「今後の初等中等教育と高等教育の接続の改善について(答申)」中央教育審議会平成11年12月16日

中央教育審議会平成11年12月16日

第6章 学校教育と職業生活との接続

 新規学卒者のフリーター志向が広がり,高等学校卒業者では,進学も就職もしていないことが明らかな者の占める割合が約9%に達し,また,新規学卒者の就職後3年以内の離職も,労働省の調査によれば,新規高卒者で約47%,新規大卒者で約32%に達している。こうした現象は,経済的な状況や労働市場の変化なども深く関係するため,どう評価するかは難しい問題であるが,学校教育と職業生活との接続に課題があることも確かである。

第1節 学校教育と職業生活の接続の改善のための具体的方策

 学校と社会及び学校間の円滑な接続を図るためのキャリア教育(望ましい職業観・勤労観及び職業に関する知識や技能を身に付けさせるとともに,自己の個性を理解し,主体的に進路を選択する能力・態度を育てる教育)を小学校段階から発達段階に応じて実施する必要がある。キャリア教育の実施に当たっては家庭・地域と連携し,体験的な学習を重視するとともに,各学校ごとに目標を設定し,教育課程に位置付けて計画的に行う必要がある。また,その実施状況や成果について絶えず評価を行うことが重要である。
 同時に,学校教育において情報活用能力や外国語の運用能力の育成等,社会や企業から評価される付加価値を自ら育成するなど,職業生活に結び付く学習も重視していくべきである。
 こうした観点に立って,他省庁や関係団体の協力も得ながら,在学中のインターンシップの促進等による体験的活動を重視していくことや,企業経験者によるキャリアアドバイザーの配置,教員のカウンセリング能力の向上等による進路に関するガイダンス,カウンセリング機能の充実を初等中等教育及び高等教育において進めていく必要がある。その際,生徒等の職業適性や興味・関心を適切に測定する方法の研究・開発を進めていくことが求められる。
 また,専門高校,盲学校等の専攻科の整備充実,各大学・学部等の教育理念や専門分野等の特性に応じた専門高校・総合学科卒業生選抜やそれらの者を対象とする推薦入学の拡大など,専門高校・総合学科等における専門教育の基礎に立ち,一層進んだ学習を希望する者に対する進路の整備を更に進める必要がある。
 さらに,高度専門職業人の養成に特化した実践的な教育を行う大学院の設置の促進等,社会の要請に的確に対応した高度な専門的能力を有する職業人の養成機能の強化を進める必要がある。

-- 登録:平成21年以前 --