令和2年6月12日(金曜日)14時00分-16時00分
WEB会議(※文部科学省13階 13F1~3会議室)
委員
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青山 剛史 |
国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 航空技術部門 |
飯島 朋子 |
国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 主任研究開発員 |
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石坂 丞二 |
国立大学法人 名古屋大学宇宙地球環境研究所 教授 |
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宇都 正太郎 |
国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 |
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梅村 行男 |
独立行政法人 航空大学校 特任教授 |
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万谷 小百合 |
独立行政法人 海技教育機構海技大学校航海科 准教授 |
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大沢 直樹 |
国立大学法人 大阪大学大学院工学研究科 教授 |
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庄司 るり |
国立大学法人 東京海洋大学学術研究院 教授 |
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塚本 達郎 |
国立大学法人 東京海洋大学学術研究院 教授 |
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土屋 武司 |
国立大学法人 東京大学大学院工学系研究科 教授 |
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原田 尚美 |
国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
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岩田 和昭 |
防衛省 人事教育局 人材育成課長 |
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白方 将司 |
防衛省海上幕僚監部防衛部運用支援課 |
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楠 勝浩 |
海上保安庁 海洋情報部 海洋調査課長 |
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野木 義史 |
国立極地研究所 総括副所長 |
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国立極地研究所 南極観測センター |
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オブザーバー |
中村 卓司 |
国立極地研究所長 |
伊村 智 |
国立極地研究所 副所長 |
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橋田 元 |
国立極地研究所南極観測センター副センター長(観測担当) |
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堤 雅基 |
第60次南極地域観測隊隊長(兼越冬隊長) |
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青木 茂 |
第61次南極地域観測隊隊長(兼夏隊長) |
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熊谷 宏靖 |
第61次南極地域観測隊副隊長(兼夏副隊長) |
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阿保 敏広 |
第62次南極地域観測隊副隊長(兼越冬隊長) |
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金子 宗一郎 |
第62次南極地域観測隊副隊長(兼夏副隊長) |
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事務局 |
福井 俊英 |
文部科学省 研究開発局 海洋地球課 課長 |
河野 広幸 |
文部科学省 研究開発局 海洋地球課 極域科学企画官 |
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小野寺 多映子 |
文部科学省 研究開発局 海洋地球課 課長補佐 |
