目指すところ

2.「集中調整期間」から「重点強化月間へ」

 平成17年度以降の課題は、「官から民へ」、「国から地方へ」といったこれまでの改革についてのより本格的な取組を行うとともに、人口減少や国際環境の変化など新たな条件の下での成長基盤を確立することである。平成17年度及び平成18年度の2年間を「重点強化月間」と位置づけ、日本銀行と一体となった政策努力によりデフレからの脱却を確実なものとしつつ、新たな成長に向けた基盤の重点強化を図る。このような取組の結果、平成18年度以降は名目成長率で概ね2%程度あるいはそれ以上の成長経路を辿ると見込まれる。
 「重点強化月間」における主な課題は次のとおりである。
 第四に、「人間力」の抜本的強化に取り組む。その際、雇用のミスマッチ縮小に力点を置く。このため、約10%の高い失業率を示す若年層に対する能力開発施策等の拡充、地域の実情に応じた雇用政策の展開、利用者の立場に立った雇用関連事業の再編・ワンストップ化に取り組む。

第1部 「重点強化月間の主な改革」

4.「人間力」の抜本的強化

(1) 「人間力」強化のための戦略の検討

  • 関係4大臣による若者自立・挑戦戦略会議等の場で、平成16年度中に雇用や教育面での課題を含む「人間力」強化のための戦略を検討する。その一環として、雇用のミスマッチを縮小する施策に取り組む。
  • フリーター・無業者を重点に若年者の雇用・就業対策を強力に推進するとともに、個人の選択を機能させた若年者の能力開発施策の拡充、専門高校・国立高専の教育内容見直しと地域との連携強化等を行う。

(2) 利用者の立場に立った雇用関連事業の再編

  • 国、都道府県、市町村、独立行政法人、公益法人が実施している雇用関連事業等について、利用者の立場に立ったワンストップ化を進め、複数の機関で実施している事業がある場合には、機関の間で調整を図り、効果的な運用を行う。

(3) 教育現場の活性化等

(教育現場の活性化)
  • 「確かな学力」の向上を図り、学習指導要領の不断の見直しを進めるとともに、高校等学校現場における体験学習や実習について、単位の認定など各学校の取組を促進する。
  • 寄宿学校など寄宿を伴った教育活動を行う学校や宿泊を伴った共同生活を通じた体験活動等を推進する。

第2部 経済活性化に向けた重点施策

2.雇用政策・人材育成施策の新たな展開

(1) 職業教育の強化と「若者自立・挑戦プラン」の強化

職業教育の強化
  • 小・中学校段階から職業に関する教育を地域の協力も得て充実するとともに、高校段階においては、より具体的な職業観の確立を目指した教育を強化する。こうした考え方に立って、社会ニーズに応じた高度な専門的人材を育成するため、専門高校及び全国に展開する国立高専等の学校運営の弾力化、地域の特性を活かした教育内容の構築、地域産業との連携等の強化を促進する。
(「若者自立・挑戦プラン」の強化)
  • 「若者自立・挑戦プラン」については、民間委託等を活用する範囲を大幅に拡充することや、国から地域への支援を競争的・選択的に行うこと及び成果評価に基づき適切に見直しを行うこと等により実効性・効率性を高めていく。そのため、平成16年中に若者自立・挑戦戦略会議でアクションプランを取りまとめる。
  • また、地域の産業界の協力を得つつ、地域の産業界、教育機関、行政機関、住民が連携して、地域における経験豊かな人材や施設(工場、サービス施設、職業能力開発校等)を活用した職業教育及び体験活動等の積極的推進を図るなど、同プランを効果的に推進していく枠組みを強化する。
(フリーター・無業者に対する働く意欲の向上等)
  • 若年者雇用への関心を喚起する国民運動の推進、働く意欲の涵養、向上を図る取組、労働体験や職場定着の推進のための施策など、若年者に働く意義を実感させ、その意欲や能力を高める総合的な対策を講じる。

-- 登録:平成21年以前 --