早稲田大学演劇映像学連携研究拠点 事後評価結果

大学名

早稲田大学

研究分野

人文学、芸術学、
芸術学・芸術史・芸術一般

拠点名

演劇映像学連携研究拠点

学長の氏名

鎌田 薫

拠点代表者

竹本 幹夫

1.共同研究拠点の概要

[共同研究拠点の目的]
演劇映像学連携研究拠点は、学外演劇研究者・演劇研究諸機関との演劇及び映像をテーマとする共同研究を行い、開放的で互恵的な研究交流を目指す。演劇博物館は、演劇映像資料、データベースなどの研究資源を保有し、わが国を代表する演劇研究拠点として、国内外からの研究者が参集する。これらを共通テーマごとに統合すれば、大規模かつ効率的な研究が可能になり、ひいては人文科学が真に科学として機能することになる。研究成果の社会還元にも十分に留意した研究ともなろう。このような成果を目指して、本拠点を構築する。

[共同研究拠点における成果及び目的の達成状況]
事業の全期間を通じ、演劇学・映像学の研究者が多数本拠点の分担者・協力者となることにより、研究者コミュニティとは積極的な相互交流を行い、共催企画を提案・実施するなどの事業を行った。これらの事業を通じ、多くの演劇・映像関係研究者が本拠点の事業に何らかの形で関わる態勢がほぼ確立され、演劇・映像に関わる学会、芸術団体、国や自治体の文化担当箇所における、演劇博物館の存在感は確実に増大した。さらに各コミュニティの大会企画の大規模化も、本拠点事業への参加・共同を通じて達成された。
具体的には、平成21年度に拠点整備のために専用の事務・研究スペースを確保し、次席研究員、研究助手、研究補助者、事務担当職員を雇用した。また拠点独自のホームページを開設し、拠点研究室にはコンピュータその他の備品や図書資料を整えるなど、研究支援及び拠点体制の整備強化をはかった。平成22年度は教職員の交代により、新たに助手2名・嘱託職員1名・研究補助員若干名を雇用し、事務補助職1名を派遣委託で事務局へ配置した。平成23年度には公募研究の中、2件をテーマ研究に昇格させ、研究の継続性を保証すると共に、その他の公募研究についても、機械的に単年度で打ち切ることのないよう、研究内容本位の選考を心がけた。平成24年度には拠点主催の公開研究会の総括として複数の国際・全国規模のシンポジウム等を開催、さらに1件の公募研究をテーマ研究化する方向を検討した。また貴重資料の寄贈が行われ、拠点の一層の充実が図られた。平成25年度には寺山資料の寄託という画期的な成果が実現した。また新規事業として演劇関連の2拠点が拠点設立を認められたことを受けて、両拠点から運営上のアドバイスを求められるなど、今後の演劇・映像分野の進展の足がかりとなる体制を固めた。さらに最終年度であるためにすべてのテーマ研究が研究成果を公開すべく、研究集会・研究発表を行った。それらの中には社会的なインパクトの大きな事業、文化政策への提言を含む研究集会を含んでいる。
また、拠点の設立により、演劇博物館は人材育成型の研究事業とともに、研究者・演劇人との共同研究体制を構築することができた。このほか貴重資料の購入・寄贈・寄託により、収蔵資料の一層の充実が達成された上、広い研究スペースの確保もできたため、館内研究活動の一層の活発化が実現した。
以上の事業を通じ、当初予定した目的のすべてを達成した。また今後は、これまでの経験とノウハウを生かして文化資源の学術的活用などの活動を更に発展させていく。

2.評価結果

(評価区分)
S:設定された目的は十分達成された。

(評価コメント)
学外演劇研究者・演劇研究諸機関との演劇及び映像をテーマとする共同研究を推進することにより、人文学研究分野では実現が難しかった拠点を交点とした異分野融合が促進され、当該研究分野の裾野の拡大、若手研究者の育成にも貢献してきていることから、当初の目的は十分達成されたと評価できる。
具体的には、開放的で互恵的な研究交流を図るという方針に基づき、他分野との協働による歴史的・社会学的研究、自然科学分野との連携研究、演劇・映像制作現場との連携研究、あらゆる言語芸術とも関わるテキスト研究を重視することによって、従来の演劇映像学にはない新たな研究テーマを創出するなど、学問領域の活性化が図られているものと認められる。
また、運営面の成果として、拠点運営に対する全学的な支援が継続的に行われ、効率的に事業を推進していることは特筆に値する。
今後は、研究者コミュニティからの意見を幅広く集約し、収蔵資料に限らず、大規模デジタルアーカイブを全国規模で展開できるよう整備を進めるとともに、外国語による情報発信機能を強化することによって、国際的な研究者コミュニティとの交流や新しい異分野融合研究も視野に入れ、当該研究分野の中核機関としての役割を担うことを期待したい。

お問合せ先

研究振興局学術機関課

機構調整・共同利用係
電話番号:03-5253-4111(内線4085)

-- 登録:平成26年07月 --