《報告事項》
1.前回議事について
2. 第60次越冬隊・第61次観測隊の活動結果及び現況について
3. 第61次南極地域観測における輸送協力等について
4.令和2年度南極地域観測事業予算の概要について
《審議事項》
5.第62次南極地域観測の基本的な考え方及び対応方針(案)等について
6.第63次南極地域観測計画の概要(素案)等について
主な意見は次のとおり。
【梅村委員】 南極航空網を利用した活動として、別働隊はケープタウンからノボラザレフスカヤまではイリューシン76によって移動されたかと思うが、同機体は2014年にフラップが破損するというシリアスなインシデントが起きている。当時から少し古い機体であったので老朽化が懸念されていたが、別働隊から、そういったことに関する機体の更新情報はなかったか。
【野木総括副所長】 新しい機体に代わっており、古い機体は使っていないということのようである。
【万谷委員】 観測系の隊員がミーティングを今回徐々に増やしていったということだが、航空分野におけるCRM、船舶からのBRMと、運行自体はもちろん非常に重要な位置づけであるが、事前、そして事後を含めたミーティングも大事だと言われているため、今後も継続して協力体制を図り、事故防止に繋がることを願っている。
もう一点、医薬品の誤廃棄について、廃棄の原因を教えていただきたい。
【野木総括副所長】 廃棄の原因として、しらせ船内で通常鍵をかけて保管しているが、新型コロナウイルスの関係もあり帰国間際にばたばたしたため、鍵をかけ忘れたということのようである。それを、しらせの中でごみと勘違いし、焼却してしまったということが原因。今一度管理体制等を見直し、しっかりと管理をできるシステムに改善を図る。
【宇都委員】 みちびき対応機材の整備とあるが、次の航海からみちびきを活用するということか。また、観測隊の方でもみちびきを使った観測計画があるのか。
【白方南極観測支援班長】 しらせでは、今回のみちびき対応機材の整備は、修理の間に機器を搭載するということになっており、搭載で異常がなければそのまま次からの活動に使用していくと聞いている。
【野木総括副所長】 観測隊の方からは今は特に観測で使うということは聞いていない。今後の検討になるかと思う。
【大沢委員】 冷暖房機器オーバーホール等とあるが、冷媒の環境対応状況はどうなっているか。
【白方南極観測支援班長】 確認のうえ回答する。
※後日委員にメールにより回答
しらせの冷房、冷凍機に使用されている触媒はR404AとR134aである。どちらもオゾン層を破壊しない代替冷媒ガスであり、オゾン層破壊係数は「0」である。現行しらせ就役時から本触媒を使用している。
【梅村委員】 昭和基地沖の氷状について、第61次では1~2年氷体が20マイルで19時間かかっている。ラミングの回数は従来よりもだいぶ少ないと思うが、経路が変わったため時間がかかったという理解でよいか。距離と時間の関係がよくわからない。
【白方南極観測支援班長】 氷の状況によりラミングがあるかないか、また、開放水面と言って氷がない場所を選んで進む場合もあるため、一概に距離が短いため早く着くという状況ではない。これは例年同様の状況である。
【大沢委員】 今年推進用電動装置の点検をするということであるが、数年前に発電機が破損して、かなり大きな故障になった記憶がある。その壊れたものと全く同じものがリプレースされて、今は特に問題なく動いているということか。もしくは当時原因は不可のかけ方が原因ではなかったという議論があったと記憶しているが、何らかのメーカーによる対応がなされた発電機が今は使われているのか。
【白方南極観測支援班長】 確認のうえ回答する。
※後日委員にメールにより回答
56次行動における4号主機(発電機の原動機部分)のシリンダー破損事案について、原因は「クランク軸釣合いおもり取付け用ナット」の緩みであるが、当該ナットに構造的な不具合はなかったため、設計変更等ではなく、点検頻度を上げること(元々、2年に1回のオーバーホールを実施しているが、その間隙を埋める点検を追加)での対応となっている。なお、新替え後の不具合は生起していない。
【梅村委員】 しらせは他国を経由しないということで燃料が懸念されるが、ラミングの回数や潮流の変化といった点も考慮されて直行が可能だと判断したということでよいか。
【白方南極観測支援班長】 しらせは保有する燃料のタンクを基に計算し、直行直帰はこの95日間であれば可能であると判断している。ただし、御指摘のとおり、氷の状況、ラミングの回数によっては当然前後するため、氷の状況が厳しい場合には、帰国時の燃料はより減ってしまうという状況は考えられる。
【原田委員】 大変厳しい状況の中、シドニーに寄港できたらという条件ではあるが、大変積極的に観測も実施するというオプションプランを検討いただき感謝する。今はIPCCレポートの第6次報告書の執筆、査読の期間になっている。その中でも海水準の上昇が大変懸念されており、南極大陸からの淡水の供給が大きく今後の海水準の上昇に懸念されているところ。特に日本隊が担っているトッテン周辺等のエリアはその鍵を握るエリアでないかと考えられているところでもある。
61次隊では機動的なしらせの海洋観測の成功によって貴重なデータがとられているということも伺っている。これはしらせの能力もそうであるが、やはりしらせ乗員の皆さんのスキルの高さということも付け加えさせていただく。この高いスキル、観測に関しての高いスキルを持った乗員の皆さまの能力を発揮し、機動的に再び海洋観測にも積極的に挑戦いただきたい。
