1.第84回輸送計画委員会議事の記録(案)

日時:

平成29年10月23日(月曜日)16時00分-18時00分

場所:

文部科学省15階 15F1会議室

出席者:

委員

飯島 朋子

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構主任研究開発員


宇都 正太郎

国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所海上技術安全研究所特別研究主幹


梅村 行男

独立行政法人航空大学校特任教授


遠藤 小百合

独立行政法人海技教育機構海技大学校航海科准教授


河内 啓二

国立大学法人東京大学名誉教授


庄司 るり

国立大学法人東京海洋大学学術研究院教授


角  洋一

国立大学法人横浜国立大学名誉教授、放送大学客員教授


塚本 達郎

国立大学法人東京海洋大学学術研究院教授


土屋 武司

国立大学法人東京大学大学院工学系研究科教授


原田 尚美

国立研究開発法人海洋研究開発機構戦略研究開発領域地球環境観測研究開発センター長代理


中西 礎之

防衛省人事教育局人材育成課長


伊東 圭市

防衛装備庁プロジェクト管理部事業計画調整官(加藤 隆広 事業監理官(艦船担当)代理)


岩切 雄二

防衛装備庁プロジェクト管理部事業管理官補佐(坂本 大祐 事業監理官(航空機担当)代理)


佐久間 俊

防衛装備庁長官官房艦船設計官付首席主任設計官


黒田 英史

防衛省海上幕僚監部防衛部艦船体系班員(大川 努 装備体系課長代理)


岳本 宏太郎

防衛省海上幕僚監部防衛部運用支援課南極観測支援班長


長川 智憲

防衛省海上幕僚監部装備計画部艦船・武器課船体班員(宮本 一彦 艦船・武器課長代理)


石田 伸介

防衛省海上幕僚監部装備部航空機課長


長屋 好治 

海上保安庁海洋情報部海洋調査課長(島田 勘資 総務部政務課長代理)


川口 修

海上保安庁装備技術部航空機課航空機課長


阿蘇 隆之

文部科学省研究開発局海洋地球課長


野木 義史

国立極地研究所副所長


末広 峰政

国立極地研究所南極観測センター副センター長(事業担当)

オブザーバー

中村 卓司

国立極地研究所長


橋田 元

国立極地研究所南極観測センター副センター長(観測担当)


土井 浩一郎

第59次南極地域観測隊長(兼夏隊長)


木津 暢彦

第59次南極地域観測隊副隊長(兼越冬隊長)

事務局

小酒井 克也

文部科学省研究開発局海洋地球課極域科学企画官


土井 大輔

文部科学省研究開発局海洋地球課課長補佐


議事:

(1)事務局より、当日の議題・配付資料について確認があった。
(2)以下の議題について、各担当者より報告及び説明があった。
≪報告事項≫

1.前回議事について(事務局)
2.第59回南極観測実施責任者評議会(COMNAP)の概要について(国立極地研究所)
3.第58次越冬隊の現況について(国立極地研究所)
4.(1)平成29年度「しらせ」の年次検査について(防衛省)
(2)南極輸送支援ヘリコプター3号機の横転事故について(防衛省)
5.平成60年度南極地域観測事業概算要求の概要について(事務局)

≪審議事項≫

6.第59次南極地域観測行動実施計画(案)について(国立極地研究所及び防衛省)
7.その他(事務局)


主な意見は以下のとおり。

(議題2)
【梅村委員】  
 専門家グループ分科会について、アメリカの無人機による対人事故の報告とはどのような内容だったか。
【橋田副センター長】
 この無人機はマルチコプターで、マルチコプターの中では重量としてはそれほど大きくないものであったが、プロペラの部分が人の手に当たり負傷したという事故の報告であった。


(議題3)
【原田委員】
 最近は海氷の状況がかなり緩い状況にあるということを聞いており、多年氷帯とはいえ、ルート工作等も大変な状況があるのではないかと推測するが、どのような状況か。
【野木副所長】 
 海氷の状況に関しては、現地からの衛星の画像を昭和基地に送る、それから現地ではマルチコプター等で観察しており、それと併用しながら、向こうでは積雪や海氷の厚さ等を測りながら、慎重に進めている。


