文部科学省所管の私立学校施設災害復旧費算定の基礎となる調査については,「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」(昭和37年法律第150号。以下「法」という。)及び同法施行令(昭和37年政令第403号。以下「令」という。)に定めるもののほか,この要領に定めるところによる。
災害原因については,法第2条第1項の規定により激甚災害の指定を受けた災害(以下「激甚災害」という。)による被害であるかどうかを確認するとともに,被災施設の原形及び被災状況を調査するものとする。
激甚災害により被害を受けた私立の学校(幼稚園,小学校,中学校,義務教育学校,高等学校,中等教育学校,特別支援学校,大学及び高等専門学校)の所有にかかる次に掲げるものをいう。
当該学校の使用に供されている建物(教員住宅を除き,それ以外の建物に附属する電灯,電力,火災予知,火災報知,ガス,給排水等の附帯設備を含む。)
土地に固着している建物以外の工作物
学校敷地,屋外運動場,実習地等の校地及び校地造成施設
校具,教材,教具,机,椅子等の物品
復旧費は,被災施設を原形に復旧するものとして算出することを原則とするが,原形に復旧することが不可能な場合においては,当該施設の従前の効用を復旧するための施設をするものとして算出し,原形に復旧することが著しく困難であるか又は不適当である場合においては,当該施設に代わるべき必要な施設をするものとして算出する。
1 原形に復旧するとは被災前の位置に被災施設と形状,寸法及び材質の等しい施設に復旧することをいう。
2 原形に復旧することが不可能な場合において当該施設の従前の効用を復旧するための施設をするとは,次の各号に掲げる工事を施行することをいう。
一 原形の判定が可能な場合
(建物の補修又は建物以外の工作物の復旧)
(1) 地形地盤の変動のため,その被災施設を原形に復旧することが不可能な場合において延長を増加し,根継をし,陥没した沈下量をかさ上げし,基礎工法を変更する等形状若しくは寸法を変更して施行する工事又はこれに伴ない材質を改良して施行する工事
(土地の復旧)
(2) 校地又は校地造成施設が被災し,地形地盤の変動のためその被災施設を原形に復旧することが不可能な場合において法長若しくは延長を増加し,根継をする等,形状若しくは寸法を変更して施行する工事又はこれに伴ない材質を改良して施行する工事若しくは排水工,山留工等を設けて施行する工事
(その他)
(3) 前各号に掲げるものに類する工事
二 原形の判定が不可能な場合
原施設が流失又は埋没し,原形の判定が不可能な場合において被災地及びその附近の残存施設等を勘案し,被災後の状況に即応した工法により施行する工事
3 原形に復旧することが著しく困難な場合において当該施設に代わるべき必要な施設をするとは,次に掲げる場合をいう。
(1) 校地又は校地造成施設が被災し,地形地盤の変動のため,又はその施設の除却が困難なためその被災施設を原形に復旧することが著しく困難な場合において,当該施設の従前の効用を復旧するため位置又は法線を変更して施行する工事,又はこれに伴ない形状若しくは寸法を変更し若しくは材質を改良して施行する工事若しくは排水工,山留工等を設けて施行する工事
(2) その他前号に掲げるものに類する工事
4 原形に復旧することが著しく不適当な場合において,当該施設に代わるべき必要な施設をするとは,次に掲げる場合をいう。
一 建物の補修,工作物の復旧の場合
(1) 主要構造部分が折損し,又は傾斜し,その被災施設を原形に復旧することが著しく不適当な場合において,当該施設の従前の効用を復旧するため添柱,方杖,バットレス,水平筋違,筋違等補強して施行する工事
(2) 建築基準法,その他建物保安上の諸法令の規定により被災施設を原形に復旧することが著しく不適当な場合において施行する必要最小限度の工事
(3) 被災施設の立地条件の悪化等により過去三回以上浸水被災し,原形に復旧することが著しく不適当な場合において木造床をコンクリート床とする等耐水工法で施行する必要最小限度の工事