【万谷委員】 船舶は実質3密が避けられない職場、生活空間であると考えている。その中でいかに事前にウイルスを持ち込まないかというのが大事になるかと思う。検疫期間と、検疫期間の前後に感染が確認された場合に備え、交代要員を用意するということであるが、基本プランの隊員のみ検疫にあたるのか、もしくはプラスアルファした状態で検疫期間として、実質プランが決まってから何名か行かないという方も出てくるという選択肢なのか。
また、AとA+αプランの選択はいつを期限と考えているか。
【野木総括副所長】 基本プランの隊員に加え、欠くことができない職種の交代要員は同時に検疫を行う。そのときに何か起こった場合は、交代要員にそのままここに入っていただくようなことを考えている。オプションの夏隊員のプラスに関してはでそこでの検疫には入らず、オプションで行く場合にその前後での検疫となる。
【河野極域科学企画官】 いつまでをタイムリミットとして意思決定をするかについて、最終的には11月の本部総会までに決定するということであるが、それまでに例えばオーストラリアの入国の状況、検疫の状況が分かり次第、順次検討は進める。
【宇都委員】 検疫等について隊員のみでなくしらせ乗組員も同様の対応を取るのか。また、しらせが昭和基地まで到達できない場合の対応等について、61次越冬隊をどうのようにピックアップするのか。これが最後の本当のエマージェンシーのプランになると思うが、どのように考えているか。
【白方南極観測支援班長】 しらせ乗組員についても観測隊と同時期、出港の2週間前に乗船し洋上で隔離を行うと考えている。
【野木総括副所長】 昭和基地まで到達できない場合について、あらゆる方面での検討を開始すると考える。航空網に関しても緊急時には使用することにしているため、その辺りからの検討。また、周囲にいる観測船、南極の他の各国の観測船等での対応も考えたい。最悪本当にピックアップできない場合も、あと1年の越冬をする備蓄の燃料、食料はあるため、最悪の場合でこちらがなすすべもないときにはもう1年の越冬をしていただくということになるかと思う。色んな方面からのアプローチを考えるというのが最初のオプションにあり、次は次の1年のうちにできるだけ早くピックアップする方法を考えるということになるだろう。
【庄司委員】 オプションプランを選択し入港できたとしてもやはり2週間の待機等が生じる恐れがあるかと思う。その時間的な余裕や、物資的な余裕というのもこのオプションの中に入っているものなのか。
また、しらせによる行動というのは非常に貴重なものであるため、どんなに少なくともぜひ継続していただきたいと思うが、今回のコロナの影響でこのように計画が変更され、予算の変更も出てきているかと思う。限られた予算内で計画されていることだと思うが、不足する部分や逆に余る部分の算段、計画、見積等等は済んでいるか。
【野木総括副所長】 オプションプランを実施する場合、たとえばオーストラリアでは事前に2週間隔離する等も可能であるため、その辺りでバッファーは持てるかと考えている。もう1点、もし何か起こり、最悪昭和基地付近まで行って引き返すことがあっても、戻ってから2週間の隔離をして、もう一度行くということは可能と計算している。
【河野極域科学企画官】 予算については、令和2年度予算状況について説明したとおり、確保されている。また、その中での執行の変更、又は他の項目等との増減等があるかと思うが、状況をみつつ、なるべく柔軟な対応ができるよう対応していきたいと思っている。
【梅村委員】 CH-101の修理の検討は動いているのか。
【河野極域科学企画官】 CHの修理に関しては、一昨年から懸案となっているが、改めて防衛省と当方事務局で打ち合わせ等を実施し、検討を進めているという状況。
【梅村委員】 今回物資輸送の際に、CHに関する乗員や機材に関する不具合は発生しなかったか。
【白方南極観測支援班長】 今回の行動においては、CHは2機ともに運航でき、特に大きな不具合は発生していない。
【梅村委員】 もう1点、先日YouYubeを見ていると、CHが活躍される部分はよくわかったが、着陸時に雪氷が舞い上がってかなりホワイトアウトを懸念するような状況だと思ったが、着陸操作はオートなのかマニュアル操縦なのか。
【白方南極観測支援班長】 雪等がある場合の着陸については事前にホバリング状態である程度雪を飛ばし、そのような状況にならないようにしてからマニュアル操作で着陸する。
【原田委員】 次の63次でのCHの2機体制はしっかりと確保いただけるか。しっかりと確保いただきたいというのが意見である。2点目にやはり毎年2機体制をしっかりと保つということが大切であるが、そのためにはCH93号機の修理、あるいは買い替えになるのか、すこしでも状況を前に進めていただきたい。
【白方南極観測支援班長】 CHの2機体制については、今回は出国前にCHの修理が遅れる可能性があったが、無事に修理も終わり2機体制を確立して南極へ向かった。今後もその体制は維持していくつもりである。
【河野極域科学企画官】 先ほどの回答と同じとなるが、防衛省と検討を続けたい。
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