南極地域観測統合推進本部外部評価委員会(第19回)の記録

日時

平成29年5月11日(木曜日)15時00分~16時40分

場所

文部科学省東館13階 13F1会議室

出席者

委員

五十嵐 道子 フリージャーナリスト
白山 義久 国立研究開発法人海洋研究開発機構 理事
高橋 德行 トヨフジ海運株式会社 代表取締役社長
田中 康夫 日本郵船株式会社 技術アドバイザー
中田 薫 国立研究開発法人水産研究・教育機構 理事
中村 尚 国立大学法人東京大学先端科学技術研究センター 副所長・教授
山崎 俊嗣 国立大学法人東京大学大気海洋研究所 教授
渡部 重十 北海道情報大学経営情報学部 教授

オブザーバー

白石 和行 国立極地研究所長
野木 義史 国立極地研究所 副所長
中村 卓司 国立極地研究所 副所長

事務局

林 孝浩 文部科学省研究開発局海洋地球課長
小酒井 克也 文部科学省研究開発局海洋地球課 極域科学企画官
土井 大輔 文部科学省研究開発局海洋地球課 課長補佐

議事

(1)事務局より、委員の改選及び当日の議題・配付資料について確認があった。

(2)主査より、主査代理が指名された。

(3)以下の議題について、各担当者より説明があった。

1.外部評価委員会について(事務局)
2.南極地域観測事業について(事務局)
3.国立極地研究所の概要について(国立極地研究所)
4.南極地域観測第8期6か年計画について(事務局)
5.今後の評価の進め方(案)について(事務局)
6.評価方針(案)について(事務局)
7.評価担当分担(案)について(事務局)
8.その他(事務局)

主な意見は以下のとおり。

(議題3)

【中田委員】
データジャーナルを今年から発刊されたということだが、これは極地研の中に編集委員会があるのか。もう一つは、どういうデータが主に収録されているのか。
【白石所長】
まだ完全にアーティクルが出ているわけではないが、外国人研究者や極地研以外の外部の方も入った編集委員会を所内に設けている。編集も出版も全部オンラインで、随時投稿があれば、必要なプロセスを経て、いつでも出版するということにしている。
さらに言えば、当研究所が属している情報・システム研究機構の今期の目標の中に、データサイエンス、オープンサイエンスがあり、それともリンクした試みである。
【渡部委員】
海外の研究所や大学と非常に多くの協定を締結しているが、具体的にどういうことをやっているのか。
【野木副所長】
南極広域で、設営上様々な協力をすることも必要だし、特に研究面では、例えば航空機を所有しているところと、航空機を相互に利用することによって、研究を拡大するようなことができるので、共同研究の締結を行っている。
【渡部委員】
海外の大学ともそういう連携をしながらやっている、研究面での連携がメインになっているということか。
【野木副所長】
研究面の連携と、ロジスティクスも共同してやることによって、効率的に実施することができる。

(議題5)

【白山主査】
今後の評価の進め方について(案)については、本委員会として承認し、6月23日の本部総会に報告したいと思う。

(委員了承)

(議題6)

【高橋委員】
全て文章だけで自己点検結果を書くことになっているが、全部読み込まなければならない。できれば、資料2の南極地域観測事業の概要のような、オゾンホール発見の図だとか、グラフだとか、あるいは定量的な数値とかをコンパクトにまとめた結果の概要があると、非常に理解がビジュアルにできて、その上でまた読み込んだ方がいいと思う。そういった参考資料として評価を助けるような資料があれば、大変助かる。
【小酒井極域科学企画官】
評価のスケジュールもなかなかタイトだが、実際に評価を受ける方の状況もあると思うので、事務局で検討させていただきたい。
【高橋委員】
恐らく実際に担当されている方は、文章だけでなく、様々なデータや図表をお持ちだと思う。その中で抜粋した形で出していただければいい。このために作るというよりも、そういったものが多分存在すると思うので、それを参考として配付していただけるとありがたい。
【小酒井極域科学企画官】
ヒアリングの際には評価項目ごとにコンパクトな形でまとめた資料を基に説明することになると思う。準備が間に合えば、各委員に事前に見ていただくのも良いかと思う。

