平成19年4月1日
科学技術・学術審議会学術分科会
科学研究費補助金審査部会決定
第1 科学研究費補助金(以下「科研費」という。)により得られた研究成果に関し、「競争的資金に係る研究活動における不正行為対応ガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)(平成18年8月科学技術・学術審議会報告)及び「科学研究費補助金取扱規程」(以下「取扱規程」という。)第3条第3項第4号に基づき、不正行為の疑義のある者の所属する研究機関等(以下「調査機関」という。)において不正行為があったと認定された者に対する措置の検討については、科学研究費補助金審査部会(以下「本部会」という)において行うこととし、本運用方針に則って行うものとする。
第2 学術研究における不正行為は、真実の探求を積み重ね、新たな知を創造していく営みである学術の本質に反するものであり、国民の期待や信頼を揺るがし、学術研究の発展を妨げ冒涜するものであって、研究費の多寡を問わず絶対に許されないものであるとの考えに基づき、調査機関に対して厳格な調査を求め、この調査結果に基づいて本部会において措置を判断する。
ただし、不正行為に対する措置が、研究者の研究活動を不当に萎縮させることがないよう留意する。
第3 対象とする不正行為は、科研費を活用した研究活動において発表された、論文、著書及び研究発表等の研究成果(以下「論文等」という)の中に示されたデータや研究結果等に関する次の1から3に掲げる行為とする。
なお、科学的に適切な方法により正当に得られた研究成果が結果的に誤りであったとしても、それは不正行為ではない。また、故意によるものでないことが根拠をもって明らかにされた場合も不正行為にはあたらない。
第4 本部会で措置を検討する対象者は、調査機関において、ガイドラインを踏まえた適切な手続に則り、科研費を活用した研究活動において発表された論文等について、次の1から3に掲げる者として認定された者(以下「不正行為認定者」という。)とする。
第5 調査機関において、不正行為があったと認定された研究課題(以下「認定研究課題」という。)の交付決定の取消は、次に掲げる1から4により取り扱うことを原則として、本部会において事案ごとに判断し、これに基づいて行うものとする。
第6 研究計画調書の応募から交付決定までの間(以下「応募段階」という。)にある、不正行為認定者からの研究課題については、次に掲げる1又は2により取り扱うことを原則として、本部会において事案ごとに判断し、これに基づいて行うものとする。
第7 不正行為の疑義があった場合において、調査機関の予備調査の結果、本調査を行うことが決定された場合には、調査機関に対して中間報告を求めることとし、中間報告の内容を踏まえ必要がある場合には、採択の決定又は補助金の交付を留保し、又は調査機関に対し補助金使用の一時停止を求めることができるものとする。
第8 取扱規程第3条第3項第4号に基づき、不正行為認定者を科研費の交付対象から除外する期間については、次に掲げる1又は2により取り扱うことを原則として、本部会において事案ごとに判断し、これに基づいて行うものとする。
第9 研究代表者及び研究分担者として科研費の交付を受けている者に、科研費を活用した研究活動以外の研究活動における不正行為があった場合において、科研費の交付が、当該研究活動に係る論文等の成果に基づいてなされたものと本部会において判断した場合は、科研費の「不正受給」にあたるものとして、取扱規程第3条第5項の規定を適用する。
第10 不正行為に関する措置に関し、本運用方針に定めのないものは、ガイドラインに基づき、本部会において定める。
不正行為への関与に係る分類 | 学術的・社会的影響度行為の悪質度 | 除外期間 | |
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不正行為に関与した者 | ア)研究の当初から不正行為を行うことを意図していた場合など、特に悪質な者 | 10年 | |
イ)不正行為のあった研究に係る論文等の責任を負う著者(監修責任者、代表執筆者またはこれらの者と同等の責任を負うと認定された者) | 当該分野の学術の進展への影響や社会的影響が大きい、若しくは行為の悪質度が高いと判断されるもの | 5~7年 | |
当該分野の学術の進展への影響や社会的影響、若しくは行為の悪質度が小さいと判断されるもの | 3~5年 | ||
ウ)その他、ア)及びイ)を除く不正行為に関与した者 | 2~3年 |
不正行為への関与に係る分類 | 学術的・社会的影響度行為の悪質度 | 除外期間 |
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不正行為に関与していないものの、不正行為のあった研究に係る論文等の責任を負う著者(監修責任者、代表執筆者またはこれらの者と同等の責任を負うと認定された者) | 当該分野の学術の進展への影響や社会的影響が大きい、若しくは行為の悪質度が高いと判断されるもの | 2~3年 |
当該分野の学術の進展への影響や社会的影響、若しくは不正行為の悪質度が小さいと判断されるもの | 1~2年 |
研究振興局学術研究助成課
-- 登録:平成21年以前 --