(議題4)
【河内委員】
 機体の縦振動と上下振動が、ごっちゃに使われているように思う。普通、縦振動は頭を上げたり下げたりする振動で、上下振動は機体が上下に振動するとの使い分けを我々はしている。そういう区別をちゃんとしておいた方がいいのではないか。
 例えば2ページ目に、「機体の縦方向の振動」と書いてあるが、中では「機体の上下方向の細かな振動」と書いてあり、よく分からない。両方とも機体の上下方向の振動だと思う。そのように解釈すれば、この起こった事象はよく起こることで、報告書の内容は不思議ではない。もし機体が頭を上げたり下げたりする、縦振動を本当に起こしていたとすると、この報告書の内容はよく分からない。
【石田海幕航空機課長】
 現在、事故調査継続中であり、中間報告の段階であるが、御指摘いただいた点を踏まえ、事故調査に反映させていきたい。なお、資料で示す振動は上下振動という整理をしている。
【梅村委員】
 トリガーになったのが、エンジン出力が制限を超えそうになったということだが、これはITTとかトルクとか、どういった類のエンジン出力のオーバーになりそうだったのかということを教えていただきたい。
【防衛省海幕航空機課円山2佐】
 制限を超えそうになったのはトルクである。
【梅村委員】
 一般的に我々民間では、ジャストカルチャーといって、いろいろ安全文化みたいな形で、台風時はキャンセルするといった状況。気象条件は問題なかったとのことだが、タービン機である以上、真夏の気温で、また、気圧は書いていないので分からないが、ペイロードは5トンぐらいあるかと思う。性能的に6,000馬力相当の出力があるかと思うが、 500キロと乗員が8名、それと燃料がもし満載であれば、相当の負荷が掛かるはずで、調布の小型機の墜落事故、夏場はエンジン出力が、レシプロは特に極端だが、極端に減る。この場合でもかなり負荷があったのではないか。そうすると、トルクオーバーとかITTとか、そういったところの部分でぎりぎりのエンジン運用になるのではないかなというのが考えられるので、一応ヒューマンファクターということだが、エアラインでは通常、横風など制限をきちんと作っている。
 これはヘリなので横風制限は当然ないが、気温に関して言えば、密度高度があり、ある程度規程の中に織り込んだ方が良いのではないか。アメリカのユナイテッドが、外気温が35度以上になったので、定期便を相当キャンセルしている。ここのMETAR上の29度というのは、恐らく実際は30度とか35度近く高くなっていたのではないかと思われるので、密度高度も考慮に入れたような規程があればいいのではないかなと、個人的に思う。
 それと、人間関係の中において、階級がある世界においては、機長が操縦をテークオーバーしてしまうという状況では、民間では絶対に、You have control、I have control、と必ず言う。函館で、ある会社がテールヒットをしたのだが、ヘリの場合、そういう操作がコレクティブとサイクリック、モニターしていても分かりにくい。その部分については、テークオーバーする際には、階級や機長だ副操縦士だということに関係なく、誰が操縦しているのだということを明確にしておかないと、固定翼機のように安定したフライトというのは望めない。特にヘリの場合は、サイクリックは僅かな動きであるし、ラダーも僅かだと思う。コレクティブについても同じなので、今回の事故を検証したときに、南極での事故じゃなくて良かったなというのがまず1点目で、できれば、オートパイロットをもっと使われたらいいのではないかなと。それがまた一つのヒューマンパフォーマンスを上げるための手段になるのではないかなというのが、私の意見。
【防衛省海幕航空機課円山2佐】
 先ほど密度高度を考慮という御発言があったが、その点はチャート等で確認し、訓練を行う上で制限内かどうかということはきちんと確認しているということは、事故調査において確認している。
 オートパイロットについては、訓練の中で、今回、途中までオートパイロットで訓練をしたということは確認している。
 それから、I have controlと言う点は、海上自衛隊でもはっきり言って、どちらが操縦するかを明確にしているが、そこのところが今回不十分だったために同時で操縦状態になったということは、認識している。
【宇都委員】
 59次行動は、ヘリ2機体制が確保できると思うが、60次行動以降のヘリの運用はどのような体制で臨まれるのか、どういう影響が出るのかについてお聞きしたい。
【石田海幕航空機課長】
 修理の可否については、今後、調整が必要であるが、製造会社である川崎重工業が、おおよその被害状況等を確認したところ、ローターや一次構造部材の損傷、構造部のゆがみ等が認められており、修理をした場合、新規調達の3分の2以上の費用がかかる見込みである。そのような中で、修理をするのか、あるいは、新規調達をするのかというについては、費用の事情等もあるため、今後御相談させていただきたい。
 一方で、当面、修復あるいは調達をするにしても、かなりの年月が掛かる見込みである。今後のスケジュールについて大きく見積もると、今年度は91号機の定期修理を急いでいるところであり、間もなく修理から搬出できるため、今回の行動で搭載できると考えている。また、来年度については何とか2機態勢で行けると考えるが、31年度は1機態勢になる可能性もあるので今後精査していく必要があるが、その中でもう一度、3号機をどうするのかということを御議論等いただくものと認識している。
【遠藤委員】
 今回の事故は、人為的なミスが一番大きいと考えている。航空分野のCRM(Crew Resource Management)と、船舶分野のBRM(Bridge Resource Management)というのは、従来から通じて関係しているが、操縦権が誰なのかということが船舶運航においても大事にされる。その上で、飛行機であれ、船舶であれ、人為的ミスというのは一番大きな事故につながるため、整備の問題含めて、今後、人へのコミュニケーションの連携を含めて図っていただきたい。
【石田海幕航空機課長】
 海上自衛隊においてもクルー・リソース・マネジメント、あるいはメンテナンス・リソース・マネジメントに取り組んでいるところだが、今回の結果が一義的に人的ミスということから、これを真摯に受け止め、事故調査委員会の結果報告にも反映されるであろうし、それに対する再発防止策という形でもしっかりやっていきたい。
【塚本主査】
 今後の観測業務になるべく支障がないように、予算のこと等々いろいろあるとは思うが、しっかり対応していただきたい。


