南極地域観測事業

第49次南極地域観測隊越冬隊の現況(平成20年6月~10月)

 牛尾収輝越冬隊長以下29名は、全員元気に越冬活動を続けている。

(天候)

6月

 初旬は晴天による冷え込みが厳しく、-35℃以下の日が続いた。下旬に当月3回目となるブリザードがあり、気圧低下が著しかった。

7月

 中旬に極夜期が終わり約40日振りに太陽が戻ってきた。雪や吹雪の日が多く、4回のブリザードがあった。

8月

 上下旬には気温が低く、中旬は低気圧が連続して通過したため荒天となり2回のブリザードを記録した。

9月

 低気圧が頻繁に基地付近を通過したため、初旬と下旬にはブリザードが続き(計4回)、気温は高めに推移した。風が弱い状態で降雪が続いたため、基地及び周辺海氷上の積雪の増加が顕著であった。月間の日照時間は観測史上最少であった。

10月

 月初めに1回ブリザードがあった他は、穏やかな天候が続き、10月の月平均気温としては観測史上最も低い記録となった。日照時間も多く、日射が強くなってきたが、海氷上は走行ルートを含めて積雪が残り、顕著な氷の融解は認められていない。

(基地活動)

 事故防止及び活発化する野外行動に備え、安全対策の意識向上と技術習熟のための講習や消火訓練を実施し、日々の行動における安全への意識の維持、向上に努めている。海氷上の走行ルートを設定し野外観測も順調に実施されている。  

(観測部門)

 極夜期には、基地観測を中心に実施し、極夜明けの7月からは、野外観測が活発化している。8月初旬の基地全停電に伴い、欠測や機器障害が発生したが、一部を除き復旧している。9月にはスカーレン方面へルートを設定し、宙空圏及び地圏の研究観測を実施した。2月末から実施していたオーロラ光学観測は、10月14日で終了となり灯火管制も解除された。
 10月5日から20日にかけては、内陸観測のためのみずほ基地旅行が実施され、宙空圏、気水圏、地圏関連の研究観測を計画通り実施し、数多くのデータ・サンプルを取得した。

(設営部門)

 発電機点検のための電源切替など定期的な業務も含め、各部門とも概ね順調に推移している。また、ブリザード後を含めて除雪作業を適宜実施している。安全面では、野外行動に備え、全隊員を対象に雪上車運転講習を行った。内陸旅行準備として車両整備や燃料の橇搭載を進めた。調理部門では、野菜栽培装置の稼動による新鮮な野菜の収穫が食生活に潤いをもたらしている。

(その他)

 TV会議システムを利用した情報発信として、国内小中学校などと南極教室を行っている。6月下旬にはミッドウィンター祭を盛大に祝い、越冬後半に向けて鋭気を養った。基地各所の本格的な除雪など50次隊の受け入れ準備も始まっている。日焼け対策や十分な休養等、健康管理に注意している。

お問合せ先

研究開発局海洋地球課

極域研究振興係
電話番号:03-5253-4111(内線4144)、03-6734-4144(直通)

-- 登録:平成25年02月 --