第30回南極研究科学委員会(SCAR)総会
2008年7月4〜16日
北極南極研究所およびホテル・プリベルツカヤ、ロシア・サンクトペテルブルグ
(4〜11日、ビジネス会合、シンポジウム他)、
科学アカデミー、ロシア・モスクワ(14〜16日、代表者会合)
生命科学、地圏科学、物理科学の各常置委員会、JCADMなど5つの研究プロジェクト(Scientific Research Project)委員会、生物・医学グループをはじめとする各アクショングループ(Action Group)、専門家グループ(Expert Group)等が開催された。
初日はセレモニーに続きキーノート講演、2日目以降多くのセッションが平行開催された。日本から40名以上が参加。IPYのさなかということであり、またSCARとIASCの共催ということで、大変盛り上がったものとなった。
2009年3月がとりあえずのIPY 2007-2008の期限であり、2月25日に閉幕式典・プレス発表とし、その直前23〜24日にJC-8を、いずれもスイス・ジュネーブで開催することとなった。行事を全て2月中に済ませ、3月は各国の活動にゆだねることとした。JCとして報告文書を発表すべく準備を進める。
サイエンスについては、今回のサンクトペテルブルグに続き、Early Science Conferenceということで、”Polar Science – Global Impact”が2010年6月8〜12日、ノルウェイ・オスロで開催されることでFirst Circularが出された。セッション提案が2008年10月まで求められている。最終、第3回目のシンポジウムは2012年のカナダに決まっている。
国際運営事務局(IPO)の資金が2009年夏で終わること、JCの活動ファンドも終わりとなることで、2010年シンポジウムの開催等の残務期間の活動を延長すべく、各国に資金援助を請う予定。IPYそのものについては、IPYの遺産をいかに残すかが中心議題。観測ネットワークの構築やデータベースの整備が最大の課題となっている。今後は、IPYを支えてきたSCAR, IASC, WMO, ICSU等の組織の役割が重要である。
日本からは極地研の山内および伊村が代表、副代表として出席した。全体会合では、マレーシアの正規会員としての加盟が審議され、加盟が認められた。また、ルーマニアの準会員としての申請および国際天文学協会(IAU)のユニオン会員としての申請が承認された。
役員選挙が選挙規定の改正の後実施され、任期を残して退任するChris Rapley(英)の後任の会長にMarlon Chuck Kennicutt(米)が選任された。また、任期の終わるChuck KennicuttとZ. Zhan(中)後任の2名の副会長にAd Huiskes(オランダ)とRasik Ravindra(インド)が選ばれ、現職のSergio Marenssi(アルゼンチン)とAntonio Meloni(イタリア)を併せて4名が副会長となった。
科学的事項に関する分科会では固体地圏科学、生命科学、物理科学の3置委員会、JCADM、キングジョージ島作業部会、「常置委員会および研究プロジェクト間の連携」委員会からの報告と勧告案が説明された。特に、JCADMでは、順調にメタデータを集める活動が続いているのに、来年からのCOMNAPからの支援中止となることから、名称をSCAR Scientific Committee on Antarctic Data Management(SC-ADM)とすること、COMNAPから受けていた1/3の資金援助を全額SCARが負担してほしい希望があった。SCAR研究プロジェクトの報告がなされ、4年目の外部評価を受け、南極気候進化研究計画(ACE), 南極と地球規模気候システム研究計画(AGCS), 南極における進化と生物多様性研究計画(EBA), 南極氷床下湖研究計画(SALE)のさらに4年の延長が認められた。また宙空圏共役性研究計画(ICESTAR)は2009年まで1年間延長のうえ終了し、専門家グループとして継承の予定である。AGCSからは、主導的に進めている南極気候変動と環境評価書(ACCE=The Antarctic Climate Change and the Environment)の執筆状況も報告され(北極でのACIA = Arctic Climate Impact Assessment—IPCCに準ずる北極版—にならった南極版)、草稿が公開された(ftp://ftp.nerc-bas.ac.uk/pub/jtu/ACCE/)。新しい研究プロジェクト「南極天体物理学・天文学研究計画」(AAA)の提案があり、4年計画が認められた。
アウトリーチおよび管理分科会では、新しいSCARの法的位置付け(ICSUの要請に基づき、事務局の設置されているイギリスでの法人として、2008年4月14日より保障有限責任会社となった)、SCAR表彰(各国内委員会に積極的な推薦が期待された)、南極条約協議国会議(ATCM)や国際北極科学委員会(IASC)はじめ各種機関との関係、50周年記念事業(記念書籍”Science in the Snow: 50 years of international collaboration in Antarctica”の出版)、予算案が審議・承認された。予算は、人件費による圧迫などで科学活動を大幅削減しない限り赤字となることが報告された。また、予算のかかる総会とOSCの開催を4年ごとにする案も提示されたが、多方面での調整が必要なことから、とりあえず2012年の第32回(米招聘)までは2年ごとに開催し、その後検討することとなった。これらの対策は短期的対処に過ぎず、長期的な改善策が今後慎重に検討されることになった。次の役員会(EXCOM)は2009年7月、チリ・プンタアレナスで、31回総会は2010年8月初旬にアルゼンチン・ブエノスアイレスで開催される予定となった。また、第33回(2014年)はスペインから招聘提案、マレーシアからも2014年以降の招聘が提案された。
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