平成23年5月31日(火曜日)14時~16時
文部科学省旧庁舎2階第1会議室
小池 勲夫 | 国立大学法人 琉球大学 監事 | |
杉本 敦子 | 国立大学法人 北海道大学大学院 地球環境科学研究院 教授 | |
中尾 正義 | 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 理事 | |
中村 雅美 | 江戸川大学 情報文化学科 教授 | |
新野 宏 | 国立大学法人 東京大学 大気海洋研究所 所長 | |
野本 敏治 | 財団法人 溶接接合工学振興会 理事長 | |
松田 治 | 国立大学法人 広島大学 名誉教授 | |
安岡 善文 | 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 監事 | |
オブザーバー | 白石 和行 | 国立極地研究所副所長 |
工藤 栄 | 南極地域観測隊第51次隊副隊長 兼 越冬隊長 | |
大塚 英明 | 南極地域観測隊第52次隊副隊長 | |
山岸 久雄 | 南極地域観測隊第53次隊隊長 | |
土井 浩一郎 | 南極地域観測隊第53次隊副隊長 兼 越冬隊長 | |
石沢 賢二 | 南極地域観測隊第53次隊副隊長 | |
河瀬 和重 | 国土地理院 企画部 国際課長 | |
藤本 真美 | 外務省 国際協力局 地球環境課 外務事務官 | |
長谷川 修一 | 環境省 自然環境局 自然環境計画課 環境技官 | |
川嶋 浩二 | 気象庁 観測部 計画課 南極観測事務室長 | |
成田 学 | 海上保安庁 海洋情報部 海洋調査課 主任海洋調査官 | |
石橋 弘光 | 情報通信研究機構 電磁波計測研究所 宇宙環境インフォマティクス研究室 主任研究員 | |
事務局 | 堀内 義規 | 文部科学省 研究開発局 海洋地球課長 |
小池 良高 | 文部科学省 研究開発局 海洋地球課 極域科学企画官 |
長谷川環境技官より、第52次南極地域観測隊同行結果について報告があった。主な質問は以下のとおり。
コンクリート洗浄水の指摘事項について、現場の隊員はその事実を知っているのか。また、マニュアルのようなものは整備されているのか。
申請書で記載している対応策については、口頭で隊員に指導しているが、マニュアル化されておらず不徹底である。53次隊では、ドラム缶に替わる機器を持ち込み、申請書に基づく措置を実施したい。
残置されている廃棄物について、法律に照らしてどういう問題があるのか。
法律では、廃棄物の発生の抑制、廃棄物の除去について努めることとされている。特別保護地区等ではさらに厳しくなるが、今回はできる限り生じた廃棄物を南極域から除去するよう努めることとなる。
過去に昭和基地のクリーンアップ4カ年計画を実施し、毎年200トンずつ廃棄物を持ち帰り、それ以降も継続している。廃棄物持ち帰りの準備は進めているが、船の制約、天候の制約により思い通りに行かないのが現状である。
雪鳥沢(ASPA)への立ち入りについて、見直しを検討するのか。
緩和しようとは考えていないが、事実として要望があったことを明示している。
同行教員が事前に南極教室の取材のため、ASPAへの立ち入りを事前申請した場合、許可されるのか。
現在のところ、立入要件に該当しないと思われるため、不許可となる。必要であれば、事前に要件を変えることとなる。
環境省の同行について、今まではこの委員会に報告なされたことは無かったが、今後は報告頂きたい。
今後は委員会での報告事項としたい。
白石副所長及び小池企画官より、第53次南極地域観測について説明があった。主な質問は以下のとおり。
公開利用研究について、観測隊に同行しないが研究を委託するような事案が増えているが、どのように考えているのか。
観測隊の大きな負担となる。科学的な価値と隊員の負担増の観点から精査したいと考えている。
公開利用研究の場合、研究を委託された場合の必要経費は同行者同様先方の負担となるのか。
装置を設置する場合、装置は依頼側の負担となる。昭和基地に設置済の機器を利用した場合の使用料や業務を担当する隊員の労働料については検討していない。
隊員が観測を委託された場合、観測データの権利は隊員も持てるのか。
難しい問題である。委託者と個別の確認が必要となる。
個人に帰着させてしまうと、依頼側にもためらいが生じる可能性がある。ガイドラインを定めておく必要があるのではないか。
公開利用研究に関するデータ公開の指針はあるのか。
定めていない。