(議題5)
【宇都委員】
 マルチビームの調達は、機器の調達だけか、それとも艤装工事も含めているか。
【土井課長補佐】
 部品を買って「しらせ」に実際に付けるというところまでの経費を要求している。
【塚本主査】
 間に合えば31年度の定検ではなく、来年度のドックで付けるということもできる。
【土井課長補佐】
マルチビームそのものの購入にどれだけ時間が掛かるかというのもあるが、できるだけ30年度の検査のときに艤装できるところまで最大限考慮した形で要求をしている。


(議題6)
【土屋委員】
 無人航空機による研究がされているようだが、どのような無人航空機を持っていき、どのようなことをされるのか教えていただきたい。
【土井第59次観測隊長】
 主なものとしては、市販されているドローンが、一番数としては多いかと考えている。主に基地上の空撮や、野外での観測場所付近の空撮が予定されている。そのほか、固定翼を使った、大陸の氷上での大気観測なども予定されている。
【土屋委員】
 電動と、あとエンジン機の両方。固定翼もあれば、マルチコプターもあるという、いろいろなタイプを持っていかれるということ。
【土井第59次観測隊長】
 そのとおり。多いのは電動になるが。
【角委員】
 アウトリーチ活動の対象となるのは、どういう学校の生徒になるか。
【土井第59次観測隊長】
 主には派遣される教員の出身校の児童生徒が対象となる。それ以外にも、一般の方向けの南極授業も予定されている。
【角委員】
 ネットか何かで誰でも聞けるということか。
【土井第59次観測隊長】
 ネットで視聴するというのは難しいと思うが、会場近くの方であれば、おそらく自由に参加できるのではないか。
【原田委員】
 もし、59次の場合が45次隊と同じような氷の状況であったとしても、当時の状況とは雪上車や物資のウエートがかなり違ってくるということだが、どれぐらいの氷の厚さであれば、降ろして氷上輸送ができるのか。
【橋田副センター長】
 先ほど、ベストエスティメート、ベストゲスとして1メートル前後の氷厚と申し上げた。例えば現在氷上輸送に使っている中型の雪上車だと、その氷厚であれば走行は可能だが、海氷自体は生き物なので、氷の温度、あるいは、ところどころに割れ目が入って、見えないようなものも入っているので、現地の越冬隊が最新の調査状況を、「しらせ」出港後にも観測隊、59次隊、「しらせ」に伝えるので、そういったものを見つつ、最終的な判断ということを隊と課でしていただくことになろうかと思う。
【原田委員】
 最悪の場合、次の隊がヘリ1機になってしまうと、接岸不可、氷上輸送不可になると、輸送物資量は大体どれぐらいのトン数になるのか。
【岳本南極観測支援班長】
 54次隊で航空機1機であったが、その時の実績は643トン。
【原田委員】
 その時はチャーターヘリも入れてということ。
【岳本南極観測支援班長】
 チャーターヘリの分は643トンに入っておらず、CHのみの実績。
【梅村委員】
 昨年、コックピットのトラブルがあったかと思うが、今回対処方法は考えているか。
【石田海幕航空機課長】
 今回は予備品を持っていく予定。
【塚本主査】
 第59次行動実施計画(案)を本委員会として承認し、11月7日の本部総会に諮ることとしたい。
(委員会了承)


(3)事務局から次回の会議日程については、委員の都合を確認の上、連絡する旨の説明があった。

お問合せ先

研究開発局海洋地球課

極域研究振興係
電話番号:03-5253-4111(内線4144,4451)