南極地域観測事業

第20回観測事業計画検討委員会における質問事項について(案)

(柴田委員提出資料)

 4月22日開催第20回観測事業計画検討委員会等で質問し、関係省庁で調整した結果として、以下のとおり回答を得た。

質問事項1:海鷹丸による南極海の調査活動は、我が国の「南極地域観測事業」の一環であるか。

回答事項:海鷹丸の調査活動については、第52次行動計画でも位置づけられており、第53次南極地域観測事業の一環でもあります。

質問事項2:海鷹丸による南極条約地域(南緯60度以南の海域を含む)における活動は、南極条約第7条5項にいう自国船舶ないし自国民による(national expeditionもしくはgovernmental operatorによる)活動になるとは言えないか。

回答事項:我が国としては、南極条約第7条5項に基づく事前通告を行うか否かに関して、同条約第6条の規定も踏まえ、南極条約地域(南緯60度以南の地域)の公海上における公海の自由に関する活動は、事前通告の対象外であると解釈しております。海鷹丸は、南緯60度以南の公海上において、公海の自由に該当する科学的調査を行っているものであり、事前通告の対象には当たらないと考えます。

質問事項3:条約7条5項の通告範囲を、活動の内容等に関係なく、形式的、一律的に、南極大陸への上陸の有無で判断することが、最早、現実と合致していないことが問題であると考える。南極とは何ら関係ない船舶や航空機の通常の航行が公海自由の原則に基づき(条約6条)事前通告が不要であることは理解できる。しかし、南極条約地域(南緯60度以南)を目指して、しかも南極条約で規律対象になっている科学観測活動を行うために派遣されている船舶につき、条約に基づく規制に服させないのは、現在の南極条約体制の国際的動向、すなわち南極条約関連活動の責任の所在をはっきりさせ、南極条約地域における全ての活動につきしっかり監視するという方向性と逆行すると考える。
 事故時の救助活動、油等による海洋汚染、生物資源(遺伝子資源)の採取、など、海鷹丸が関わりうる問題につき、南極条約体制は関心をもって様々な調整、規制を行っている。海鷹丸の活動も、それら国際的な調整・規制の対象になっているということは、最早否定できず、そうであれば、日本としても、海鷹丸に対する調整・規制をしっかりできるような体制を整えるべきではないか。

回答事項:現在、我が国の事前通告に係る解釈・運用を直ちに変更することは検討しておりません。頂いたコメントについては、今後関係省庁とも必要に応じて検討していきたいと考えております。

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-- 登録:平成24年02月 --