(4) その他前各号に掲げるものに類する工事
二 土地の場合
(1) 校地又は校地造成施設が被災し,地形地盤の変動等のため,その被災施設を原形に復旧することが著しく不適当な場合において,当該施設の従前の効用を復旧するため,位置若しくは法線を変更し,形状若しくは寸法を変更し,又は材質を改良して施行する必要最小限度の工事,排水工,山留工等を設けて施行する工事
(2) 被災施設が地すべり崩壊等により著しく埋そく又は埋没したため,その被災施設を原形に復旧することが著しく不適当な場合において,当該施設の従前の効用を復旧するため土砂止等を設けて施行する工事
(3) その他前各号に掲げるものに類する工事
建物が全壊又は半壊した場合の復旧費の算定は,全壊又は半壊の面積に第8の3に定める単位当たりの新築単価を乗じて得た額とする。
建物の被災状態が新築復旧の必要のない被害の場合においては,当該補修に要する経費を第8単価歩掛りにより算出する。
なお,再使用可能の残材があるときは,これを使用することとして復旧費を算出することとする。
建物以外の工作物が被災した場合においては,その新築又は補修に要する経費を第8単価歩掛りにより算出する。
土地が被災した場合においては,その復旧に要する経費を第8単価歩掛りにより算出する。
設備が被災した場合においては,復旧に要する経費を基準計算額と特例計算額とに区分して算出する。
ア 基準計算額とは,児童等1人当たりの基準額に被災時の当該学校の児童等の数を乗じて得た額に建物の被害の程度の区分に応じた割合及び被災した建物を被害の程度ごとに区分した面積の当該学校の建物の全面積に対する割合を乗じて得た額をいう。但し,実被害額が基準計算額を下廻るものについては,実被害額を基準計算額とみなす。
注:基準計算額算出は建物の被害の程度区分ごとに,次の算式によって得た金額の合計額である。
A×B×C×D=X
A=令別表第3に定める児童等1人当たりの基準額
B=令別表第4により補正を行った後の被災時における児童等の数
C=令別表第2に定める建物の被害程度ごとに区分した面積の全面積に対する割合
D=令別表第2に定める建物の被害の程度の区分に応じた設備費の基準額に乗ずべき割合
イ 特例計算額とは,建物の被害の程度に比して設備の被害の程度が著しく大きいとき,又はその他特別の事由により基準計算額のみにより復旧費を算出することが著しく不適当と認めれる場合において,次により算出した額をいう。
(ア) 船(ボート類を除く)
A 船が流失,沈没(引揚不能)又は全壊した等のため,新たに建造を要する場合においては別途指示する単価により算出した額
B 船が沈没して引揚を必要とする場合においては,引揚に要する経費
C 船が破損して補修又は補強を必要とする場合においては,補修又は補強に要する経費
(イ) 設備復旧費の算出の基礎となる建物の被害が令別表第2に定める「建物の被害の程度の区分」に該当しない場合において,設備のみの実被害額が60万円を超える場合には,実被害額を限度とする範囲内で復旧を必要とする額
(ウ) 基準計算額が実被害額以下となる場合において,基準計算額を超え実被害額までの額を限度とする範囲内で復旧を必要とする額。但し,本項の実被害額には船(ボート類を除く)の被害額は含まないものとする。
(エ) 大学(短期大学・高等専門学校を含む。)の設備復旧に要する経費は実被害額
建物復旧費算定の基礎となる被害区分は次のとおりとする。
建物の全部又は一部が滅失又は倒壊し,新築して復旧する必要のある状態にあるもの
建物の主要構造部が被災し,補強して復旧することが著しく困難又は不適当で改築しなければならない状態にあるもの
建物の主要構造部が被災し,補強して復旧することが可能な状態にあるもの
建物の主要構造部の一部又はそれ以外の部分が被災し,補修又は補強して復旧することが可能な状態にあるもの
現地調査前においてすでに施行済み又は施行中の工事については,その工事が本工事の全部又は一部となるもののみを被害写真等により状況を確認して復旧費算出の対象とする。