その辺は実際用意がどの程度までできるかというところもあるが、先に見ていただいた上でヒアリングに臨んでいただくというのは、理解を深める上でも非常に良いとは思う。現段階で考えていたのは、まずは、評価シートの実績・評価及び自己点検を事前に見ていただいた上で、ヒアリングの際に、それらをコンパクトにまとめたものをヒアリングのときに御用意いただいて、それを見て最終的な評価結果を各委員に書いていただくという段取りであるため、実際、いつまでにどの程度まで用意できるかというところを含め、相談させていただければと思う。
【高橋委員】
無理のない範囲で結構なのでお願いしたい。
【山崎委員】
評価方針(案)の3番目の評価の観点の有効性のところで、有効性の1ポツのところは、要するに、観測によって成果が他の研究にどの程度影響を与えたかというのはよく分かるが、2番目に、またよく似たような文章が書いてあって、「国内外においてどの程度」というのは、何を意図しているのか。
【小酒井極域科学企画官】
2番目のポツについては、例えば、IPCCの気候変動に関する政府間パネルであるとか、WMOといった、どちらかというと国際機関をイメージしていて、直接、研究というよりは、政策や行政、国際的な機関にどの程度貢献しているかといったものを想定している。
【白山主査】
中間評価を拝見すると、SABCは、今の評価の方針のSABCと少し基準が違うように思う。それで、中間評価の方のSと多分、今回の評価のSはほぼ同じかなと思うが、中間評価では、Aというのは、100点から、100点を少し超えたところぐらいまで。今回の場合には、100点を上回っていないとAは付かないと。
それで、中間評価でBは、70点から100点がBだが、今回は100点ぴったりと。ほぼ100点前後ですとBですよと、そういうことか。
【小酒井極域科学企画官】
はい。
【白山主査】
そうすると、例えば70点ぐらいの場合には、前回、中間評価ではBをもらうチャンスがあるが、今回はもう確実にCが付いちゃうと、こういうふうに理解するということか。
【小酒井極域科学企画官】
基本的にはそうなるが、例えば第8期計画期間中、53次隊、54次隊と2年間、「しらせ」が接岸できず、観測に係る設備であるとか、あとは昭和基地周辺の海洋の観測の部分が一部実施できなかったというような時期もあるので、そういった状況も踏まえつつ、合議の上、御判断をいただければ良いと考えている。
【白山主査】
世の中的にはAが付かないとだめよというイメージがあるが、Bは合格ですということ。
【小酒井極域科学企画官】
Bが付けば合格ということ。
【林海洋地球課長】
御承知のとおり、独立行政法人の評価の基準が変わって、以前はAが合格だったのが、今はBが合格で、普通にやっているとB、それより超えているとA、非常に超えているとSと。従前から標準が変わって、そこの基準が変わったのを受けて、今、全体的なプロジェクトの評価も同じような基準に合わせつつある。感覚的にAが付かないといけないというのは、まさに感覚の問題なので、そこは感覚を切り替えてただき、大体合格が中心になって、上か、下かというのがメインの評価になる。
【白山主査】
基準が昔とは違いますというのを共通認識として持たせていただきたいと思う。
【五十嵐委員】 
7期の外部評価書を拝見すると結構Aが非常に多く、AとSがほとんどのような状況だが、今回は違う形になっても気にしなくていいということか。
【小酒井極域科学企画官】
はい。
【白山主査】
つまり、今回、Bが仮にかなり多かったとしても、それは7期より悪くなったという評価になっているということにはならないということ。
【五十嵐委員】
スケジュールとして、ヒアリングのときに記入したコメントを事務局に提出するという段取りになるのか。
【小酒井極域科学企画官】
コメントについては、ヒアリングが終わった後に各委員から事務局に頂ければと思う。
基本的には9月ぐらいを予定しているので、大体、委員の先生方には1週間程度をめどに事務局に評価のコメントなり、評点を頂ければと考えている。
【五十嵐委員】
ヒアリングの後、1週間ぐらいでお送りすると。
【小酒井極域科学企画官】
はい。各委員の担当部分について提出いただければと思う。
【田中委員】
ヒアリングというのは、幾つかの団体から話を聞くようになるのか、それとも極地研からまとめてお話を伺うようになるのか。どのぐらいの、ある程度時間を取って説明いただけるものなのか。
【小酒井極域科学企画官】
研究観測については、国立極地研究所から、定常観測については、関係省庁からヒアリングをしていただく。全体としては、国立極地研究所が9割ぐらい。また、ヒアリングの時間については、評価項目数も多いが、十分時間をとって、例えば1日ぐらいかけて、ヒアリングをしていただければと考えている。
【白山主査】
場合によっては、2回に分ける必要があるかもしれない。
先ほどの五十嵐委員の御質問で、1週間以内に評価を書き込んでという話だが、ヒアリングの際に聞き切れなかった質問は当然残るということもあって、追加の質問事項を事務局に送って、それが担当のところへ行って、回答が返ってきてというようなプロセスも必要かと思うので、1週間は短いような気がする。
【小酒井極域科学企画官】
そこはもう少し延ばしたいと思う。
【高橋委員】  
先ほどの評価の具体的な自己点検を行う際に、計画そのものがチャレンジングで、計画どおりにやれば金メダルみたいな、そういったものもあると思う。それはたとえ計画どおりであっても、しっかりと評価すべきではないかなと思っている。
計画をはるかに上回ったとか、上回らないとかいうことだけでなくて、もう少し、例えば国際水準から見た場合の位置付けみたいなものをしっかりと明確にしていただければ、よりSABCが付けやすいと思う。自己点検する際には是非、国際的な観点や、様々な影響度を見て、どういう位置にあるのか、水準にあるのかということをできるだけ分かりやすく表現していただけるとありがたい。
【白山主査】
 評価方針(案)については、本委員会として承認し、6月23日の本部総会に報告したいと思う。