53次南極地域観測計画の概要が提示されているが、実際の観測内容については、どこで検討を行うのか。
極地研究所の南極観測審議委員会の専門部会で検討を行い、審議委員会で決定している。
公開利用研究と同行者については、観測隊の負担が増え続けることの無いように、今後検討が必要である。
公開利用研究は今回で3回目である。見直しの良い時期であり、検討したい。
公開利用研究に関する同行について、「しらせ」の空きベット状況によるだろうが、より利用しやすいものにはならないか。
公開利用研究については、常時受け付けているつもりである。より周知していきたい。「しらせ」のベッド数は、余裕が見込まれるが、昭和基地の受け入れ人数に限りがある。臨機応変に対応していきたい。
公開利用研究は今後も継続して欲しいが、研究を委託されるのは好ましいことではない。原則として同行を求めていくことが大切である。周知に努めて欲しい。
藤本外務事務官より、南極条約第7条5に基づく事前通告のための電子情報交換システム(EIES)について説明があった。
白石副所長より、第54次南極地域観測について説明があった。主な質問は以下のとおり。
「しらせ」航路に融通性をもたせるとのことだが、今後継続するのか。
常時航路に融通性をもたせたいとの意見と、同じ航路を使うべきとの意見がある。両案を勘案しないといけない。「海鷹丸」の様な随伴船での観測が重要になってくる。
埋め立て廃棄物の実態調査とあるが、どうした経緯か。
過去に廃棄物の埋め立て処理を行った時代があった。どの位の深さまであるのか実態を把握していないため、調査を行うものである。現在の状態で汚染が広がらないよう封じ込めるか、持ち帰るかを検討するための材料とする。面積は20メートル×十数メートル位である。
クリーンアップで多量の廃棄物を持ち帰っていていると思うが、持ち込み量と持ち帰り量とで廃棄物の総量が減少しているようなことはいえるのか。
概ね、持ち込み物資の油と食料以外のものは全て廃棄物となる。現在廃棄物の持ち帰りは200トンなので、廃棄物は増加し続けていることとなる。
持ち帰りに向けた努力を続けて頂きたい。
大気レーダーの観測に「多チャンネル化」という記載があるが、観測コードが変更されるという意味か。
大気レーダーの1000本のアンテナは55のグループからなる。それぞれ異なる位相合成にすると、いろんな方向を観察することができる。多チャンネル化の意味は、特定の目的のため、より空間を分解して観測するという意味である。
観測事業計画検討委員会で、中長期計画の策定について審議するとあるが、各観測隊の観測計画と中長期計画との関係はどうなるのか。
期計画をまず計画し、それから年次ごとの計画を立てる。8期の計画が既に決まっているため、今後9期の時にこの会議で検討することとなる。
審議とあるが、この場で何を審議するのか。
本委員会は、平成16年に基本問題委員会で設置が話し合われた。中長期的な観点から極地研究所関連者からの提案をうけ、有識者の意見を聞いて企画立案することとされている。
観測事業を検討することとされているが、情報が少なく審議ができない。
8期の中期計画を作成する際は、十分にやりとりを行い、1年以上かけて策定した。新規で委員となられた先生には、過去の経緯や元となる情報がないため、非常に分かりにくいと思う。
8期の中期計画を策定する際と、「しらせ」建造の遅れによる端境期は、議論が盛り上がった。そうした時期の経緯が分からないと理解が難しい。次回は11月の本部総会の前に開催予定だが、過去の経緯について説明したり、資料を用意するなどの対応をさせて頂きたい。
基本問題委員会の検討の際に、南極観測事業全体の会議の関係や関係機関の関係の説明資料があったと記憶している。机上配付資料にそうした資料がないので、全体の関係が分かる資料があると理解しやすくなると思う。
中長期の観測事業について検討する際、決定を行う始めの時期は詳細に審議を行うが、その後の一時期は定常業務となり議論が少なくなる。
そうした時期であっても、船の運航の問題、ヘリコプターの問題など、新たな問題が出てきており、対応に苦慮されている。問題の解決のためにも、この委員会を活用し、議論を深めて頂きたい。
定常的に審議が必要な内容と、個別の問題点と、審議すべきものはたくさんある。
南極観測事業の現行システムも昔の体制のままであり、実態にそぐわない部分がある。定常業務となる今の時期に適切なテーマを提示して、委員の方に審議頂き、解決していけるようにしたい。
―― 了 ――
研究開発局海洋地球課
-- 登録:平成24年02月 --