この場合において当該工事の精算額又は精算見込額が算定した復旧費を下廻るときは,精算額又は精算見込額をもって復旧費とする。
(1) 文部科学省の調査に対して財務局,福岡財務支局又は沖縄総合事務局が立会するものとする。
(2) 調査は原則として実地にて行うものとするが,やむを得ない理由により実地調査が困難である箇所については,都道府県庁等において机上にて調査を行うことができる。この場合には,写真,設計書等により被災の事実,被災の程度等を十分検討のうえ慎重に採否を決定するものとする。
復旧事業費とは復旧工事費(本工事費,附帯工事費及び設備費)および事務費の合計額とする。
ア 本工事費
事業の主体をなす施設の工事(工事に必要な仮設工事を含む。)の施行に直接必要な労務費,材料費(材料の運搬費および保管料を含む。)及び用地費,補償費,土地の借料並びに機械器具損料,営繕損料のほか諸経費(別表諸経費率)を含むものとする。
イ 附帯工事費
本工事に附帯して設ける工事(工事に必要な仮設工事を含む。)に要する経費(諸経費を含む。)とする。
ウ 設備費
教育活動を行う上に必要な校具,教材,机,椅子等の費用とする。
令第37条第2項に規定する事務費は,事業を施行するための事務に要する経費とする。
文部科学省所管公立学校施設災害復旧費調査要領に定める単価表・歩掛り表を準用する。
調査終了後5日以内に本省あて別紙様式1により報告書を提出すること。ただし,次の各号に該当する場合は別紙様式2により報告書を提出すること。
(1) 災害復旧事業の採否について,事務上又は技術上更に検討を加える必要があると考えられる場合
(2) 1校当たりの調査額が5,000万円以上となる場合
校舎の新築復旧工事又は補修復旧工事(構造体の補強等による大規模なものに限る。)完了まで長期間を要する見込の場合,当該期間中の教室等の不足による授業の中断又は二部授業を避けるための仮教室,仮間仕切,仮便所,仮職員室等の工事を調査の対象とする。
必要最小限度の室数
必要最小限度の室数
男女別に最小限度の広さ
前記(1)又は(2)の用途に供するための残存建物内への仮間仕切壁
設置者が維持管理の責任を有する借用土地及び借用施設(以下「借用土地等」という。)に被害があった場合は,当該復旧費を調査の対象とし,これの報告に当該借用土地等の維持管理が設置者の責任であることを証する資料を添付のこと。
(1)幼保連携型認定こども園に被害があった場合は,当該復旧費を調査の対象とする。
(2)調査の対象となるのは,幼保連携型認定こども園の施設における学校として教育を実施する部分とし,他と区分することが困難な場合には,就学前の子どもに関する教育,保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)第16条に基づき市町村が都道府県知事へ届出した利用定員の総数に占める子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)第19条第1項第1号に掲げる小学校就学前子どもに係る利用定員の割合により,当該対象事業の範囲を定めるものとする。
特定私立幼稚園に被害があった場合は,当該復旧費を調査の対象とする。
1 調査前着工を行ったもののうち写真等の資料により,被害の事実の確認できないものについては,適用を除外とする。
2 災害復旧事業以外の事業の工事施行中に生じた災害に係るもの(この場合の工事施行中に生じた災害とは工事請負契約書に記載された着工の日(直営工事にあっては,着工届等に記載された着工の日)から竣工検査完了の日までの間に生じた災害をいう。)
区分 | 率 |
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建物新築復旧 建物補修復旧 土地復旧(校庭・コート類を含む。) 工作物復旧 設備復旧 |
0% 15% 公共土木施設災害復旧工事に使用する率 15% 0% |
03-5253-4111(内線2326)