(委員了承)

(議題7)

【中村委員】
改めてこの一覧を拝見すると、研究観測、基本観測やモニタリング観測については、こうした一くくりのこの評価基準で良いのかという疑問がわいてきてしまう。やはり長期で継続して測って、その中から何か出てこなければいけないもの。それと、ターゲットを絞って、ここを重点的にやるから、その部分で評価をしなければならない。そこからきちんとした成果が出てきたのかどうか。やはり観測の性格あるいは目的が本質的に大きく異なるものを同じ基準で一くくりに評価するというのは少し無理があるのではないか。逆に言うと、評価の実効性という意味で、少し評価基準を分けるなど、何か工夫が必要なのではないかと改めて思う。
【白山主査】
これは事前に事務局ともディスカッションしたが、実は必要性という言葉の下には、今、皆様方のお手元にある資料では、その先に先導性とかそういうことしか書いていないが、実際には必要性を評価する項目というのはもっとたくさんある。
【林海洋地球課長】
文科省の評価指針があり、この評価の観点というのは、これは大体どこも共通するが、必要性、有効性、効率性というものに分けている。それの具体的な中身は、必要性はこういうもの、有効性はこういうもの、効率性はこういうものと。これはあくまでも例示であって、先生方おっしゃるように、その研究の性格に応じて、この項目を適宜ピックアップして評価するということになろうかと思うので、そこは研究の性格に応じて項目は書いていくということであろう思うが、恐らくこれは事前、中間、事後と同じ基準。事前にやる際の必要性としてこうだというのを言っていることがあって、それがきちんとできているのかどうかという話になってくると思う。
継続することによって、こういう効果が期待されるからやるという必要性があって、しっかり継続して、思っていたようなことができているのか否かと。そういうものに照らし合わせて、この必要性を事後として評価するということになると思うので、研究の性格に応じて、事前に考えていたことができて、事前に想定していたような成果が上がっているのか。それ以上なのか、それ以下なのか。そういう観点からやっていくということになろうかと思う。
【白山主査】
その継続することが重要というか、継続しないといい仕事にならないというものも当然あるのだと思う。
【林海洋地球課長】
6年間の計画で、何にも成果がなかったけど、継続だけしましたというのは多分ないのではないかなと思う。やはり継続したことによって、こういう成果が出てきましたというのはしっかり示してもらって、そもそもやるときにそういう意義があるから継続するという、多分そういう計画になっていて、成果がこうだったと、当然あるのではないかと思う。字句は、項目としてはいろんな観点があるにしても、それはちゃんと示してもらうということではないかと思う。
【白山主査】
必ずしもあそこに書いてあるものだけの観点ではないので、そこに非常にたくさん必要性という観点の例示が出ているけれども、独創的で革新的なものだけが科学的、技術的意義があるということではないというのを共通の認識として評価をさせていただきたいと思う。
【五十嵐委員】
今の評価のことは科学技術・学術審議会の研究計画・評価分科会においても議論になっている部分。この必要性、有効性、効率性という項目以外で評価すべき項目があるのではないかということを言っている。特に南極観測のような場合、地球科学などでは長期にわたる積み上げが大事であるという特徴に基づいた評価が本当に必要であるということ踏まえて評価に当たりたいと思う。
【白山主査】
我々が評価する際にも、白地でいきなりデータが出てきて、それで、Sだ、Aだ、Bだというのではなくて、自己点検評価が必記載されている。ですから、そういう意味から言うと、我々として評価すべき観点は、実施評価を受ける方々からは、ある程度明示的に示されているものがあるので、その観点をリスペクトして、しっかりと評価をしていただければ良いのではないかと思う。
先ほどの必要性に関する議論については、共通認識として、必ずしも資料の観点ではなくて、こうした観点を全部しっかり留意した上で行うことを確認させていただいた上で、評価担当表(案)については、本委員会として承認し、6月23日の本部総会に報告したいと思う。

(委員了承)

(4)事務局から、次回は9月上旬にヒアリングを実施予定であり、日程については委員の都合を確認の上、連絡する旨の説明があった。

―― 了 ――

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